[ お誕生日おめでとうございます作文 ]






本日は年に一度のこの日だから。
この一日が過ぎてしまえば、また来年まで365日ずっと待たないとやって来ない、
今日というこんな記念日だから。
しかも目の前には、可愛くて可愛くて仕方のない相手が一人。
だから今回はいつもより少しだけ我を通してみたい。
そんな感じの我儘を、普段より少しだけ素直に寛大に聞き入れて欲しい。
何故なら今日、6月18日は16回目の誕生日。
それゆえ本日の黄瀬は通常より5割増し、我儘そして無茶な要望を黒子に押し付ける。






「いい、スよね?」
「・・・・・・・・」
「さっき、一つだけならオレの言うコト聞いてくれるって確かに言ったっスよね?」
「・・・・・・・・言いました、けど」
「けど?」
「・・・・・・・・」
「返事がないってことはOKって解釈しちまうけど?」





思いきり週半ば、平日真っ只中ではあったけれど、何とか互いに二人きりになれる時間を作れた。
プレゼントも、貰えた。(何を貰ったかは秘密だ)
こうやってさっきまでふたり仲良く、黄瀬宅この部屋で一時間ほど、過ごした。
けれど誕生日の締めくくりにもうひとつ、プレゼントの他にも欲しいものがある。
まあ幸いなことに、すでにとっくに入手済みゲット済みお手付き済み、であるのはあるし、
何を今更といってしまえばまさしくその通りなのではあるけれど。
黒子っちという、黄瀬にとって何よりも一番ホシイモノ。
そして今日というこの日はプラスアルファで、もうひとつ。





『スキです』 と言って欲しいのだ。
何故なら、『好きっスよー』 とか、『好きすぎてマジやばい』 などといつもきちんと言葉にしているのは自分の方ばかりで。
黒子の方からはほとんど、(いや皆無?) 聞いたことがなかったから。
だからたまには、黒子の口からそんな言葉を聞いてみたい。
誕生日くらい、そう告げてくれた口唇にキスをしたい。
そのキスからこれからの全てをスタートさせてみたい。
それが先にひとつ歳を重ねて彼より(表記上) 年上になって初めての、最初の我儘。




「早く、黒子っち」
「〜〜〜〜〜〜〜、」




そんな要求に、思い切り困ったのは、黒子の方だ。
自分だってわかっている。 実際今まで、自分の方からそんな言葉を口にしたことなんて一度もない。(そもそもそんな柄じゃないしキャラでもないし切っ掛けもなかったし)
『スキです』 の代わりに 『・・・・嫌いじゃないです』 と言えばそれで通じたし、
「黒子っちだってオレのコト、愛しまくりっスよね?」 という問いになら、『・・・・たぶん』 などと返答すれば済んでいたから。
だから面と向かってそんなふうにおねだりされてしまうと、物凄く困る。
困るうえ、やたら照れくさい。
おまけに当の黄瀬が、滅茶苦茶期待した眼差しの嬉しそうなカオでじいいいいと見つめてくるものだから、気恥ずかしさまでグッと上がって、
「・・・・・・、」
結果、
心底困り果て、眼前の、髪よりほんの少し茶色がかった琥珀色の目を見上げると。
「一言でイイっスから」
早く早く、と急かされてしまう。
「・・・・・・・・・・、」
一言もなにも、それが言えないからこっちは困っているというのに。
誕生日だからということで、少々甘くなっていてつい、『物理的にできることなら・・・・いいですけど』 なんて言ってしまった自分の迂闊さを今更後悔しても全て後の祭り。
どうせ黄瀬のことだから、イチャイチャ(※直訳:エッチ) したいとか、次のデートの先約・予約・密約とか、往々にしてそちら方面のことかと思っていたのだけれど、どうも読みが違ってしまった。
加えて気づけば、この部屋に黒子が上がり込んだ時点でもう黄瀬はそれ前提、
明日も互いに学校で朝錬コース、であるために残された数時間はヤる気でいっぱいらしく、
先程ぐい、と腕を引かれて移動させられたのはベッドの上。
すでに上掛けをあけてこっちはもう準備OKス、という様相を呈して黒子の言葉を待っている表情は、本当に嬉しそうで。
「・・・・・・・・・・、」
「黒子っち?」
瞳を深く覗き込まれ、名前を呼ばれて促されるけれど。




