[ Off ]






霜月もそろそろ残り少なくなってくるあたりで。
陽が落ちれば途端に本格的に冬本番の寒さを覚えるようになった頃、
この時期には珍しい突然の夕暮れの雨に降られて追われるかのよう、揃って駆け戻った堂島宅。
場所に意味合いは、特に無い。
驟雨にも二人して傘の用意などしていなかったし、その時居た場所から、
雨宿りとしてたまたま最短距離にあったのが彼、鳴上悠の、今は同居人の居ない間借り宅、
そこだったというだけだ。
雨粒を避け、急いで鳴上が鍵をあけ、駆け込んだ玄関には無用心にも灯りはなくて、
外よりも家の中の方が断然暗く、ほとんど見えない。
半分ほど濡れた靴を脱いで上がりながらの鳴上がパチンと玄関のスイッチを押し、
ようやく周囲が見渡せる程度に、明るくなった。
本来なら菜々子がちょこりと座っているはずの場所も、当然にして誰もいなくて、
別に彼が望んだわけでもない、否応無しに留守を守らなくてはならなくなってしまった故の一人暮らしに、
足立が 「大変だよね、キミも」 と、とりわけ意識せずともただそれだけでいろいろな意味を含んでしまう言葉をかけると。
「・・・・・まあ、仕方ないです」
鳴上は、水気を含んだ長めの前髪で目許を隠した表情プラス、抑揚のない返事でかえしてきた。
「って言っても、・・・・そろそろ慣れかけた頃なんじゃない?」
一人の生活にも、目まぐるしく変わる展開にも立ち位置にもさ、
と今度はさりげなく何気なく探ってみせれば、またぞろ抑揚も何も無い声で、彼はポツリと。
「意味が、わかりません」
「うん。 そうだよね。 わからないよねえ」
判るわけがないしねえ、とココは口には出さずに曖昧に流し、
「どうする? もう暗いし雨もすぐには止みそうにないし、今日はここでお開きにする? それなら僕は傘でも借してくれればこのまま帰るけど」
玄関口、まだ靴さえ脱ぐ素振りさえ見せず足立がそう嘯くと、
「足立さん、夕飯は」
どうするつもりですか、と質問に質問で返答された。
「え? 適当にどこかで買って済ますよ。 大して食べないし」
「それなら、何か作るんで食べていってください」
ふっ、と視線がかち合う。
瞬間、
あれ、もしかして淋しいのかな、とあながち間違いではなさそうな考えが閃きにも似た感覚で思い当たり、
そんな柄でもないし役割でもない、と自ら重々自覚していながらも、
「・・・・んー。 悠くんがそう言ってくれるなら、甘えようかな」
まるで大きな子供の子守りみたいだよなあ僕、と自然と浮かんだ苦笑混じりで頷いて、
「それじゃ、お邪魔します。 と」
一歩、上がったら。


「後で、すぐに風呂も入れるようにしますから」


「・・・・は?」


まだ玄関口でしかないのに、そのまま伸びてきた鳴上の腕に抱きしめられた。
「ちょ・・・・っ・・、いくら何でも早すぎだって・・・・!」
その気になるにしたって、唐突過ぎないかいキミ大丈夫!? と反駁する間もなく、
「風邪、ひかせたらすみません」
思い切り耳元で囁かれて、吹き込まれる吐息。
常套すぎると言えば常套以外の何物でもない、ただ真っ直ぐストレートな鳴上の欲情っぷり。
なのにこの数秒の間に、いつの間にか大して文句を言う気にもならなくなっていたのは、
多かれ少なかれ、乗りかかった船というか、子守りのついでというか、総じてわりと興味をそそられた、
今春から始まった暇つぶし(?) のスピンオフ延長戦というか。
だからほとんど抵抗もせずにいると、鳴上は足立の顎に手をかけ上向かせて、口を口で塞いできた。
唇から、鳴上の熱が体温として伝わってくる。
「体温、低いですね足立さん」
こんなに冷たい、と息継ぎの合間に鳴上に言われ、
「・・・・・・体温が高いのは子供の証、って知ってる?」
揶揄って返した足立の言葉に直接的な返答はなく、
鳴上はさらに激しく、熱を帯びた口付けを繰り返してくる。
口唇の間から舌を割り入れ、口腔内の舌を捕らえて吸い上げる。
まるでそれしか覚えていないかのような、儀式のようなキスに辟易した足立が、
隙をついて逆に強く強く舌を捉えて軽く噛み付いてやると、
「、」
やっと我に返ったのか、鳴上はようやく唇を離し、
「・・・・、すみません」
何故だか知らないが今更、謝ってきた。
「いや・・・・・・別に謝らなくったっていいって」
それほど悪いコトしてないのにそんなに真面目に謝られてもねえ、とひらひらと手を横に振ってみせる。
夢中になって暴走して後付けで謝る(しかもどこまでも本人は真剣に)、
という子供のときにしか使えない、この上なく狡賢い手法を絶対的無意識、の状態でやすやすと行ってしまうこの十も年下の高校生に半ば感心しながら、
「せめてさ、畳の上に移動しようよ」
キミの部屋でもいいし、
そこまで我慢も無理だっていうなら、そこの居間でもいいし。 と、先を促してやると。
「じゃあ、俺の部屋で」
迷う様子もなく、二階へ続く階段へ誘われた。
「わかった。 キミの部屋、なんだか凄く久しぶりだよねえ? 上がるの、初夏以来じゃない? いつも僕んトコだったもんね。 Sexするの」
「何も特に変わってないですよ」
「ふうん?」
そうだよね、最初っから僕とキミとの展開的な間柄も、実は大して変わっちゃいないんだよねえ、と意地悪く言ってやりたいのを我慢して、誘われるまま足立は階段を昇った。


