[ タイトル思いつかない ]







ココロの底からワガママを言える相手なんて、どれだけ考えてみたって指折り数えてみたって、
この世に数えるほどしか存在しなくて。
そして、思いきりワガママを聞いてやれる相手なんか、それより更にもっともっと少なくて。
そんな夢みたいな相手に出逢える確率なんて、きっとそれこそキセキみたいなもの。




でもキセキなんて、気づけば案外。 身近にあった。












まったりと二人で過ごす、完全オフ日の午後。
黄瀬は黒子に引っ付いているのが、スキだ。
いつもの如くの邪魔の入ることのほとんど無い黄瀬宅、
わりと頻繁に繰り返されるおうちデートの真っ最中。
今日も今日とてそれは変わらず、常々ながらの至福の時を過ごしていたりする。




「黄瀬君、」
「何スか」
「・・・・・あの。 いい加減、」
「んー? 黒子っちー?」
「いい加減、離れてもらえると助かるんですけど」




黒子がそう口にするのも、無理はなかった。
何故って先刻からずっと、黄瀬は黒子に 『ぴったり』 くっついて引っ付いているのである。
その 『ぴったり』 は、所謂表現の形容詞などではなくて、
読んでその字面の通り、床上にすとんと腰を据えている黒子の背後に回り、
まるでおぶさるかのようにして両腕を黒子の首にまわし、自分の胸と彼の背中とを密着させている。
黒子の方からしてみれば、体格の差がありすぎてずしりとやたら重い上、
この状態では身動きが取れなくて。
何とかしたいとは思うものの、体勢的に背後からしっかりと抱きすくめられているため、
それも上手くいかなかった。
そんな黒子の表情を後ろから眺めつつ、黄瀬はいつも通りの表情と口調で。
「やだ。 離れねえっス」
思いきりワガママ。 だって離れたくはないし、離す気もない。
「・・・・・・重いです」
「あ、じゃあ体重かけるのやめるから」
「そういうコトじゃなくて」
「え? 違うんスか?」
満面の笑みで、黒子の言いたいことを黄瀬はしっかりわかっていながらも(・・・・・・)、
ここぞとばかりに思いっきりすっとぼけて見せると、
「・・・・・・もういいです」
あっさり匙を投げられてしまった。
それにもう今更ほとんど慌てることもなく、
「だって黒子っちが可愛いから、ついつい引っ付いていたくなるんスよカワイイ黒子っちに」
嘘偽りのひとつもない、本心からのデレ台詞で答えたら。


「カワイイ、カワイイって、ボクそんなに可愛くないです」


一言のもとに却下、全否定されてしまった。
しかしそれくらいで身を引くような、これくらいの程度で台詞を翻すような黄瀬ではなくて。
抱え込む腕に更に力を込め、イヤでも離さない勢いで、そして開き直る。
「何言ってんだか。 こーんなカワイイ恋人、どこ探したっていねーし」
「・・・・・・。 可愛くないです」
「そう言いながらも、恋人、ってトコロは否定しない黒子っちに愛情感じまくりなんスけど」
ホント、さりげなくツボついて甘やかすの上手いよな黒子っち、と感心、感激しながらも。
「だって好きだから仕方ないっスよ」
その真っ直ぐなところも、
一度聞いたら忘れられない、好い声も、
その好い声に不思議と似合う、その口調も。
「答えになってないです」
少しだけ首を傾けて、溜め息混じりにそう呟くそんな表情も、
さらさらの前髪も、
大きな瞳も。
「答えもなにも、最初からずっと、オレは言い続けてるんスけどねー?」
こうやって引っ付いて会話を交わすたび、可愛いこの相手がもっともっと欲しくてたまらなくなるから。
「・・・・・・さわっていいスか・・・・?」
甘えるような、ねだるような響きで、耳元に囁きかける。
そんな黄瀬を、黒子は一瞬だけ上目遣いで一度見上げて、
「黄瀬君、」
ふう、とタメイキひとつ。
嫌だと言っても、どうせ結果は目に見えている。
きっと押し問答の末、折れて身を引く (というか身を与える?) のはいつだって黒子の方だ。
こうやって二人きりのとき、黄瀬が一旦ワガママを言いだしたら、余程のことがない限りは引き下がらないことを黒子はもう知っていて。
「そうやって言いますけど、さわるだけじゃ絶対済まないですよね」
「うん。 済まない」
けろりとすんなりと肯定する当の黄瀬も、余程の事例でない限り、黒子が受け入れてくれることも承知の上で。
「じゃあ、一度放してください。 そうじゃないと動けないです」
お互い、最初からわかった上での、合意の上でのあくまで戯れのやり取り。
だから黒子がそう口にした途端、パッと離れる身体と、動く空気。
「黒子っち、早くこっちこっち」
「・・・・・・・・」
そんな早い動き、試合中でもほとんど見たことないんですけどボク、
と黒子が珍しくもその大きな瞳を瞠ってしまうレベル、キレのありすぎる身のこなしでベッド上に移動した黄瀬を眺めやって、
二度目の溜め息をつきながら、黒子はゆっくり腰を上げた。
目の前のベッドでは、この上なく嬉しそうに、満面の笑みを浮べた黄瀬が待っている。

















