& テイク









―――――――――― 絶体絶命である。












「ちょ・・・・ちょっと待っ・・・ッ・・・!」
さすが高級ホテルの高級調度品、男二人が乗ってもまだ長さに余裕のあるソファーの上、じたばたどたばた必死で懸命に暴れるルークに対し、
「人にモノを作らせておいて、ただで済むとでも思っていましたか? 世の中、ギブアンドテイクなんですよ」
引き続き耳元で、引き引き続き続きどこまでもどこまでも楽しそうにジェイドは告げてくる。
「〜〜〜〜〜ッ!!!!」
全然ちっとも 『ギブ』 アンドじゃない、テイクアンドテイクだろこの場合・・・・!
と頭から否定してやりたいものの、ルーク如きが彼に言葉の応酬で勝てるはずもなし、
簡単に仰向けにされ上に乗り上げられてしまう。
「大丈夫ですよ、優しくすると言っているでしょう」
「そ、そーゆー問題じゃねーって・・・・!!」
やばい。 拙い。 こんな体勢にされてしまってはもう逃げられず抜け出せない。
ここまで来てしまったらどれだけ足掻いても所詮無駄にしかならないことを、ルークは(まだ数少ないが) 経験上、知っている。 否、知らされている。
「おや、ではどんな問題なんです?」
「う゛・・・・!」
あわあわうろたえるルークを真上から見下ろし、ジェイドは生真面目ぶった質問を放ちながらも、ニコリ。 小さく笑う。 その笑みが何より空恐ろしい。
オソロシイ笑顔のまま、加えてオソロシスギル宣告を。
「それに、そろそろそんな無駄口を叩いている余裕もなくなる頃なのではないかと」
自分では気付いていないようですが頬と目許がほんのり上気してきていますよ、と指摘され、
「、!」
そしてルークは自分の身体の変化にやっと気付かざるを得ず。
「・・・・ッ・・」
確かに、ついさっきまでと違う。
どう表現すればいいのかよくわからないけれど、
ジェイドが触れている部分、たとえば乗り上げられその手で押さえ付けられている肩口とか、もう片手で掴まれ抑え込まれている手首とか、
別に性感帯でも何でもないところのはずなのに、そんな箇所が妙に熱い。 そしてヘンにゾクリと心地良い。
(な・・・なんだよ、コレ・・・・)
そんなふうに考えている間にも、そのゾクゾクした快楽は次第に大きくなってきて。
「ルーク」
「ん・・・・っ・・・」
耳元に口唇を寄せられ、低く名前を呼ばれると今度は下半身に直接響く性感。
ただそれだけで汗が滲んでくる。
ダメだ。
こんな状態で、これとは比較にならない愛撫と行為を受けたならそれこそ大変なことになってしまう。 それは予感でもなく予測でもなく、予兆。
「〜〜〜〜〜トイレ、行ってくるッ!」
だから必死で叫べば、
「はい?」
ジェイドにとってそれは予想外だったのか、怪訝そうな顔をされた。
「自分でトイレで処理、してくるッ・・・・!」
「ル、ルーク・・・・」
そんなルークに、ジェイドは笑いを隠せない。
わざわざ宣言して行こうとするなんて、(世間知らずとかそういうレベルではなしに) やはりどこか可愛くズレている。
「これまた、何を面白過ぎることを・・・・。  ま、駄目です。 行かせませんよ」
「〜〜〜〜ヤダ!! ジェイドとやると絶対、絶ッッッ対とんでもない目に遭わされるからイヤだ!」
まるで子供のように(実質実際コドモなのだがそれはそれこれはこれ)、ルークは駄々を捏ね始めた。
けれどジェイドに通用するどころか、
「毎回毎回よがって我を忘れておねだりするのはどこの子でしたか?」
いたって冷静に、そして事実(!) を持ち出されてしまう。
「それがとんでもない目だって言ってんだっつーの!!」
かあっと頬と頭に血を昇らせながらも、往生際悪くジェイドの下から何とか抜け出そうと四苦八苦していると。
「・・・・聞き分けがないですねえ」
紅い眼が、すうっと細まった。
次の瞬間、それまで肩にあった手が無造作に動いて頬をぐっと固定されたかと思ったら、
その親指が乱暴ともいえるほど強引に口唇をこじ開け、口腔内に侵入し舌の付け根はおろか、喉の奥まで押さえ付けて来る。
「ッ!!? 、――――――ッ、!」
苦しいのに、喉を、それだけではなく舌まで同時に、それも内側から押さえ付けられ咳き込むことも声を発することも出来ず、
ルークはただ抵抗をやめざるを得ない。
ジェイドの身体の下、苦しい息の下、仕方なくもがくのも足掻くのも断念した途端、
「そうそう、いい子ですよルーク」
満面の笑みと一緒、すっと手指が口許から離れていって、慌ててルークは咳き込みまくる。
彼がそんなカオをする時なんて、絶対絶対ロクな目に遭った試しがない。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ・・・・」
なのに、
なのに本格的にクスリが回ってきてしまったようだ。 ジェイドの指が触れた口の中でさえ、疼く。
それを悟られまいと(おそらく全部とっくにお見通しなのだろうけれど) 口を手のひらで覆いながら下から懸命に睨みながら、
「こんなもん、使わなくったって・・・・!」
最後の悪あがき。 というか控えめすぎる文句。
すると彼はコクリと頷いて、
「ええ、本当はこんな小細工だのやり取りだのしなくても抱かせてくれますよね」
笑いながらもそんなふうに肯定。
「じゃあ、なんで・・・・!」
わかっているなら、
自然に(?)普通に(??) それとなく(???) 誘って持ち込んで縺れ込ませてくれればいい(・・・・) のに、
どうしてわざわざそんなクスリなんか。
そんなもの使わなくてもただでさえ毎回毎回過剰なほど蕩かされ、理性が飛んでしまうほど溺れさせられてしまうのに、
今の時点でさえじわじわ身体が疼いて仕方ないというのに。
焦るルークの詰問に対し、ジェイドはあっさりと。
「ま、簡単に言ってしまえば可愛さゆえの嗜虐心、てやつですかね。 貴方が可愛いからついつい虐めてみたくなるわけで。 永遠の心層深層心理の真理、です」
「オニ・・・・っ!!」
「イヤですねえ、私はオニでも悪魔でもなく、ただのしがない軍人ですって」
表向きだけは優しげに、しかしこの上なく愉しそうな笑みを決して絶やさないまま告げられ、
「わッ!?」
硬直している隙に、ひょいっと身体をいとも簡単に担ぎ上げられたかと思えば、ジェイドはすたすた苦もなくルークを隣室のベッドルームへ運んで。
柔らかなスプリングのきいた大きなベッドにばふっと下ろされ、
「そうそう、前もって伝えておくと、ここはそこらの安宿とは違って完全防音になっていますから。 安心していいですよ」
ついでに施錠も内側から完璧です、まあ万が一途中でガイが戻って来たとしても、聡い彼のことですから察してくれるでしょう。
と、跳ね起きる間もなく下された宣告、宣言。







