オレンジ





気付けばいつからか宿屋に泊まろうとする都度、
誰ともなしに始めた 『部屋割りはクジ引きで決めましょう』 制度の公明正大・公平平等の名のもとに本日もクジ引きが行われた結果、
今日の男性陣の部屋割りは 『ジェイド・ルーク組』、『ガイ・イオン組』(ミュウは問答無用でティアに攫われている) だったはずであるにも関わらず、
そろそろ夜も遅い時間帯に突入せんが頃、今回の買い出し当番でもあったガイが街から宿のロビーに戻ったところで、
「ガイ、ちょっと」 とロビーの片隅で待ちかねていたらしいジェイドに呼び止められた。


「?」
おいおい何事だよ、と訝しく思いながらもガイが表向きだけはごく明るく軽く、
「どうしたんだ、珍しいな旦那が俺を待ってるなんて」
訳を聞くと。
ジェイドはまず結論から言いましょう、と前置いて。
「大変勝手な申し出ですが、ガイ、今夜は私と部屋を代わっていただきます」
「は?」
完全想像外の申し出に、ガイは思わず素っ頓狂な顔と声になる。
誰が言い出した訳ではないが、『クジ引きで決定された部屋割りには問答無用で従うこと』 という暗黙の了解もパーティ内にはあって、
今までも余程のことがない限り誰もがあっさり従っていたわけでもあるのであって。
だから当然、ガイが不審に思うのは当たり前なのだ。
なのにジェイドは重ねて続ける。
「問答無用で、貴方とルーク、イオン様と私の相部屋になります。 了承していただけますね?」
その口調は確認というよりは強制的な成分が些か過多気味で、
そりゃガイとしてみればルークと同室というのは無論勿論嬉しいけれど願ってもみないけれど、
「・・・・どうしてだ? 出来ればその理由を聞かせてもらいたいな」
相手が相手であるだけに(・・・・・・)、何かこの腹黒大佐が善からぬ何某かの企みでも練っているのでは、と穿った見方をしてしまう。
するとジェイドはそう訊いてくることなど最初からわかっていましたよとばかり、
わざとらしくコホンと一度小さく咳払いをし、それから意味深に声を潜めて。
「ルークが、ですね、 ・・・・・・・・」
























結論からいえば、
ガイが買い出しに出かけた直後、
ルークがジェイドの荷物の中にあった催淫剤をジュースと間違って飲んでしまったことが唯一にして最大の原因なのである。