「・・・・・っ・・・あ・・・・!」
ギシ、と軋むスプリング。
意外(?) にも、いつだってそこそこキレイに整理整頓されている、黒子にとってもいつからか見慣れた場所になってしまっている黄瀬の自室。
そんな中に響く、場違いともいえる掠れた甘い声。
でも耳に心地いいその声をもっと聞きたくて、つつつ、と黄瀬は指先で、
先ほどから触れていた黒子の細い首筋、それも気脈の息づくところを口唇でなぞっていく。
今の体勢はつい先刻までとはまるで逆、正面から黒子を抱き込むんで、向かい合った姿勢。
衣服はふたり、すでに床に落としている。
「・・・・ッ・・・・」
そうやって愛撫を送るうち、頃合を見計らって黒子自身に指を添え、快楽を紡いでやっているうちに、
少しずつ黒子の細身の身体から力が抜け、崩れ落ちそうになっていく。
「黒子っち」
それを片腕で支え、自分にしがみ付く形にさせて、黄瀬の方から口唇を重ね合わせる。
より体温を、より甘さを貪りたくて、
合わせた口唇の隙間からするりと舌を挿し入れて口腔に侵入させ、
歯列を割って隅々まで味わい尽くす。
「・・・・っふ、・・・・!」
互いの舌を絡めて強く弱く吸い上げれば、それだけでくぐもったような黒子の、喉の奥からの声を聞くことができた。
そんなキスを交わしているうち、互いの唾液の混ざったものが、収まりきらなくて二人の口唇の端から顎を伝って落ちていく。
それでも黄瀬は、まだ口唇を離さない。