・・・・・・・・もう、観念するしかない。






「・・・・痛いの、ヤダからな。 それとしんどいのも、ツライのもやだ」
仰向け状態で真上にジェイドを見上げ、ルークは背中にベッドを感じながら全ての抵抗を諦めてそう告げる。 頼むと言うよりお願いに近い。
まるで幼子のようなそんな物言いにジェイドは変わらずの笑みのまま小さく頷いてみせ、
「善処しましょう」
返ってきた返事はどこまで信じて良いのかイマイチ不明な返答ではあるけれど、ここまで来てしまったらどうしようもなく、
先程からずっとずっと疼いてたまらない身体はすでに我慢できない状態になってしまっている。
自分でもわかるほど、中心部はすでに熱を溜め芯を持ち始めていて。
そして何より悔しいことに、
とてもとても悔しいのだけれど悔し過ぎるのだけれど、
この年上で性格の悪すぎる眼鏡の軍人には何一つ敵うところがなくて結局その都度その都度言うことを聞くしかなくてだからつまり決して嫌いじゃないから素直に言うならむしろその反対だからルークだってこうやって諦めるわけであって少し前からすでにそういう仲であるわけであってそんな相手にこんなクスリなんか使われたら。
「っ・・・ジェイド、」
名前を呼ぶだけで、他の声が喉から零れそうになってしまう。
息があがる。
欲しい。
触って欲しい。
今すぐ深いところに触れてほしい。
「・・・・っ・・・」
でもやっぱり自分からそうねだるには(実際自分は何も悪くはないのだが) 恥ずかしさと理性とが邪魔をして、
真上から見てくる紅い眼からふいっと視線を外し、ルークが口籠もってしまうと。
「ルーク」
前傾姿勢になったジェイドに、再びすっと耳元に口唇を寄せられ低く呼ばれる名前。
「・・・・う・・・」
それだけで腰に来る。 ズン、と耳から背筋を通った性感が腰に溜まる。
そんな隠しきれない身体の変化は、すでに着衣の上からでもわかるほど勃ち上がりを見せているルーク自身が如実に物語っており、
素早く視認したジェイドは満足気、
「可愛い顔を見せて下さいね」
囁くが早いか、僅か数秒の手際の良さでルークから衣類を全て剥ぎ取り落とす。
そうして自らも上着と手袋とを脱ぎ外して、露わになって息づくルークの中心部、ルーク自身に指を絡ませた。
「、――― ッ!」
途端にルークは身体ごと大きく身悶え、
絡めたばかりの指を先端からとぷりと伝った蜜に濡らされ、ジェイドは眼鏡の奥の眼を細めて静かに笑う。
勃ち上がっているだけでなく、ただ触れただけで先走りの蜜まで零しているルーク。
若い身体に、クスリはとてもよく効いているようだ。
「・・・あッ・・・・!」
絡ませた指で、やんわりと軽く刺激を送ってやると、素直に喘ぐ甘い声がルークから零れ落ちた。
「とりあえず、出させてあげましょうかね」
このままでは少々辛いでしょうし、と十回に一度あるかないかの珍しいホトケゴコロに、
「え・・・・!?」
何より驚いたのは当のルークだ。
最中だというのにも関わらず思いきり目を見開き、まじまじとジェイドの顔を注視。
その顔を見て、決して笑みを絶やさずにジェイドは告げる。
「一応、一度は早目に出しておいた方がいいでしょう。 そうしておかないと後が続きませんから」
「な・・・・っ・・・」
告げた言葉に不穏な響きを感じ取ったルークは今度は絶句、
くるくる変わるそんな表情を面白く眺め、観察しつつジェイドは続けて本格的にルーク自身を扱き始める。
「ん、あ・・・ッ! 、あ・・・・!」
少々強めにジェイドに自身を握り込まれ、上下させられたが早いか、先端から大量の透明な蜜がとろりと溢れ滴り落ちてしまったのを伝った感触で感じて、
「っん・・・・ッ・・・!」
たまらない感覚に無意識にルークは身を捩ってしまう。
しかししっかりと上から押さえ付けられてしまっているため何の意味の成さず、すでに蕩けた下半身はちっとも言うことを聞いてくれなくて。
「っは、あ、ぁ・・・・っ・・・っ・・」
擦られ、くちゅくちゅと音を立てながらの摩擦で粘ついた蜜がジェイドの指との間で糸を引くけれど、
もうそんなこと気になんてしていられない。
普段ならまだここまでならない段階の愛撫しかされていないのに、
クスリのせいで過敏極まりなくなってしまっている身体はただ触れられただけでいつもの倍もの性感を覚える。
欲しがる身体は下肢に直接与えられている愛撫が紡ぎ出す快楽に、今にも蕩け落ちそうで何も考えられず、
そんな様子をはかったジェイドに、根元から先端までをじわじわ絞られるように揉み込まれると、
「ぅあ! あッ、あ・・・・っっ・・・!」
すんなり追い詰められてしまい、呆気なく迎えた一度目の絶頂。
「ぁ・・・・」
ジェイドの手のひらに、こんなにも早く吐き出してしまった自分の白濁を見て、ルークは上がった息のまま呆然と目を瞠る。
信じられない。
こんなに早い絶頂を迎えたことなんて今まで一度もなかったし、
何より、確かに達したはずなのに、未だ硬さを失っておらず屹立したままの自身の状態。 そして身体もまだ熱い。
「どうしました? そんな驚いた顔をして」
「だ、だって、」
余裕たっぷりのジェイドとは真逆に、ルークは狼狽えるしかなく。
「こんなの・・・・!」
「は?」
「んな、早くなんて、 〜〜〜〜っ・・・・!」
一人であわあわ慌てた挙げ句、最後は結局出来るだけ首を傾けジェイドから視線を逸らして背けてしまう。
が、
「別にそう恥ずかしがることでもないでしょう、まだ若い上にクスリの効力も上乗せされているわけですから」
鷹揚に言われ、続けて流れる動作で口唇で口唇を塞がれる。
まるで隅々まで味わわれるかのような深く丁寧なキスのあと、静かに口を離され、僅かに安心しかけたルークだったのだが。
