[ S.S ]


※名前は公式(?) の 【鳴上 悠】 でやらせていただきました





イケナイコトをする時はいつもいつもこっそり二人だけでテレビの中の世界に行って、
その中でもそこそこ安全ぽい場所を探して引っ付いたり重なったりSexしたり、
大概そんな生活を送っていたから。
どれだけ思い返してみても、現実の稲羽市でソンナコトをした覚えは、
花村陽介としてはこれっぽっちもなかったから。




「おわッ・・・!?」




ここが現実世界だということに油断、していた。
というより、安心していた。
今にも小雨の降り出しそうな秋の日の夕刻、
もっと洞察力・判断力・回避能力を駆使することができたなら、肌身でなんとなくでも危険的危機的雰囲気を感じ取れたかもしれない雰囲気(・・・・) の中、
「とりあえず一休みしていけば」
なんて誘いにひょいひょいと乗っかってついて行った彼の部屋。




「ちょ・・・・ちょっと待て!」




しかも入るのは今回が初めてではなくて、
あるイミ 『かつて知ったる』 程度には出入りしたりしていた場所でもあって、
だから、
だからこそ陽介は何故に、ナニユエに自分がこんな状態(彼の布団の上で仰向け・押し倒され・そして真上には部屋主の顔) になっているのかがわからない。
確かこの部屋に足を踏み入れたのはつい一分前で、
そして床に放り出してあった本 【THE・外道】 を拾い上げ、
「なんだこの本?」 とパラパラめくっていたら途中のページからパラッと落ちた一枚の使用前開封前避妊具(!) を反射的に拾ってしまい驚いて絶句したのが三十秒前、
そんな自分に当の鳴上が 「ああ、栞がわりにしてた」 などとこともなげに答えたのが二十秒前、
それから、
ええとそれから、
「お・・・お前・・・なあ・・・・」
あまりに呆れたフリをして、突如出現した何だか 『ヤバい』 空気、
不穏な方向に傾きかねないフンイキを消し去ろうと模索しかけたのが十五秒前、
なのに。
まるで残り十数秒、カウントダウンを開始されたかの如く。
気付けば一体いつの間に、そんなところに移動したのか陽介の背後から、
すっと耳元に寄せた唇で鳴上はさりげなく。




「Safe、Sex」


「っ・・・・!!」




途端、視界の反転。
「おわッ・・・・!?」
どさりと仰向けに有無を言わさず押し倒された背中を受け止めたのは折り畳まれた寝具一式、
重なるようにして覆い被さってきた端整な顔立ちと長い腕。
おまけに再び、
「しよう」
含み笑いと共に耳元で囁かれ、陽介はかあっと頭に血を昇らせる。
「ちょ・・・・ちょっと待て!」
慌てて起き上がろうとするのだけれど、しっかり抑えこまれてしまって大して動けない。
焦り慌てつつ、なんとか動かせるのは口だけで。
「ま、マズいだろココじゃいくらなんでも、菜々子ちゃんとか・・・・!」
「絶対来ない。 万が一来たら何とか誤魔化すから」
「どうやってだよ!? そそ、それに堂島さんだってそのうち帰って来んだろ!」
「今夜は帰れないって昼のうちに連絡貰った。 安心しろよ」
「〜〜〜〜〜!」
「邪魔は絶対に入らないから」
どこから湧き上がるものなのか、やたら自信満々に言い切るリーダー。
「そ・・・・そう言われてもさ、」
だがしかしどう足掻いても逃げ道はなさそうで、陽介は早くも半分覚悟を決めかける。
が、最後の最後、最後にもうひともがき。
「布団とかシーツとか、汚しちまったら困るのお前だろ・・・・?」
テレビの向こう側ではそんなこと気にも留めずにいられたけれど、
こちら側ではそういうわけにも行かない。 なんたって現実なのだ。
おまけに鳴上は居候の身で、汚すのがせいぜいシーツ一枚程度ならこっそり洗濯は可能かもしれないけれど、
たぶんそんな程度では終わらない。 実際、男二人分だし。(何が)
そう懸命に言ってみたのだが、そんなことは何の障壁にもならなかったようで、彼はあっさりと。
「別に困らないし構わない。 もし捨てる破目になったらジュネスで買うから」
「・・・・へ?」
「向こう側でしかしたことなかっただろ。 だから今日はこっちでしたい」
「・・・・・・・・・・ああ、そう・・・・」
『どうしてもしたい』 ときっぱり言い切って譲らない彼に、残り半分の覚悟も諦めと共に決まる。
「・・・・で、どうすんだ、一応コレ、使うか?」
反射的に拾い上げてしまい、それからずっと手の中で保管してしまっていた一個、
【激薄・潤滑剤ジェルタイプ】 をやっとこさ自由になった片手でひらひらと振ってみせると。
「使ったら栞にするものがなくなるから」
ひょいと奪われ、無造作にポイと床下に捨てられてそれから。
「それに、ナマでやってればいつか花村が孕んでくれるかもしれないし」
本気なのか冗談なのか一概にはわからない真顔で一言。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理だろ・・・・」




