[ 甘やかしてみよう! Ver.黄瀬 後編 ]







その後はとりあえず順調にごくごく普通に黒子宅まで揃って到着、
鍵を開ける黒子にに続き、「お邪魔しまーす」 と口にしながら入った玄関の向こうは、
彼が最初から口にしていた通り、家人の気配は一切なくて、
逸るココロのまま黄瀬は久々に黒子の部屋に足を踏み入れる。




と、
「何か飲みます?」
目の前、振り向きざま大きな瞳で訊ねられ、
「あ、い、いや、今んとこオレは大丈夫で」
何故か妙に心拍数を上げつつの返答になってしまう。
すると、
「それじゃ、・・・・自分で脱いだ方が」
早いですよね、などと呟きながらシャツの釦に自ら手をかけ始めた黒子に対し、
何故だか何故だか、
「ちょ、黒子っち、」
より鼓動が早まる。
だっていつも先に手を出すのは腕を伸ばして誘うのは今まで絶対的に自分の方で、
こんなふうに本人からさくさくコトを運ばれるパターンは初めてで、
「オレ、試合の後だから汗、かいてるかもしれねぇけど」
何故だか何故か何故なのか、自分でも信じられないことに黄瀬が一瞬、戸惑ってしまうと。
「別にいいです」
今更汗くらい、とあっさり言われてしまった挙句、
「黄瀬君」
「な、何スか?」
三つめの釦を外す手を止めた黒子に、じいっと正面から見上げられた。
「仲直りのしるしに、ボク、今日はとことん君を甘やかそうって決めたので」
「!!」
「それぐらいしかボクにできるコトはありませんから」
「なッ・・・・何言ってんスか、オレはココに黒子っちと居られるだけで」
ああ駄目だ。
焦って答えながら、黄瀬は頭をぶんぶんと横に振る。
「?」
その様子に黒子が首を傾げるけれど、
「黒子っちと黒子っちの部屋にいるってだけですげーシアワセなのに、けど、でも、」
駄目だ。 次の言葉が出てこない。 辛抱きかない。
嬉しすぎる展開と申し出に、有頂天になっても良いはずなのにどちらかと言うと焦りの方が強く、
とりうえず一旦、
「あ・・・・・、ええと、」
落ち着けオレ、と深呼吸。
深い呼吸を二、三度繰り返し、焦るココロを力技で捩じ伏せて、それから。
「黒子っちがそんなんだと、」
言ってスッ、と真顔になった。
「正直、加減がきかなくなっちまうっスよ?」
「大丈夫ですけど」
さらりと返ってくる返答。 駄目だ駄目だ。 そんな簡単に頷かれたら、手加減できる自信が無い。
余裕がなくなる自分とは逆に、黒子の表情はいつもと変わらず、同じ。
だから黄瀬は最後の最後、念を押す。
「ヤダって言って泣かれても、蹴飛ばされてもオレ、止まんなくなっちまうけど」
告げながらも自分でもわかってはいる。 そんな酷いことなんて絶対しない。 出来ない。 けれど。
「・・・・・・平気です」
正面からじっと見つめられ、跳ね上がる心臓。
そうしてまじまじと顔を眺められたあと、黒子が何を言うかと思えば、
「実はボク、黄瀬君に本気でカッコつけられるとちょっと困ります」
「?」
「君のカオが、好みすぎて」
「ええー? オレの外見とか褒めてくれたことなんか、昔っから全然なかったのに」
「だってほめたらゼッタイ、調子に乗るじゃないですか」
「ヒドイ・・・・」
苦笑で流せたけれど、たぶん(※お互いに) 照れ隠し。
なんだ黒子っち、もしかしてずっと前からオレにベタ惚れだったんじゃないスかでもその100倍はオレの方が惚れちまってるけど。
との黄瀬のココロの声は、寄せて触れた唇にかき消された。




