なんていっても、こうやって黒子に触れるのはかなり久し振りのことなのだから。
学校が違う、という唯一にして最大の問題点から生じる、
幾つかの 『互いのスケジュール』 というハードルをクリアしなければならない日々が日常、
となってしまっていては、せいぜい放課後&部活後、
どこかで待ち合わせてちょっと寄り道 or 軽くゴハン、を終えたところで大抵大概、
どちらかもしくはそれぞれに時間的リミットが来てしまう。
だからこんなふうに、二人揃って部屋で肌を重ねて貪り合う、
なんてことはそうそういつも出来る訳ではない。
黒子に対する想いと高まる欲はいつもいつも底がないほど深いのに深く深くなっていくのに、
まだ高校生であるがゆえ、
我慢しなければならないことばかりがそれこそ多々、数え上げればキリがない。
と、なると自然、触れ合えるこんな時、深く深く貪り尽くすことになる。
その一例が、甘くて長い、こんなキス。
そしてその間にも、器用に黄瀬は黒子の脚を開かせて姿勢を変えさせ、
次の段階への準備を踏んでいく。
そこまで終え、やっと黄瀬は口唇を解放して、
酸素不足に軽く肩で息をつく黒子の耳元でそっと一言。
「基本、全力で可愛がるっスね?」
「・・・・・・・・・・・・は・・・・?」
その言葉に不穏(?) な何かを感じ取った黒子が目線を上げ、口を開こうとした直後。
「っ・・・・ッ・・・!」
開かされた脚の間、そこに息づく黒子自身をそっと握り込まれ、思わず口からあがったのは、告げようとしていた言葉ではなく、咄嗟に漏れてしまった吐息と声。
しかしすでにそれは 『イヤです、』 とか、『待ってください、』 とかもうそんな意味ではなくて、
多分ただの羞恥。
コトが進めば、与えられる快楽と悦楽でいずれどこかへ吹っ飛んでしまう、そんな頼りない羞恥心が、まだ今は確かにいたるところにあって。
黄瀬とこういうコトをする関係になって、いくらか時は流れたものの、最初のこの瞬間だけは、黒子としてもまだどうしても慣れなかった。
「・・・・ッ・・・ん・・・・っ」
それを裏付けるかのように、握り込んだ手のひらをそっと上下させられて煽られる、そんな刺激にも敏感に身体が反応してしまう。
「ッ・・・・・、ん、・・・・ッッ!!」
握り込まれたまま、くいくいと指先で軽く何度か先端に触れられれば、それだけで下肢が跳ねた。
「・・・・ホント、敏感スね」
あえて楽しそうに、しかも少しだけ意地悪な響きも込めて告げてくる黄瀬の台詞にも、反論することもできない。
「ぁ・・・・!」
耐えず触れ続け、先端ばかりを刺激してくる黄瀬の指先に、意識が乱される。
与えられる性感をこらえようと、必至で黄瀬にしがみつくけれど、より密着するだけにとどまって何の意味にもならない。
それどころか、より黄瀬の悪戯心を煽る結果になってしまった。
「・・・・黒子っち、ココは?」
そう、囁かれた途端。
「・・・・ッ!!? ・・・っうぁ・・・・ッッ・・・!」
それまではただ指先で擦るだけだった先端、そこの窪みに前触れもなく爪が立てられる。
勿論浅く軽く、であったけれど、ただでさえ敏感、それもこんな状態でそんな行為。
黒子がやり過ごせるはずがない。
「ヤ、です・・・・! やめ・・・・・ッ!!」
したがってたまらず、制止しようとしたのだが。
「んー、でも、すっげえ悦さそうだから」
「ひ・・・・ッッ!!」
やめない、と言外に宣告され、先端の窪みに挿し入れた爪を僅かに引っ掻くよう、動かされて更なる刺激を追い討ちで受けるハメに陥った。
そんなふうにされて、すでに黒子自身はいっぱいに勃ちあがり、先走りの透明なものを零しはじめ、
絶えず動き続ける黄瀬の指先を濡らしてきて。
かたかた小さく震え続ける内腿と、しとどに濡れていく色付いた先端。
本人は絶対的に無意識なのだろうが、黒子はそうやって黄瀬を誘ってくる。
自分ではそれほどわかっていないようだが、快感に乱されて熱を含んだその表情、僅かに震えて更なる欲を待つ黒子自身。
先程はついつい宣言めいた台詞を紡いでしまったものの、手加減とか斟酌なんて最初からできるはずもない。
欲しがるままに与えてやりたくて、
欲しいままに浸って耽りたくて。