陽介の溜め息と同時、窓の外ではついに雨が振り出した。




























無音に近い雑音にしか聞こえないかすかな雨音の中、
部屋の中はより濡れた吐息が充満している。
「・・・・く・・」
すでに衣類を全て取り去られた陽介の身体がシーツを背に、小さく戦慄いた。
噛み締めた唇から漏れる声は僅かばかり上擦っていて。
その上、覆い被さるようにして自らの真下にいる陽介の肩口や胸元にいくつもキスを送りつつ、鳴上は普段より少しだけ低く小さく彼の名前を呼んだ。
「花村」
「・・・・ん」
吐息の続きのような声での返事。
それまでずっと閉じていた目をうっすら開き、きちんと呼びかけに、
表情でも返してくれるそんな無意識な仕種が嬉しい。
「明日用事ないなら、今夜泊まってけば」
「え? けどよ・・・」
「うちは大丈夫だって。 朝起きてお前がいれば菜々子も喜ぶ」
「・・・・それなら、そうするかな」
「よし、決まり」
鳴上は心の中でほくそえむ。 「菜々子パワー」 はいつもの通り、絶大だ。
とは言え菜々子をダシに使ったわけじゃない。
実際、朝起きて陽介がいたなら彼女はとても喜んでくれるだろう。
でも結局それはどこまでも結果論で、そこに至るまでに付随する、
『朝まで陽介と一緒』 という事実に胸を躍らせているのは無論自分の方で、
『朝まで一緒』 ということは 『少なくとも三回以上は可能』
という時間的余裕をもあらわすものであって。
「一回終わったら、家に連絡入れとくだろ?」
確認のため、一応告げておく。
その言葉に陽介は一旦、軽く頷きかけて。
「・・・・一回・・・・? って、てことはお前・・・・!」
ふとその含みに気付いてしまい、泡を食いかける彼に苦笑。
しかし苦笑しながらも緩やかに開かせた陽介の両脚、
その内側に口付け吸い付いて、いたるところに赤い跡を散らしていく。
「つ・・・・っ・・・・、」
季節柄、露出のすることのない部位であるのを良いことに唇を使って濃く薄く、
柔らかなそこにいくつもの跡を刻みつけていく一方、
握られた手には勃ち上がりを見せつつある陽介自身が収められていた。
内腿に口付けるたび、吸い上げるたびに少しずつ熱と質量を溜めていくそれを、
ゆっくりとだが丁寧に上下に扱き上げ、刺激を与え続ける。
「・・・・ッ!」
そんな丁寧な愛撫に、陽介は吐息を絡ませる。
僅かに視線をあげ、外ハネ猫っ毛の散る頬と、
すでに蕩けはじめた瞳が上気してしているのを確認し、
鳴上は内腿にあった舌をつぅ・・・・、と脚の付け根まで滑らせて移動させ、
濡れた舌先をそのまま自分の掌中に包み込んだ陽介自身の先端に、軽く這わせた。
「んッ・・・・っ・・」
特に敏感な部位への濡れた刺激に、たまらず陽介の腰が跳ね上がる。
「・・・・・・」
弱い箇所。 それは同性であるがゆえ自分にも嫌というほどわかっている。
が、わかってはいるものの実際のところ、
その反応に鳴上としてはいつもついつい感心してしまうのだ。
『コウイウイケナイコト』 をするようになってまだせいぜい数ヶ月、
それほど日にちも経っていないのが事実ではあるけれど、
まあ若い身の上でもあるし回数的にはそこそこ(と自分で言うのも何だが)
繰り返している行為であるはずなのに、陽介の身体はなかなか慣れずにいるらしい。
慣れることを知らないのか、または感度が良すぎてのことなのか、
どちらにしろ否が応にもたっぷりと弄ってやりたくなってしまう。
まして今夜はお泊り決定、時間は山のように残されているがゆえ、
自然、どうしたって心が沸き立つのがニンゲンというもので。
そう考え、思い立ったが吉日。 陽介自身への本格的な愛撫を開始・重ねていく。
先端に這わせた舌を僅かにずらし、括れの部分に濡れた舌を絡ませて、
その形を辿るようにするのを何度も繰り返していくうち、
「ん・・・・くッ・・・・」
我慢できなくなってきたのか、陽介が片手で口許を覆い、
どうしても漏れてしまう声を抑えるためにかぶりを振りはじめる。
が、これもいつものこと、
今更抑えたって仕方のない声を出させるため、鳴上は指先で陽介自身を大きく扱き抜きながら、合わせて先端をすっぽりと口中に含み入れた。
「うぁ・・・・ッ・・・!」
一際敏感な箇所を濡れた粘膜に包まれて刺激される感覚に、
陽介は思わず声を抑えることも忘れ、
咄嗟に伸ばした腕で鳴上の頭を押さえ込もうとするのだけれど、
「・・・・ぁ・・・・!・・・っ、・・・・っ・・・」
震える指先と、抑えるもののなくなった唇からどうしても零れてくる喘ぎに結局なにも出来ずに終わる。
こいつとの、この転校生とのSexで覚えた自分ではどうしようもない性感。
与えられる快楽は本当に甘くて甘くて、
その快感に流されないよう溺れないよう、懸命に耐えるのがやっとのことだ。
どちらが上になるか、をジャンケンで決めた(!) 一番最初のあの時(そして負けた(!!)) から、こうやって絡み合うたびに齎される快楽はもうどこへもやれず、
外見ストイックなフリをして、中身欲情野郎な鳴上の行為と行動に、いつだって翻弄される。
挿入の際の痛みには、最初の二・三回目ですでに慣れた。
また、こんなふうに互いに身体の全てを曝け出す行為にも(互い、だからこそなのかもしれず) 気がつけば抵抗感などなくなってしまっていた。
であるはずなのに、行為から繋がる快楽には、
この快感だけにはまだまだ到底慣れるということがなく、
どれだけ我慢しようとしても出来ることではなくて、どれほど乱れてもどうにもならなくて。
「っ・・・・っ・・・ぁ、ッ・・・・!」
すでに昂ぶりはじめた陽介自身を丁寧に丁寧に、しつこいとも言えるほど丹念に舐め上げられて、細身の裸体が汗ばんでくる。
自分でもわからないまま、何を急かしたかったのか、指先を埋めた銀髪をふと衝動に任せて僅かに強く掴むと、
痛いやめろって、と目線だけを上げた鳴上に銜えられた先端を軽く吸われた。
「うぁッ・・・・っ・・・!」
吸われた刺激に、陽介はびくん、と腰を震わせ浮かせてしまう。
「久し振りなんだから、愉しもう」
乱れるに陽介に小さく告げ、腰を浮かせた拍子により差し出されてくるような形になった自身を、鳴上は再びゆっくりと舌を絡ませて味わいながら刺激していく。
「・・・・ッ、ん・・・・・・っ、・・・・!」
濡れた暖かい舌が続けざまにあちこち這いまわり、いつからか先端よりとろとろ溢れ落ち零れていた透明な蜜に、僅かだが白いものが見え始めてくる。
「も・・・・っ離、せ・・・・って・・・・!」
絶頂が迫り、がくがくと腰が大きく動きはじめ揺らめき出した陽介が制止するけれど、
まだまだこれから、と楽しみたい彼がそんな声を聞いてやるわけもなく。
「っあ・・・・ッ!!」
手で捕らえた根元をきつく擦り上げると同時、溢れて止まらない蜜の零れ続ける先端の窪みを、尖らせた舌先で二度、三度と突付いて刺激を与え、陽介を追い上げる。
「・・・っ、う、ぁ・・・・ッ・・・・!」
溜まった熱に大きく膨れ上がった自分自身、その最も過敏な先端にそんなことをされ、感じる刺激がつらい。
何か縋るものがほしくて、でも何もなくて、掴んだままでいた鳴上の髪ごし、白くなるまで手のひらに爪を立てるが、もう身体の震えは止まらない。
「・・・・っ、ぅ・・・・ッ・・・!!」
限界を訴え、震えて止まらない腰に大きくかぶりを振った直後。
く、と鳴上がどこかで一瞬笑ったような気がして、
それまで軽く突付いてくるだけだった先端に、ぐいっ、と強く舌先が差し入れられる。
「ッ・・・・!!」
唐突な強い愛撫に耐え切れず、鳴上の思惑通り陽介は彼の口内に、一度目の熱を弾けさせた。