次にココをこうやって昇ることとかあるのかなー、などとやたら妙に冷静に考えながら。















手早く敷かれた布団、その上で鳴上がじっと身体を見つめてくる。
先程互いに衣類は脱ぎ捨てて取り去ってしまって、足立はもちろん、鳴上も揃って裸の状態で、
そんな状況で長々と見つめられ、「・・・・何、」 と訝しげに口にすると。
「あの、足立さん、」
「ん?」
「本当に、細いっていうか、痩せてますよね」
「・・・・は?」
言われて続けて、顔を寄せられて耳朶にまでキスを受ける。
「いつもインスタントとか、レトルトばかり食べてるから痩せたままなんですよ」
「・・・・・・・・。 大きなお世話。 僕、絶対太らない体質だから。 これが普通なんだよ。 そもそもメタボより断然マシだと思うけど」
「でも細すぎて威厳とかゼロです」
「うるさいなあ。 ヘソ曲げてやっぱ僕、帰ろうかな」
「それは駄目です」
鳴上は、このままだと本気で帰ってしまいかねないくらいに眉をひそめた足立の口唇を塞いで、
次に首筋に顔を埋める。
唇でやわらかく辿って、ところどころを強めに吸い上げれば、
「皮膚、薄いからよく跡が残りそうなんですけど」
「目立つから、絶対ダメ。 余計な詮索とか、されたくないし」
「・・・・・・・・・・ひとつ、くらいなら」
「ダ・・・メ、だって・・・・ッ・・・!」
首筋にかかる息と、温かな唇と否が応にも触れ合ってしまう肌の感触に、
身体は自然と反応してしまい、胸に添えられた手のひらで、迷いもなく乳首を捕らえられて弄ばれると、
「ン・・・・!」
ビクッ、と大きく反応してしまうのは、もうどうしようもないわけで。
鳴上は、指先で弄ぶ片方はそのままに、もう一方の肉粒に口許を持っていき、舌先で何度かぺろりと丹念に舐め上げていく。
「・・・ッ、別に、そこはいいって・・・・」
「俺が舐めたかったから」
「キミ、ねえ・・・・」
呆れ半分で足立が見やれば、鳴上は素直なのか適当にごまかしたのか、一概には判別不能な答えを返してきて、
「それに足立さんだってちゃんと感じてくれてるし」
「違うから。 これはオトコの生理的機能で仕方ない反応ってだけだから」
「あの、・・・・・・どうしてこう、今日はそんなに拗ね気味っていうか、意地悪なんですか」
「そう? 僕はいつでもこんなカンジだけど」
キミが気付いてなかっただけじゃないの、と素っ気無く流すと、
「・・・・・・そうですね。 そう、ですよね」
ふっ、と視線を逸らして、意識を切り替えたのか、鳴上はそのまま手のひらを下肢に滑らせてきた。
そして反応しかけの性器に、軽く指を絡ませてくる。
「――― ン・・・・!」
直接触れられ、身体が大きく仰け反る。
構わず鳴上は、徐々に溢れ出始める先走りの体液を絡ませながら、几帳面に上下に扱いてきて、
「っ・・・、う・・・・っ・・」
「イイ、ですか?」
勃ち上がり始めた肉棒への愛撫を重ねられながら、片方の腕を背中に回されてしっかり固定され、
身体も退きようがない。
何度も扱き上げられて、その快感のために止まらない透明の蜜と指から絡む、濡れた音と息遣いだけが静かな部屋の中に響く。
「・・・っあ、・・・・ッ・・・」
「もっと」
欲しい、と呟いた鳴上が素早く身体を落として上半身を沈め、濡れ落ちる足立の性器の先端をぱくりと咥え込んだ。
「ッ!! ン・・・・っっ!!」
強い刺激に、咄嗟に足立は口許を手で覆う。
「声、殺さないでいいです。 誰もいないから」
そう言われたって、ハイそうですかと頷けるはずもなく、
「やだよ」
外さないよ、と頑なでいると。
「どうしたって、俺しかいないから」
重ねて呟かれて、ああやっぱり、と今更足立は思う。
「淋しいんだ、悠くん」
改めてそう訊ねると、表向きだけは否定するかと想像していたのに。
「はい、」
意表をついて鳴上は素直に首を縦に振って、足立をじっと見てきた。
「俺がこんなこと口にするなんて、驚きました?」
「・・・・・・いや、特に意外性はない、かなあ。 いきなり独りになったらね、フツウ、淋しくもなるよ」
「足立さんも、一人暮らしですよね」
「僕? 僕はもう慣れた。 ていうか最初から初めから慣れてたし」
言い切って、よいしょ、と腕をシーツの上から伸ばして足立はなでなでと鳴上の頭を撫でてやる。
「良くも悪くも、いろんなことに慣れてくからねえ。 馴れ合いにもね」