「ん。 一回、達っとく?」
はからずとも、いじめてしまったことに対しての謝罪を込めた軽いキスを頬に落とし、
力の入らない黒子の身体をベッドに横たえさせ、濡れて所在なげな黒子自身を黄瀬はぱくりと口に含む。
「んッ・・・・・・っ!」
衝動的に跳ね上がる細腰と身体とを抑え込み、より暖かい口腔の奥まで包み込むようにして、全体的に扱き上げてやる。
「っ・・・・く、・・・・んッ・・・!」
心持ち唾液混じりの音を立て、黒子の羞恥を煽りながら。
みるみるうち、大きさを増していくのが口内で感じ取れ、
「・・・・・っ、、も・・・う・・・・っ・・・・!」
早くも限界も近いのか、喘ぎに混ざる嘆願。
「黒子っち、もうちょっと、我慢して?」
一度解放させてやる、と言ったその口で、まったく正反対なことを告げているのが黄瀬も自分でわかり、内心苦笑を禁じえなかったけれど、まあそれはそれ、コレはコレ。
あえて敏感な裏側を一気に舐め上げる。
「、ぁ、・・・・ッ・・・・」
と、また先端より大量に溢れ出て零れ落ちる透明な蜜。
「や・・・・・ッ、っ・・・あ、あ・・・・・ッッ、黄・・・瀬、く・・・っ・・」
その蜜を舐め取って、溢れ出るその場所に舌を落としてやれば、嘆願のような響きで名前を呼ばれ、
そんな黒子の声がどこまでもいとおしくて。
「・・・・ゴメン。 意地悪だったっスね」
ほとんど本人には聞こえないくらいの、小さな声で反省。
そして音を立てて先端を蜜ごと舐め上げるその舌先に少しだけ力を入れくいっと抉って続けざまにきゅっと軽く吸い上げた。
「ッッ!! あ、あぁ・・・ッ・・・っ!」
がくがくと震える腰。
そして一挙に熱が集まり、弾けていく黒子自身。
「甘・・・・くはねーけど。 やっぱ好きっスよ。 黒子っちの味」
喉を濡らして黒子の放ったものを何事もなく受け止めた黄瀬の、嬉しそうな一言。
通常モードなら、途端にプイっと顔を背けられまくって、「何言ってるんですかやめて下さい」 なんてカワイイカワイイ黒子っちにしばらく不貞腐れられてしまうであろうことは間違いなかったのだけれど。
当の本人はくたりと全身ごとシーツに沈み込み、達した余韻でそれどころではなかったらしく、聞かれていなかったあたり幸いだった。
その隙に。


「ひぅっ・・・・!!」


荒い息を整える間もない。
黒子が唐突に悲鳴にも似た声をあげてしまったのは全部黄瀬のせいだ。
「や・・・め・・・・、そ、んな・・・・・!」
達した直後で身体に力が入らずにいたところ、いとも簡単に黄瀬によって体勢を変えられてしまい、
腰を大きく彼に向けて突き出す形。
何とか逃げ出したくても、妙にしっかりと抜け目のない黄瀬に、しっかりと捕まえられてしまっていてそれもままならない。
片手の指でそっと最奥を押し開かれ、自分でさえもよくわからないその場所に感じるのは、柔らかく濡れた、あたたかな舌。
「うぁ・・・・ッ・・・!」
最奥の入口を、ちろちろと焦らすように舐め上げられ、震えが背筋を走る。
「だって慣らさないと」
そんな仕打ちを仕掛けてくる黄瀬は軽く言い放つけれど、黒子としてはもう有り得ないほどの羞恥心に包まれて、頭の芯が痺れてくる。
「ン、ん・・・・っ・・・・」
更に、唾液を乗せた舌先が、少しだけ内部に侵入してくると、本当に泣きたくなった。


正直、こんなコト、絶対して欲しくなどない。
慣らすための準備なら以前まと同じよう、普段と同じよう、普通に指でしてくれればいいのに。
突然こんなふうにされるなんて、微塵も思っていなかった。