「暴走しちまったらスイマセン」
先に謝っとくっスね、と先手を打って言い訳しながら組み敷いた体勢、
黒子の上から黄瀬はゆっくりと身体をずらして前傾姿勢になり、
僅かに開かれた口唇にもう一度キスを落とす。
「っ、・・・」
優しく触れるだけのじゃれるようなものから、時間をかけ絡め取る、次第に激しいものにそれを変えながら歯列を割って舌を滑り込ませれば、暖かな口腔が感じられた。
「・・・・ん、・・・・」
普段なら、最初は反射的に逃げようとする舌が、今回は簡単に捕らえられ、
絡めた後もおとなしくされるがままで、
だから黄瀬は捕らえた舌の柔らかさと味をしっかり楽しむよう、何度も強く弱く吸い上げた。
「、ん・・・・っ・・・」
吸い上げる合間に舌先で歯の奥の粘膜を擦れば、それに感じてしまうのか、
とぎれとぎれの呼吸の間に零れる甘さを含んだ黒子の吐息に、自然と気が逸る。
「・・・・黒子っち」
最後に名残惜しく一度強く吸ったあと、丁寧に唇を離して小さく名前を呼んだ。
「何、ですか」
「オレがこんなんなっちまったの、全部黒子っちのせいだから」
「?」
「なんか色々オロオロしたり、カッコ悪くてみっともねえ姿見せんの、全部全部黒子っちが原因スからね」
「責任転嫁にも程があるんじゃ・・・・・」
ほぼ戯言であることは、言っている黄瀬当人が一番よくわかっている。
だけど100%虚言であるわけでもなくて、そこのところはなんとなくでもわかってほしくて、
続けて黒子が何か口にしようとするのを目敏く察知して先回りして手首を先に押さえ込み、
「もう、後に退けねえ」
だから黒子っちも同じトコロまで墜ちて? と黒子の耳元に寄せた唇で低く囁いた。
途端、ピクンと僅かに反応する身体がいとおし過ぎて、黄瀬は急かされるよう忙しなく黒子の衣類を取り去っていく。
上半身、シャツをすっかり腕から抜かせたところで曝け出された首筋に顔を埋め、
断続的に弱く強く何度も吸い上げるたび、口付けた首筋が震えを見せた。
「ん・・・・っ・・・・」
続けて胸元に手のひらを這わせて一度撫で回せば、身体も同様に小さく反応する。




一方で黒子の方からしてみれば、
行為にはもう抵抗もほとんどないし、今回はそもそも自分から誘ったわけでもあるのだが、
Sexそのものが一ヶ月以上ぶりであって、
何を差し置いても自然、身体は普段と比べてもより一層敏感になっている。
そんな状態で、つまり。
当の黄瀬に加減がきかないだの後に退けないだの言って来られては、正直、困ってしまう。
無論、繰り返すけれど誘ったのは自分の方からで、加えて黄瀬が自分に酷いことなんて仕掛けてくるはずもないことも充分すぎるほどわかってはいるけれど、
だが逆説的に言ってしまえば、相手は黄瀬で、
・・・・だから、いつにも増して乱れてしまいそうで。




「・・・・っ」
黒子がそんな不安にも似た畏れを抱いているのにも関わらず、
黄瀬の手のひらは、胸元の肌を隅から隅まで撫で回す。
「・・・ん・・・・っ!」
敏感な胸の肉粒を突然、指先が掠めただけでも、
身体は反応して声があがった。
そんな黒子の様子に黄瀬は嬉しげに笑って、
続けて触れた指の腹でころころと肉粒を転がして捏ね回す愛撫を送ると、
「ぁ、・・・・っ」
黒子は力の入らない手で黄瀬を止めようと、手を伸ばしてくる。
だが、黄瀬は簡単にそれを遮って小さく悪戯っぽく、囁きかけた。
「そうするの、黒子っちの癖っスよね」
「・・・・・!」
違います、と言いかける口の先手を打って、キスを落として口唇を塞ぐ。
柔らかな唇を唇ではむ、と挟んで大人しくさせたあとは、
吐息が触れ合う距離で。
「違わない。 黒子っちの弱点の一つ」
「違・・・っ、んぁ・・・っ!」
往生際悪く口を開くかわいい様子にデレながらも、硬く尖ったそこをそろりと一舐め。
たまらずに息を詰まらせる黒子は、その後も何度も何度も連続して舐め上げられて、背筋を震わせる。
「・・・ッ・・・ん、ん・・・・ッッ」
併せて反対側はくいくいと指先で摘まみ上げられて、
久しぶりの甘い愛撫に、まだ胸をいじられただけだというのに身体は普段以上に昂ぶりを見せた。
途端。