「・・・・・・・っ、ぁ・・・・」
口内のものをいとも簡単に鳴上は嚥下し、真横で達したばかりの陽介が荒い息をつくのにも構わず、仰向けのその体勢をころりと片腕で変え、素早く背中の後ろに枕を移動させ背当てにさせて、早々に最奥を開かせる。
「・・・・っ!?」
それまで絶頂の余韻に意識をやっていた陽介は、普段と比べてやたらと早い最奥への準備に、びくっと身体を震わせた。
「ちょ・・・っ、待、てって・・・・・!」
「待たない」
「なっ・・・・!」
剛毅なのか傍若無人なのか、一言のもとに言い切られ、
と、曝け出された最奥に濡れて暖かな舌が触れてきて、それ以上問答を続けることが出来ない。
「んぁっ・・・・!!」
つい今しがた達したばかりで身体を駆け巡った熱が収まらず、
火照りの消えないところに新たな刺激が重ねられ、
たまらずに陽介は力が入らないながらも何とか留めようと、片肘をついて上体を起こそうとする。
が、さすがリーダー(?)、陽介のそんな抵抗も全て見越してあるかの如く抑えてしまい、
それどころかより一層、その奥まった場所に深く舌を寄せてきた。
「あ・・・・ッ・・・・!」
一度周囲をほぐすように、そのあたりを優しく舐めてから、静かに舌先から奥に差し入れる。
最初はまだ固い入口をゆっくりとかき分けて進み、舌の届く限界まで埋めこみ、中を舐め擦り濡らし上げた。
「・・・っうぁ・・・っ、あ、・・・・ッ・・・!」
自らの内側で柔らかく蠢くものが舌だという事実に加え、そこから紡ぎだされる湿った感覚に陽介はびくびく背中を震わせる。
普通なら、指を使うはずのこの行為。
最初にこうされたときは本気でぶん殴ってやろうかと思った。(結局何も出来なかったけれど)
けれど仕掛けてくる当人はこの上なく楽しげで、
唾液を送って内壁を濡らしてきたかと思えば、おもむろに大きく突付いてきて、弱い部分を探り当てようとしてくる。
「っ・・・・、ぅあっ、・・・・・、んぁ・・・ッ・・・」
敏感な内壁の粘膜をあちこち探られ、舐め上げられる感触に陽介は懸命に耐えようとする。
が、
内側の舌が、とある一部分を少し強めに押し上げた途端。
耐えようとして懸命に掴んでいたシーツの端も離してしまうほど、その位置から全身に途方もなく鋭い快感が走り抜けた。
「ひ・・・・ッ・・・・!!」
たまらずにビクン、と全身を大きく仰け反らせる陽介。
その様子に鳴上は一度舌を引き抜いて顔を上げ、何やら含みのある笑みを口元に浮かべ、おもむろに言ってきた。
「家に電話、やっぱり今のうちにしとけよ」
「・・・・・・・・・・・・・・は・・・・?」
何を言うかと思えばあまりに唐突で、
まったく落ち着かない呼吸ながらも陽介が思わず目を丸くすると、
「いいから」
どこに置いてあったのか、器用に伸ばした片手で探り当てた彼の携帯電話を差し出された。
(こんな状態で家族と話せってか・・・・・、)
陽介は内心で半ば呆れ果てるものの、
まさしく今、こんな状態で下手に拒絶したり断ったりしたなら、まず間違いなくロクな目に遭わされないということくらい、リーダーの気質はわかりすぎるほどわかっている。
だからここは大人しく電話をかけることにする。
コール五回目で出た父親に、コイツのところに外泊する、と軽く告げて簡単に了承を貰って電話を切ると、
「なんだか随分簡単にOK貰えたな」
と感心されて。
「まあ、俺が女の子だったらそうも行かないんだろうけどな」
こういうときは男でよかったって思うよな、と言おうとしたところで、突然寄せて来られた端整な顔。
直後、深いキスに捕らわれた。
「・・・・・っ・・」
滑り込んでくる舌を抵抗もせず口唇を開いて受け入れると、
侵入してきた舌は迷うことなく陽介の舌を探し当てて絡め取り、吸い上げてくる。
「・・・・っ、ふ・・・・・」
柔らかく甘いディープキスに、少しずつ思考が乱れていく。
「!・・・っ、ん・・・・っ・・・」
口腔内の弱い箇所を彷徨う舌先で軽く舐められ、ぞくりと背筋を走る感覚。
どれだけ口唇を貪り尽くす気なのか、鳴上は繰り返し角度を変えて、深いキスを貪る。
「・・・・、・・ぁ・・・」
やっとのことで長い酸素不足から解放されたときには、陽介の息はすっかり上がってしまい肩で大きく呼吸するようになってしまっていた。
こんなの高校生の、それも野郎同士のするキスじゃない。
なのに当の当人は一人で余裕綽々。
