(※ ED後、ルークもアッシュも揃って戻ってきてハッピー! という前提の、ご都合主義ご都合捏造展開状態でお読みいただけたなら幸いです)






















モンダイハツゲン





時刻は零時の一歩手前である。
そんな夜更けに突如、ピオニー直々に呼び付けられたジェイドが、
「はいはい何ですか何事ですか何用ですかこんな時間に」 と敬いの欠片もなく王室内、彼の私室を尋ね足を踏み入れた途端、
待ち構えていたらしき当人に、「これ何とかしてくれ」 と突如左手親指を差し出され・・・否、ずいっと押し付けられた。


「・・・・はい?」
流石のジェイドと言えどもさっぱり状況・現況が分からず、
語尾上がりの疑問符を返してしまいながら目の前に立つ畏れ多くも皇帝陛下の顔と押し付けられた親指とを見比べると。
「今朝、気付いたら出来てた。 痛えし気付きゃいじっちまってその都度気になって仕方ねーんだ。 何とかしてくれ」
「はい・・・・?」
よくよく飲み込めないまま、よくよくその指を見てみれば親指、爪の付け根いわゆる薄甘皮部分に出来ている、
そこそこ大きな 『ささくれ』、またの名を 『さかむけ』。 皮膚の薄皮が長く剥け、根元は深く紅い。
数秒見遣ったあと、ああ確かに少しだけ痛そうですねとジェイドは思いながら、
まさかこのためだけに自分を呼んだのかこの人は、と思い当たった途端に湧き上がるタメイキ。
「・・・・・・こういうのは、気付いた時点で取り去るのが一番なんですよ」
主君を前にして、深い深いタメイキを隠そうともしないジェイドもジェイドだが、
「俺は乾いてポロッと落ちるのを待つ派なんだ。 でも今回のは深くなるばっかでちっとも落ちなくてな。 おまけに痛てーし」
それを全く気にもせずさらりと流すピオニーもピオニーだと思う。
まあどちらにしろどっちもどっち(・・・・) であるがため、今更特に問題でも何でもなく。
だから遠慮なし、皇帝の手を取った。
「ああわかりました何とかしましょう。 いいですか、このまま動かさないで下さいね」
「ん?」


ささくれた薄皮部分を指先で抓まみ込み、


―――――――― ピッ。


「〜〜〜〜〜〜 痛てッッ!!」


剥けている方向とは逆に、毟るかたちで引っ張り取った。


「痛ってえって!! あああ余計血が滲んでるじゃねーか・・・・!」
途端、ピオニーはわあわあ喚き出す。
そりゃ少しは滲むでしょうね、無理矢理取ったんですからねと留意もせず、取ったささくれをすたすた歩いて部屋の隅の屑入れに放り込み、
それからジェイドはすぐ脇にあった椅子を引き寄せ腰を下ろしてから、眼前に立つ主君に向け、二度目のタメイキをついた。
「・・・・大のオトナがこの程度で喚かないで下さい。 40近くにもなって何言ってるんですか」
容赦のない科白に、ぐ、とピオニーが息を詰める。
「――― まだ38だ。 ・・・ちきしょー。 これでも俺、王様だぜ? 王様に流血させといて説教する奴って有りか? アリかよ?」
「それを言うなら、ささくれ一つで部下とはいえ軍人を呼び付ける国王陛下というのもアリなのでしょうかね?
何のための世話係としてメイドが居るんです? これでも、今日の午後から久々の休暇だったんですが私は」
あえてわざわざ作った嫌味たっぷりの言い回しを、あえてピオニーも聞こえないフリをしたらしい。
「・・・・・・・・いてぇ」
座るジェイドを斜め上から、じいっと恨めしげに見てきた。
「バンドエイドでも巻いたらどうです? そうすれば朝にはもう治ってますよ」
何なら誰かに持って来させますが、と告げてみる。 と。
「お前が治せ」
またもずいっと押し付けられて来る親指。
その患部(というには大袈裟すぎるような気もするが) には、時間の経過と共に確かにじわりと血が滲んでいて。
「困りましたね・・・・治せと言われても、私は回復譜術は使えませんが」
そんなこと、わざわざ告げずとも言わずともとっくの昔から二人してわかって言っているのはお互い様だ。
なのに彼はごねる。
言葉で科白で形だけでごねるだけならまだしも、
「責任取れよな。 ヒリヒリして、すげー痛てー」
根本的本質的なところまで丸投げで、ごねて来るから。
そしてこの場合、 『ごねる=甘える』 という図式も成り立ってしまうわけであって、
「まったく・・・・」
ぼやきを口にしながらのジェイドから零れ落ちたのは、今度は三度目のタメイキでなく苦笑い。