「それでも些か、早すぎるような気もしないでもないですが」
アフターフォローなまらぬアフター虐め、そんな言葉で薄く笑われ、
「な・・・・ッ!」
瞬時にかあっと耳まで赤くなった途端、隙を突かれジェイドに大きく両膝を広げられた。
「可愛いですよ、こちらも」
そうして否応なしにその中心部に遠慮なく顔を落とされ、
硬く天を向いたままのルーク自身の先端を軽く銜えられてしまう。
「・・・っあ・・・・っ!」
ちゅ、と一度先端に残っていた白蜜の残りを吸い上げられて腰が跳ね、もう次の言葉が出て来ない。
ジェイドは微かに戦慄くルーク自身を先端だけでなく、半分ほどまでを口腔に招き入れていく。
柔らかな口腔の粘膜。 手指より高い体温。 濡れた感触。
「んぁ、ぁ、・・・う・・・ぁ・・・・ッっ・・・・・」
それだけでも感じ過ぎて気持ち悦すぎるのに、
何よりそんなことをジェイドにされているという今更ながらの事実に、眩暈がしそうになる。
なのに段階はもう一段階上がって、ジェイドは口内のルーク自身をいとおしむよう、
唾液を乗せた舌と口とを使って愛撫を始めた。
「んッ、ん、ぅ・・・・ッ・・・」
舌でくるりと幹部分を一周舐め回され、それから脈打つ裏側をちろちろ舐め上げられる。
かと思えば口全体で吸い上げられ、先端を長く搾られて漏れそうな快楽に背筋が震えだす。
「、ジェイ、っ・・・・、やめ、っ・・・・ぅあ、あッ、・・・・っ・・・」
「嫌、じゃないでしょう」
「んッ・・・・!」
銜えたまま訂正され、喋られた刺激が脳天まで響き、必死で唇を噛み締めた。
そう、本当は嫌じゃない。
本当はちっとも全然嫌なんかじゃないのに、本当にやめられてしまったら困るのは自分なのに、ルークはこの過ぎる快楽が未だ少しだけ怖いのと、
どうしても消えてくれない羞恥心とが綯い交ぜになり、いつも今もそんな言葉を発してしまう。
けれど頭とは裏腹な言葉同様、言葉とはこれまた裏腹に、身体は甘い快楽刺激にみるみるうちに蕩かされ、
自分でも既知しないところで腰が自然と揺らめき出す。
「あッ、―――― ッあ、ぁ・・・・・ッ、ぅっ・・・!」
噛み締めていた唇が、緩く開かれる。 声を抑えることが出来ない。
ジェイドの口腔内、どこからが彼の舌に捕らわれたルーク自身で、どこからが口腔粘膜で、
そして濡れ落ちる体液のうち、どこまでががとくとくと分泌され続けて止まらない先走りの蜜で、どこからが彼の唾液なのかも最早わからず、
下肢がぐちゃぐちゃに溶かされていくような、あまりの快楽に嗚咽にも似た声が漏れる。
「・・・っく・・・・ん、んっ・・・・」
大きく揺れる腰の動きは止まらない。
たとえ無意識だろうと、自ら快楽を求め始めたルークにジェイドは戯れですよとばかり、蕩けた先端にちゅッと心持ち強めに吸い付いた。
「んあッ・・・・!」
強すぎる快感刺激に、大きくビクンと仰け反ったルーク。
しかし身体はどこまでも素直で、一層大量の蜜をしとどに滴らせる。
ジェイドの口腔に収まりきらないほど溢れたそれは肉棒を伝い、筋を引いて後ろの双珠まで滴り落ちていく。
その感覚さえ、全て性感に置き換わってしまいたまらずルークは手元のシーツをぎゅっと握り締めた。
「悦さそうですね、随分と」
深い息継ぎと、ルークの様子の観察を兼ねて一旦顔を上げ、落ち着き払ってジェイドはそんなことを言いながら、
今度は舌先だけでルーク自身を根元からなぞっていく。
「あッ、〜〜〜〜ッ、あ、ぁ、・・・ッ・・・・!!」
ぴくぴく小刻みに震える裏筋を丁寧に味わう動きで舌が動くたび、そこは内包する熱と欲を溜め、
先端からはまるで射精と見紛うほど溢れ出続ける蜜でジェイドの喉を濡らして。
そんな身体の瑞々しさを充分堪能し、尖らせた舌先で穴孔を抉ってやれば、
「――― も・・・・ッ、出・・・・っ・・・・!」
二度目の限界をルークは告げてきた。 またも早い。
さてどうしましょうか、とジェイドはほんの一瞬考え、それから。
「・・・・・・・・」
乱れた髪を片手でかき上げつつ無言でゆっくり、ルーク自身から舌と口唇とを離す。
そうして、少し距離を置いて今にも達したくてたまらないそこ、
真っ赤に充血し、自分の唾液とルークの体液で卑猥に濡れて艶めく肉棒をじっと見つめてみたついで、
人差し指の先で括れのところを軽くピン、と弾いてみると、
「ひ・・・ぁっ・・・・!?」
そこだけぶるっと反応し、先端の穴孔が一瞬開いた。
使用した媚薬の効果も確かにあるのだろうが、それを差し引いてみても充分に淫猥でいやらしい。 余程達したいのか。
「ジェ、イド・・・・?」
一方でルークは、絶頂寸前で愛撫の手を止めてしまったジェイドをおそるおそる窺って、息をのんだ。
「・・・・っ・・・」
そんなところをそんなふうにあらためて見つめられてしまい、とてつもなく恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。
普段ならいつもなら、後で思いきり嫌味を言われようが行為が中断しようがお仕置きが待っていようが(・・・・)、
ほぼ反射的に足が出てその顔面を蹴飛ばしてやりたくなるくらいの恥ずかしさなのに、
なのに、
「・・・ジェイドっ・・・・っっ・・・」
「どうしました、ルーク?」
意味深に問いかけてくる意地の悪い笑み。 わかってるくせに。 そうしたのはジェイドのくせに。
なのに、
「・・・ッは、も・・・・ッ、早、く・・・・っ」
今は、何よりとにかく絶頂を迎えさせてほしくてどうしようもなくて。
寸前で放っておかれてしまった欲は、収まるどころかずっとそこで熱く燻り続け、疼いて疼いて苦しいくらいだ。