またキスに持ち込めるほどの至近距離、吐息が触れあうほど間近で。
「それなら、俺と結婚するって言っても簡単にOK貰えそうだな」
「な・・・・」
これまた呆れる陽介の細い顎を伝ったキスの名残り、どちらのものともつかない唾液の落ちた線を辿って舐めながら、
「もし反対されても向こうの世界でずっと暮らせばいいだけだし。 ・・・・そうするか」
ほとんど独白に近い物言い。
そして句点の後の最後だけ、誰にも聞こえないほど小さな呟きで。
言ったが早いか、先ほどまで舌先で丹念に潤していた最奥に素早く指を這わせた。
「・・・・っ!」
しばし放っておかれていた場所に触れられ、慌てて体勢を整えようとしてももう遅い。
「う・・・ぁ・・・・!」
焦らすかのように入口の周囲をそろそろと何度も撫で上げられ、たまらず吐息を吐ききったと同時、くぷりと潜り込んでくる長い指。
「、ぅ・・・・」
眉を寄せてその異物感に耐えるけれど、
内側は陽介本人でさえわかってしまうくらい、先ほどまでの舌による愛撫で随分と柔らかくなっていて、侵入してきた指を拒むどころか逆に包み込んで吸い付いてくるかのようだ。
「・・・へえ」
久し振りの割りにそんなに固くないな、と驚きと感心とを半分ずつ浮かべた鳴上の不敵な笑み。
その笑みを口許に浮かべたまま、埋めた指を内側でくいくいと動かし始める。
「・・・っ、ぅ・・・・っ・・・・」
しかしその指先は内壁を擦り上げはするものの、陽介のポイントをまるっきり無視する。
時折近くを掠めてはいくけれど、あえて外れた別の箇所を擦り上げたり、明白にかわしたり。
「、ん、く・・・・!」
感じるけれど充分ではない、もどかしい感覚に腰が無意識のうち上下に動きはじめる。
そんな陽介に、彼はこの上なく愉しそうに。
「どうしようか、花村」
「〜〜〜〜〜ッ・・・・」
問いかける囁きに、ただ陽介が顎を僅かに縦に動かしてみせると、
「っあ・・・・ッ!!?」
それまでまったく別の位置で蠢いていた指先が、唐突にぐっ、とその部分をピンポイントで狙って突き上げてきて、
いきなり弾けた快感に背中が仰け反った。
「・・・っ、うぁ・・・・っあぁ・・・・ッ・・・・」
鳴上はそれまで全く無視し、焦らし続けていたその一点を、今度は執拗にそこだけ刺激していく。
「や、め・・・・っ・・・・ッ!」
つい先刻まで求めていたその場所への刺激であるはずなのに、
いざ押し上げられると今度は、あまりに大きい快楽刺激に翻弄され、受け止めきれない。
「うぁぁ・・・・っ・・・・!!」
一度転がされるだけでも、今にも漏れてしまいそうな快感が走るのに、
指は続けて何度もぐいぐいと押し上げ、擦り上げていき、身体がまるで自分のものではないかのよう、意思に反してびくびく戦慄く。
「・・・・っは・・・!」
指が一本増やされた。
一瞬、増した圧迫感に陽介は身を震わせるのだけれど、
それも気づけば内壁を擦る快感に変わってしまい、増えた指で内側を広げられる。
そうしてまた別の位置を突いてこられるたび、快楽を求める身体はその受け入れている長い指を強くきつく締め付けて。
「・・・ぅ、う・・・ぁ・・・ッ・・・!」
いつの間にか三本に増えた指から与えられる感覚と快感に陽介は必死に耐える。
すでに一度達しているとはいえ、若い身体は刺激により素直で敏感で、
見ればまた中心部も再び勃ち上がり、内側から与えられる快楽によって流れ出る蜜がとろりと滴り落ちていた。
鳴上がそれを見落とすはずもなく、
「っくは・・・・ッ・・・!」
空いている方の手で、しとどに濡れ落ちる肉棒を包み込まれ擦られ、
内側から外側から襲い来る刺激に背中がしなる。
加えて鳴上は更に追い込もうというのか、手をその下方の双珠に滑らせ、
やんわりと柔らかく包み込み、揉み上げて別の刺激を送ってきた。
「・・・・っっ!!」
想定外の部分への愛撫に、身体はみるみるうちに絶頂に近づく。
「も・・・っ・・・、ぁ・・・ッ・・・・!!」
全身がかたかた震え、胸元をすぅっと汗が伝って落ちた。
「もう一回、出せ」
囁きと同時に、身体をずらした鳴上にぱくりと自身を口内に招き入れられ、
同時に埋められていた指をまとめてズッ、と激しく引き抜かれて。
「―――――ッ!!」
内壁を強く擦り上げられたその刺激が引き金となり、
こらえられず陽介は二度目の白蜜を吐き出した。