そもそも何故にルークがジェイドの荷物中のものを、と訊かれれば答えは至極簡単。
床の継ぎ目に彼が 「おわッ!?」 と躓いたはずみで2人の荷物がバラバラと混在し思いっきり混ざり合い、
これまたタイミングの悪いことにたまたまその時ジェイドは廊下でイオンと話し込んでいて、
その隙に混ざってしまった荷物を慌てて仕分け中だったルークが、
見つけた 『それ』 を自分の持ち物の中にあったジュースと間違えて一気に飲み干してしまった・・・・という一部始終であるらしい。
「ルーク・・・・」
それからすぐ露見した一連の事実と、事実を聞かされ呆然とするルークを前にほとほと 「全く・・・・どこまでアホの子なんです」 と呆れ果てたジェイドだったのだが、
大抵の悲劇と喜劇なんてこんなもの、ウソのようなまるで計ったタイミングから始まることもジェイドはよく知っている。
それでも深い溜め息は隠せない。
「少々大きめとはいえ、薬瓶に入っているものをどうやったらジュースだと間違えて飲んでしまうというのですか」
「う・・・・」
押し被せられ、口籠もるルーク。
だって喉乾いてたんだ、それに見た目はオレンジジュースみたいだったから、と小声でモゴモゴ言っている。
「風味付けのためにオレンジリキュールを使用していましたからね」
その点は仕方がなかったのかもしれませんが、と息を吐き、ジェイドはは壁の時計に目をやった。
「とりあえずそのクスリは遅効性です。 効き目が出てくるまで約一時間程度ですね。 まあ、その間にガイも戻って来るでしょうし、彼が戻り次第、私とガイとで部屋を代わりましょう」
「え、」
「ガイに処理・・・・というか、対応してもらいなさい」
順当に考えれば妥当極まりないジェイドの提案・立案・発案だったのだが、
「な・・・・、」
意外にもルークは目を丸くして、それから焦り出した。
「おや、ガイでは不満で不服ですか?」
「そうじゃなくて! ・・・・その、いーよ、俺、自分で何とかするから・・・・!」
焦って、そして赤くなる。 自分で言った科白に赤くなっているのでは世話はない。
そんなところがやはりコドモで、コドモだからこそきっとわかっていないのだ。 ・・・・まあ、遅効性である分、今はまだ実感も何も無いから仕方がないのだろうけれど。
「・・・・ルーク」
コドモにもわかるよう、少々芝居じみた口調と眼鏡に手をやる仕種で名前を呼ぶ。
「な、何だよ」
「あのですねルーク、私がそんなちょろ甘い成分のものを作るとでも思っているのですか?」
「・・・・へ?」
ただでさえも大きな翠色の瞳が、ぽかんと丸くなる。 
「自分で何とか処理の出来てしまう程度のものなど、『催淫剤』 とは呼びませんよ」
丸くなった目が、
「・・・・!!!!」
驚きというより衝撃だろう、大きく動揺、大きく揺れる。
「そのクスリを、世間に蔓延っている子供騙しの粗悪品などと一緒にされては困りますね」
「〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
「まあ、私が相手をしても構わないと言えば構わないのですが幸いにもガイも居ますし、何より私も惚れた相手には結構一途なところもあったりしまして」
慌て過ぎ、焦り過ぎてあわあわ狼狽しまくりのルークに、あえてジェイドはにっこり笑いかけ、


「良かったですね、ガイが貴方にぞっこんで」


顛末は私から彼に伝えておきますから、貴方はおとなしく此処で待っていなさい。 と言い残し、
途方に暮れるルークを背中に部屋を出た。
























「と、いう訳です。 それが30分前なので、早ければあと15分程度で効力が出てくる頃ですね」
今に到る一部始終をジェイドはあっさり語り終え、
「なので頼みましたよ、ガイ」
イオン様にはすでに私の方から上手く理由をつけて部屋交代の件は伝えてあります、
と告げられガイは改めて彼の手際の良さと強引っぷりを感じ入りながらも。
「まったく、なんてものを作って持ち歩いてるんだよ・・・・」
「おや何ですかその顔は。 呆れているのか笑っているのか喜んでいるのか感動しているのか、一体どれです? 少なくともその緩んだ口許からは怒っているようには見えませんが」
あ。
見破られていた。
「そ、そりゃ、」
「まあ何にしろルークに触れられる原因と理由を作ってあげたのはこちらなので、感謝して下さい」
「偶然だろうに・・・・」
「・・・・口調の割りにニヤけっきりですね顔が。  ―――――― どちらにしろ、後の事は任せました」
「・・・・・・・・・あ、ああ」


棚からぼたもち。
葱をしょってきたカモ。
勿怪の幸い。
A godsend.