「もッ・・・・達きた・・・・っ・・・」
達することの出来る刺激が欲しくて、たっぷり溜め込まされてしまった白蜜を吐き出したくて楽になりたくて、
ルークは必死に訴える。
もしここで性悪ジェイドに少しでも焦らされたりしてしまったら、きっとおかしくなってしまう。 それほど。
かたかた腰が震え、歯の音まで合わなくなってきた。 熱い。 熱の塊りのようなそこだけじゃなく、身体全体が熱い。
「ジェイ・・・・っ・・・!」
もう半分嗚咽にも似たような声しか上がらない。
すると、それまで黙って傍観していたジェイドは婉然と。
「――――― それなら、自分で何とかしてみたらどうです」
「・・・・・・えッ・・・?」
一分たりとも意中になかったことを囁かれ、思わず頭の中が真っ白になったルークだったのだが、
「自分で慰めてみたらどうですかと言っているんですよ」
「っ、な・・・・」
「して見せて下さい。 まさか自慰の経験がないというわけではありませんよね」
面白そうに、それでいて低く優しく告げてくるジェイドの声に、肌がゾクっと粟立って一瞬だけ逡巡しかける。 けれど。
今は羞恥より何より、射精したい欲望の方が強くて激しくて。
「・・・ぁ・・・・」
目を伏せ、小さく唾を飲み込みながらおずおず震える手を伸ばし、迷わず指を絡めた。
「ふ・・・・ッ!」
絡めた指で全体を揉み上げ、自ら早急に扱いていく。
達きたくて達きたくてたまらないルークの身体は、自慰を受け全身がほのかに汗ばみ、
手の動きに連動して立てた両膝までもが小さく震え出した。
「・・・・っう、・・・・ん・・・ッ・・・」
そんな自分をじっと見ているジェイドの視線を感じ、やはりやはり恥ずかしくていたたまれず、ルークは漏れる声を無意識に噛み殺してしまう。
それでも追い上げられた身体は正直で、おのずと伸ばさざるを得ない指先、
敏感な裏筋を人差し指の関節を使って激しく摩擦を与えながら残った指と手のひらとで全体を搾り上げるよう、たっぷり揉み込めば。
「ん・・・・ッ! ――― ッッ・・・・!!」
求めていた絶頂にすんなり辿り着き、前傾姿勢のまま迎えた吐精。
自分の手の中で、ぴくぴく震えながらルーク自身は二度目の白蜜を噴き出し、滴らせていく。
「・・・・ぅ、ぁ・・・・っ、はぁ・・・っ、・・・・っ・・・」
絶頂直後の、荒い息と身体の小さな震えが止まらない。
けれど二度も射精を終えたというのに、内なる熱は未だルークの中で収まりきらず燻り続けている様相を見せ、
その証拠に達したばかりの中心部は、勃ち上がるまでとはいかないものの硬さを保ったままだった。
しかし激しい快楽に、頭はもうほとんど何も考えられなくなってくる。
「あ・・・・・・」
そんな状況でも、自ら放った白濁によって汚れてしまった手に気付き、思わず困惑していると、
「ルーク」
穏やかに名前を呼ばれ、まるで仔犬にするように頭を撫でられて。
「なかなか上手に出来ていましたよ」
「・・・・・・・・・・」
誉められても対象が対象であるがゆえ、どうしようもない。
困惑を当惑に変え、
「・・・・・え、と」
仕方なくジェイドを見上げると。
「手ならそのままで構いません。  ・・・・前からと後ろから、どちらがいいですか?」
おもむろに問いかけられた。
「・・・・・・・・・・・・?」
聞かれても、ぼうっとした思考のルークには何のことだか咄嗟にはわからない。
「・・・・・・・・・・・・?」
理解できないまま、ただまばたきを繰り返してもう一度見上げてくるルークをジェイドは見遣り、
わかりませんか、それなら悦い表情がよくわかるように最初は前からにしましょうか。 と耳元にキスを落としながら囁きかけ、
吐息が触れてびくっと首を竦めたルークの膝の間にすっと手を差し入れ、濡れたルーク自身を一度撫で上げた。
「・・・っ!」
瞬時に反応してしまい、ルークが腰を僅かに捻ったが構わず指を進め、更に奥の入口に触れる。
触れた人差し指の腹でそうっと数回押してみると、感度良くヒクリと引き攣りを見せるそこ。
当然まだ固くて、指の侵入を拒んでいる。
だがジェイドは然程気にせず、もう片方の手でルークの肉棒を包み込み、やんわりと握って擦ってやる。
「・・あっ、ぁ・・・・っ・・・・っ・・・」
と、甘い快感に素直な喘ぎが零れ、
若い身体が前への愛撫に真っ直ぐ意識を向けている隙をついて、素早く指を奥まで埋め込んだ。
「ッ――― ・・・・!」
生理的に、指を埋めた内側ともどもルークが身悶える。
が、クスリの効力なのか固いのは入口だけで、内部はすでに熱く柔らかく、内側から僅かにじわりと滲みだした体液でジェイドの指が心地悦い。
「っは・・・、っ・・・・ん、・・・・」
いつもなら、指が入ってしばらくの間は痛みや圧迫感がどうしても消えず、
どちらかといえば苦しい感覚の方が強いのに今は違う。
指が触れている内側が熱く疼いて気持ちいい。
ほぐすため、内壁粘膜をまさぐるジェイドの長い指があちこち彷徨い、それによって内部が一段と彼を受け入れる準備を整えていくにつれ、
中を弄られる快楽と、快楽で勝手に蠢いてもっともっと欲しがる身体。
「! 、っ・・・・」
もう一本指が増やされると、悦んだ身体はルーク自身をふるッと勃ち上がらせた。
気持ちいい。
悦くて悦くて、目の前がぼんやりぼやけてくる。
「ジェイ、ド・・・・」
たぶん無意識、自意識の外でルークはジェイドの名を呼んで、力の入らない両腕でその首にぎゅっとしがみついた。
その間も指は中を静かに掻き回し続けていたのだが、
「こういう時だけは、本当に素直になりますねえ」
含み笑いの、そんな声が聞こえた途端。