「――――ッ!!」




胸元への刺激だけに、黒子はほとんどの感覚を向けてしまっていたため、
普段より早くすでに勃ち上がりを見せはじめていた下腹部、
黒子自身にひっそりと黄瀬の手が滑り込もうとしていたことに、全く気づかなかった。
「ン・・・・・!」
優しく揉みしだきながら握られて、たまらず背中がビクリと仰け反る。
黄瀬は一度捕らえた手の内の黒子自身を決して離さず、握り込んだまま、優しく丁寧に上下に扱いていく。
「・・・はっ、・・・・あっ・・・」
暖かな手のひらから紡ぎ出される直接的な性感に、細い腰が小さく震え出し始めてきた。
それを承知しつつ、黄瀬は確実に手の中で熱量を増していく彼自身を擦り上げながらも、絶えずもう片方の手で胸元への刺激を与え続けていく。
紅く色付き、唾液で濡れて今にも融けてしまいそうな乳首を何度も何度も舐め上げては、時折ちゅ、と吸い上げて。
「・・・ぁ、ぁ・・・・っ・・」
たまらず、みるみるうちに透明な先走りの蜜を浮かび上がらせる黒子自身。
つう・・・・っ、とその雫が先端から零れ落ち、濡れた感覚を自らの手で感じてようやく、黄瀬はずっと舌先で転がしていた飾りを解放し、顔をあげる。
そして間を置かずに両方の膝を持ち上げ、そのまま両脚を大きく開かせた。
「、・・・・!」
察した黒子が、小さく息を飲む。
構わず、とろとろに濡れながら張り詰めた黒子自身を戯れ混じりに指先で、すうっと筋に添って辿り上げてやると、
声にならない、押し殺した吐息と同時に下半身がびくびくと戦慄いた。
「我慢しなくていいから」
今更っスよ?
と簡単に黄瀬は言うけれど、そんなふうに言われたって、ハイそうですかと黒子が頷けるはずがない。
何故って、
こんなに感じてしまうこの状態に耐えるだけで今は精一杯なのだ。
なのに、あえて意識して堪えている声にまで、歯止めがなくなってしまったら。
「・・・・・・・・・・・・・・」
黒子はただ小さく首を横に振る。
「? 声、オレに聞かせたくない?」
「・・・・っ、・・・」
優しげに黄瀬が訊いてくるけれど、頷いていいものか、それとも。
「・・・・あの、」
「?」
「・・・・・・・・」
困りきってだんまりモードに入ってしまった黒子に黄瀬は仕方ないスね、と一人、苦笑い。
本当は本心は、一ミリたりとも困らせたくなどないのだ。
でも、どうしたって好き過ぎて好き過ぎて、どうしようもなくて、
「スイマセン」
「ん・・・っ・・・・!」
耳元で囁きかけながら、くちゅ、と絡めた指先で先端を撫で回し、
じわじわと濡れた蜜を零させたり、してしまう。
だから、
謝っておきながらも内心ではやっぱり甘い声が聞きたくて、
零れ落ちる透明な蜜を全体に行き渡らすようにして黒子自身を大きく擦る。
「・・・ぅ・・・・っ・・・っ・・・」
噛み殺しきれない、苦しげな吐息混じりの声と、すでに限界近くにまで膨れ上がっている黒子自身に黄瀬は口角を上げた。
ふっ・・・、と耳朶に息を噴きかけながら、
「イきそ?」
「・・・・ッ・・・・!」
囁いて、僅かに先端に引っ掛けた爪の先に力を入れ、裏筋を素早くさすってやって絶頂を簡単に促してやると同時。
「――――― うぁッ・・・・!!」
一際大きくその腰がびくっ、と仰け反って、
黒子は黄瀬の手の中に白蜜を弾けさせた。




「は・・・っ・・・っ、・・・、ぁ・・・」
達した余韻に全身で大きく息をつく黒子の背中を支えながら、
「やっぱちょっと、いつもより早かった?」
「〜〜〜〜〜!!」
黄瀬はまたもや黒子が口篭ってしまうような台詞を口にする。
なのに黒子的にはそれほどイヤでも恥ずかしくもなくて、
久しぶりだから、だからあえて普段と変わらない調子でいてくれる黄瀬に対し、自然と鼓動が跳ね上がった。
「・・・・・・・・・・・・黄瀬君、」
「ん?」
名を呼べば、黄瀬はやたら嬉しそうに返事をする。
「あの、」
「???」
不思議そうに自分を見つめられ、
「黒子っち・・・・?」
気を抜けば見蕩れてしまいそうな実は自分の好み過ぎるそのカオでその声で、呼んで来られて、




