[ 薄暗い五伏のはなし ]


(※うっすらとヤってるだけです)






『手が空いてるなら僕んとこ来て』


何の前触れもなく突如そこそこ遅い時間に呼び出され、伏黒が五条の部屋に赴き軽いノックの直後、「いーよ開いてる」 との声に。
「失礼します、」
ドアを開けた途端、中身が詰まった小さな銀色の袋がひとつ、ポイッと飛んできた。
「!」
反射的に受け取ってみれば、
「コーヒー豆?」
それには200gと表記されていた。 銘柄もごく一般的な種類でミディアムロースト、特に何の変哲も無い普通の豆だ。
「これが、何か」
わざわざ呼び出されてこの袋を渡された意味が分からず、手にしたそれと、部屋の奥に立つ五条の顔とを交互に見ると、
「今日、何だかの誰だかから貰った。 だから淹れてよ。 甘いやつ」
そんなふうな説明と共に、「ドア開けっ放し。 入って入って」 と促され、背後のドアを言われるまま伏黒は閉めることは閉めたけれど、引き続きよく分からない。
「は? 俺がこのコーヒーを淹れればいいんですか?」
分からないながら、五条の言葉から辿って訊き返す。 と。
「そうそう。 たまにはインスタントじゃなくちゃんとしたの飲みたいし」
「・・・・・・・・イマイチ理解できないですけど、とりあえずこれを飲みたいと」
「うん。 恵と一緒に」
浅く軽くさらりと言って、五条はテーブルの椅子に腰をおろす。
よく言うよ、と頭の中だけで思っておいて伏黒は台詞を続けた。
「・・・・・・・・。 豆だけじゃ、どうしようもないです」
挽いてもいない、ホールビーンのままで渡されたところでどうしろというんだ、と呆れてみせたところで。
「コーヒーメーカーなら、そこらへんの棚にあったと思う」
部屋の奥、作り付けの戸棚のあたりをひょいと示された。
五条曰く 「けっこうイイヤツ。 開けるの面倒で箱から出してもいないけど」 との事で、
示されたあたりを窺ってみれば、確かに箱のまま、あった。 仕方なし、伏黒は箱を棚から出し、テーブルの上に置きながら。
「どうして自分でやらないんですか」
ほとんど無意識に口から出るのは、何故だかお小言のような台詞で響きで。
対して五条も慣れたもので、いつも通りあははと笑って流す。
「だって面倒じゃん。 セットしたり測ったり挽いたり待ったりするのとか出来ないしやりたくないし」
でも豆もらっちゃったし、急に飲みたくなったから呼んだワケ、と居直られ、伏黒は今更ながら呆れた。
「五条さん、何でもできそうなフリして実際は何にもできないですよね」
出来ないと言うより、やろうとしないという方が正しいのではあるけれど、あえてそう言いきる。
言いながら、コーヒーメーカー本体を取り出し、電源を入れ、洗う部品をシンクで手早く洗ってからセットして豆を挽く。
それを眺めながら五条は否定も肯定もせず、
「ホント、いろいろ器用だよねえオマエ。 恵がいてよかった」
「・・・・・・・・、フィルターと、カップは」
満足げにひとり頷きながらの言葉にはあえて耳を貸さず、必要なものがどこにあるのか知りたくて目線を上げたら。
「恵」
ふっ、と突然すぐ目の前に立たれた。 いつ椅子から移動したのかわからなかった。 気付かなかった。
「なんですか」
見上げるその顔は、初めて会ったときからほとんど変わっていない。
こうやって近くで見上げるたびに自分の身長が伸びるにつれ、その距離は近付いていったけれども追いつくにはまだしばらく遠い。
だから音もなく口唇を重ねられても体勢を崩すこともなく、自然に受け止められた。
昔は五条が、彼が屈んで身体を沈めなければキスはできなかったのに。
いつからか自分が爪先立ちをしなくても、彼が前傾姿勢にならなくても済むようになっていた。
「泊まっていきな」
唇が離れて、至近距離で囁かれるのは誘いの形を取ってはいるがほぼ命令に近い。
「コーヒーは、」
それに直接的には答えず、つい今しがた挽かれたばかりの豆と、まだ口も閉じていない銀色のホールビーンの袋を見ながらぼんやり訊く。
「やっぱいらない。 後で飲むよ。 今はオマエの方がイイかな」
「・・・・・・・・ワガママ過ぎます」
吐き出したのは本音だ。
「ヤダなー、気まぐれって言ってよ」