「ッ!! ひあ、あ・・・・ッッ!!」


不意に、内側の指が、ルークの一番弱いポイントを乱暴に押した。
強烈な快感は、痛いほどの刺激をルークに与え、腰だけでなく全身がビクンと跳ね上がる。
「ここを弄られるの、好きでしょう」
「、・・・・ッ、や・・・めっ・・・! ヤ、だっ・・・・!」
そうは言ってもねえ、悦んでいるようにしか見えませんが、と面白そうに前立腺を何度も押され、ルーク自身からとくとく蜜が溢れ出た。
「あッ、う、ぁ、ぁ・・・・・ッ・・・! ま、た・・・・っ・・」
直接的な性感に、萎えることを知らないかのよう上を向き粘液を滴らせる蜜塔。
「ぅ、・・・っ、ぅぁ、あ・・・・っ・・・出、ちま・・・・っ・・・・!」
こんなにも連続して絶頂を迎えてしまうなんてことは今まで一度もなく、
ついさっきまではあれだけ達したくて自ら触れるほどだったというのに、今は過ぎる高みの訪れに恐れさえ覚えて。
「出したらいいじゃないですか」
混乱しかけるルークにジェイドは苦笑し、ズッと半分ほどまで一旦指を引き抜いた直後、
間髪入れず指の付け根まで激しく突き埋めた。 無論、前立腺を狙ったのは言うまでもない。
「あ、あぁぁッッ!!」
たまらず互いの身体の間に白蜜を噴き、ルークは達してしまった。
同時にきつく内壁が収縮し、内部の指を締め付ける。
その強さを満足気に味わいつつ、ジェイドは自分の首にしがみ付いたまま、
苦しそうに浅い呼吸を何度も繰り返して余韻を堪えているルークの中を、一層玩び始めた。
く、と指先の角度を変えれば、
「ぅぁ、あ、抜、い・・・・っ・・・・」
切ない懇願をされたが、声とは裏腹に首に回った腕に力が込められる。
ルークからしてみれば縋るのはジェイドしかなくて、
かと言ってどれだけ縋ったところで指が抜かれるわけもなく、逆に逃げる腰を引き寄せられた。
「ッ! う、っあ、ああ・・・・っ!」
ジェイドが奥を擦り、中を探るたびに達したままのルーク自身から、とぷとぷと少量の白蜜が流れ落ちる。
それが先刻の残滓なのか、それともまた絶頂を感じてしまっているのかは定かではなかったが、
「また・・・・? 仕方のない子ですねえ」
あえて作った意地悪口調と共に、しどけない中心部のルーク自身を回した掌中で音を立てて扱いてやると、逃げようとして下肢が後ずさった。
と、逃げても無駄ですよ、と言外に再び前立腺をぐいぐいと押し上げられ、
「い・・・・ッ・・・!」
下肢から脳までを一気に貫く痛いほどの快感にルークは喉を仰け反らせる。
反動で、ジェイドの指を締め付ける内壁の強さも強烈なほど。
その弾力感と絶妙なやわらかさを持つ内側を十二分に擦り上げ、時折軽く突付き続けると、
「・・・っふ、・・・・んぅ、・・・く・・・・っ・・・」
ルークはゆるゆると首を小さく横に振り、啜り泣きのような声を噛みしめた口唇から零れさせた。
おそらく本人は全く気付いていない事象なのだが、それはルークが絶頂寸前にいることを表わす、ジェイドしか知らないお決まりの行動で。
「んッ、ん・・・・・ッッ・・・・!」
どうやらまたしても切羽詰まっているようだ。
連続した刺激を次から次へと与えているとはいえ、ジェイドの意図よりも、あまりに訪れる絶頂と絶頂との間が短い。
媚薬の力を借り、快楽の波に飲み込まれてしまったのか。 それともルークの資質なのか。 ・・・・まあどちらでも。
それならば意図したそれ以上に敏感なカラダを愉しめばいい、とほくそえみ、
「少し、我慢しましょうか」
「―――― あ・・・・ッ!!?」
ルーク自身を愛撫していた指先をその根元に定め、きつく絡めて戒めた。
そしてそのまま、内部の指で最奥を激しく擦り上げる。
「ぅあ! あッ、あ、あ、ぁ―――ッ・・・・ッ!!」
あまりの快感と、今にも弾けそうだったのに寸前で堰き止められ、放つことを焦らされてしまって、
たまらずルークは回していた腕を解き、ジェイドの胸元に当てて身を捩じらせ、甘い苦しみを訴える。
「やだ、うぁ、あッ・・・・! ジェイ・・・・っ・・・!」
けれどジェイドが離すわけもない。
決して戒めた指の力は緩めず、内壁を擦る部分だけに強弱をつけ、体勢が変わったことでよく見えるようになった表情を眺めながらルークを焦らした。
「あ! あ・・・・ッ・・ッ、・・・ム、リっ・・・!」
「大丈夫ですよ」
人差し指と中指、揃えた二本の長い指先で遠慮なくポイントを突かれて愛撫され、
もう片方のジェイドの手の内でルーク自身はこの上ないほど充血し、
哀切にぴくぴく戦慄いて先端から許されるばかり、ほんの僅か蜜をじわりと浮き上がらせて脈打った。
「ぅ・・・・っ、う、・・・ヤだ、 ・・・・もっ・・・、ヤ、だ・・・・っ・・・・」
翠色の瞳から、性感ゆえの涙まで零れる。
与えられる快感に全身は悦んで、なのに快感のやり場を堰き止められてしまって苦しくて苦しくて。
とっくにルークは限界を超えてしまっているにも関わらず、ジェイドは時間をかけて更に追い詰めていく。
身体がかくかく震え、痙攣を始めた。
「・・・い・・・・っ、ぁ、あ・・・・っ・・・、達、きた・・・・ッ・・・・!」
赤い前髪の隙間、額を流れる汗。
ぱたぱたと頬を伝うのは零れ落ちた涙で、
口唇の端から顎に緩いカーブを描いて落ちるのは、飲み込む余裕もなく口腔から抑えきれなくなった唾液。
上も下も濡れ落ち、自分ではどうすることも出来ない責苦の中、前触れもなく一際強く前立腺を爪で抉られ、
「っ・・・ひ、ぃ・・・ッ!!」
掠れて短い叫声をあげ、続けてルークはかくんと身体から力を抜いてそのまま崩れ落ちてしまう。
無論、自身は戒められたまま。 そしてジェイドの指も埋められたままで。
「・・・・ルーク?」
さすがに訝しく思ったジェイドが愛撫の手を止め、その顔を覗き込めば、荒い息ながらも目蓋は伏せられ、どうやら意識がないようだ。
「・・・・。 飛んでしまいましたか」
呟きながら、改めて意識のないルークの表情を見遣る。
涙の溜まった目尻と、意識がないながらも苦しげな息遣いを繰り返す口許。
少々きつすぎたか。
軽く息をつき、ジェイドは指の力を僅かに緩めながらそっと口唇をルークの口許に寄せた。
口唇を軽く吸い、啄ばむキスを何度か送っていくうち、
「ん・・・・」
小さい身じろぎと同時、意識を取り戻したルークがうっすら瞳を開け、
それからまた思い出したかのように腰をビクッと震わせる。
「いいですよ、もう出しても」
吐息混じりのキスを交わしつつ、戒めていた指を解いてやり、膨れ上がったルーク自身を宥めるように幾度も撫でてやると、
「っああ・・・・ッ! ―――あ、ぁッ!」
無理矢理身体の中に溜め込まれていた熱が一挙に放出されようとする瞬間、
ルークは大きく背中を仰け反らせ、内壁はジェイドの指を痛いほどきつく締め上げて直後、先端は白蜜を噴き上げ達した。