「・・・・・・・・性格、良くないですよね」
「ッ!!?」
ぽそっと呟くと、何を誤解したのか絶句されてしまった。
だから多少なりとも急いで黒子は訂正する。
「黄瀬君じゃなくて、ボクの方です」
「ッッ!!!??」
何故なのか輪をかけて絶句に絶句を重ねる黄瀬に、
「・・・・誘ったのはボクで、最初は平気ですとか言ってたのに、やっぱり、結局、黄瀬君にセーブさせて気を遣ってもらって」
ぽそぽそ小さく呟き続ける黒子に、一瞬焦っていた黄瀬は徐々に安堵、
そしてふっと笑う。
「何言ってんスか、大好きな黒子っちに気を遣わないで、誰に気を遣えって話」
「・・・・・・・・」
当然! とばかり言ってのける黄瀬に、今度は黒子が言葉を詰まらせる。
逆に黄瀬は、そんな黒子にまたも笑った。
そして、少しだけ暴走。
「でも、ちょっとだけ図に乗ってもいいスか?」
「え・・・・?!」
それまですぐ近くにあった顔が、黒子の前から消えた。
その途端、
先ほど一度達したばかりで萎えていた中心に、暖かな吐息。
「・・・・っ、!?」
一瞬にして黒子は黄瀬の思惑に感づいて、反射的に即座に制止しようとするけれど。
「やっぱ、味わいたいし」
「そ、んな・・・・っ、んぅッ・・・・!!」
制止も何もかも全てスルーされてしまい、僅かに震える先端が、ぱくりと暖かな口腔の粘膜に包まれた。
「ぁ、あ・・・・ッ・・・・」
「甘・・・・」
口内に含み入れた濡れた黒子自身を、黄瀬はまず一度その味を簡単に味わった後、
全体的に舌を使って根元から先端まで、繰り返し往復させて舐め上げる。
そのたびに黒子の下肢が小さく震えるのを押さえつけ、
重ねて今度は口内を使う愛撫も取り入れ、舌と口腔とでゆっくり丁寧に扱き上げていく。
「ん・・・ッ、ぁ、あ・・・・っ、!」
黒子は、直接的な淫猥な刺激を少しでも逃そうと、黄瀬の髪に両指をかけて堪えようとするが、無論気にせず、何度も何度もいとおしげに黒子自身に舌を這わせ続けた。
「・・・っあ、ぁ・・・・ッ、・・・・!」
温かで濡れた柔らかな感触と、そこから下肢を伝いぞくぞくと沸き上がる快楽に比例するかのよう、
勃ち上がりをみせるそれ。
気がつけば、黒子がふるふると大きくかぶりを振って全身で悶え始める。
見やった黄瀬は、口と舌での愛撫を徐々に激しいものに変え、、
それに合わせてとろとろ流れ出る透明な蜜で濡らしあげた手のひらと指を使って、
限界まで溜まった欲を搾り出させるように、大きく双珠を揉みあげた。
「ぁ・・・・ッ、も・・・・っ・・・・」
「ん・・・・」
黄瀬の髪を掴んだ指に力がこもり、快感から逃れようとする腰をやんわり抑え付け、
「ぅあ・・・・、あ・・・っ、黄、瀬く・・・・!」
泣き声にも似た声で名前を呼ばれても、お構いなし。
蜜の溢れ出る先端の窪みに舌の先をくいっとねじ込み、絶頂を促す。
「・・・っひぁ・・・・ッ!!」
一番に刺激を感じ取ってしまう先端を、尖らせた舌先で攻めあげられ、
更に遠慮もなしに連続して裏筋を擦られる二重の愛撫によって、到底耐え切れるはずもなく。
「あ、あ・・・ッ・・・・!!」
ビクン、と大きく腰を戦慄かせて痙攣しながら、黒子は黄瀬の口の中に熱を吐き出した。