そう言って、じゃ、続けようか、と先を促した。 こんなところでミニ人生論を語っても意味がない。
すると鳴上も、意識を愛撫に向けて切り替えた様子で、
肉棒の先端を再び口内に含み入れた。
「ん・・・・!」
咥えた先端、括れたところを舌先で舐め上げる。 無論、その間も片手で根元のあたりを扱き続け、
「・・・っ、く、・・・・・ッッ・・・」
敏感な部分を的確に攻められて、身体は嫌でも追い詰められる。
あがる呼吸の合間に零れる吐息の荒さに、
鳴上は足立の限界の近さを知って、絶頂へ向けて更に深く、喉の奥まで性器を限界まで口腔内に導き入れ、唇と舌とを器用に使い、締め付けながら扱き上げた。
「あ・・・・! っ、うぁ・・・・!!」
激しくなった口淫に、無意識に足立が鳴上の後頭部に手を添える。
より強く押し付けたいのか、それとも引き剥がしたいのかは戦慄く腕では判別つかず、
それなら髪を掴まれる前に、と鳴上は迷わず、敏感な先端部の窪みに舌先をねじ込れる。
と。
「ッッ!!」
ビクン、と細い身体が大きく震え、足立の白濁が弾けた。
「・・・・っ・・・、は・・・・」
幾度か痙攣しつつ、そのまま鳴上の口内で、吐精されたものを、几帳面に彼は全て嚥下して。
口許の残滓を手の甲で拭いながら、吐き出してくったり四肢を投げ出した足立に、覆いかぶさるように抱きしめてきた。
「?  どうしたのさ???」
「・・・・・・・・・・・・・すみません」
また唐突に、謝られた。
足立が数えてみるに、間違っていなければ本日、というかこの家に上がり込んでからまだそう長い時間も経っていないのに、早くも三回目だ。
密着しすぎて、鳴上の顔は見えない。 同じく足立のカオも、彼には見えているわけも無いから。
「謝らないでよ。 キライなんだよね、謝られるの」
いつもの口調に、ほんの少し、ほんの僅かだけ、胸底を晒した。
「どうしてですか、」
「だって、返答の仕方とかわからないじゃん。 実際、今だって」
わからないままなんだよねえ、大人なのに。 と、苦笑する。
すると鳴上は鳴上で、
「・・・・・・・・・・・・俺だって、」
逡巡した挙句何か言いかけて、
にも関わらず言いたそうな響きで止めて、背中に回った腕にだけ、ただ力を込めてきた。
待ってみてもその続きは口にしそうにない。 だから。
「あのさ悠くん、」
先程は頭を撫でてやった手で、今度は抱きしめてくる、・・・・否、
しがみついてくる彼の背中を足立はぽんぽんと叩いて、数ミリだけ逡巡して、結局。
「今だともう、やり直しは出来るけど、取り返しはつかないよ?」
あえて主語はつけず、どこまでも曖昧に表現することに躊躇はなく。
「でも僕はほめてあげるから。 それでいいよね。 それが、いいんだよね?」
バッドエンドには、まだ早い。
どうせ間違えるなら、正しく間違いなよ。 とさりげなく唆す。
すると鳴上は小さく頷いた様子で身動いて、
「他の誰にどれだけ嘲笑われても、罵られても構わないです。 それでも、俺は」
足立さんといたい、と最後までお互い、表情を見ない見せないままの吐露。
あまりに短絡的過ぎて、あんまりに短慮で不憫で、拙く。
告白めいた鳴上の台詞は、足立にとってはただのひとりよがり。
単なる自慰行為以外のナニモノでもなく。
全部、自分ひとりで事足りてしまう一人上手の自己完結と同じでしかない。
しかし一応、とりあえずのところはそんな本音は潜めておいて、「ふうん」 と頷いておいた。
Sexの真っ最中、これ以上辛気臭くはなりたくない。
「じゃ、続けようか。 キミも僕も明日も学校で仕事なんだしさ」
「はい、」
ゆるゆると離れて、解かれる腕の隙間を縫って足立は自らうつ伏せになり、腰だけを上げて体勢を準備する。
鳴上は間を置かず、最奥の周囲を数回なぞってきて、
体液で濡にした指をそっと挿し入れた。
「く・・・・、」
声が漏れてしまうのは仕方が無い。 最初から潤いがあるはずがなくて、
硬いその入口と内部をほぐそうと、鳴上は指の脇から、伸ばした舌先でも拡げにかかってきた。
「ん・・・・う・・・っ・・・」
柔らかく濡れた舌の感触と熱を直接感じて、足立は手元のシーツを軽く握り締める。
多少綻んだ入口から、鳴上の指が奥まで侵入し、弱い部分を探し始めると、
「ッ・・・く、ぁ・・・・!」
抑えようと思っても、殺しきれない声がこぼれた。
