[ わん ]





「ワン!」




コロマルは、寮の住人が大好きだ。




















ゆかりが大好きだ。
ゆかりの短すぎるスカートから覘く健康的なフトモモがスキだ。
その脚に、体ごと 『すりっ』 と甘えていくのが自分の特権で、
(ナイショだけど) 実はコロマルの位置からだと中身丸見えの、
短いスカート自体も大好きだ。

彼女のようにずっとずっと大切な何かを誰かを一人で信じ続けるということ、
どれだけしんどくても折れずに立ち続けるというのはとてもとても大変なことだと思う。
だからコロマルはゆかりが大好きだ。




順平が大好きだ。
時々出てくる、言ってる本人さえよくわかってないような迷台詞と、
「テレッテッテー♪」 はそんじょそこらのオリジナリティじゃ適わないと思う。
いつかそのちょびアゴヒゲを引っ張ってみたい。

いつも明るく気さくに調子付いていられる彼の持ち味はきっと天性のもので、
それでいてとてもとても素直に自分を曝け出せる真っ直ぐさも、きっと彼だけの性分だと思う。
だから順平が大好きだ。




美鶴が大好きだ。
傍に行くと、ほんのりいい匂いがする。
スカートとニーハイブーツでなかなか見え辛いけれど、
時々チラリと見られる膝の裏はとにかく最高、素晴らしい。
この前、骨付き肉をくれたとき嬉しくて美鶴の口許をぺろりと舐めたら、
凄く驚いたカオをして、「お前でなかったら処刑モノだぞ」 とそれから微笑した。

凛々しくて綺麗で美人で頭の良い富豪のお嬢様でお姉さんで女帝、を地で行くことは、
実は凄く凄くパワーが要ることだと思う。
だから美鶴が大好きだ。




明彦が大好きだ。
時々コロマルのドッグフードにプロテインを混ぜてくれたり、
「お前はいい関節とバネを持ってるな」 とか誉めてくれたり、
「試合に勝つには普段の手入れも必要なんだぞ」 とか言いながら肉球マッサージをしてくれたりする。

恒常的に前へ前へと自分を奮い立たせる血気は同性として見習いたいし、
昔の切っ掛けを礎とする一途な行動理念はピンと筋が通っていていいなと思う。
だから明彦が大好きだ。




風花が大好きだ。
風花からは他の誰とも違う、ふんわり柔らかいニオイがする。
一昨日アタマを撫でてもらったお礼に、『お手』 をしようとして、
間違って前足を風花の胸にぽふっとやってしまったのだけれど、
「もう、コロちゃんは」 って笑って許してくれた。 わんこの大特権だ。

優しくて、ヒトのココロが感じ取れる。
別に力なんてなくても風花みたいに、ただそれだけでいいと思う。
だから風花が大好きだ。




天田少年が大好きだ。
最近とんと見かけなくなった半ズボンをさらりと履き、
真冬のこの時期、惜しげもなく膝小僧を晒したりしながらも、
風邪ひとつひかないしっかりした小学生。
だけど時々、学校であった出来事なんかをコロマルだけに話してくれたりするし。

頭がいいコドモほど、何かを乗り越えるのが大変なんだろうと思う。
背伸びをしてもいるけど、そうして頑張った分だけきっと背も高くなる。
だから天田少年が大好きだ。




アイギスが大好きだ。
タルタルでのロケットパンチ、かっこいい。 目からビームは出ないのかと聞いてみたら、
「出ません」 て答えだった。 出ればいいのに。
コロマルと唯一、一言一句違わず意志疎通可能な美少女ロボ。 最高だ。

撫でてくれる手が優しくなった。
「コロマルさん」 て呼んでくれる響きも優しくなった。
だから人間じゃなくても、彼女が何でも、
アイギスが大好きだ。




























荒垣先輩だって大好きだった。
どんな高級フードよりどんな特別おやつより、荒垣先輩の手作りゴハンの方が美味だった。

割り切るんじゃなくて、悟り切るわけでもなくて、
ただ決意して覚悟をしていた。 たぶん一番格好良かった。
いつか自分も向こう側に行ったとき、また彼の手作りゴハンが食べられたらシアワセだ。
だからコロマルはいつか来るその日が来たって怖くはないし、荒垣先輩が大好きだ。












そしていつものよう、
今日もまた階段から降りてくるハンドポケット・MP3装備の彼が大好きだ。
降りてきてテレビを付ける前に、まず先に必ずコロマルに話しかけてくれる。
コロマルはいつだって 「ワン!」 しか言えないのに言わないのに、
絶対絶対欠かさず毎日毎日語りかけてきてくれる。
それだけのことが本当に嬉しい。




だから大好きだ。 本当に本当に大好きだ。
























そろそろ一月も終わりに近い。




「ワン!」




もうすぐ、一月三十一日が来る。





初めて普通のものを書いてみました。
コロマルラブ・・・・!