「・・・・意識はありますか?」
「う・・・・」
指が中から引き抜かれると、ぐったりベッドに伏してしまったルーク。
はっ、はっ、と荒い呼吸はなかなか収まらず、肩は浅く上下している。
それでも、僅かに顔を動かしてジェイドを見てきた。
「・・・・・まだ、・・あつい・・・」
「クスリの効果は絶大ですね」
「誰のせいだよ・・・・、っふ・・・っ」
軽口を小さく睨まれてしまったが、それ以上言わせず口を口で塞ぎ、甘やかなキスを送りながら器用にルークの体勢を変えていく。
身体を仰向けにし、もう力の全く入っていない両脚を再び開かせたところで口唇を離し、
「私もそろそろ、きつくなってきましたので」
告げながら、つい先刻まで指が埋められていた最奥の入口に熱い自身の先端を当てる。
「ん・・・・っ・・」
これから入ってくる質量と、熱量とに悦びながらも慄くルークの腰をしっかり固定し、ジェイドはゆっくり腰を進めていった。
嫌というほど指で蕩かされた内部。
「・・・・っあ、」
半分ほど入ったところで、痛みはほぼ感じていないようだが、
指とは違うジェイド自身が押し入ってくる感覚に慣れないルークは切なく眉を寄せ、吐息を絡ませる。
蕩けてはいるものの、狭い粘膜が収縮し締め付けられる力は相当なもので、
「少し・・・・緩めていただきたいのですが」
ルークの身体の好さに改めて感心しながらも、ジェイドは互いの身体の間で佇むルーク自身を、優しくさすった。
「んッ!」
意識を後ろにだけ向けていたルークが、前への愛撫に喉を晒して喘ぐ。
「ふ、あ・・・・!」
ついでに仰け反った喉元を、ぺろりと一舐めしてやれば、素直に後ろから力が抜け、
簡単に奥まで全てを埋め終えることが出来た。
「あ・・・、 ―――う・・・・っ」
奥の奥まで穿たれ、ジェイド自身が貫いてくる感覚が生み出す頭の芯まで響くズンと重い快楽に、ルークは身を震わせる。
小さく痙攣する身体が、苦しさを訴えるものではないと理解したジェイドは、一旦その震えが落ち着くまで待ってやり、
むしろその間ずっとヒクヒク蠢き続けて自分を包み込むルークの内側を静かに愉しんだ。
そうして、ルークの身体がそろそろ馴染んだ頃合を見計らい、試すように動けば、入口までもがきゅうっと反応を見せ、
中のジェイド自身を程好く心地好く締め付けて。
「っん、ぁっ・・・・!」
奥まで埋め込まれたまま腰を使われ、ルークはたまらない刺激に首を振って耐える。
「動きますよ」
そう言われ、途中までジェイド自身が引き抜かれて行き、自然と身体から力を抜いた途端、
グイッと激しく抉る勢いで再び腰を打ち付けられ、奥を突き上げられた。
「う、あぁッ!!」
頭の中が真っ白になるような衝撃が消え去らないうち、ジェイドに本格的に動き出される。
「あ、あッ、あ、ふあ・・・・ッ・・・・っっ・・・」
奥を連続して突き上げられるたび、喉の奥から嬌声があがる。
でも抑えることなんて、我慢することなんて到底出来るはずもなく、快感に翻弄されるがまましかない。
「・・・ん、う・・・・、っ、・・・・ぁ・・・・!」
激しい動きを止めたジェイドが、今度はゆっくりと、丁寧に自らを引き抜いていく感覚。 焦らされるのとは少し違うが、背筋を伝うゾクッとした感はよく似ていて。
浅いところまで抜いたジェイドが、切っ先の角度を変えて掻き回し始めた。
あれだけ指で転がした前立腺を、今度は自らで刺激してやりたくて、意識して探す。
「・・・・っ・・・、」
ジェイドのその動きに、僅かにルークは表情を強張らせた。 予想される過ぎる快楽に怯えてしまっているらしい。
ああ本当にお子様ですね、とジェイドは小さく笑みを浮かべ、
「大丈夫ですよ、もう虐めませんから」
安心させてから、定めた一点を強く突き上げた。
「あ! あぁッッ・・・・!!」
突き上げたところを、容赦なくグイグイ擦って押し上げていく。
衝撃でビクンと後ろに後ずさった腰を固定し、濡れるルーク自身も同時に扱いてやれば、
「・・・っう、う・・・・っあ、ぁ・・・・っ・・・」
身体と同様、内壁も痙攣を起こし震えて、ジェイド自身を激しく飲み込み包み込みながらルークは追い詰められる。
どこかに快楽を逃そうと、大きくかぶりを振ってもそんな仕種はジェイドを楽しませるだけで。
「、ぁ・・・・、あっ、あ―――ッ・・・・!」
一層、弱いところを意地悪くぐりぐり押される破目に陥ってしまった。
連動してジェイドを締め付けている下肢にも痛いほどの力が加えられる。
呼吸が荒く、忙しなくなってきているのはジェイドも同じで、
「は・・・・っ、」
洩れる吐息を噛み殺し、最奥目掛けて音がするほど激しく腰を突き入れれば。
「ッ・・・・!! ひッ、ぁ・・・・ッッ・・・・!!」
喉を鳴らしてルークは絶頂を迎え、懲りもせず白蜜を弾けさせた。
一拍だけ間を置いてジェイドもルークの中に白濁を注ぎ込む。
「・・・・っう、ぅ・・ぁっ・・、ぁ、・・・っく・・・」
自分の中がジェイドの熱液で満たされ、その熱さにルークがまた絶頂感に似た錯覚を感じて身体を戦慄かせ続けている間、
ジェイドは身動きせず、ルークがそれなりに呼吸を整えるのを待っていた。
「っ・・・・は・・・」
そうしてやっと、全身の震えと快感の余韻が治まり始めたルークが、安堵の甘い息をついたと思ったら。