押し殺そうと苦慮する足立に気付いて、鳴上は。
「無理しないでください」
声、聞きたいです、と添えていた舌の代わりに、指をもう一本、増やした。
「足立さんの声、凄く好きです」
言いながら、内壁を的確に刺激していく。
「だから、」
と突然、前立腺を強く押し上げられた。
「っっ!!?  うあッ・・・・ッ!!」
そのまま、中の人差し指と中指でポイントを確かめるように、転がされて刺激される。
「此処、弱いですよね」
「あっ・・・・、ア! ひ・・・・ぁッ・・・・!」
どれだけ回数を重ねても、前立腺を弄られる性感に慣れるということはなくて、
耐え切れず、身体がびくびく震える。
顎からは唾液なのか、汗なのか自分でもわからない雫が滴って、
「も・・・・っ・・、触ら、なくていいから・・・・っ・・・」
「まだ全然、でしょう?」
それほど柔らかくもなってないし、と小さく微笑んで、鳴上は内壁への愛撫と刺激を続行。
さらに一本、薬指まで増やして三本の指で慣らす一方、
片側の手ではすでに再び、完全に勃ちあがった足立の性器にも指を絡めた。
「ん・・・・ッ、あ、あッ・・・・!」
絡めた指先を使って、人差し指と親指とで先端をくいくいと揉み込み、指の腹でぬめりを確認するよう、
穴孔を擦る。
「や・・・・め・・・・っっ・・・」
しつこい愛撫に足立が頭を振って嫌がってみせると、
「足立さん」
名前を呼ばれて、後ろから内部から指が一斉に引き抜かれ、うつ伏せの体勢から手早く仰向けにされて。
久々に顔と顔、視線が合ったと思いきや。
「・・・・ッ、」
荒い息を抑え込もうと努力を見せる鳴上に両脚を大きく抱え上げられ、
絡む甘い息のもと、もう一度名前を小さく呼びながら鳴上がグプ・・・・、と侵入してきた。
「っ・・・・、は・・・・っ・・・」
いつの間にかしっかり解されていたそこは、ほとんど痛みもなく肉棒を受け入れていく。
ゆっくりと、けれど確実に侵されていく感覚に、呼吸が落ち着かない。
それでも奥まで埋め込まれ、その熱と質量に喘いでいると。
「ッ・・・・、キツ、い」
呟いた鳴上が、腰を使ってぐりっと内側で動いて捏ねられ、
「ん・・・ッッ!!」
たまらず身じろいだ足立に、鳴上は嬉しげに口許を緩ませる。
「痛く、ないですか」
「わ・・・・かってるくせに・・・・ッ・・・」
悠くんそういうトコロ、直した方がいいよと小さく震えながらも悪態をつく足立に、
鳴上は上半身をぐいっと寄せて、その口唇を塞いだ。
「ん・・・・、んん・・・・ッッ」
深くキスを重ねたまま、下肢ではぐいぐいと腰を使って最奥を強く突いていく。
お互いに呼吸が荒々しいこんな状態では、キスだってそうそう長く続くはずもなくて、
「ン、あ、・・・・っ、は・・・・っっ・・・・」
どちらからともく離した口唇が糸をひくにも構わず、鳴上は更に激しく攻め立てた。
鳴上が動くに合わせ、接合部分で粘った濡れた音が響く。
内壁の粘膜の狭さと、それが締め付けてくる強さに若い身体はズッ、ズッ、と夢中で突き上げを繰り返し、
足立のポイントを狙って、続けざまに集中してそこを刺激する。
「あ・・・・ぅ・・・っ、う・・・あ、あッ・・・!」
「・・・・・・凄い」
陶然とする鳴上は、それでも動きを止めない腹部に摺られ、ずっと勃ち上がったままの足立の肉棒を再度捕まえて刺激を加えた。
亀頭をこすりながら、全体をきゅ、きゅ、と扱く。
「!! や・・・め・・・ッッ!、も、う・・・・!!」
下半身をがくがく揺さぶられ、重ねて性器にまで激しい愛撫を受け、
許容を超える性感に、足立は限界を訴える。
絶頂が迫るにつれ、鳴上を締め付ける内部がこの上ないほど収縮をはじめた。
「く・・・・、ぅ・・・・!!」
きつく、全て搾り取ろうとする内壁に促され、呆気ないほど簡単に鳴上の精が弾け、内側に撒き散らされる。
その熱液が敏感な内部を濡らし上げて、
「――――― ひ、あッ・・・・・、――――― ッッ!!」
大きく仰け反って、足立も二度目の欲を吐き出した。
「・・・・悠、くん」
「ん・・・・」
まだ内側に彼を埋めたまま、三度目のキスを許してやりながら鳴上の顔を見る。 と。
快楽に押し流されているカオをして、いた。
けっこう意表をついて、余裕がなかったりする子だなあと思った。
正直、前々から薄々気付いてはいたけれど。
