「・・・っ・・・・う・・」
断続的、数回に分けて吐精していく先端を、全て飲みたがる鳴上に何度も丁寧に吸い上げられ、白蜜を搾り取られる。
吸われるたびに跳ね上がる腰は快楽に砕け、甘く疼いて仕方ない。
「・・・は、・・・・っ・・・・」
吐精の余韻に陽介はくったり、弛緩した身体をシーツの上に投げ出して沈み、
収まらない呼吸を繰り返そうとする。
だが、鳴上は性急で休ませる暇を与えない。
すかさず片脚を抱え上げ、いつの間にか先程の陽介と同じくらい熱を持ち硬く猛った自らを、指で散々慣らした最奥へとゆっくり押し当てた。
「な・・・ッ、早・・・・ッ・・・!」
「・・・・俺も限界」
「っ、・・・ッ・・・! っうあ・・・・ぁッ・・・・」
陽介は何とか押し留めようとするけれど、
強引にスルーされ、ズ・・・、と熱いものが押し入ってくる感覚に、身を震わせる。
「ちょ・・・待・・・・っ・・・・!」
喘ぐ陽介を余所に、構わず鳴上は腰を進めていく。
その過程でわかる。 戦慄く陽介の身体が伝えてくる通り、達した直後は通常より感度が敏感になっているらしく、今はきっと全身が性感帯のようになっている様子で。
まだ一度も出していない鳴上もそこそこ限界なのはわかるけれど、
陽介からしてみたら、とてもとてもたまったものじゃない。
「、――――、っ・・・」
内壁を擦り上げながら侵入してくる感覚に、ぞくぞく湧き上がる快楽。
痛みは感じないけれど、先程の指とは段違いの質量が生み出す圧迫感に息が詰まる。
反面、内側は切っ先が奥まで届いたと同時、
きつく強く締め付け、与えられる歓喜に収縮を繰り返してきた。
「・・・・!」
あからさまな歓迎に、鳴上も唇を噛み締める。
「加減、しろって・・・」
「ん、な・・・無、茶・・・・、言・・・うなっての・・・・!」
加減してほしいのはこっちの方だ。
陽介は思い切りそう言ってやりたかったのだけれど、
繋がったまま、ゆっくりと上体を近づけてきた鳴上に唇を唇で捕らえられ、
深く口付けられて諦めざるを得ない。
「ん、・・・・ッふ・・・!」
鳴上が口付けたまま、下半身を動かして己を埋めた内部を掻き回してやると、
腰の動きに合わせ、ぴったりと密着した互いの腹部で陽介自身が擦られ、
塞がれたままの唇から漏れる、くぐもった甘い声。
でもきつい。 縦横無尽に動くにはまだ少しだけ無理があって、
「もう少し、緩められるか・・・・?」
言いながらも返答は待たず、鳴上は最初の軽い律動を続けて繰り返す。
熱く湿った粘膜を擦り上げ、蹂躙するたび繋がった箇所からは、濡れて粘った淫猥な水音が響いてきた。
と同時、腰を前後させるたびに、互いの間の陽介自身の先端からもとろとろと蜜が溢れ出す。
「・・・あ、っぁ!・・・・ぁ・・・・」
間隔を置いて時折続けられるキスと、繰り返される緩やかな快楽刺激に、陽介の体から次第に力が抜けていく。
そうやって身体も内側も大分慣れてきたところで、
鳴上はベッドの上に上体を起こし、陽介の腰を両腕でシーツに抑えつけ固定させて、本格的に律動を開始した。
「うぁっ・・・・! あ、あッ・・・・!!」
荒々しく突き立て、引き抜き、またぐっと奥まで突き上げるたびに濡れて淫らな水音を立てる互いの下肢。
陽介の柔らかく融けた内壁は、侵入すると弾力を持って阻もうとしてくるのに、
いざ引き抜こうとすると、名残惜しそうにぐいぐい絡んで離れない。
そんな貪欲さに応えてやるべく、
内側、弱い弱い箇所目掛けて思いきり強く突き上げた。
「っああ・・・・ッッ!!」
瞬間、全身を貫く強すぎる快楽刺激、性感に陽介は身を仰け反らせる。
見ればその目尻には涙が浮いていて、
痛みでもなく、羞恥でもない、ただ快楽のみが浮かばせた涙に鳴上は機嫌をよくし、
より楽しそうにそのポイントばかりを狙ってぐいぐい押し上げ、攻め込んでいく。
「い・・・・ッッ!!」
一度刺激されただけでも、全てを持って行かれそうなほど感じてしまうのに、そんなふうにされたら。
「や、め・・・・ッ、無、理だ・・・・って・・・・!!」
必死の制止も、
「全然無理じゃないだろ」
「ひぁ・・・・っ・・・・!?」
一蹴されて終わり、それどころか逃げ打つ腰を掴んで引き寄せられ、より強く容赦なく抉られる。
「んッ―――、ぅあぁッ・・・・!!」
ぐっ、と押し上げ埋め込まれたまま、意地悪く切っ先を使ってぐぐぐ、と擦られて、もう意識がどこかへ行ってしまいそうだ。
「ぁっ・・・あ、・・・・っあぁ・・・・っっ・・・・!」
動かされるたび、突き上げられるたびに喉の奥から、掠れた嬌声が零れて弾ける。
それはもう唇を噛み締めても、どんなに堪えようとしても抑えることは出来なくて、
理性も何もかも奪われてしまいそうで。
「――――― 陽介」
「ッ!!? ・・・・ッうぁ・・・あ、ッ!!」
普段は苗字呼びのくせに鳴上はこんな時だけ下の名前で呼んでくる。
悔しいけれどそれにも反応してしまった直後、
突然、それまで放っておかれていた陽介自身に、するりと指が絡められてきた。
器用なその指は、激しい腰の動きとはまったく別の動きを見せ、
すでに先走りの蜜で滴るほど濡れ落ちた陽介自身を、根元から先端まで往復してつぅっとなぞって行き、
何度か位置を変えて行き来したあと、お次は真っ赤に色づいた先端を指の腹でくちゅくちゅ捏ねまわす。
「んぁぁ・・・・ッ・・・・!!」
「三回目も、・・・・イケそう・・・だ、な」
「・・・っあ、あぁ・・・・ッ、な、んで俺・・・だけ・・・・ッ・・・!」
攻められ続け、蹂躙され与えられる快楽に飲み込まれながらも、自分だけ何度も達かされているという事実が恥ずかしくて、かぶりを振る。
が、結局身体が欲しがるのは、思考を上回る快感だけで。
一方、鳴上だって陽介が思うほど実際のところは余裕があるわけじゃない。
証拠に荒く乱れた息のもと、グイッと乱暴に陽介のの一番悦いところを一際強く突き上げ、抉った。
「――――!! ッあ、ぅ・・・・っ・・・・!」
長い指が絡み、扱かれ続ける陽介自身から溢れだした蜜が伝って、繋がった箇所にまで滴り落ちていく。
そうやってずっと刺激され続けるのに重ねて、内側の弱いところに連続して打ち込まれ、
がくがくと大きく揺れ動き出す下半身。
「もッ・・・・・も・・・っ、っぁ・・・・ッ・・・・!!」
限界を迎え、絶頂に向かう身体。
たまらずに腕を回してしがみ付いた彼の肩口、縋った指先がぶるぶる震え、
内壁の粘膜は鳴上をこの上なくきつく強く締め付けて。
「・・・・ッ、」
締め付けられる快感に鳴上も眉を寄せ、高みを誘ってくる秘肉に引き摺られそうになりつつも懸命に堪え、
最後に思い切り強く乱暴に、奥の奥まで突き入れた。
途端、
「ひ・・・・ッ、っ・・・・・!」
その手の中、絶頂を解き放って弾ける白濁。
手の内に迸った熱を感じながら、追って彼も陽介の身体の奥に、熱い飛沫を叩き付けた。