「御意のまま」


恭しく手を取って、音もなく唇を寄せ、指と傷口に口付ける。
口付けたあと、僅かに舌先でなぞってみたけれど血の味はほとんどしなかった。
ただ指の熱だけ、感じる。


「・・・・ジェイド」
「何でしょう」
丁寧に舌を這わせていたら、頭上から名前を呼ばれた。
まだ指に吸い付いたまま、そっと見上げるとピオニーは何を言うかと思えば。
「お前、エロい」
「貴方に言われたくないです。 五十歩百歩でしょうに」
誘うのも、誘われるのもどちらも同じことだ。 結局二人の思考も身体も最終的に欲しがるものも向かう先は何処まで行っても同じで、
互いにわかりきっている前提で、戯れの応酬。 どちらかといえば自分よりピオニーの方がこういうクダラナイ雑談を好んでいる。
「じゃあ、俺が五十歩の方だ」
「子供ですか貴方は」
腰掛けている自分に合わせ、音もなく屈む主君。 そんな図は端から目撃されてしまえばとんでもない僭越行為極まりなく。
「2人併せて80手前だもんな」
だが誰よりきっと自分よりピオニー当人が気にしていない。 というよりむしろあえてやっている感で、
「・・・・シャレになりませんね」
絡む腕。
「なんねーよな」
繰り返すキス。
「三十の半ばもとっくに越えた2人が何してるんですかね、一体」
触れる口唇。
「見た目はともかく。  ・・・・って自分で言うかっつーツッコミも一応入れとく」
「いいんじゃないですか? 実際事実ですし」
外見に付随する実年齢なんて気の持ちようでいくらでも緩く出来ますよ貴方みたいにね、と小さく笑ってやると、
じゃあそういうことにしとくか、と笑われ返された。 そういうところが彼らしい。
ふっと息をついて、ジェイドはとことん近い位置まで寄せていた顔を引いた。
それから、頭の中で一応毎回毎回記憶に留めている皇帝の今週の公務・国務・執務を軽く数え上げ思い出し、
とりあえず自分が記憶している範囲内では明日、
余程のアクシデントを含んだ火急至急の用事が飛び込んで来ない限り特に予定が入っていないことを確認した上で。
「一応、形式としてお聞きします。 明日のご予定は?」
「ねーよ」
即座にあっさりきっぱりの返事に、自然目許を細くして笑みを浮かべてしまう。
こんなカオを相手に見せてしまうあたり、私もまだまだですねと自戒を込めつつ。
「それなら問題無いでしょう。 存分に、ご奉仕させていただきますよ」
「お、その気ありまくり?」
「当然です。 何日ぶりでしたっけ?」
「さあな。 覚えてねーけど確か先月の真ん中くらいじゃなかったか?」
「正確には四十一日ぶりです」
「おま・・・・、いちいち覚えてんのかよ・・・・。  、うわヤベ、手加減しろ、 ・・・・な?」
表情から察したのか、ピオニーが今更詮無くたたみ掛けてくるけれど。
「だから先に予定の有無をお聞きしたんですよ。 万一公務含め国務があったりして、そんな大事なお仕事に腰痛で出られたのでは困りますし」
でも予定は無いとはっきり返答いただきましたしね、とこちらもたたみ掛ければ、
彼は小さく息をつき、やはり笑って。
「ま、もし何かあっても腰が痛てー腹が下ったっつって欠席するから構わねーけど」
「なんて発言ですか、皇帝陛下ともある方が」
呆れて諌める言葉を発しながら、ジェイドの口調は面白がってしまう。
対したピオニーも、心持ち口角を上げ、どこか面白がって続きを。
「別に本当のことだろ。 俺がいようがいなかろうが世界は痛くも痒くも何ともねーし、グランコクマも大して変わりはないさ」
「・・・・・・これまた、重大な問題発言ですねえ」
ここまで来るとさすがに面白がるだけでもいられず、溜め息の代わり、無意識に眼鏡を直す仕種をしようとしたら。