毎日毎日真面目に生きていれば、時にはこんなオイシイ幸運も空から降ってくる。
























「で、大丈夫か?」
「今、のところは一応、まだ・・・・」
ジェイドと交代でガイが戻ってきてから約10分。
尋ねられ答えながら、ベッドサイドに座ったまま僅かにルークはうなだれた。
「ごめん、面倒・・・・っていうか迷惑かけちまって」
彼が、ガイが自分をことを好いていてくれているのも知っているし過剰に愛されているのもわかってはいるし、
そもそも少し前から身体の関係さえあったりもしているから、今更何がどう、ということもないはずなのだけれど、
やはり何だか申し訳ない。 気が引けてしまう。 ただでさえここ数日は色々強行軍で、多かれ少なかれ疲れているはずであるのに。
「何言ってるんだよ、こっちとしては逆に嬉しくてありがたいくらいなんだぜ? はは、ルークからしてみればちょっと不謹慎かもしれないけどな」
けれどガイはルークの負担と不安を消すかのよう、笑ってみせる。
「それに最近は何だかんだであまりルークとくっついていられなかったし」
「・・・・・・・・・・うん」
「だろ? いい方向に考えるんだよ。 ジェイドに部屋を譲ってもらえて良かった、くらいに」
「・・・・・・・・・・ん」
「ルーク?」
「・・・・・っ・・」
おかしい。
そうルークが気付いたのは、つい今さっきから。
「大丈夫、か・・・・?」
ガイの声のトーンが、様子を窺うものになる。
「・・・・あ、」
ベッドに腰掛けたままの自分の頭上から、中屈みになったガイの声が落ちてくるだけで、反応してしまう。
「大丈夫じゃないみたいだな・・・・」
見て取ったガイが素直に現状を呟いてみせたのも構わず、
すでにルークの息は上がってしまっていて、
「ルーク」
名前を呼ばれるだけで、ゾクゾク腰に響いた。
「・・・・ガイ、・・・・ええと、・・・なんか、」
言葉を綴るだけなのに、綴りたいのに物凄く身体が熱い。 吐く息も自分でわかるほど荒い。
と、突然下半身が疼き出した。 それも酷く性急に。
「っ・・・・!」
急速すぎる身体の変化に、ルークの思考は追い付いていかない。
どうしよう。 どうしたらいいんだろう。
たぶん一言ガイに伝えれば済むのだろうけれど、まだちっとも触れられていないのにもうこんな状態のこんな時、一体何て言えばいいのか。
どんな顔で彼を見ればいいのか。 どうしよう。 わからない。
でも我慢出来ないほど熱い。
「ルーク」
「・・・・ッ!?」
放っておいたなら、きっと硬直したまま涙を浮かべていただろうルークだったのだが、
ふいにもう一度名前を呼ばれたと同時、どさりと身体を使ってベッドの上、押し倒された。
そのまま、頬に目蓋に優しいキスを受ける。
「ん・・・・っ・・・!」
それだけで、手に触れたシーツをぎゅっと握り締めてしまうほど感じてしまった。
そして耳元に寄せられる口唇。
「我慢しないで、思いっきり甘えてくれよ」
微かな含み笑いと共に鼓膜に届いたガイの声。
ほとんど無意識にルークは腕を伸ばし、その背中に両腕を回して縋る。
「・・・・ガイ」
「お、早速?」
「・・・・だって仕方ねーじゃん・・・・」
かき抱いた金髪。 それにふっと顔を埋めた。
こんなに欲しいのは、たぶんクスリのせいだけじゃない。








