[ たぶん一万回くらい使われてるネタとオチの話 ]







「それじゃ十年後、ジュネスは俺のものってことで」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ?????」




一ミリほどの前触れも、
一ミクロンほどの前置きも、
本当に何もなしで唐突にそんな言葉で切り出され、
Sexの合間、程好い疲れにうとうとまどろんでいた陽介は埋めていた毛布から顔を上げた。


最初は夢うつつ、あれ?コレ幻聴か?と思ったものの、
真横で小さく笑う鳴上の表情を思わず凝視してみるに、どうやら幻聴でもなんでもないらしい。


「いきなり何だって・・・・?」
悪ィ本気で意味わかんねーんだけど、と、心持ち伸び気味だった前髪を払いながら訊ね返すと、
「だっていずれ俺を婿に入れてくれるんだろ? よし、菜々子が喜ぶ」
「・・・・・・・・・オマエ・・・・時々、アタマが発酵するよな」
「だって花村、ジュネスの息子だし」
「いや・・・・俺の親父はジュネスじゃなくて一応ヒトだから。 大体にしてジュネスは親じゃねーし」
「そうだったっけ」
ああまたいつもの冗談(なのかどうか実際のところ定かではないのだけれど) か、と呆れ混じりタメイキ混じりのあと、陽介は欠伸をひとつ。
明日は日曜だしすでにこの時間じゃとっくに堂島宅鳴上悠部屋でのお泊りコース決定だし、
せっかくならもう一眠りしてーな、とほんの一筋思わないでもなかったが、
「見事に糸引いて腐って発酵してんぞ。 お前の脳みそ」
このままだとホントにそのうち耳とかからだだ漏れしてくるんじゃね?、と本心半分ふざけ半分、
小声で呟いた一言は、小声にした意味も無く見事に一言一句、鳴上の耳に届いていたらしい。
「それなら、全身腐り落ちる前に」
と前置かれ、不穏な含み笑いを浮かべられたと思った途端、
げっこのパターンだとまずい展開だったかも、と陽介が感知する間もなく伸びてきた手に腕を取られ、
そのまま強く身体ごと引っ張られてしまった。
「今のうち、やりたいコトやっておかないとな」
「・・・・・・・・!!」
いくら咄嗟に引き寄せられたとはいえ、こうも簡単にグイッと素肌と素肌が密着する距離にまで持ち込まれてしまう自分の警戒心の無さ(・・・・・・何を今更) を嘆きたくなる陽介だったのだが、
そんな陽介を鳴上は自然に簡単にそして器用に上向かせ、有無を言わせず口唇を塞いできた。
「、ッ・・・・」
最初から深く貪ってくる、長いキス。
徐々に苦しくなってきて、息継ぎのために僅かに唇を離そうとすると、鳴上は口唇をずらして少し酸素を吸わせてくれたかと思えば、すぐにまた再び塞がれて、次第に頭の芯が痺れてくる。
そして身体はどこまでも素直で、時間と共に勝手に力が抜けていき、この口付けとそしてこれから先の行為を受け入れる仕様になっていく。
まるで条件反射のような、こんな自分の身体の反応には、鳴上とこういうコトをするようになってからの僅かな時間でもう慣れた。
それって俺がすげーの? それともコイツがすげーからこうなったの? と答えの出ない疑問を抱きつつも、実際のところはキスだって物凄く気持ちイイし、不快感など欠片もない。
けど堂島さん帰って来ないのかよ、こんな時間とかに俺がいて大丈夫なのか、菜々子ちゃんは、とまたも今更なことを考えていたら、見通したらしい鳴上に口唇を離したと同時、
「大丈夫。 菜々子はいつも9時に寝るし」
おじさんはまた泊まりって昼のうちに連絡あったし。 と仰向けに組み敷かれた。
「なら、いいけど」
陽介的にも最初から、抵抗する意は全くない。