「ッッ!! ・・・っ、や・・・・、め・・・・!」
「止めねえっス」
舌先に載せた唾液で最奥をゆるくほぐしていく水音と、普段と変わらない口調ながらも、黄瀬はきっぱり制止を断って。
「黒子っち、マジ可愛すぎだから・・・・」
「・・・・ン・・・・っ・・・く、ぁ・・・・・」
陶酔めいた呟きに、内側を味わい尽くす、尖らせた舌先。
その愛撫は、いつもの、いつもの指でされる慣らし方とは全然違い過ぎていて、勿論のこと奥までは届いて来ない。
「・・・・・あ、・・・ぁ・・・・っ・・・・」
なのに浅いところ、舌先が触れてくる場所だけはもう、熱くて熱くて仕方がない。
そしてその熱さを感覚として捉えてしまった途端、熱が欲に変わってしまって。
「はっ・・・・ぁ・・・・・、っ・・・・・・!」
口をついて出る嬌声に混じるものが、拒絶のものから少しずつ、甘い響きを含んだものになっていく。
「・・・・そろそろ、いいスか?」
そんな黒子の状態を見越した黄瀬に、
じゃあこれで最後、とばかりに尖らせた舌をギリギリまで侵入させられ、掻きまわされて、内側から溶かされる錯覚。
「・・・・・・・・ッッ! ・・・・・・ぅ・・・・!」
声にならない声。
いつの間に目じりに溜まったのか、こぼれ落ちる涙。
名残惜しそうに引いていく舌の余韻すら、内側からじわじわと疼き出てくる欲望の引き金になった。
「黄・・・瀬く・・・・ッ、・・・・・ッ!」
泣き声に限りなく近い、艶めいた響きで名前を呼んでしまう。
今はただ、奥深い場所限界まで彼が欲しい。
身体に溜まった燻る熱をもっと熱くしてほしくて、そして弾けさせてほしくて。


「・・・・・ッ、黒子っち、」
言われなくても。
呼ばれなくても。
黄瀬としても、余裕ありげに見せていたのはどこまでも演技みたいなもので、
実際のところ、かなり前から最初から黒子に自らを沈めたくて、
身体で知った、その狭くて柔らかくて暖かい場所を自身で感じたくて仕方がなかったというのに。
ただでさえも、可愛くていとしくてスキでスキで仕方がない相手。
そんな黒子っちに、縋って来られたらその時点で全部吹っ飛ぶ。


「っぁ・・・・・ッ・・・・!!」
半ば無理矢理とも言えるほど性急に黒子の腰を抱え上げ、正面からこちらを向かせて、
先刻まで舌で弄っていた箇所に自分の腰を押し進めるそんな数秒の過程でさえ、もどかしい。
乱暴ともいえるくらいに一挙に根本までを埋め終え、真上から黒子を見つめれば、
受け入れたばかりの黄瀬の質量に身を震わせて、感覚に耐えている。
「熱い、スね・・・・?」
「・・・・・・・・・、」
どう答えればいいのかわからない様子で、その大きな瞳で自分を見上げてくる、そんな表情。
「・・・・・ッ!」
愛しさのあまり、自身を内に埋めたまま、ゆっくり腰だけで小さく揺さぶると、
それだけでも黒子には充分な刺激になってしまうのか、
かぶりを振られて、揺れる甘い表情を見せられた。
触れられて素直に反応を返す黒子に対して沸き上がる満面の笑みと、せりあがる欲望。
「・・・っく、・・・・あ、ぁッッ・・・・!」
もう遠慮も匙加減もない。
黄瀬は舌では絶対に届かない場所、ましてや指でも届くかどうか、というあたりにある、黒子の奥の悦いところを突いていく。
「・・・・っッ・・・・・っ・・!!」
身体を重ねて、身体で覚えた黒子の奥の奥。
一度突き上げるたびに、熱くきつく締め付けてくるから、それに抗うように突き上げる。
するとまた、絡みついて締め付けてくる内部に、ともすれば引きずられそうになって、
懸命に耐えて引き抜いて、角度を変えて打ちつけて。
「ぁ・・・ッ・・・・、っうぁ・・・・・ぁぁっ・・・!!」
思い切りズッ、とピンポイントで突いた部分が、黒子の一番悦くて一番弱い場所。
やわらかくて暖かくて、とろとろに蕩けていて、なのに弾力があって、最高の。
「マジ、最高・・・・スね・・・」
「・・・いっ・・・あ、あぁ・・・・ッ・・・!」
互いに快楽を伝え合い、黄瀬自身が内部を抉っていくのに合わせ、黒子の腰ががくがくと震え出す。
熱く濡れた内側を、嫌というほど掻き回されて突き上げられて、
一度達したはずの黒子自身も、二度目の解放を待ち望むまでになっていた。
「ま・・・・た・・・・、うぁぁ・・・・ッッ・・・・!」
一際強く大きく最奥を抉られ、それだけでも意識がし飛びそうなほどの刺激だったのに、
間髪入れずに伸びてきた手できゅうっと黒子自身を握られ、びくびく戦慄く下半身。
内側に与えられる律動と、握り込まれた手のひらから紡がれていく淫らな刺激。
「っあぁ・・・・っあ、・・・・っ・・・・も・・・う・・・・・!!」
限界を告げる、まだ稚さのほのかに残る身体と声。
なのに今は全てが淫蕩な気配にくるまれて、黄瀬の絶頂をも誘ってくる。
「ん。 一緒、に、・・・・ッ・・・」
「っっ、――――――ン、・・・・・!!」