身の内で放たれた熱も消えないうちに、ずっ・・・・、と彼自身が引き抜かれていく。




「・・・・ん、・・・・」
その感覚に僅かに喘ぎながらも、快い脱力感と開放感に浸って少しだけまどろみかけた陽介だったのだが。
間を置かず伸びてきた鳴上の腕に起こされて、「へ?」 と思う間もなくキスにぼんやりだが意識を引き戻される。
「・・・・ん?」
そのまま体重をかけて身体ごと押し倒され横たえられ、またしても最初と同じような体勢に変えられてしまった。
このあたりでやっと我に返った。
「お、おい・・・・」
何してんだよ、ま、まさかな、と迫り来るアレな予感に、慌てて目の前の顔を見上げたら。
「時間はまだ山ほどあるし」
それに俺、まだ全然足りないし。 と彼はやたら不敵な笑みで迫ってくる。
「じょ、冗談、だろ?」
「俺はいつでも本気だけど」
「・・・・・・・・!!」
たらーり、と背筋を冷や汗が流れ落ちてきて、
その間にもより覆いかぶさってくる鳴上の肩口を片手で掴み、ぐぐぐ、と何とか押し返そうと押しのけようと力を込めるのだが、
この体勢からでの逆転はほぼ不可能。
となれば最初から力の差は歴然としていて。
「・・・・あうッ・・・!」
でもじたばたもがいて往生際の悪い陽介を、見越した彼の手が下肢に潜り込み、
先ほど放ったばかりで濡れたままの自身に添えられ、きゅうっと握られて力が一挙に抜けてしまう。
「ぁ・・・・ッ、な、・・・・ッ・・・・!」
握るだけでなく、弱いところもやんわりと揉みしだかれ、うまく言葉になってくれない。
せめて僅かな抵抗を、と懸命に身じろいでみたりしても、
所詮無駄な抵抗、無駄に体力と時間を費やすことになってしまった。
「ぜ・・・・絶対ヤバいって・・・・!」
「そんなヤワじゃないだろ?」
「壊れちまったらどうすんだ、って・・・・・ふあッ・・・!」
まだ問答の最中、思いっきり途中なのに、握り込まれた自身の先端を指先でくいっと僅かだが強く刺激され、陽介はびくん、と身体を竦ませる。
「本当ならそれくらい花村のこと、壊してみたいところだけど」
それはもう少し先に取っとく、と戯言をほざきつつも陽介自身を玩び、底知れない笑みを見せる鳴上悠。




・・・・・・MADだ。
陽介はそう確信する。
こいつは端整な顔立ちで、見かけや上辺の行動だけはマトモな漢のフリをして、
そして更に性質の悪いことに実力も半端なくて、
なのに、
その実、実際はこんな。




「ッ、馬・・・鹿やろ・・・・っ・・・!」
指先で濡れたままの過敏な先端をくるくると撫で回され、我慢できずびくびく腰が戦慄いた。
「・・・・んッ・・・っ・・・、ッ・・・・っっ・・・!」
だめだ。
やっと陽介は動きを止めた。
抵抗したって結局、ロクなことにならない。
間違いなくするだけ無駄で、抵抗すればするほど鳴上のやる気に火を付けるだけで。
すると鳴上は完全に力を抜き、白旗を掲げた陽介を今度はころりと手馴れた様子で(!) うつ伏せに変え、腰だけを自分の方に突き出す形にさせた。
「・・・っ・・・・!?」
と、先程とは違った体勢で、突然再び最奥を晒されてしまい陽介は息を飲む。
二本の指で不躾に大きく開かされた入口から、先程放たれた鳴上の残滓がとろりと太腿を伝い、一筋二筋シーツに零れ落ちる中、
構わず鳴上は、小刻みに震える最奥、開き濡れたその場所に舌を持って行った。
「ふ・・・・、っ・・・・!」
すでに一度受け入れている最奥は、ヒクン、とヒクついて差し込む舌を楽しませ、
心持ち舌先を尖らせて内側へより侵入させると、蕩ける柔らかさで受け入れていく。
「・・・・ぁ、うぁ・・・・っ・・・・っ、く、・・・ぅ・・・・っ」
うつ伏せに、シーツに顔を埋めて卑猥な疼きに必死に耐えようとする姿に苦笑いしながらも、柔らかさと温かさを堪能し、
自らの味のする秘部を散々味わい確認してから、やっと鳴上は舌を引き抜いた。
それでもきつくシーツを掴んで顔を伏せたままの陽介に、
今度はまとめて二本、揃えた指をくぷりと沈め込む。
すでに慣らす必要はない。
何度も高みに達した直後にも関わらず、相変わらず内部は熱くきつくて、
つい先ほどまで自分を受け入れていたとは思えないくらい、しなやかに指に絡みつき、吸い付いてくる。
その反応に満足し、一度軽く唇を舐めてから素早く指を引き抜き、
小さく上下する腰を後ろから抱え上げ、ぴったりと引き寄せ密着させてから、再び熱を持って猛る自身を宛がった。
「・・・・っ・・・!」
背後から直接触れる熱に、陽介は僅かに身を強張らせる。
直後。
「あぁぁ・・・・・ッ・・・・!!」