ぐいっと髪を捕まれ、


「―――― いっそ、一緒にどっか消えちまうか、ジェイド」


「、」


まさか本心であるはずもないけれど、
あながち冗談でも乱心でもない、それこそ洒落にもならない一言を。


「・・・・そうですね、」


「ん?」


「問題発言ですが、賛成です」


一瞬だけ間を置いたあと、同程度に冗談でもない返答で彼の蒼い瞳をじっと見遣ると、
先にくしゃっと顔を綻ばせ、吹き出しながら戯言のやり取りに戻したのはいつもの通り、ピオニーだった。
「おいおい、オフレコでよかったな」
「その言葉、そっくりそのまま返しますよ」
どこまでも内心本心は互いにしか知り得ない軽口調を持って、今度は深く、長いキスをした。

























寝台に縺れ転がり、競って互いの衣服を乱し合う。
当然にして当たり前に一国の主のベッドは大の男2人が乗ったところで縦にも横にも余裕のあるキングサイズで、こんな時とても便利だった。
ベッドサイドに置かれた暖かな発色のナイトランプだけが放つ灯りの下、
次第に露わになってくる素肌と、同時に逸る心情。
普段なら、首筋から鎖骨にかけての愛撫も送るはずのジェイドだったが、今夜は素早く彼の胸元に唇を寄せた。
いつものよう、焦らして遠回りをさせる余裕が今回は無い。
寄せた唇の隙間から、直ぐに伸ばした舌先で胸の突起を軽く吸うと、上半身がビクッと跳ね上がった。
「、ッ・・・・」
ここまで付き合いが長いと、とことん互いを知り尽くしてしまっているがゆえ、
ピオニーもジェイドも今更あがる声と欲情を隠すようなことはない。
揃ってこんな行為に耽ることも決して決して嫌いではないし、
むしろ好きだからこそ、誘い誘われるわけで。
だから最中でありながら序盤の会話は、どことなく色気のないものになる。
「そういえば、先日の書類には誤字が一つ、脱字が二つほど有りましたね。 こっそり直しておきましたが」
「・・・んなの気にすんなよ・・・・」
「気になるのが性分です」
少々強めにきゅっと吸い上げると、程好く日焼けした肌がざわっと粟立った。
昔から変わらず感度良好ですね、とジェイドは小さく笑う。
口付けた突起、片側を舌先で、もう片側を滑らせた指先で愛撫を送りながら、残った手を下肢へ持って行くと、
性急な進行が気になったらしいピオニーが、
「おい」
制止というわけではないのだろうが、軽く首を傾げてきた。
自分でも思う。 今の自分は確かに先を急いでしまっているようだ。
「すみません、何しろ四十一日ぶりなもので」
予測以上に自制が効かなかったらすみません先に謝っておきますと先手を告げ、
「な・・・・」
言葉を探すピオニーの承諾も得ず、そのまま彼の膝に手をかけ、両脚を大きく広げた。
「お前なあ・・・・」
そんな体勢を取らせられながら、呆れたように軽く息をつくピオニーの中心部に視線を落とせば、そこは胸への愛撫ですでに熱を持っていて。
「おや、貴方もかなり・・・・ですね」
「四十一日ぶり、だからな」
「ホント、五十歩百歩ですねえ」
「何度も言うが俺が五十歩だ」
「はいはい」
くだらないやり取りを交わしながらも、少しずつ更なる熱を内包しつつある自分と彼との身体を察して、
ジェイドは開かせた膝に小さなキスを落としたあと、すっと下肢に顔を埋めた。
「ぅ、・・・・っ・・・」
反応は見せていたが、まだ柔らかさも残っているそれをまず口腔内へ招き入れる。
そして全体を先端や裏側などを舌で辿りながら口腔の粘膜で扱くと、腰が大きく震えた。
「・・・・ッ・・・!」