「・・・・ん、・・・・ッ・・・・」
腰を上げ、開かせた最奥の内側を、差し入れた舌が至る箇所を舐め上げながら、蠢く。
慣らすため唾液を送り込み、濡らしながら動き回る黄瀬の舌は、まだ固い黒子の内壁を少しずつ柔らかくほぐす努力を繰り返す。
「ッ、・・・っ・・・・」
しばらく続けたところで、大分ほぐれてきたのを見て取った黄瀬が舌を抜き、
代わりにゆっくりと指を一本埋め込ませ、伸ばした先にある奥まった一点を指先で強く擦り上げると、
「や・・・・!」
悦いところをピンポイントで刺激された黒子が、細い声をあげて背中を仰け反らせた。
しかしその表情は甘いもので、
「大丈夫、っスよね?」
覗き込んだ黄瀬は嬉しげに続けてもう一本指を滑り込ませ、
二本の指で内壁の最も弱い箇所を、挟み込むように転がして愛撫を与える。
「・・・っあ、ふ・・・・っ・・・・!」
切ないか細い声と、縋るような視線。
図らずとも、仕掛ける黄瀬もドキリとする。




「・・・・黒子っち、」
そんな瞳で見つめられたらもう我慢が効かなかった。
元からずっと我慢してきた自分の欲も随分と限界近かったとはいえ、
無意識にゴクリと飲み込んだ唾で喉が鳴る。




埋めていた長い指を引き抜き、
「ん・・・・っ!」
その感覚に黒子が身体を震わせるのに構わず両脚を抱え上げる。
「オレのコト、ちゃんと見てて?」
「・・・・っ」
開かせた瞳に、きちんと自分が映っているのを確認したくて、器用にも片腕を使って腕を取り、黄瀬は自分の首に両腕を回させた。
「・・・・入るよ?」
言って、蕩けた最奥の入口に猛った自身の先端を添え、
そのまま思い切り腰を進めた。
「あ・・・・! んあッ・・・・!」
内側の黄瀬の質量と熱とが生み出す、強烈な圧迫感と刺激に翻弄されてどうしようもなく黒子は身体を震わせて喘ぐ。
それに慣らさせるため、そして自分も呼吸を整えるため、軽く揺さぶりをかける。
と、黄瀬の首に回されている両腕に力が入り、ぐっとしがみついてきた。
「辛くない・・・・スか?」
そんな仕種に気を良くして、黄瀬もより密着できるように抱き返してやりながら、
コクン、と首を立てに振るのを合図にして、結合部から濡れた音を立てて本格的に動き出した。
「あっ、あぁッ・・・・ッ・・・・」
点在する弱い箇所を連続して突き上げ、
内壁を余すところなく擦り上げながら奥の奥まで攻め込んでいくと、
反動で内壁が黄瀬自身を包み込み、背中を仰け反らせて喘ぐ黒子の声と相まって、粘ついた水音が下肢から響いてくる。
「、っふ・・・・ッ!・・・・!」
「・・・・・ッ!」
互いの身体全体を走り抜ける強い強い快楽。
黄瀬だけでなく、次第に黒子も動きに合わせて腰を揺らし始めてきてしまう。
「黄・・・・瀬、君・・・・ッ・・・・」
「・・・・・・ん、」
名を呼ばれて黄瀬はわかってる、と黒子の目蓋の上に触れるだけのキスを落とした。
と、一層近くなった上半身。
ついで、とばかり先ほどから完全に屹立して自らの腹部に当たっていた黒子自身に手を回し、
握り込んでやると、熱く濡れて更なる愛撫刺激を待ち望んでいるようで。
「ひ・・・・っ!」
突然の自身への刺激に、黒子がたまらず身を捩るけれどそのまま指で丁寧に扱き上げる。
「・・・・ッ、あっ、やめ・・・っ・・・!!」
「やめねえ」
「やめ、離・・・・ッ・・・、うぁ・・・・ッ・・・・!」
指の動きに合わせ、内側の方も大きく打ち付けられて最奥に直接攻め込まれ、
痛いくらい過敏に快感を受け取ってしまう前立腺を突き上げられた黒子は、反射的に腰を退こうとしてしまう。
だが、もちろん黄瀬は逃す気など毛頭なくて、
「ココ、黒子っちの一番イイところだし」
「やッ・・・・・や、違・・・・っ・・・・やめ・・・・!」
「ん? 違うんだったら、平気だと思うんスけどね・・・・?」
この後に及んでの制止に、うっすらと汗ばみながら意地悪な台詞と共に苦笑を浮かべ、
ずくん、と力任せにその箇所を再度抉り上げると、
びくびくと身体が跳ねて悶えた。
「・・・ッ、ああ・・・・!」
徐々に動きを激しくする黄瀬が内側の粘膜を突いていくたびに、
手の中の黒子自身も大きく膨れ上がっていく。
いつから流れ出ていたのか、溢れる蜜の中には、もう白いものも少量だが混ざり見えていて、
互いの高みも近い、と感じた黄瀬は意識して黒子が悦ぶ一番のポイントであるそこを、ぐいぐいと埋め込んだ先端で容赦なく凶暴なほど押し上げる。
「―――― ッ・・・・!」
脳髄にまで響いてくる快楽に、
もう黒子は声さえあげられなくて、ただ必死に黄瀬にしがみ付いて縋りつく。
相応に同様に黄瀬も、熱い。
「・・・ッ、黒子っち・・・・」
「ッ、も・・・う・・・・・っ・・・・・!!」
押し寄せる快楽の波に、黒子の細い身体ががくがくと震える。
と同時、
下肢から与えられる快感に、黄瀬も吐息を荒げ、
指先で黒子自身の先端を強く強く擦り上げた。
激しく内側で突き動いていた黄瀬自身をきゅうっときつく強く内壁が締め付けて、
互いに訪れる最高の高み。
「、――――― んッ・・・・!!」
「・・・く・・・・!」