貫かれたまま、腕の力だけで 『グイ、ぐるり、どさり。』 。


膝をベッドに付かされ、腰を抱えられ、一瞬にして後ろから貫かれる体勢に変えられてしまう。
「・・・・え・・」
呆けた頭ではこの取らされた体勢の意味がわからず、呆然としていると。
「んぁ・・・・っ・・・!」
後ろから回ってきた手のひらで、ふるッと震えた双珠を握られた。
「えっ・・・ちょっ・・・・、ジェ・・・・っ・・」
柔らかな部分を慈しむように揉み上げられて、慌てる。
しかし未だ繋がっている上、そんなところを手の中で愛撫されていては元々大して動けやしない。
あたふたもがいていると、
「先程は泣かせてしまいましたからね。 お詫びにと思いまして」
後ろからにっこり笑いかけてくるジェイド。
「い、いいよ・・・ッ! そんなん、いいって・・・・!!」
「いえいえ、遠慮せず」
「ふぁ、ぁっ・・・・!」
片方の珠を人差し指と親指とで摘ままれ、くりくり玩ばれてたまらず声が上がる。
それだけじゃない。 ジェイドを受け入れているところが再び熱を持って、蠢き出してしまったのが自分でもわかる。
内のジェイド自身も硬くいきり立っていて、
一度感じ取ってしまうと余計に意識してしまい、また下半身できゅうっと締め付けることになってしまった。
「・・・・悦いですよ、とても」
刺激を受けるジェイドも、自ら放ったものの滑りと、
内壁粘膜との柔らかさを借りて中でぐちっと濡れた音をさせつつ肉棒を使いながら、深い快楽の吐息を零した。
「貴方も充分、愉しみなさい」
「ぁ・・・・ッ・・・!」
腰を支え、改めてぐっと奥まで突き入れ直すとルークの背中がしなる。
先程までとは違い、穏やかに緩やかに内側を擦り、優しい律動を重ねていけば、
「・・・・っ・・・ん・・・ッ・・・・」
ルークから上がる上気した甘い声。 感じているのは純粋な快楽のみ。
最初はベッドに付いていた手が、あまりの心地悦さに力が入らなくなってかくりと折れ、枕に顔を埋める形になる。
優しい性感は全身を包んで甘く痺れさせ、全てを蕩けさせていく。
「・・・っふ、ぅ・・・っあ、あ・・・・っ・・・」
気持ちいい。 声が止まらない。
あまりの気持ちよさに、視界までぼやけてきた。 それとも涙だろうか。 ちっとも泣きたいわけでもないのに。
狭く、熱くもやわやわと絶妙に収縮して欲しがる内部。
ルークの快楽は、律動を続けるジェイドにも同等の悦楽を返す。
搾り取る動きにドクン、と脈打ったジェイド自身が自然に質量を増し、弱いところを掠めるとルークはかたかた腰を上下に戦慄かせた。
焦らず、ジェイドはたっぷりと時間をかけて中を味わっていく。
「・・・っは、ん、ん・・・・っっ・・・・ぁ・・・ッ・・・」
快楽は蓄積される。
次第にルークの吐息が荒くなってきた。
どれだけ優しい愛撫だろうと、身体の中を巡る性感は巡り巡って一点に収束し、解放を求めざるをえなく。
「ん・・・・っ、も・・・・っ・・・・」
高みを告げる声と、小刻みに震える腕。
今にも漏れるような快感を感じ、ルークは思わず顔を伏せた枕に爪を立てる。
と、同じく限界を感じていたジェイドにズクッ!と奥の奥を穿たれ抉られ、
「あ、ぅ・・・っ、あ、ッ―――・・・・ッ!!」
掠れて細い、吐蜜による悦楽の声を上げ、身体は内側をうねらせてジェイドの絶頂を誘って果てる。
「・・・・く・・・、」
誘惑に乗り、息を詰め再び欲をルークの中に吐き出したジェイド。
吐精を終え、ずるりと自らを引き抜くと、とろりと自らの白蜜が零れて完全に弛緩しきったルークの太股を伝った。
























媚薬の効果はとっくに消えていたようだが、頭も脚も腰もふらふらのヨロヨロで、
浅いまどろみから目が覚めても、ルークは上手く立つことさえ出来なかった。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ・・・・・・」