着衣したままでも、一目でわかってしまうほど反応を見せているルークの下肢。
ガイは手際よく片手で上着を脱がせながら、もう片方の手で露わになった脇腹と腰骨を撫でていく。
「ッん・・・・!」
それだけでも過剰なまでに翻弄されるルークのそこは、まだ直接的な刺激は一切与えられていないにも関わらずすでに勃ち上がり、
「・・・・うぁ・・・・っ・・・」
優しく布地の上から数回擦り上げただけで、ルークはビクッと身体を仰け反らせた。
だが抵抗の色はない。
むしろ熱に浮かされたような瞳には性感の涙がうっすら湛えられ、待ち侘びているようで。
「ああ、わかってる」
心持ち低めのトーンで今すぐ与えてやるから、とガイに囁かれた直後、
「・・・・っ!」
まとめて下肢の衣類をずり下げられた。
疼いて疼いて仕方のない自らが、わかってはいるけれど空気とガイの視界に晒され、
ただそれだけなのに、見られただけであるはずなのに、先端はふるりと震えてとぷっと蜜を零した。
いくらクスリの所為にしたって、無性に恥ずかしくてルークは口唇を噛む。
「っあ・・・・っ!」
途端、待ちきれない先端からまた大量の蜜が溢れ出た。
自身の茎を通ってつうっと滴るその温かな刺激がまた新たな性感を呼び、
「な・・・・なんで、だよ・・・・っ・・・・・・?」
たまらなくじくじく疼いて耐えられず、混乱と一緒に生理的な涙がぱたぱたと数滴、シーツに落ちていく。
その涙の残る目尻にガイは口唇を寄せてやりつつ、ルーク本人より大量の雫を垂らす肉棒に、素早く指を絡ませた。
「んあッ! あっ、 っ・・・・ガイ、・・・・ん、ぅっ・・・・!」
「凄い、な」
さすがジェイドの旦那のアヤシイクスリだ、と感心半分でひとりごちながら、刺激を送る。
「一度、出しとくか?」
囁き訊かれながら遠慮なくガイの指に自らを扱かれるたび、くちゅくちゅ濡れて湿った水音が部屋に響いた。
「・・・・っう、う・・・あ、・・・・ッ、ぁ・・・・!」
出すも出さないも、どちらにしろこのままではルークの意思に構わず、身体だけ勝手に達してしまう。
だから哀願するように、懸命に首を縦に振ると、
「ん、じゃあルーク、ちょっとその腕、一旦緩めてくれないか」
言われて背中に回していた腕をルークが名残惜しげに解くと、ガイはするりと下方に移動し、
ぴくぴく震えるルーク自身に顔を寄せ、舌を伸ばした。
「ふぁ、あッ!!」
すでに痛いほど快楽神経の塊りになってしまっているそこが、柔らかく熱い舌先、絡められる唾液と、生温かい口腔の粘膜に包まれる。
蜜を零す穴孔が剥き出しになった先端が直接受ける強い性感は、
「あ・・・・っ、ああ・・・・ッ」
今の身体には過ぎる悦楽となって、責苦に近い。
びくびくッとルークの腰が逃げるように後ろに揺らめくが、ガイがぐしょぐしょに蜜を溢れさせ続ける穴孔を吸い立て、
時折舌先で抉ってみたりする都度、あからさまに逃げる力をも失くしてただただ、かくかく震えた。
「い・・・・ッ、っや、だっ・・・、も・・・・・っ・・・う、あッ!」
普段より確実に早く絶頂を告げるルーク。 仕方がない。
だからこそ焦らすことなくガイは吸い付きながら先端を舌で強く擦り、真っ赤に充血した茎部分を人差し指と親指、二本の指で摘まんでぐいぐいと扱き上げた。
「ひ・・・・ッッ・・・!」
ゾクっと肌が粟立って、漏れる感覚。 それも強制的な。
「・・・・いっ、ぁ、あ、 ぅ、あ────ッッ!!」
目も眩むような絶頂に、声を枯らして悲鳴を上げルークは大量の白蜜を吐き出した。