直接施される強い快感に、ピオニーの下半身が上下に揺らめくけれど身体を引かせることは許さず、揺れる腰をしっかり抑えて固定する。
そうして、括れ部分を丹念に刺激した。
「ン・・・・っ!」
抑え気味だが、ピオニーは背筋を仰け反らせ喘ぐ。
一方でジェイドは自分の口中、確実に熱と質量とを増していく彼自身の感触を舌と口唇とで感じて愉しんだ。
それから、程ほどに膨れを見せたところで一度、自分の深い深呼吸も兼ねて口を離し解放すると、
すでに勃ち上がりぴくぴく震えるそこは充血し、先端には透明なものも浮かんでいて。
「つ、ぁ・・・・・ッ!」
そっと伸ばした指先で、裏筋をなぞり上げ括れを優しく揉んでやると艶声があがった。
続いて音もなくとろっと滴り落ちる透明の先走りの蜜。
それはジェイドが指先を使うたびに零れ落ち、しとどに中心部と手とを濡らしていく。
「悦さそうですね」
「・・・・ん、イイ・・・・」
顔を寄せ、至近距離から囁いてみれば、蕩けたカオと声で素直な返事が戻ってきて、
なんだかここ最近あまり素直でない輩(某ルークとか某ガイとか某アッシュとか他etc.) の面倒ばかり見ていたせいもあってか、少しだけ驚いた。
「・・・・どうした?」
そんなジェイドの驚きを敏感に察知したらしく、訝しげに問われる。
「いえ・・・・。 随分と正直だなと思っただけです」
「当たり前だろうが。 今更お前相手に恥じらったりしてみろ、それこそキモチワルイだろう」
「・・・・それもそうですね」
しかしそれでも同時に浅く荒く変化していく呼吸と吐息、触れ合う肌に、動悸も欲も高まっていくのはいつまで経っても否めない。
(ここまで来て、マンネリに陥らずいられるのが不思議なところですね・・・)
が、あまり深く突き詰め考えても仕方がなし、
気を取り直してジェイドは再び顔を落とし、今度は先端部のみを口唇で挟んで強めに吸った。
「ん、ッ・・・・ッ!」
途端に喉でかき消えそうな、掠れた声があがる。
それから、過敏なところへの強い刺激に自然と強張った身体を宥めるよう、ゆっくりと全体を丁寧に舐め上げた。
面と向かって公言はしていないが、ここへ口での愛撫を送る行為がジェイドはそこはかとなく好きだ。
そして直接聞いたこともないけれど、ピオニーの方もこうされるのが好きらしく、
されるたびに背中を仰け反らし、甘い声を漏らすその様がとても愛しくて。
だから余計、愛撫を施すことに集中が高まる。
絶えず蜜が零れ出してくる先端を、啄ばむように軽く吸っては舌先で突付くように刺激をすれば、腰が震えた。
「ァ、あ・・・・ッ・・・・、」
羽根枕の上、乾いた音を立てて乱れる金髪。
無意識にジェイドの後頭部に置かれた手は、長い髪を絡ませてはいるが力は入っていない。 これは彼が感じている証拠だ。
続けて口腔内、強く弱く包み込み扱き上げるたび、唾液と零れた体液とで濡れた音が鼓膜を打つ。
更に下部、ふるりと震えた双珠をくいくい揉み上げれば、絡んだ髪を引っ張られた。
「・・・・・う、っ・・・・あ、・・・・ッ・・」
たまらず上がる声と大きく震えだす褐色の膝と、脚。
それでも容赦なく上を向いて昂る自身を上下に擦られ、ピオニーの腰が浮き上がり、身体が汗ばむ。
「達きそうですか?」
「ン・・・・っ・・・・、」
快感に、縦に振られる顎。
がくがく大きく揺れる腰を固定させ、彼を絶頂へ導いてやるためジェイドは激しく舌を使い始める。
と、みるみるうちに上擦っていく浅い呼吸、
「イ、く・・・・ッ・・・!」
限界を伝える声。
同様にひくひく戦慄いて絶頂寸前を訴えるピオニー自身を、愛しげに味わいながら強く長く、ちゅうっと吸った。