「やっぱりこういうのって、世間にバレたら拙いことなんですよね。 いろいろと」
雨はあがっていた。 事後、手早く鳴上が冷蔵庫にあったものだけで作った夕食を終えても、
夜はまだそれほど遅くはない時間帯で、
「一時間後には自分の部屋にいられるかなー」 なんて足立が考えていたところ、今更そんな質問をいきなりされて、「はあ???」 と素っ頓狂な声を上げずにはいられない。
「マズイどころか、バレたら僕、免職だよ。 っていうか下手すりゃ逮捕だよ」
「・・・・・・・・されてる方なのに?」
「あ〜の〜ね〜。 そういうコト、真顔で聞かないでくれる? そういうのって、いざとなったら関係ないからさ」
しかもキミまだ未成年だし、年上で刑事で公務員の僕が全部泥かぶる破目になるって、想像くらいできるはずだろ、と言ってやって、
最悪懲戒免職、良くて依願退職で御の字というあたりか。
「でもって誹謗中傷されて、まあ。 その時点でいろいろ終わるかなあ。 少なくともこの稲羽市近辺にはもういられないよね」
「それくらいで済むんですか」
「それくらい、って・・・・・悠くんさあ・・・・」
あっけらかんと言い放つ鳴上に、呆れかえった素振りでいながら、
まあ、確かにそれくらい、って言えばそれくらいか、と足立は頭の片隅のどこかで納得。
雨粒にいくらか濡れはしたが、すっかり乾いた上着に腕を通し、帰り支度をしながらも。
「大抵、罪より罰の方が軽いんだよ」
軽く、軽ーーーく捨て台詞のよう、真実を口にしてみせたら。




「俺は、構いませんけど」




なんだかやけに真摯な表情で、全てを真面目に受け取ったらしい鳴上の。




「いざとなったら一緒にここから逃げれば、」




「あはは。 無理だと思うよ」




懸命な告白を、有無を言わさず憫笑で引きちぎった。














さびしんボーイ(笑) な鳴上氏ってのもいいかなーって。
甘やかすフリして放り投げる(・・・・) アダッチーもやってみたかったのです。
でも後者は不発だったなーーー  グスン