口中に放たれた精を軽く嚥下して、ガイは胸を大きく喘がせ荒い呼吸をついているルークの顔を覗き込む。
「少しは治まったか・・・?」
「・・・はっ、ぁ・・・・、ぁ、 ・・・・う・・・・」
訊かれたルークはガイの問いには直接答えず、視線をおろおろ彷徨わせ、落ち着かない様子を見せた。
それにガイは苦笑する。
「まだ、みたいだな」
「ち、くしょ・・・・こんなん絶対ヘン、だって・・・・、なんで、こんな・・・・っ・・・」
見れば達したばかりだというのにルーク自身は未だ屹立したままで、
まだそれほど経験もないルークが翠色の瞳を潤ませて混乱しかけるのも無理はない。
「仕方ないさ、そういう目的でのクスリなんだから」
だからあえてさらりと軽く流して言ってやると、
「・・・ガイ、ごめん・・・・」
しょぼん、と赤いヒヨコの襟足が萎れて項垂れるルーク。
「だから謝るなって」
そう返事をしながらも内心、
(いつまで持つかな・・・・俺・・・)
そんなことを考える。
甘い熱に浮かされたルークを眼前に、ガイとてそれほど余裕綽々でい続けられるほど達観の域にあるわけでもなく、
だからと言ってこんな状態である彼を無視して自分の欲情に流されてしまえるほど、自分勝手にはなれず。
「そのまま、力だけ抜いててくれよ」
けれど確かめるよう、濡れた指先をルークの最奥に忍ばせてみれば、
「んっ・・・・!」
そこは指先が触れた途端、ヒクッと物欲しげに蠢いた。
「ぅあ、・・・・んあっ・・・ッ」
試してくる指の腹の感触に、ヒクヒク息づいて今にも受け入れたがる入口。
これならすぐにでも大丈夫か、とくぷっと爪の先だけを埋めて押し入れれば、それはまるで熟れきった果実に指を突き入れるような感触で。
「・・・・ぃ・・・あ・・ッ、ぅ、ぁ・・・・、ガイ、・・・も、触わっ・・・・」
少しの間、その感触に浸っているとか細い声で、そんなふうにお願いされた。
が、
「ん・・・・?」
もっと触って欲しいのか、それとも触らないで欲しいのかそこのところがイマイチよくわからない。
それでも、普通に考えればどうしたって前者だろうと見当をつけ、
爪先までしか埋めていなかった人差し指を、そのまま奥までゆっくり押し進めた。
「ぅ、あ・・・・ッ!」
熱く指に絡み付いてくる粘膜の襞。
ガイの指を包むそれはやわらかくて熱くてトロトロで、なのに弾力は失わずしなやかで、
ほとんど準備もしていないのにこれだけ蕩けさせているクスリの効力に少なからずガイは驚くと同時に感心し、
これなら多少逸っても問題ないな、と軽く自分の口唇を舌で濡らし、一度軽く息を吐く。
けれど一応、
「もう一本、な」
「っあ、う・・・・んっ、・・・・っ・・」
念のためにと一番長い中指までも中に挿れれば、
くちくちと飲み込む密やかな音と共に粘膜から滲み出た体液がその指の潤滑を助けて奥へ奥へと誘っていく。
身体の底から欲しいと訴えるその様に応えるため、二本の指を使って挿抜を繰り返してみた。
質量が欲しくて仕方がなくて甘く絡む粘膜の壁は、引き抜こうとするたびに失うのを嫌がりきつく締め付けてくる。
「・・・ッ、うぁ、ぁ、抜か、な・・・・っ・・・・!」
「ん、でも、抜かなきゃ入れないだろ・・・・?」
「けど・・・・っ・・・・・・・、ッあ、達、きて・・・・っ・・・」
完全に快楽に酔ってしまったのか、普段ならほぼ間違いなく口にしない言葉を零して懇願する。
その媚態に触発され、ガイは振り切るように指を引き抜き、ルークの両脚を大きく抱え上げた。