「っ、―――― ッッ・・・・!!」


瞬間、弾けて口内に吐き出される白蜜と、
達した直後、脱力して深く深くベッドに沈む身体。
ジェイドは口中の苦い蜜を顔色一つ変えずに嚥下し、達した直後で力を失くしたピオニー自身を労わるよう、優しく口付ける。
が、
絶頂を迎えたばかりのそこは敏感になりすぎていて、優しいキスにも過剰反応を返すほど。
「とりあえず離、せ・・・・っ・・・」
ピオニーは眉を寄せ、吸い付いて離れないジェイドを押し退けようとするのだが、
再びぱくりと全体を咥え込まれ、ゾクリと背筋が戦慄いた。
その蒼い眼に映るのは、信じられないほど紅い眼と、目を疑ってしまうほど綺麗なカオをした幼馴染み。
そしてそいつは、奥まった箇所にも指先を添えてくる。
「・・・・・・っ、」
ゆるりと最奥の入口に触れられ、僅かに身じろぐ身体。
触れながらも素早く上半身を起こしたジェイドに頬にキスをされながら、
前から滴り落ちていた蜜液で濡れたその箇所は抵抗という抵抗も見せず、長い指を飲み込んだ。
「大丈夫、ですか・・・・?」
頬から耳元へ、唇が動いて確認された。
痛くはない。 微かに頷いてみせると、紅い眼が笑った。
ピオニーの肯定に、ジェイドは埋めた指を軽く動かす。 途端に取り込む様相を見せ締め付けてくる内壁の強さに、
たまらず吐息のような、逸る息をついた。 出来ることなら早く挿れたい。
けれどもう少しだけ丁寧な愛撫を送りたくもあって、探らせる指先で突き止めた内部の悦点。
そこをくっと突き上げれば、ビクッと全身を戦慄かせて顕著な反応。
それを愉しみたくて、感触の違う内部の悦点をクイクイ押し上げ愛撫すると、ピオニーは快楽に身を委ねきることに決めたのか、
するりとジェイドの首に腕を回してきた。
「っ・・・・、ん、ンッ・・・・!」
喘ぐ口唇、前立腺を刺激された腰はがくがく砕け、すっかり蕩けてしまった身体。
こちらにも、と先ほど絶頂を迎えた前の器官にも加えて愛撫を送れば、首に回された腕にぎゅっと力が入った。
「もう少し、」
我慢して下さいね、と囁き告げながら頃合をみて指を増やす。
そして二本の指で内側を押し開きながら、もう一本挿れた三本めの指先で強めに前立腺を擦り上げると、
萎えていたピオニー自身も再び硬さを持ちはじめ、再度蜜を貯え始める。
三本の指で掻き回された内部は、濡れて粘つく音を立てながらやわらかく蠢き、熔かされて熱い。
首にかかった腕を器用に外させ、ジェイドは指を引き抜くと同時、身体を沈め、挿入させた舌でゆっくり割り開いていく。
「―――っ、い・・・・ッ、ァ・・・・っ・・・」
指とは全く違う舌の感触に、ピオニーの腰をぞくぞくした快感が走り抜ける。
やわらかく熱い舌が身体の内側を濡らしながら侵入し、たぶんジェイドでなければ絶対に気がつかないようなところの悦点をやんわり舐め上げられた。
「うぁ・・・・!」
ゾクッと重く溜まる射精感が腰を揺らめかせ、快感に身が捩られる。
突き込んだ舌を、ジェイドが中の襞を確かめるかのようにぺろりと舐め混ぜると、嫌でも腰が震えた。
ついさっきまで指が触れていた前立腺を、今度は舌でちろちろ舐め上げられ、
今にも漏れそうな快感に、危うく達してしまいそうだ。
「・・・・っ・・・、ぅ・・・・」
ぐるりとひとしきり内壁粘膜を味わい尽くし、名残惜しげにずるりと出て行く舌。
「・・・・挿れますよ」
と、響いたのは欲情を隠さない、掠れ気味の声。
快感にぼやけた意識の中、とっくに力の入らなくなっていた膝に手をかけられ、抱え上げられた。
「一応、辛かったら言って下さいね」
汗で頬や額に張り付いた髪を払われながら、指と舌とでこの上なく蕩かされた箇所に、熱く猛ったものが宛がわれる。
「ッ・・・」
丁寧だが確実に押し入ってくる質量に、無意識に息がつまった。
腰を進め入り分けるジェイドも、久し振りに感じる内側の熱と柔軟さに吐息を零す。
「もう少し、進めますよ・・・」
「く・・・・!」
言葉通り、ぐい・・・、と腰がまた進め押し込まれた。 その拍子に、ジェイド自身の先端が弱い箇所を掠める。
ぞくッと、腰を通じて全身を快感が貫いていく。