「・・・・・あの」
「ん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・嫌いじゃないです」
やはりやはり、いつもの定番の台詞しか出てこない。
『スキです』 なんて、絶対言えるわけがない。
素面で面と向かってそんなこと、自分の方から言ってのけられるわけが、あるわけない。
だからここは地味に開き直って、地味ながらも凛として。
「これが限界です」
「ええー?! 何スかそれ!」
「限度です」
「黒子っちーーーー!!」
シャイにも程があるっしょ!!?、とベッドの上、その長身でじたばた騒ぎ出す黄瀬を見据えて黒子は一言。
「これ以上無理強いするつもりなら、ここから下りますけど」
「・・・・・・!!」
開き直って宣言する(しかし帰るとは言わない) 黒子に、黄瀬は言葉を詰まらせる。
「それと、」
「? それと?」
「先に伝えておきます。 今週末、部内の買い出しで火神君と出かける予定が入ってますから」
「ぐ・・・・っ。 そ・・・・それ、今、言ってくるコトっスか・・・・」
「だって伝えておかないと、あとでヤキモチ妬きますよね」
「オ、オレ、誕生日なんスよ!?」
「知ってます」
記念日を盾に取って、黄瀬はせがんでくるけれど、言えないものは言えない。
だから。
「今、ここにいる時点でわかってもらえると思うんですけど」
「〜〜〜〜!」
自分にしては最大級に甘い言葉を口にして、様子見で一秒、二秒。
すると案の定、どこか苦笑い、それでいてどこか満足した表情で、黄瀬は。




「ん。 最初から知ってるしわかってるけど」




あーあそれじゃ甘い台詞は来年の誕生日まで持ち越しっスね、とここまで来たら軽く流し、
聞き入られなかった我儘をすんなり諦めて、
いくら仕方がないこととはいえ、
いくら事前申告があったとはいえ、
いくら相手が火神であるからとはいえ、
(※彼のことは決して自分もキライじゃないしむしろ好感持ってるし当然にしてイイ奴だとはわかっているしそういう心配が無用であると納得してはいるものの、やはり。 やはり)
今週末、離れたところで派手に妬いてしまうであろうジェラシーの軽減対策に励む方向に切り替える。
イチャつける好機は一秒でも逃したくはない。
黒子の方から言ってくれないなら、その分ふたりぶん自分が 『好きっス』 と言えばいいことだし、
学校が違うのは、もうそれはどうしようもないし仕方のないことだから。
「・・・・・・配られたカードで勝負するしかないっスからね」
そう、呟くと。
「なに、言ってるんですか」
意外にも黒子に、真顔で問い返された。
「いや、ひとりごと」
気にしないでいいから、と首を横に振ると、
「・・・・・・・・。 最初から絵札とエースしか配られてないヒトが言う台詞じゃないです」
ぼそりと、でもきっぱり告げられ、
「、」
どう答えていいのか一瞬だけ迷った挙句、たまらなくなって抱きしめた。

















強すぎるんじゃないかというほどしっかり身体を抱きしめながら、黄瀬は黒子を上向かせてベッドの上、押し倒しつつその口唇にキスをする。
触れてわかる、重ねた口唇から直に伝わってくる体温。
「好き、っスよ」
息継ぎの合間に、付き合い始める前から今の今まで、果たしてもう何百回繰り返したかわからない言葉を贈り、黒子の僅かに上下した顎で無言の返答を受け取って、
更に体温を分け合いたくて、口付けを何度も何度も交わしていく。
薄く開かれた唇の隙間から舌を口腔に滑り込ませ、口唇より暖かく濡れた粘膜を余すところなく味わって貪る。
「ん、・・・・っ・・・・」
口腔の隅々をまさぐられ、ぞくりとした感覚に襲われた黒子の舌が逃げようとするけれど、逃がさない。
先回りして待ち構えて、思いきり深く捕らえて甘く強く吸い上げる。
「・・・・・っ、ふ・・・」
何度もそうしているうちにどちらからともなく漏れる、甘い吐息。