間を置かずほぼ同じくして達したあと、
繋がったまま黄瀬は何度も何度も、キスを仕掛けてはやわらかな唇を貪った。





























「帰りたくねえーーーー!!」
「でも帰らないと」
帰りのバスの時間だって、そうそう無尽蔵にある訳ではない。
けど。
「このまま、黒子っちと明日の朝まで過ごしたい・・・・」
「明日は朝から練習だって言ってたじゃないですか」
ボクも午前中から練習だし、と黒子に言われてしまうけれど、黄瀬は長い手足をじたばたさせつつ、ごねる。
「こんな、今日みたいなチャンス次いつ来るかマジわかんねーし・・・・!」
「それは仕方ないです」
「できるコトなら、時間とか一切気にしねーで黒子っちと過ごしたい・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「翌日のコトとか考えないで、一晩中黒子っちにさわってたい・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
あああオレカッコ悪ィ、と嫌というほど自分でわかっていながらも、これが正直なところ。
今現在、滅茶苦茶シアワセなはずなのに、
更にワガママ三昧、ほんとどこまで欲深なんスかねオレ、と違う意味で頭を抱えたくなる黄瀬に。
「それじゃ、頑張って」
「?」
「黄瀬君が頑張って、いろいろなスケジュールのやりくりができるなら、」
「???」
「・・・・泊りがけで、旅行とか」
「えッ・・・・!」」
「その時は、ボクがヤダって言って蹴飛ばすくらい暴走してくれてイイです」
「!!!!!!!」




クリスマスと盆と正月と雛祭りと端午の節句とハロウィンとがまとめて押し寄せてきたかの如くの黒子の台詞に、黄瀬は転がって喜ぶかと思いきや。




「ちょ・・・・マジで、あんまりオレを甘やかさないで欲しいっス・・・・・」




完全に、頭を抱え込んだ。
あまりに優しくされるといつか、何か大きな落とし穴が待ち受けているような気がしてしまう。
なのに黒子はさらりと。




「違います。 甘やかしてるんじゃなくて、甘えてるんです。 ボクが」




「!!!!!!!!!!!!」




だから近場でいいからマジメに計画しませんか、旅行。
と続けて言われ、




「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




歓喜のあまりすうっと魂が溶けて抜けて消えて意識がホワイトアウトしつつある中、
じゃ○んとるる○、明日にでも十冊くらいずつ買ってこようと黄瀬は心に決めた。






















→→→→→→→ 【甘やかされてみよう!】 に続くと思い思われ。






甘  や  か  し  す  ぎ  た  。