―――― 今にも、また達きそうだ。


「マ・・ジ、かよ・・・・ッ・・・」
まだ軽く挿れられただけだというのに、また自分だけ先に達しそうな波に襲われ、ピオニーは焦りを覚えてしまう。
とろけた内壁粘膜を擦り、貫き通される感覚から紡ぎ出される性感は、自分の意思を全く汲まず中心部に蓄積され、
気付けばあと少しで弾けてしまいそうなほど膨れていて。
「・・・どうかしましたか?」
聡いジェイドが、そんな彼の表情を察知しないはずもない。
肩に落ちる髪をさらりと払ってから上体を屈め、愛しくてたまらない相手の鼻先についと顔を寄せ、様子を覗えば。
「っ・・・・っ・・・!」
身体からは幾筋もの汗が伝い落ち、形の良い眉は心持ち寄せられて、
浅く早く繰り返されている呼吸。 その口から漏れる吐息は悩ましいほど甘く、
「成る程」
即座にジェイドは理解する。
「達って構いませんよ」
笑って告げたか早いか、言葉尻が終わらないうちに軽く腰を使い、埋めたそれを抜き挿ししてみると、
「――ッ!」
読み通り、この程度の動きにもピオニーは過敏な反応を見せた。
じゃあサービスしましょうか、と互いの腹の間でそそり立つそこを手で撫で上げると、
心地悦さそうにビクビク戦慄き、一層欲しがっているようで。
「ァ、あ・・・・、ッは・・・・っ・・!」
連動して肉棒を受け入れている内側にも力が入る。 全体をきゅうっときつく締め付けられ、ジェイドも思わず零れそうになる声を喉で無理矢理抑えた。
「ほら、イっていいです」
そうして、撫で続けていたピオニー自身を強く扱き上げ、強制的に絶頂へと持っていく。
「あ、・・・ッ、ぅあ・・・・ッッ!」
同時に内部も軽く突き上げられ、ビクンと戦慄いて弾ける二度目の欲。
放たれた白濁した蜜はジェイドの手を濡らし、ピオニーの腹部にも飛び散り滴って。
「・・・・っは、ぁ、・・・はっ・・・・っ・・・」
「ッ・・・、大丈夫・・・ですか・・・?」
気遣い訊ねながらジェイドも、絶頂の瞬間に負けじと搾り取ろうと絡み付いてきた粘膜の秘肉に危うく連れて行かれそうになってしまったが、
寸でのところでこらえ、やり流して大きく息をつく。
と、彼は自分と目が合うなり、荒い呼吸のまま、ジェイドを受け入れた状態のまま、
「・・・・お前・・・・もしかしやがると、遅漏・・・・?」
とんでもないことを言ってきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「なんか、 ・・遅くねえ?」
「・・・・結論から先に言えば断じて違います。 ついでに言わせていただければ、大!変!心!外!ですね。 と言うか私が遅いのではなく、貴方が早すぎるのでは?」
「あーもう歳だなジェイド。 お前絶対遅・・・・」
「はい、下らないお喋りはここまでにしましょうか」
ピオニーの科白を遮って、にっこり笑いかける。 自覚のある、不穏な笑み。
にこにこにこと微笑みながらピオニーの肩を有無を言わせず押して背中をシーツに押さえ付け、前触れもなく思い切り強く奥を突き上げた。
「ッ!! い・・・・ッ!!」
痛いほどの快感に、一瞬眼前が霞んだピオニーに構わず、ジェイドは連続して内部を激しく突いていく。