「ッ!? 、な・・・・!」
指が出て行ってしまった喪失感より何より、取らされたその体勢にルークは霞がかった思考ながら慄いた。
別に悦いポイントを弄られたわけでもなく、ただ指で探られただけで達したくて達したくて身体に震えが走るくらいだったのに、
こんな状態でガイ自身を受け入れてしまったら、きっと身体だけじゃなく、頭の中までおかしくなってしまう。
そういうクスリを飲んでしまったから仕方がない、という慰めは慰めにならず、
与えられる愛撫と身体が病的に感じ取ってしまう、過ぎる性感がただただ怖い。 
目頭が熱くなって、一度は止まっていた涙がまた浮かびあがってきた。
「・・・・泣くなよ、ルーク」
少しだけ困ったようなカオをしたガイに、宥めるように言われてしまって慌てて手の甲で拭う。
それから軽く啄ばむキスを受けながらも、どうしようもなく疼き続ける秘部に猛ったガイの切っ先を押し当てられ、
「・・・・!」
思わず引き攣る息を飲む。
「いくらでも達っていいからさ」
「・・・ぅ、あッ、あっ!! いッ、────っっ!!」
秘肉を割って一気に奥まで貫かれた衝撃に、たまらず迎える二度目の絶頂。
「・・・・く、」
痛いほど収縮した内壁粘膜が絡み付き、搾り取る動きにガイは息を止めて堪え、訪れた吐精感をやり過ごす。
「っは・・・、はッ・・・・、ぁ、っ・・止ま、んね・・・・っ・・・・」
もはや涙声のルークから一旦大きく噴き出て、互いの身体の間を汚した白蜜は、勢いは収まったもののとくとくと流れ続けて止まらない。
絶頂の余韻というには長く続きすぎる強烈な快感に、ビクビク身体を戦慄かせて悶えるルークの目尻にガイが口唇を寄せながら数回腰を揺すってみると、
「っひ・・・・ッ・・・!」
甘く引き攣った音を立てる喉を晒して背中を仰け反らせ、またもとぷっと大量の白蜜を噴き上げるルーク自身。
こんなに短時間に連続して絶頂を迎えてしまうことなんて通常なら到底有り得ず、
そしてここまで快楽に蕩けて苛まれて混乱して放心状態のルークを見られる機会など、きっとこの先もそうそう無くて、
ゴク、と唾を飲み込みながら、ガイは本格的に動き始めた。












「・・・っ、ぁ、あ、・・・・ッ・・・・・ッ・・・・っ」
もう、何度達したかも分からず、声さえまともに出せない。
中は、内壁も、それを蹂躙するガイもあからさまに過熱を通り越した過剰な快感に酔っていて、
すでに一度ルークの中に自らの精を注いだガイが、自分の白濁で濡れ落ち融ける粘膜を激しく突き上げるたび、
ルークはビクビクと悶えて白蜜を散らし続ける。
それでも、精を放つたびに軽く達するたびに少しずつだがクスリの効果も治まりつつあるらしく、
どちらかといえば今はすでにガイから与えられる享楽を甘受、
「・・・ガ、イ・・・・っ・・・、ぁ・・・・、ガイ・・・・っ・・っ・・」
何度達したかさえ判らなくなっている自身を扱かれながら、まるで子供の頃のように抑揚のない甘い響きで彼の名前を連呼する。
「ルーク・・・」
蕩けながらもルークが発する言葉がただただ自分の名であることがガイは嬉しくて愛しくて、
遅れ毛が散る首筋に強めに吸い付くと、ルークはまたきゅうっと中の彼を締め付け、
ぐち・・・、と密やかな粘った淫らな水音が体内に、響いた。
そして締め付けたままの内粘膜は、ガイの限界を誘うかのように力を緩めず、手の内のルーク自身も小さく震えて訴え、
ルークは勿論、ガイも限界が近い。
「ッ・・・・、俺も、・・・また達きそうだよ」
零れる吐息混じり、ルークの耳元で囁き告げると一緒、
これが仕上げとばかり、欲を吐き出すのも限界が来ている肉棒に絡めた指の動きと腰の打ち付けを激しいものにし、
同時に迎えようとする絶頂。
「────ッ・・・・っ!!」
一際強いガイの愛撫と攻めに、目を見開いてルークは声にならない掠れた甘い声を喉の奥だけで弾けさせ、
すでに濃度も熱も緩くゆるい、薄い白濁を最後の最後に放ちながらそのまま意識を飛ばしてシーツに沈む。
「、は・・・・っ・・・」
それからほんの一瞬遅れ、ガイもルークの中に存分に欲情を注ぎ込み、
脱力して弛緩するルークの上、重ね落ちて荒い呼吸を繰り返した。
