口調はまったく変わらないが、五条の自分を見る視線と、ほんの少し、わずかに下がった声色に伏黒は厭なものを感じ取る。 自分の態度の何か何処かが気に障ったらしい。
溜息をつきかけ、飲み込む。
この感じは凶兆以外の何物でもない。
「服、自分で脱いで? 僕が脱がせて破っちゃったら困るからさ」
「あの、」
「ああでも、そうしたら僕の服着て帰ればイイか。 今はもうそこまでサイズも変わらないしね」
「いやそれは」
「んー?」
会話を交わす呈で誤魔化されてはいるが、強引に腕を引かれベッドに些か乱暴に組み敷かれ、気付けばシャツのボタンがいくつか飛んで。
「声、出しなよ」
「、」
低く掠れた五条の指示に、伏黒はきつく目を閉じた。
















「・・・・ッ、う、・・・・!」
ぐい、と熱い肉棒でそこを拡げられ、噛み殺していた声が漏れる。 と、
「痛かった?」
今更気付いたような響きの声が、背中から降りかかった。
シーツに両肘と両膝を付き、四つん這いの動物めいた体勢で背後から重なられる。
きつくシーツを掴んで立てた爪に、力がこもった。
「つ・・・・うッ・・・・」
押し入られて抉られる苦しさにはおのずと慣れたとはいえ、それをゼロにすることは何度身体を重ねてもできなかった。
それでも懸命に声を殺そうとする伏黒に、五条はその瞳を細めて。
「少しだけ、我慢しな」
まるで子供をあやすように告げ、両腕で伏黒の腰を掴んで強く自らへ引き寄せた。
「ッッ!!」
勢いで上半身を支えていた肘が折れ、伏黒は上体を崩す。 眼前にあった枕に額を埋めるかたちになり、反った背筋が内側のものに戦慄いた。
限界まで深くに埋められた五条のものが脈打つたび、狭くきつく締め付ける内壁はそれを余さず感じ取ってしまい、否が応にも身体が反応してしまう。
長らく放置されていた伏黒の性器がぶるっと震える。
「・・・・勃ってるから大丈夫」
「ふ・・・・っ・・・」
囁かれながら軽くそれを撫でられ、思わず吐息を漏らしてしまった。
「中はもうけっこう蕩けてるし」
そうじゃなきゃ勃たないよね、と小さく笑った五条が、荒く腰を揺さぶり出した。
「ぐ・・・・ッ・・・・!」
衝撃と痛みに、さすがに苦痛の声が喉をつく。
意識をどこかに散らそうとしても、背後から深く挿入された熱に翻弄され、ただ耐える以外何も許されない。
「恵、」
上体を折って覆いかぶさってきた五条に首筋で名前を呼ばれ、ぞくりとしたものが背筋を伝う。
彼の、僅かにあがって絡む息が耳朶にかかり、
「・・・・っ」
ほぼ反射的に内壁が収縮すると、互いに息がつまった。
「ッ、!・・・・、」
続けざまに動きを止めた五条が、中で熱を吐き出すと一緒、背中から両腕で抱きしめられる。
感じる彼の体温がじわりと温かい。 今さっきまでの荒い扱いとは正反対のそんな扱いに思考が追いつかないまま、
「・・・・ふ・・・・っ・・・」
伏黒は行為の間、ほとんど触れられないままの性器から白い糸を引くよう、精液を漏らす。
音もなく、緩やかに連れて来られた高みにぐらりと眩暈がした。
















「後ろだけでイケるようになったの、いつからだっけ」
うつらうつら微睡んでいた伏黒に、五条が寝そべったまま後ろから声をかけてきた。
あっけらかんとしたその声で目を覚まし、
「・・・・覚えてません」
身体を反転させつつ、正直に言う。
「その都度克明に記録でも残しときゃよかったかな、恵の成長記録」
含み笑いでそう呟く五条に、思いきり枕を投げ付けてやりたくなったが、どうせ避けられるだろうし、だるくて腕もあまり上がらなかったので思い直す。
今は何時だ、と首をもたげて薄暗い中、時計に目をやればちょうど午前1時だった。
これからこの部屋を出て、シャワーを浴びて、自室に戻って、と大体のかかる時間を計算する。
少なくとも4時間半は眠れそうだ。 それだけ眠れれば日中も普段通りに過ごせるだろう。 そんなことを考えつつ、のろのろとベッドから身体を起こした。
「恵?」
「?、」
意外そうに顔を覗き込まれて、何故だかこちらの方が戸惑う。
「どうした?」
「帰りますよ。 自分の部屋で寝ます」
「・・・・・・あのさあ」