ぐちッ・・・・、と音を立て、鳴上が一気に最奥まで侵入してきた。
すでに嫌というほど受け入れさせられた箇所を、更に深く後ろから貫かれる感覚に、しなやかな背中が弓なりに反り返る。
「あッ、あ、ぁ・・・・!」
「・・・・凄い」
背後から微かに耳に届いた吐息混じりの言葉の意味もわからないくらい、過敏になりすぎてしまっている身体は快楽に飲み込まれて。
びくびくと全身が震える。
「うぁ・・・・・ッ・・・・・あ、ぁ・・・・・っ・・・っ」
僅かに腰を動かしただけで、相当感じてしまうらしい。
見て取り鳴上は、動きを浅く緩く、濡れに濡れて滑りの良い内壁をかき回し、穏やかな律動を繰り返す。
「・・・っ、っは、・・・・っ・・・!」
器用に腰を使われ、喉は甘い喘ぎを抑えられない。
弱いポイントばかりを狙って激しく突き上げられるときのそれとは違う、頭の芯まで蕩けてしまいそうな心地良い、
そこから響く甘く緩やかな快感に全てを支配されてしまいそうで、溺れそうになる。
「っ、くは・・・ッ・・・・」
繋がった箇所が、もう溶けてしまいそうなほど熱くて熱くて気持ち悦くて。
それは鳴上も同様、愉悦に満ちた表情を堪えられないまま、
「凄い、な・・・」
「ッあ!」
重ねる囁きと同時、戯れに後ろから胸元に伸ばされた手で、軽く乳首を摘まみ上げれば大きく反応を見せてくるから、
すかさず摘まんだままそれを指先でころころ転がして弄び、
「ッは、ぁ、ぁ・・・・ッ・・・・」
合わせて埋め込んでいる自身で、引き続き内壁に刺激を与えながら、ギリギリのところまで上体を折って耳元に近い場所で囁いた。
「・・・・こんなところが、マヨナカテレビにもし映ったら・・・・大変だろうな」
今ちょうど雨も降ってるし、と煽るよう言ってやった途端、
喘ぐ小さな声と共に彼を包み込んでいた内壁が一層、きゅうっと強く締め付けてきた。
「バ・・・・っカ・・・・・! シャレになんね・・・・っ・・・」
冗談抜きに洒落にもならない、まさしく冗談では済まされない科白に、ふるふると陽介がかぶりを振ってみせるのを愉快そうに見て、
それでも胸元にあった手を滑らせ、またも屹立して蜜を零す自身に添えてやれば、
「ッうぁ・・・・っっ・・・・!」
一際大きな艶声が聞け、鳴上を満足させた。
自然、自らの腰を突き込む度合いも多くなり早くなり、媚態に彼自身もぞくぞく煽られて。
一度深く息をつき、埋めた内壁の奥、悦い箇所を意識的に強く押し上げると、腰ががくがく戦慄いた。
その腰を宥めるかのように支える傍ら、下肢は中を余すところなくかき回す。
「んっ・・・、ぁ・・・・・っ・・・」
どうしようもなく漏れ落ちてしまう、堪えきれない甘く熱の絡んだ声をあげ、
与えられる快感にずっと浸っていた陽介だったのだが、
少しずつ時間が経つうち、次第に呼吸が荒くなり、漏れる吐息も徐々にせわしなくなっていく。
「・・・・あ、ぁ、・・・・・っは・・・・!」
時間をかけて、丁寧に確実に追い上げられた身体は、糸をひく先走りの蜜を滴らせる。
「ッ・・・・っっ・・・ぅ・・・あ・・・っっ・・・」
揺らぎ出す身体に嘘はつけなくて、陽介は無意識のうちに腰を揺らめかせ、より多くの快楽を得ようとする。
本能のまま素直に自分を求めてくる姿に、
「――――ッ、」
内側で一回り大きくなった彼自身が顕すよう、
自制がきかなくなってきたのは鳴上もほぼ同じ度合い。
攻め込んでいく動きも強さも、次第に激しく荒々しく変わっていき、
結合部分からの水音も大きく響く。
「・・・っく、ぅ、ぅ・・・・あ・・・・ッ・・・」
陽介の全身がかたかた小さく震え始める。
鳴上の手の内で揉みしだかれ、擦り上げられる自身も痺れるほどの愛撫刺激を受けて蜜を溢れさせ、包み込む手のひらまでぐっしょり濡らした。
「あ・・・っ、も・・・・っ・・・ダメ、だ・・・・っ・・・・!」
濡れた悲鳴のような喘ぎで陽介は限界を訴える。
痛いほど強い力で握られて、シーツに刻まれる爪の跡。
態勢からして仕方が無いけれど、どうせなら自分の背中に残して欲しかったと鳴上は思いながら、
まあそれはまた今度、と勝手に思い直して。
「・・・・ッ、、」
それから何かを堪えるかのよう、一度深く息を吸う。
直後、乱暴とも言えるほど荒々しく奥の奥を連続して突き上げた。
「―――― う、あぁぁッ・・・・っ・・・・!!」
途端、我慢の限界に達してしまって、たまらずに陽介は勢いよく白蜜を吐き散らす。
その熱さと、同時にぎゅっと締まった内壁に狂おしく締め付けられ、
鳴上も猛った熱を吐き出した。
