おまけにあれだけ乱れてしまった直後では、すぐ横にいるジェイドの顔もマトモに見られず、ぼふっと顔面からうつ伏せた枕上、
後から来まくっている行為に対する今更ながらの恥ずかしさに火照った思考を静めようとするのだけれど。
「気絶したのは確か・・・・初めてでしたか」
あっけらかんと事実を揶揄され、
「ッ!! 気絶じゃねーっつのッ!」
瞬間沸騰。 頭に血が昇る。
反射的に顔を上げ、息せき切ってぶんぶん首を横に振って否定しまくるが、
「それなら言い換えますよ。 あの場合どちらかと言えば 『失神』 と表現した方が正確ですね」
「〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
必死で現実に戻ろうと我を取り戻そうと通常に返ろうと必死なルークの努力を、
やたらすっきりした軽やかで晴れやかな表情を浮かべた、当のジェイドがあっさり根こそぎ無駄にする。
でもだめだ。 口論で勝てるわけがない。 最初から同じ土俵にさえ立ててさえいない。
第一、ジェイド相手に口論で対等なレベルでいられる人物など存在するのだろうか。
「・・・・・・・しんどくするなっつったのに・・・・」
ぼやく。
「おや、気持ち良くなかったですか?」
ジェイドはあからさまに作り笑顔で興味津々、というカオだ。
「・・・・・・・・・っ・・」
口籠もる。
そりゃ、よかった。
悦かった。
凄くすごくよくて、悦過ぎるから逆に大変なのであって。
だから今も早く浴室でシャワーでも浴びて色々始末して身支度を整えたいのに、
腰も何も立たず、現状の元凶で諸悪の根源である性悪三十路の隣でくったり伏せっていなければならない状態だというのに。
「・・・・・・う・・・・・・・・・・」
返答に窮しまくるルークにジェイドは、「なかなか慣れてくれませんねえ」 と苦笑混じりで自分にだけ聞こえる程度の声で呟き、
それから今度はきちんとルークに向けて一言。
「じゃ、次回はもう少し快楽に慣れてもらう仕様のSexにしましょうか」
言って、これまたわざとらしく微笑む。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
唖然とするルーク、そして。




「ああ、器具とか機械等は使用しないつもりですから。 ・・・・そんなものがあると、下手をしたら拷問になってしまいそうなので」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」




器具? どんな? 機械? どういう?     拷・・・・問???
「?・・・・・・・・?・・・・・・・・???」
赤ピヨ頭の周囲に、クエスチョンマークが浮かんでは消える。
哀しいかな、ルークにはジェイドの言わんとしようとしていることがちっとも分からない。  ・・・・正直、むしろ出来るだけわかりたくない感じで。
というか快楽に慣れるなんてことが出来るんだろうか。
それにもし慣れることが出来たとしても、ジェイドに慣れるなんてことが。
今だってあんまり落ち着かないのに。 いつからかどこからか、スキスギテ。




「ま、それは次回のお楽しみです」




「・・・・・・・・・・・・・・・・。 どんなんだよ・・・・・・・」




もったいぶられ、さっぱり見当も何もつかないまま、ルークはやっぱり情事の後のこんな一時にもちっとも慣れなくて、
そのまま考えることを放棄、ばふっと再び枕に顔を落として赤くなりかけた表情を隠した。













・・・・・・・・テイクアンドテイクも、本当はそれほどイヤじゃなかったりなんかする。
















思いっくそ途中でぶん投げた感(・・・・)ありまくりでスミマセン・・・・。
ついでに前編とあんまり繋がってなくてもっとスミマセン。 ジェイルクはやりやすいけど書きづらいと書き始めて初めて気付きました。 脱兎。