伏黒の言葉に、五条はどこか呆れたような、もしくはうんざりしたかのような口調でがしがしと頭をかき、
「ホントに帰るつもり?」
むくりと身体を起こし、伏黒の頬に手を伸ばして触れてきた。
・・・・・・このまま、また強引に貪られるのだろうか。 苦痛の中にある快感をムリヤリ覚え込まされて引きずり出され、消費される。 そうなることを予測し、ふいっと俯くと。
「はァ」
予測とは裏腹に、五条は大きく溜息をつき、頬にあった片手、その指を伏黒の耳の脇から髪の中に差し込んで、二度、三度と髪を梳いてきた。
「何して・・・・るんですか」
「別にィ。 こうしてみたかったからただやってみただけ」
嘯くような台詞と共に、上半身が重なってきた。 すると。
軽く柔らかく口唇が口唇に触れてきて、一度食んだかと思いきやすぐに離れていった。
「・・・・、え?」
何ですか今の、とついまじまじと顔を見返してしまう。 疑問符が思いきりカオに出ていたらしい。
「は? キスしただけだよ」
わかっている。 それはわかってはいるけれど、伏黒が驚いたのはそういう意味ではなくて、
なぜ、
「恵はさあ、キスするとき絶対目を閉じないじゃん。 逸らしはするけど。 なんで?」
「、」
まばたきを一つする前に、重ねて続けられる。
「一緒に寝ても、背中向けて眠るのもオマエの癖だよね。 どうして?」
「・・・・・・・・」
自覚がないわけではなかったが、答えるすべもない。 理由は言葉に出来ないというより、ただ伝えたくないだけで。
黙っていると、
「強情だなあ」
どこか呆れたように五条は笑った。 そうしてまた、先程と同じ触れるだけのキスを繰り返してくる。
伏黒が動かないよう、片手で頬を捉えられてはいたけれど、
「・・・・ン・・・っ」
下口唇を柔らかく噛まれて息が漏れた。 自然と身体を捩る。 と、ぺろりと舌先で口唇を舐められ、捩った身体が震えた。
こんな優しいキスは余りに久しぶりで、いや、もしかしたら初めてかもしれなくて、伏黒は一気に混乱する。
そんなさなか、そろりと性器を指でなぞられた。
「なッ・・・・!」
慌てて半身を起こし、制止する。
「何、を」
「ナニって、さわってるだけだけど。 なんで止める?」
何が何やらわからない。 気が付けば自分は先刻から五条に訊ねられてばかりだ。 冗談じゃない。 こっちが聞きたい。 貴方一体何がしたいんですか俺に何をしたいんですか俺はどうすればいいんですか貴方に対して。
「なんでって・・・・」
言葉に詰まった。 すると。
「反応してるけど」
触れてくる指が絡み付き、器用に裏側を刺激する。
「っ・・・・! やめ・・・・」
「やめたげない」
耳元で低く囁かれ、ビクッと身体が震えた。 五条の声は物凄く優しくて、尚更混乱の度合いが上がる。
なのに指に絡め取られた性器は正直で、もっと弄ってほしいと無意識のうち、腰が揺れた。
それを五条は口唇で伏黒の耳を食みながら、あやすように。
「可愛がりたいんだけどなあ。 昔みたいに」
「――――っ、・・・・?」
意味も思惑も汲み取れず、数秒だけ硬直して、すぐに伏黒は身じろぐ。
「イミ、がわからない・・・・っ、うわッ・・・・!!?」
どさりと仰向けに押し倒され、真上に五条が乗り掛かる。 変わらず性器には指が絡み付いたまま。
「五条、さん・・・・!」
「んー?」
反駁と咎めと狼狽とが混ざりあう伏黒の声に、彼はへらりと笑う。
「そのままでいなよ?」
言って、指の腹でつうっと裏側を根元から先端に向け、なぞってきた。
「ふッ・・・・っ」
優しく触れられた感触と、そんなところを弄られる感覚に眩暈がする。 一方で、腰は性感にぞくぞく戦慄き、吐息が絡む。 発熱でもしているんじゃないかと思うくらい、身体も熱くなっていた。
と、指の動きが変化して全体を包むよう覆われ、強めに擦られた。
「ッ・・・・く、ぅ・・・・!」
何度も上下に擦り上げられ、必死で五条の肩を押し返そうとするけれど、完全に乗り上げられてしまっている上、そんなところを弄られているこんな状態ではするだけ無駄な抵抗だった。
それでも懸命にもがいていると、五条が苦笑する気配がしたかと思いきや。
「う、ァっ・・・・!!」
先端部分にくいっと爪の先が喰い込み、鋭い性感に否が応にも視界が霞んだ。