次第に霞みのかかってくる思考で、ぼんやりと黒子は思う。
・・・・・こんなふうにキスをしていると、とても気持ちがいいと気付いたのはわりとつい最近のことで。
互いに男だし口唇だってそこまでやわらかくはないのに、フシギだと思っていたのだが。
それはたぶん、黄瀬のキスがそこそこ巧いからだと感付いた。
実際、黄瀬以外の人間とキスを交わしたこともないから、本当のところは他よくわからないのだけれど。
「・・・・・ん、」
そんなことを考えているうちに、深くて長い口付けに溶かされて身体から力が抜けてしまい、
酸欠状態もプラスされて完全に脱力状態になった頃、やっとのことで黄瀬の口唇が離れていく。
「ホントはもう、このままずっと帰したくないス」
せめて今日が休みの前の日なら良かったんだけど、なかなかそう上手くは行かねーか、とひとりごちながら、黄瀬は黒子の耳元に優しい愛撫を送っていく。
「っ・・・・」
指先でつう、と耳の後ろをなぞりあげ、ぴくんと黒子が反応すると、続けて耳たぶに軽く歯を立てて。
「けど黒子っちの誕生日は週末に当たるっスから。 その時はお泊りコース確定ってことで」
「気・・・・が、早すぎるんじゃ・・・・」
耳元で喋られて、熱い吐息を敏感に感じ取ってしまって、反論にも力が入らない。
そんな黒子をいとおしいく眺めつつ、そのまま少しだけ口許を移動させて黄瀬は首筋に顔を埋める。
「あ・・・・!」
その気脈の通る箇所をそろりと一度、悪戯するかのように舐めあげ、
「跡、メチャクチャ付けたいけど」
「・・・・・っ・・・!」
何言ってるんですか絶対ダメです、と黒子当人としては言ってやりたいのに、首筋に吐息がかかりまくるそんな場所で囁かれ、言葉にならない。
「やっぱり拙いっスよね。 部活、出れなくなっちまう」
あ、でもそれも独占欲のカタマリみたいで一回くらいならイイか、などとふざけて言ってのけ、
悪びれもしない黄瀬は、跡を残す代わりに本当に愉しそうに首筋から鎖骨のあたりを丁寧に舌と口唇とで愛撫し、その度に小さく反応する黒子を鑑賞する。
そんな余裕めいた黄瀬に対し、黒子の身体は与えられる刺激に律儀に反応してしまって。
「黒子っちにはそういう感情、ないスか?」
「・・・・っん・・・・ッ!」
続けて手のひらで胸元を優しく撫でられ、ただそれだけのことなのに身体が戦慄く。
「独占欲とか。 ジェラシーとか」
そう訊ねてくる黄瀬の声音は優しいけれど、飾り気の一切ない、本音本心からの質問だとわかっているから。
「っ・・・・ぁ・・・・・っ・・・!」
答えようがない。
答えようも、ない。
すると、ずっと胸を撫で続けていた手のひらが胸元の肉粒に照準を合わせ、指先にまだ薄いそれを捕らえてきた。 そうされてしまうと、我慢もできなくなってくる。
「ぁ、・・・・ッ・・・・」
右側の肉粒だけを指先で何度も何度も擦られ摘まみ上げられて玩ばれ、声を抑えられない。
与えられる指先からの刺激に、いつの間にかぷくりと形を現し始めたそれを、今度は潰してきたかと思えば転がされ、奔放とも言える愛撫に嫌でも疼いてくる下半身。
「っ!!」
そしてその指先での愛撫を止めることなく、左側をふいに寄せてきた舌で舐めあげられてしまい、否が応にも疼いてきていた黒子自身にじわりと伝わる、熱い熱。
「く・・・・」
自らの内から沸き上がるその熱と、胸元に与えられる刺激に翻弄されて、口唇を噛み締める。
けれど黄瀬は、そんな黒子の状態を知っているはずなのに、しつこく胸元を弄り続け、指と口唇と舌とを離さない。
「も・・・・・やめ・・・・っ」
ちゅく、と吸っては離して舐めあげ、舐めてはまた吸いあげる、という終わりのない刺激を与えてくる口唇と、絶えず同じ一定の動きで乳首を転がし続ける指先。
「黄瀬く・・・・ッ・・・」
離してくださいと告げてみるけれど。
「好き、って言ってくれないから、つい意地悪しちまってる真っ最中っス」
ふっ、と顔をあげて、端整な顔立ちで、へらりと笑いかけてくる。
「・・・・・っっ!」
「けど、なんかすげー悦さそうっスね」
「・・・・!」