ほぼ同時に放った直後、黄瀬は仰向けの黒子の上にどさりと倒れ込み、
弛緩したその細い身体を抱きしめて、濡れて喘ぐ口唇を再び塞いだ。
甘い声はもとより、吐息まで、閉じ込めたかったから。


























それからシャワー他、諸々を終え、2人して服に袖を通してまったり出来るようになった頃には、
もう夕刻に近いとも言える時間帯になっていた。


何だかすごく体力を削られました、ボク的には全然休日になってないです、
などとボソリ呟く黒子の隣、
黄瀬は満腹満面、とにかくご機嫌で鼻歌など歌っている。
「・・・・・・・・・」
仕方なくふう、と一つ息をついて、まだ水気の残る前髪を手で払ったところ。
ふいに黄瀬の鼻歌がやんだ。 そして何を言ってくるかと思えば。


「黒子っち、笑って?」


何を唐突に。


「そう言われても・・・・困ります」


突然そんなこと言われて、こう答えるしかない。 すると。


「たまーーーには、笑った顔も見てみたいってのはオレのワガママっスかね?」


少しだけ真剣なカオと声で、気付けば真正面から覗き込まれ、ほんの少し、黒子が躊躇したら。


「ま、泣き顔はさっき見せてもらったけど」


「!!!!」


と黄瀬はここにきて、まさかの大失敗、大失言。
それを黒子は言質を取って切っ掛けにして踏み台にして、


「愛想笑いでいいですか。 あとは失笑か冷笑なら」


どちらにしろアレ、な二択 (三択?) で返答してみたら。


「・・・・・・・・せめて 『苦笑』 って選択肢も入れてほしかったっス・・・・・・グスン・・・」


いつも通り普段通り、がっくり肩を落とされた。
「でも黒子っちの愛想笑いも失笑も冷笑も、いつか見てみたいかも」
なんて零しながら、思い切り苦笑してるのは君の方じゃないですか、と思った。


「あ、そうそう」


「ハイ?」


「オレ、黒子っちが可愛いから好きって訳じゃねえっスよ。 好きだから可愛い。 こっちだから」


「・・・・・・・・・・・・」


「でもたぶん、黒子っちはとっくにそんなこと理解してるはずっスけどね」


「・・・・・・・・・・・・」


「あーもう、逐一コトバで説明するのも、なんか気恥ずかしいっスね、やめやめ!」


最後は結局、いつものように軽く流され片付けられて、終わった。















「それはボクも同じですけど」 とか、
「ボクだって君がカッコイイからスキになったわけじゃないです」 とか、
「そもそもボク、面食いじゃないですし」 とか、
「でもやっぱり黄瀬君のカオと身体はキライじゃないです、」 とか。


いつか本人に告げてもイイかもしれない、と黒子は漠然と思ってはいるものの、


それこそキセキでも起きない限り、確率は果てしなく。 果てしなーーーく、低い。
でも先程の黄瀬の台詞を借りるなら、








たぶん黄瀬だって、とっくにそんなこと理解しているはずだ。








だから、まだしばらくはきっと言わない。








言って、やらない。










ヤってばっかりの二人です。
そしていつも「好きー!」とか、同じコトしか言ってないような気がする・・・・(笑)