仮の手は構わず緩急をつけ、今度は揉み込むように刺激を繰り返してきて、
「やめ、・・・・っ・・・、離、し・・・・っ・・・・」
腰はすでに浮いてしまっていて、しかしそれを無理矢理押さえ付けながら乱れる息のもと、そう口にするけれど、いつからか先端から自ら漏らしていた透明なものでぬるぬる擦られ、ほとんど声にならない。
はしたなくとぷとぷ溢れ出すそれと、五条の指先から鼓膜に届く粘ついて濡れた音に煽られ、徐々に情けない吐息しかあげられなくなる。
加えて、硬く張り詰めた筋のところをつうっと淫猥に辿られ、
「・・・・も、う・・・・!」
最後の抵抗にもならないほど、五条の肩に爪を喰い込ませるけれど。
「〜〜〜〜〜〜、ッッ!!」
訪れる高みに、我慢もなにもできないまま熱を吐き出してしまう。
荒く浅く呼吸を繰り返しながら、ぼうっと真上の五条の顔を見上げると、こちらをじっと眺めている視線と出逢った。 ほとんど反射的に、目を逸らしてしまうと。
「、」
また優しいキスが降ってきて、じわりと腰の奥が疼く。
甘く痺れて脱力している身体の奥が、また彼を求め出すのを止められない。 まだ入口に触れられてもいないというのに。
「こっちも」
それを読み取ったのか、五条の含みを持たせた声と共に下部に差し入れられ、長い指が最奥の周囲に触れてきた。
伏黒の精液で濡れたその指先は簡単にそこを割り開き、二本の指が内側を押し開けると、
数時間前に体内で吐き出された五条のものがぐちゅり、としみ出た。
「・・・・まだ柔らかいね、僕のも沢山残ってるし」
「・・・・・・・・、っ」
言われなくても自分が一番わかっていたが、羞恥に唇をきつく噛んだ。
「まとめて大丈夫か?」
五条は伏黒の返事を待たず、人差し指と中指とを揃えてそこに埋める。
「ア・・・・!」
「もう、全部入った」
痛くはなさそうだし、と甘みを含んだ声で囁かれ、それから時間もかけず内側の指は簡単にポイントを探り当て、
「・・・・ッ、う、ァ、ぁ・・・・っ・・・」
軽く押し上げられただけで、快感に全身が戦慄く。
精液の滑りを借りてぬるぬると何度も出し入れされる指の動きに、何も考えられなくなりそうだった。
強い快楽ではなく、緩くじわじわと蓄積されていく性感に翻弄される。
きゅうっ、と内壁が五条の指を締め付け始めた。
「、・・・・恵」
見越して、指が引き抜かれた直後、両膝を下から持ち上げられて、そこに五条のものがあてがわれる。
訪れるであろう挿入の痛みを予測した身体が、僅かに強張った途端。
「ッ・・・・、う・・・・!」
ヒクヒクわななくそこに、ゆっくりと丁寧に五条の性器が押し埋められていく。
「――― っ・・・・」
普段とは違い、酷く優しい動きが逆にじれったい。
と、侵入してくる肉棒がようやく奥まで届くと、何故だか五条はそこで一度動きを止めた。
いつの間にか、両腕で顔を覆ってしまっていた伏黒がその隙間からうっすらと覗くと、視界に彼の色の薄い髪と瞳が見えた。
「え・・・・、」
この体勢。 というか体位。
いつもはほとんど後ろから貫かれていたため、慣れない。 慣れないどころか、情けないことに怖じ気さえ覚える。
こんな恰好では、潤む目尻も、おそらく羞恥に染まっているであろう頬も、性感に翻弄されて喘ぐ口許も、そしてこれから与えられる刺激に反応してしまう身体も、全て彼に見られてしまう。
そんなものとっくのとうに今更だと頭ではわかってはいるものの、実際目の当たりにすると、耐えられるものではなかった。
「ど、うして・・・・!」
主語も何もない問いに、五条はまた小さく笑う。
「恵のカオ、見ながらヤりたいからさ」
「なっ・・・・」
ストレートな物言いに、硬直する。
そんな伏黒の、またも下肢で芯を持ち始めた性器を五条は再び手のひらで包み込んで、上下に扱き始める。
素直にじわりと浮かび上がった先端の透明なものを、親指の腹で掬いとられてグイ、と五条を咥え込んだ内壁が蠢いた。 同時、五条の手のうちのそれがドクンと一回り、大きくなる。
「・・・ふ・・・っ・・・」
息が弾む。 良くも悪くも慣らされた身体は、更なる快感を求めていた。 いつものよう、激しく穿たれて揺さぶられることを期待して、内側が蠢く。
「・・・・動いていい?」