・・・・・・今週末、火神といる時にあえて 『一緒にいます』 メールを送ってやろうと思った。




それでも、
ぐぐぐ、と大きな瞳で睨まれてしまうと黄瀬も弱い。
「じゃ、もっと悦くなろ」
ふ、と掠めるだけのキスを頬に落とし、胸元に置いていた手のひらを脇腹、そして自然に下腹部まで滑り落とす。
ヒクン、と反応した勃ち上がりかけの黒子自身を包み込み、指を絡ませた。
「んッ・・・・!」
途端に仰け反る、感度の良い黒子の身体。
黄瀬はそのまま指を動かして、また手のひら全体の強弱をつけて、巧みに上下に扱き上げていく。
「っあ・・・・! 、ぁ・・・・っ・・・・」
「・・・・黒子っち」
「ぁ、ぁ・・・・、っ・・・・!」
こうやって中心部を捕らえると、黒子は嫌がるようにいつも首を横に振るのだけれど、それはもう癖のようなもので、本当は全然嫌がっていないことを黄瀬は知っている。
本当に嫌だったら、こんな上気したカオはしない。
それに何よりも、本当にやめてほしかったら、こんなふうに縋りついてなんて、絶対来ない。
なのにヘンなところでいつも意地を張る、そんな黒子が愛しくて愛しくてたまらない。
黒子自身への愛撫を重ねながら、黄瀬はもう一度、先程味わった首筋に口づけて吸い上げた。
「・・・・・ッッ・・・・!!」
両方に与えられる快楽ゆえか、黒子の口をついて出る声は吐息にすり代わって、
言葉の役割を果たさない。
そうしているうち、みるみる先端から溢れ、そして零れ落ちる透明なもの。
その蜜を指先ですくい取られ、全体的に塗り付けられて扱かれて、黄瀬が指を上下させるたびに濡れた音が響き始める。
「・・・・っ・・・、く・・・・、!」
合わせてあがる、同じくらい濡れた、噛み殺そうとしても漏れる甘い声。
「マジ、可愛すぎ」
心の底からそう告げて笑いかけ、その声をもっと甘く、熱いものに変えたくて黄瀬は体勢を変え、
軋んだベッドの上で濡れて膨れ、その時を待ち続ける黒子自身の先端をおもむろに口中に含んだ。




「!! ・・・・あ・・・・っ!」
唐突な濡れた感触と生暖かさに、大きく黒子の細腰が跳ね上がる。
事実、黄瀬とこういう仲になったのはごく最近のことでもあるし、
Sexだっていつもいつも毎回会うたびに出来るわけでもないから、回数的にはまだ全然多くない。
だから慣れるにはどうしたって早すぎるし、当たり前だけれど全く慣れてもいないから、
自らをその口で咥えられてしまうこの行為に対する、沸き上がる羞恥は半端なくて。
いつもの無表情はどこへやら、自分でもわかるくらい頬が熱くなる。
「あ・・・・・」
「、どうしたっスか?」
気づいた黄瀬が、一度口唇を離して困ったようなカオをする。
それから素早く悟ったのか、
「大丈夫だから」
「・・・・・・黄瀬、君」
「酷いコトしないっス」
「・・・・・・知ってます」
頷いたことが、きちんと返事になったのかどうかはわからない。
ただ一度目蓋を閉じると、また温かな感触が黒子自身に触れてきた。