なんとかシーツの買い替えはせずに済みそうだったが、結局翌朝は、早朝から洗濯機を回す破目になった。
夜半の雨はどこへやら、さっぱり晴れた空の下で洗い上がったそれを鳴上が庭の物干しに吊るし掛けていたところ、ちょうど起きてきたらしい菜々子と鉢合わせる。
「・・・・お兄ちゃん?」
なにしてるの、とあどけなく訊かれ、




―――――――――――― そんな彼女に彼がした返答は。































「あのねお父さん、昨日ね、陽介お兄ちゃんがおとまりに来たんだよ」
「そうか、菜々子も遊んでもらったか?」
「ううん、菜々子朝しか会ってなくて、また今度ねって言ってすぐ帰っていったの。 あとね、お兄ちゃんシーツおせんたくしてたよ。 どうしたのって聞いたら、夜、陽介お兄ちゃんがおふとんに牛乳こぼしちゃったんだって」
「そうか」
「でね、陽介お兄ちゃん、なんだかちょっと元気なかった」
「?」
「おなか押さえながら、ふらふらしてたもん」
「そりゃあ・・・・牛乳にあたったんじゃないのか?」
「・・・・・・わかんない」
だけどお兄ちゃんは元気だよ、と首を傾げる菜々子の向こう、
ふと心配になり、冷蔵庫を開けて牛乳が傷んでないかどうか、パックに記された消費期限の日付けを律儀に確認する父・堂島。








知らぬが仏、とはこのことである。





久々にそこそこ長いえろ書きました。 楽しかった!
ちなみにタイトルはせーふ・せっくすの略でございます。 ←だからなに