問いかけてくる五条の瞳が、欲望に細められてこちらを見つめてきて、
「・・・・あ・・・・ッ・・・・」
たぶん、伏黒は自分で頷いたのだと思う。
同時に腰を限界まで進められ、
「ン、ッ・・・・、く・・・・、ッ・・・・!」
熱い切っ先が、この上ないほど奥を抉ってきた。
慣れない体位と、奥深く穿たれて逃げ打つ伏黒の腰を、五条は逃さず抑え込み、
「大丈夫だから」
言って、緩く動き出した。
「―――― うぁ、ァ、あぁ・・・・ッ・・・・!!」
ず、ず、と甘く突き上げられ、自分と五条の身体の間で勃ち上がり、張り詰めている性器が持たない。
五条はそれをわかっていて、奥までしっかり埋めたまま、伏黒の腰を断続的に揺さぶる。
その動きが前立腺を何度も刺激し、
「ひッ・・・・!!」
先端が強くポイントを突き上げた途端、絶頂を迎えてしまった。
けれど五条は伏黒が達している間もずっと動きを止めず、精が弾けて互いの腹を汚す中、絶えず前立腺を擦り上げ続けられて。
「っ・・・・、ッッ・・・・!」
過ぎる性感に、ただでさえ意識を飛ばしてしまいそうになっていたところ、
達した直後の性器を指できゅっと扱かれ、最後の最後まで搾り取られた。
「い、ッ・・・・! あ、ァ・・・・ッッ」
「ふ、・・・・ッ・・・!」
追って、内側に五条が吐精する。
その熱さに意識を奪われる間もなく、小さく名前を呼ばれたかと思ったら、深く長く口付けられた。
「・・・・、」
ほとんど無意識に目を閉じたら。
「良いコ良いコ♪」
ほめられた後、やたら満足げに、頭を撫でられた。























「うえッ。 マズッ」
豆を挽くだけ挽いて、あれからずっと放置してあったコーヒーメーカーで五条が何かしているのを、部屋に戻る身支度をしつつぼうっと横目で眺めていたら、そんな声が聞こえた。
どうやら自分で水を入れスイッチを押し作動させ、コーヒーを淹れてみたらしい。
そりゃ挽いたまま放置してウン時間もたったもので淹れたコーヒーなんてマズイに決まってる、と伏黒は頭の中で当然に思う。
数時間前、飛ばされたボタンはベッドの下で見つけて拾った。 明日にでも付け直そうとポケットに入れたら。
「ほい。 マズイけど」
にゅっ、とマグカップが差し出された。 反射的に受け取ってしまう。
「ありがとうございます」
儀礼的にそう口にして、口を付けようとすると。
「ホンット、他人行儀だなあ」
呆れたかのよう、大仰な溜息と共に首を横に振って、五条ががりがりと頭をかく。
「昔はもっと素直でナマイキだったのにさあ?」
「・・・・・・・・・・・・」
伏黒は返す言葉を持たない。 昔は自分がただ子供だった。 それだけだ。 否が応にも人間は育つ。 しかも居る場所が場所だ。 どうしたってヒトは変わる。 たとえそれが自分でなくとも。
黙っていたら、五条は呆れた表情を緩やかに失笑へと変えた。 そして。
「ぶっちゃけるとオマエの弱いトコロに付け込んで、僕ナシじゃ生きていけないようにしちゃおうかなって計画も立ててたんだけど。 恵は僕が思った以上に頭もココロも不感症気味で、なかなか巧くいかないねえ」
カラダは敏感だけどさ、と忍び笑い。 無性に腹が立つ。
それでも無言を貫くと、
「それが拙い処世術って割り切るなら、手段としてカラダと一緒にココロも全部、明け渡してほしいかな。 だって恵には僕しかいないじゃん?」
いちいち含みのある台詞に、ますます腹が立った。 けれどここで彼の口車に乗って、過剰に反応したら負けなのだ。 だから。
「そんなこと、ないです」
真っ直ぐ顔を向け、視線を合わせてそう返事をしたら。
「嘘つきだなあ。 じゃあどうしてオマエはここにいるの」
「、」
息を飲んで何も口にしなくなった伏黒に。
五条はいとしさを持て余しつつ目を細め、
そばにいてあげるよ、と囁いてくる。
伏黒は手にした熱いコーヒーの入ったマグカップで、渾身の力を込めて五条のその横っ面をぶん殴ってやりたくなったけれど、なんとか努力して自制する。
一口、飲んでみたそれは確かに大層、不味かった。






















薄暗いけどラブラブでしょ? って自分では思っているのですが如何なもの・・・・でしょうか・・・・。