優しすぎるキスを何度か自身に受けたと思ったら、次の瞬間には再び口内に押し包まれて。
「・・・・・んッ・・・・っ・・・、」
先端を軽く咥え上げられ、容赦なく舌先で窪みを探られる。
ただでさえも一番敏感、痛いくらいに快楽を受け取ってしまうその場所。
そこを舌で重点的に攻められたら。
「・・・・ッ!」
声を抑えることも気にすることも出来ないほど感じてしまい、一挙に自身が膨れを増して熱を持つ。
「ぁ・・・・ッ、ぅ・・・・ッ・・・・!!」
間髪入れず黄瀬の指で根元のあたりまで擦られ、自分で自覚させられてしまうほどに先走りの透明な蜜がとろりと大量に先端から溢れた。
「うぁ・・・・・!」
しかしそれも黄瀬に残さず舐め取られ、より一層悶えて震えが止まらない。
「瑞々しいスね」
「・・・・っ・・・・、黄、瀬・・・・く・・・」
「んー?」
「・・・や、め・・・・!」
ぴくぴく切なげに主張する黒子自身の弱い場所ばかり的確に攻め込まれ、追い詰められて限界が近くなる。
そうして、小刻みに震えるのが腰だけでなく、内腿まで断続的にがくがくと動き始めてしまうようになった頃。
感じて追い詰められる黒子にようやく黄瀬は満足したのか、高みを促す勢いで黒子自身を口唇全体で締め付け、舌を使って敏感な裏側から先端を一気に扱きあげた。
「−−−−っぁッッ・・・・・!!」
急に激しさを増した自身への快感に耐え切れず、黒子が思わず止めようと腕を伸ばすけれど、
震え続ける身体と力の入らない指先と、一度止めようとして快楽に滑り落ちた腕はもう上がらなくて。
容赦のない黄瀬の、尖らせた舌先が先端にきつく強くねじ込まれる。
「ひ・・・・ッ・・・・!」
もう、抵抗も我慢もさせてもらえない。
「っっ・・・・・ッ・・・・!」
それがもう、限界だった。
擦れた悲鳴が喉の奥であがり、大きく仰け反って黄瀬の口中に欲を放つ。
「・・・・ん、」
それを、黄瀬は何のこともなげに飲み込んで。




「・・・っ・・・・あ・・・・」
一度目の欲を全て吐き出し終え、完全完璧に全身の力が失われてしまった黒子をそっと見やりつつ、
口許の残滓を手の甲で拭いながら、黄瀬は次へと準備を進めていく。
ココロだけは早く早く、と性急に急かしてくるものの、どうしたって大切に扱いたくて、もう一度キスをした。
「・・・・・・黒子っち」
「・・・・・・・・・はい」
小さくも返事をしてくれたのがやたらと嬉しくて、途端に暴れ出しそうになる下半身をなんとか抑え込み、逸るキモチを無理矢理セーブ。
手際よく黒子の腰を上げさせて体勢を変え自分の方に向け、そのままの姿勢をとらせて目の前に最奥を曝け出す。
空気に触れた黒子のその奥が、微かに震えたのが可愛くて可愛くて、つい指先で周囲をなぞってしまった。
「・・・・っ!」
当然の如く黒子がびくり、と腰を震わせたけれど、知らんフリ。
ぐち、と濡れた指を二本まとめて挿し入れる。
「あ・・・・!!」
最初だからどうしても硬いのは仕方がない。
二本一緒に、最初から受け入れられるようになったことだけでも、なかなかの快挙だと思いながらも、黒子の媚態に煽られた黄瀬自身はより急かす。
狭い内壁をとろとろに溶かすため、ゆっくりと埋めた指を動かし始めれば、その感触と感覚を直接感じ取ってしまう黒子の唇から、切ない吐息が漏れた。
「っ・・・・ぅ・・・・」
それに痛みや嫌悪感が混じっていないことを甘さで確認し、黄瀬は更に指を奥まで突き入れ、
黒子の弱くて悦い場所を掘り当てるかのようにして、序々に内壁をかき回し、緩くほぐすようにして、柔らかく刺激する。
「・・・・ん、ぅん・・・・っ・・・・!」
指を一本増やし、三本の指でしばらく慣らしてやっているうちに、黒子の甘い喘ぎは止まらなくなり、そうして内側も黄瀬を受け入れられる算段を帯びてきた。
埋めた指を締め付けてくる熱、早く早く自らでそれを感じて味わいたい。