それから後、ガイは少々大変だった。
少ししてすぐにルークは目を覚まし、クスリの効果も消えていたのだが腰は全く立たず身体に力も入らず、
自力では浴室にも行けない始末。
「そりゃあ、あれだけ出せばなあ・・・・」
肩を貸しながら、ユニットバスに連れていく途中でぼそっと嘆息すれば、
「〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
すっかり正気も羞恥心も取り戻したルークに必死の形相で睨まれ、
「で、でもまあ今夜のうちに何とか治まって良かったじゃないか、とりあえずあと何時間かはちゃんと休めるぞ・・・・?」
慌ててフォローに入る。
そしてそんなこんなで、「ちょっと色々片付けて来るからお前は一人でのんびり浸かっててくれ」 と告げて湯船にルークを放り込み、
部屋に戻って当の本人でさえもちょっと一瞬信じられない程に乱れ、
飛び散り染みて滲んだ大量の体液で目も当てられない惨状のベッドシーツを、
(こりゃ・・・・適当に理由をつけて買い取らなきゃだな・・・・)
とか何とか考えながら外して剥がし、手早く片付け終え、
休む間もなく次に脱ぎ散らかした二人分の衣服も拾って畳んで整理して、
きっと喉もとても渇いているだろうルークに部屋の備え付けのミニ冷蔵庫からミネラルウォーターを一本出して浴室まで届けてやって、
そこでまた時間をかけて今度は自分とルークの身体の後始末、中から掻き出す作業を完了し、
「・・・・これで、何とか眠れるか」
ふう、と安堵の息をつきながら、湯船の中、ぼんやり温まっているルークの隣に20分後、やっと落ち着けた。 
と、おもむろに。
「なあ、ジェイドがあの薬を使いたかった相手って、結局のところ誰だったのかな」
とか、今になってふと思い出したかのようにルークは突然、聞いてきた。
「ピオニー陛下だろ?」
何を今更、怪訝に思いながらもあっさり答えたところ、
「えええマジで!? マジで!!? それ、ホントにホントか・・・・!!?」
「なんだ、知らなかったのか」
「・・・・全ッ然、知らなかった・・・・・・・・」
「そ、それも凄いな・・・・。 見ていれば普通、わかりそうなものだけどな」
答えたガイの方が目を丸くするが、ルークの吃驚は収まらないらしく。
「だってピオニー陛下だぞ、だっていくらジェイドだからって、だって陛下はマルクトの王様なんだぞ・・・!?」
文法も意味も何やらどこやらおかしいが、一応言いたいことはわかる。
だから。
「確かに皇帝陛下だけど、ジェイドと陛下当人からしてみれば、ただの幼馴染みだぜ?」
自身満々、こんなところでルークのためだけに解説役を。
「・・・・・・・・・・そりゃそうだけどさ」
「それに、俺とルークだって同じようなものじゃないのか」
「?」
「ルークだって王位継承者でもあるんだし、それに俺は物心ついてから7年、ルークは生まれてからずっと俺と一緒にいるんだからさ。 似たようなものだろ?」
「・・・・そんなもんかな」
「そう。 そんなもんだよ」
だからジェイドは怖いもの知らずなのか・・・・、としみじみ呟くルークに、
違う違うジェイドの旦那だから怖いもの知らずなんだ、とガイは微妙な訂正を加え、「あ、そっか」 と素直に縦に頷き動いた頭、
赤ピヨ頭に小さく笑った。
























翌日、若さゆえかすっかり体力も回復し、戦闘でも前衛にて元気良く動き回っているルークをジェイドが眺めつつ、
「配合を変えて、もっと効力を高めてみましょうかねえ・・・・」
ぼそりとそんなふうに呟いた瞬間。
遥か遠くのグランコクマ宮殿私室にて、日課のブウサギと戯れていたピオニーはゾクッと背筋に寒気を感じ、
「・・・・!??」
慌てて周囲を見回した・・・・のだが、当然にしてそこに寒気の理由も理屈も見当たらず、
フゴフゴ鼻を動かす可愛い方のジェイドに向かい 「気のせいか、そうだよな」 と頷きかけ、また可愛い方のジェイドを可愛がることに精を出し始めていた。








知らぬが仏、だ。
















すみませんでした(色々と)・・・・。
どうやらガイルクの場合はジェイピオ前提らしいです。 ていうかスミマセンでした。