「馬ッ・・・鹿、・・い、きなり・・・・っ・・・・っ」
「すみませんね、寄る年波で、もう我慢がきかないんですよ」
言葉の端が掠れ、そして自らの中で質量を増していく凶暴なジェイドのもの。
達したばかりの下肢を容赦なく穿たれて、
ジェイド自身の括れ部分が前立腺を擦り上げつつ最奥を抉るその動きにたまらないほどの性感と快感をもたらされ、身震いが止まらない。
「っく、ぁ・・・・!」
付き合いの長さやら何やらをなんだかんだ色々差し引いて考えてみても、ジェイドはこういうコトが巧い、と思う。
かつて知ったる仲ならぬ、知り尽くしたカラダ、ではあるものの、仮にも同性であったりしているのに、
毎回毎回こんなにも気持ち悦くて愉しめるのは、施すジェイドの手練が余程長けているからなのだろう。
「・・・・ん、ッ・・・・ッ・・」
突き上げる腰の動きはそのままに、キスで口唇を塞がれる。
濡れた舌が生き物のように滑り込んできて、口内を蹂躙していく。 上顎をしっかり舐め上げられてゾクゾクした。 腰に来る。
「ん、ん・・・・ッッ! ん――っ・・・・ッ!!」
口唇を塞がれたまま、一番弱い箇所を先端でぐいぐい押し上げられた。
たまらず逃げようと退きかけた腰を意地悪くしっかり抑え固定され、
追い討ちをかけるようにしつこくぐりぐり刺激されて、連続して二度も達している肉棒が、またもや硬度を増していく。
下肢も繋がったまま、上も塞がれる長い長い深い口付け。
「っ・・・・はっ、は・・・ぁっ・・・・、・・・っ・・・」
息が苦しくなる寸前で解放されると一緒、痛いほど前立腺を抉られて感じる射精感。
追い上げられるペースが早い。
それは自分だけでなく、ジェイドもいい加減限界近いという証拠で。
「っ、ッ―――あ、ァ・・・! ッ・・・!!」
一旦、ズッ、と途中まで乱暴に引き抜かれたジェイド自身が、激しい腰の打ち付けと共に肉を抉って突き込まれる。
奥の奥に届いた先端、そこからピオニーのものと同じく滴り落ち続ける先走りの蜜に、ぬるぬる擦られる淫らな快感で歯の音まで合わなくなりそうだ。
「・・・・ッ、出しても、・・・・宜しいですか・・・・?」
「〜〜〜っ、!」
耳元で囁かれただけで、身体が跳ね上がった。 なんでこんな声まで全部が全部ヤラシイんだこいつは。
無意識に下半身に力が入り、ずっと締め付け続けているジェイド自身から全てを搾り取ろうというような動きをする。
「・・・・く、・・ッ・・」
絶頂を誘う内壁のうねりに、ジェイドも唇を噛み締め耐え、最後とばかりに柔らかなポイントを断続的に抉り上げた。
「あ、ぅ・・・あッ! ―――― っく・・・・ッ!!」
眩暈を起こしそうな快感の波が寄せて来て、即座に迎える絶頂。 腹の上、勢い良く噴き出る白濁。
同時に痛いほどきつく絡み付かれ、ジェイドも一瞬息を止めてそのままピオニーの体内に精を吐き出す。
そして自らの欲を全て注ぎ終えたあと、また頬でも額でも唇でも、どこでもキスを落としたくなってピオニーの顔を覗き込めば、
「・・・・・・はー・・・」
彼は余韻に僅かだが目許を染め、口から零れるのは満足気な吐息。
と、その瞳が紅い眼を観止めて。