けれど。
けれど、もう少しだけ我慢をすれば。
あとほんの少し、その埋めた指を奥に伸ばせばその場所は。




「ひ・・・・・っ!?」
前触れもなく内側の奥、それも一番弱い箇所をぐいぐいっと指先で押され、漏れるような快感に黒子の目が眩む。
続けざまに連続して押されて擦られ、押し寄せてきた信じられないほどの激しい快感に、意識していない涙が黒子の瞳にじわりと浮かんだ。
「黒子っち・・・・ここ、凄いっスね・・・・?」
耳に聞こえるのは、まざまざと情欲が混じった黄瀬の声。
「っ・・・・、! っ、・・・・やめ・・・・っ・・」
「悦すぎて、泣きそう?」
囁かれても、答えられるわけもない。
「うぁ・・・・!! やめ、てくださ・・・・ッ・・・・!」
ぐい、と一際強く押し上げられ耐え切れなくて、懸命にかぶりを振って制止する。
なのに黄瀬は聞かず、やめるどころか、その場所への刺激でまた勃ちあがり始めた黒子自身に、空いている方の指を絡めてきた。
「離し・・・・っ、も・・・・っ、黄瀬く・・・・っ・・・!!」
「ヤだ」
絡めた指先で、再度溢れて止まらない透明な蜜ごと先端を擦り、内側と外側、両方からの意地悪とも言えるべき愛撫。
「うあぁ・・・・・ッッ!」
その刺激に耐えられず、そのまま2度目の解放を促されると、もうどうすることもできない黒子はされるがまま、今度は黄瀬の手の中に精を吐き出した。

・・・・・・週末、『火神君といます』 メールに一緒に写っている写真(しかもそこそこ引っ付いて) まで添付してやろうと決めた。




手の中の白蜜を拭うこともせず、黄瀬は黒子の濡れた腰を抱え上げ、押し当てた自身をゆっくりと、けれど確実に埋め込んでいく。
先ほど指でほぐして緩くかき回したその内壁は、絶妙な抵抗感と狭さを持って、黄瀬を受け入れてくれた。
「黒子っち」
「・・・・・っ・・・ぅ・・・・」
しかし、先に二度も吐精させたせいか、受け入れているのにも関わらず黒子の反応が乏しい。
そうさせてしまった自分の自業自得とはいえ、口唇より舌より、ましてや指なんかより、この自分自身に一番感じて欲しいのは、やはり我儘というものか。
「あー、でも」
何度も言うけれど本日は誕生日。
多少の我儘と王様的振る舞いくらい、許してほしい。
そう勝手に決めつけ、思いきり内壁に円を描くかのような形で突き動かし、絡みついてくる内側を蹂躙する。
「ぁ・・・・あっ・・・・!?」
途端、反応する黒子の身体が嬉しくて。
「一番キモチ悦い、スよね・・・・?」
「んッ、あ、ああ・・・・・ッ!!」
最奥を思いきり突き上げて揺らして打ち付けると、信じられないほど悦い声が聞け、目を瞠るほどの悦い表情が見られた。
その声と顔とを、もっとずっと聞きたくて見たくて、より激しく熱く攻め立てる。
「あ・・・・! っは、・・・・っ、く・・・・ぅ・・・・」
黄瀬の動きに連動して、黒子の腰も動き出して止まらない。
互いの下肢が動くたび、湿った水音が鼓膜を打ってシーツの衣擦れと共に響く。
粘りつくかのように黄瀬自身をなかなか捕らえて離さない内壁。
まるでそれ自体が意志を持っているかの如くに絡みついて締め付けてくるさまに、黄瀬もぐいぐい高みに向かっていく。
「ボ・・・ク、・・・・も・・・っ、ムリ・・・です・・・・・っ・・・」
極み、切羽詰まった黒子に今にも泣きそうな声で懇願され、危うく暴発してしまいそうになって慌てて口唇を噛んでやり過ごした。
「っあ、あぁ・・・・ッ、や・・・・・っ・・・!!」
黒子への気遣いも何も忘れて、半ば夢中になってグラインドを繰り返し思いきり自分の快楽を追ってしまい、気づけば黒子の声はもう、涙声に近くて。
あ、と反省しても、快楽を見つけてしまった黄瀬自身は鎮められない。
「黄・・・瀬く・・・・! も・・ぅ・・・・ッ・・・!」
黒子が限界も限界を必死で訴える。
それが嘘でないことは、締め付けてくる内壁の蠕動でわかったから。
「ん。 ・・・・オレ、も・・・・!」
「―――――――― ッ、っああ・・・・・ッ!!」
最後、とばかりに一際大きく最奥を抉って、内側で弾けて精を散らす黄瀬。
その飛沫が、一番悦い場所に届いて解放を促し、
同時に裏筋を擦られて黒子は残りの熱の全てを搾り出し吐精して、そうして余韻に深く、長く目蓋を閉じた。

















「水、飲む? 沢山出したから水分補給・・・・・って、何怒ってるんスか・・・・!?」
シアワセのあまり、少々口が滑ったか。
いつもの如く、事後の気恥ずかしさからすっぽり掛け布団をアタマからかぶって姿をあらわさない黒子の気配から、怒ってますオーラが漂ってくる。
「・・・・・・・・・・」
それでも、もそもそと動いて手が出てきて、差し出したミネラルウォーターをきちんと受け取ってくれるあたり、やはりどこまでも可愛い。
それを一口、二口と飲んで喉を潤してから、黒子はごそごそと素肌のまま、半身だけ起き上がってきた。
同じく上半身だけは裸のまま居た(冷蔵庫から水を取ってくるのに流石に下は着た)、黄瀬とベッドの上で向かい合う。
それから、少しだけ考える素振りを見せたあと。
「・・・・あの」
小さく首を傾げ、控えめながらも聞いてきた。
「何スか?」
「黄瀬君、 ・・・・・・Sex、初めてでした?」
「は・・・・・・!?」
「ボクとが、初めて・・・・でした?」
「ななな何スかその質問・・・・?」
「いえ。 なんていうか、初めからわりと、慣れてたので」
「ん・・・・。 あ、ああ、」
黒子の言わんとしたいことがなんとなく分かり、黄瀬は軽く頭をかく。
そうして、ひとつ息を吐き、「んー、じゃあバラしちまうけど。 初めてっスよ当然スよ」 とあっさり簡単に前置いて。
「けど、練習。 はしてたっス」
「・・・・???」
「いろいろ。 本とか見たり調べたり」
「・・・・?????」
「あとは抱きマクラとか使ってみたりネットで勉強してみたり」
「・・・・・・・それって・・・・・」
あまりにあまりな返答に黒子が呆れ始める前に、黄瀬は慌てて自ら先を続ける。
「だって黒子っち相手に失敗とか絶対出来ねーし! 途中でアワアワしてたり、そんなカッコ悪いオレとか黒子っちに絶対見せたくねーっスもん。 だから、その甲斐あってお初の時も今も、わりと巧くリードできてたスよね?」
今だから言えるけど、最初は結構緊張もしてたんスよー? などとあっけらかんと言ってやると、黒子は小さな声で。




「練習とか有り得ません。 想像しただけでもカッコ悪すぎです」




言い切って、ピシリと石化状態、固まる黄瀬には今度は聞こえないくらい、
更に更に小さな声で。




「そういうトコロ、・・・・・・・・・・・・けっこうスキですけど」




そう呟いて、
「!! 今何て言った!!?」
と黄瀬が目を見開いて輝かせて勢いに任せて襲い掛かってくる前に、
もう一度黒子はばふっ、と頭から布団をかぶって逃げた。










誕生日、おめでとうございます。









先月の黄瀬誕にちまちま書いてました。 それはそうと。

ア ン タ ら 部 活 は ど う し た 。 ( 真 顔 )

以上!!