「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」


互いに見つめ合ったまま、三秒間。


「・・・・あの、」
「・・・・あのさ」


なんでしょう? と訊ねたジェイドに対し、
ピオニーは。


「・・・・まだ、入ってんだけど」


そうその通り、未だ体内に埋められたままで抜かれず、ジェイドはピオニーの中で。
抜かねーの? と聞く皇帝に、大佐は真面目くさって。
「当然でしょう。 貴方は3回もイきましたが私はまだ1回なんですよ?」
「・・・・そりゃそうだな」
言われてみりゃそうだよな、と頷くピオニー。
「そうですよ」
物分かりの良い返事に、真面目くさっていた表情を嬉しげなものに変え、
じゃあ2Rも頑張ってくださいね私も頑張りますから。 と蒼い両眼にキスをした。



























そして大概、事後の情後の会話兼戯れ兼アフターケアとフォローは、事前に輪をかけてクダラナイ。
くったりと枕にうつ伏せ、体力の回復をはかるピオニーとは逆に、ジェイドはもう少し余裕があって。
「もう少ししたら、浴室に行きましょうか」
どこから取り出したのか、一人で先にミネラルウォーターなど飲んでいる。
ボトルの三分の一ほど飲んだところで、「俺にも寄越せ」 と伸びてきた腕にそれを奪われた。
奪ったミネラルウォーターをごくごくと流し込みながら、
「お前・・・・出し過ぎ」
恨めしげにじいっと下から見上げてくるピオニー。
「そうですか?」
誘ってきたのはそっちの癖に。
「見りゃわかんだろ、それも全部中ってどういうコトだ、おい」
「貴方の中が悦すぎたんじゃないですか」
しれっと答えてやると、
「あー・・・・。 こんなバンバン中出ししやがって、妊娠したらどうしてくれるんだ一体」
「目出度いじゃないですか。 世継ぎ誕生で」
「世継ぎなあ・・・・・・。  流石に人間はムリだが、ブウサギなら産めるかもしれねえ」
「貴方の股からブウサギが出て来るんですか? それは・・・・流石に映倫というか、ホラーというか」
「それも仮にもお前のDNAの入ったブウサギだぜ。 最終兵器になるんじゃねーの?」
「・・・・・・。 是非とも可愛がってやってください」
「あ、お前もう会話続ける気ねーだろ、 そうやって会話の途中で眼鏡直すフリして流れ中断すんのやめろって」
「おや、さすが陛下。 よくわかりましたね」
「・・・・・・・・・・」
「ブウサギと言えばずっと気になっていたのですがあのペット達はどうしたんです? いつもそこらへんに寝て居たり転がっていたりしていませんでしたっけ」
皇帝陛下手飼いの、子飼い(?) のあの丸い生き物が今日は来たときからずっと見当たらない。
するとジェイドの疑問に彼は簡潔、簡単に。
「ああ、今日だけガイラルディアに預けた。 お前が来るのにここに居たら、ブウサギ達の情操教育に悪いだろ」
「ガイに、ねえ。 まあ適任といいますか、彼しかいないと言いますか」
複数のブウサギを預けるにあたってごくごく真っ当、ごくごく穏当な人選に頷きかけたジェイドの横、
「でもなあ、預けに行った時、あいつやたらと悲愴なカオしてたんだよな。 その横でルークは嬉しそうにブウサギと遊び始めてたんだけど」
「ルークが?」
「なんか今日からガイラルディアんとこに泊まりに来てるらしいぞ。 ナイスタイミングってやつだ」
「・・・・・ところで、預けに行った際、きちんと前以った連絡の有無は・・・・」
「するわけないだろ」
「・・・・・・・・」
あくまでもこれは、ここからはジェイドの予想・予測に過ぎないけれど、
きっとやっとのことで彼はルークを自分のところに呼んで2人きりになることに成功、そして好機が訪れたならすかさず××××、
いつでも××××、 許す限り××××、 と甘い甘いユメと妄想(・・・・) を抱いていた折、
突如皇帝陛下じきじきに押し付けられた数頭のブウサギが襲来したのだろう。
そうなってしまっては、ルークに手を出すどころかブヒブヒプヒプヒの丸い生き物相手の世話でいっぱいいっぱいに違いない。
そしてルークも、ガイよりブウサギに夢中になっているに違いない。
「・・・・・・・・」
そんなガイの心情を思えば、考えるだけで、 ・・・・ああ、なんて哀れな。
「ジェイド? 顔が笑ってんぞ」
「はい? いえいえ、笑ってなんかいませんよ?」
「思いっきり笑ってるだろうが」
抑えたつもりだったが、バレていた。 仕方がない。 想像するだけで面白いのだから。
「そうですか。 いやちょっと、ガイも大変だなあと思っただけですよ」
「そうか?」
「というわけで、明日は・・・・というよりもう今日でしたね。 午後、早速ルークに会いに行きましょうか。 勿論陛下もご一緒に」
「なんだ、随分楽しそうだなお前」
「当然ですよ」
ガイの恋路に横槍で介入してとことんからかって遊んでみることほど、手軽で気軽で楽しめる娯楽は他に無いでしょう?
と笑ってみせると、
「・・・・ま、あいつには気の毒だけどな。 いいぜ、共犯になってやる」
幼馴染みの共犯者。




同じ表情を浮かべて笑ったピオニーに、飽きもせずジェイドは夜明けのキスをした。




















こんなJPで良いのかものっそい不安ですが、自分は書いててものっそ楽しかったです
で、スミマセン多大なる間違いを犯しました・・・・ED後ならジェイドの眼の色て紅くない。 土下座ッ!