むしろ何となく待っていた、という感も否めないあたり問題有り、なような気もするが、まあそれはこの際どこかに置いておくとして。
一方、鳴上はそんな陽介の下肢のあたりに身体をずらし、邪魔な毛布を捲くり上げ下半身のみを彼の眼前と外気に晒した途端、一度目の情事の名残で僅かに水気を残した陽介自身を素早く口中に含み入れた。
「ん・・・・ッ・・・!」
つい数十秒前まで味わっていた口唇の、その濡れた口内に自らを含まれてたまらず陽介はビクリと小さく身体を震わせる。
そんな反応に鳴上はその目を細めながら舌先を蠢かせ、全体を舐め上げて軽く愛撫を施した。
「・・・っ・・・・ッ・・・」
敏感なそこは、様子見の柔らかな刺激にも自然と声があがってしまう。
それでも、まだ抑え気味のその姿に、別に我慢しなくてもいいんじゃないかとばかり鳴上は、
たっぷりと唾液を絡めた舌と口唇とでそこを丁寧に刺激していく。
「つ・・・・っ・・・、・・・ッ・・・ン・・・っ・・・」
真っ向から甘い刺激を与えられ、鳴上の口中で自らがみるみるうちに熱と欲と質量を増していくのが自分で嫌というほどわかる。
行為自体にはとっくに慣れたとは言え、それは心構えや心境、心情の域であって、
どれだけ回数を重ねても、快楽に対して当の身体は大して慣れることはなく、どこまでも敏感に過敏だった。
「う・・・・っ・・・、ぁ・・・・ッ・・・・」
「悦さそうだな」
「――――、ッ!」
煽るような鳴上の言葉に緩くかぶりを振った瞬間、
透明な蜜を浮かべ始めた先端をくいっと舌先で抉られ、大きく腰が跳ね上がる。
「・・・・ッ・・、も・・・う・・・!」
「イく?」
「ん・・・・っ・・・」
小さく頷く陽介に、鳴上は彼にしては珍しくも焦らすことはせず、真っ直ぐ絶頂に導いていく。
そのために急激に激しくなった口淫に陽介は喉元を仰け反らせ、堪えられない声が漏れた。
「ぅあッ、あ、あ・・・・ッ・・・・!」
天を向き張り詰めた彼自身を、鳴上は口唇と口腔との粘膜を使ってきつく締め付け扱き上げ、何度も何回も上下に擦り上げる。
と同時に下方の双珠を手の中で揉み込み転がして刺激をしてみると、陽介はたまらない感覚に腰をうねらせて悶えた。
刺激と迫る絶頂の波に、細い身体からは汗が伝い、僅かに先端から白蜜が滲み出てくる。
寸前、跳ねる細腰を抑え込み、歯で先端を掠めながら、くっと強めに吸い上げられて。
「っ・・・・、――ッ・・・・!!」
とどめるものも何もなく、陽介は鳴上の口中に白蜜を吐き出した。




「・・・・・ん」
口内に溢れた陽介のものを味わって飲み込むと、
戯れたくて、鳴上は達した直後の陽介自身に再び口唇を落とし、ふっと軽く吸い付いては離れる他愛無い悪戯を仕掛ける。
その都度、びくびくと身じろぐ彼の身体がいとおしく、同時に愉しい。
「っ・・、やめ・・・・っ・・・」
緩いその刺激さえ、達して過敏になった身体にはつらいらしい。
制止の言葉を投げ掛けてくる陽介に、口唇と顔を上げると、彼は口許を片手で押さえながら荒い息をついていた。
忙しなく上下する素肌の胸元は相変わらず薄く、もう少し体重増やしたほうがいいんじゃないかと思う反面、
でもそうしたら素早さ半減するな、それも困るな、なんて現実的なことを考えつつ、
「花村」
名前を呼びながら鳴上は自分の体勢を変え、
陽介の上に乗り上げる形になりながらその顔を覗き込んだ。
「少し、早かったな」
「・・・・・・・・・・」
そう問いかけてみると、何故だか陽介はどこか拗ねた様子で、ふいっと視線を逸らしてしまった。
「?」
怪訝に思って、「花村?」 とその瞳を覗き込むと、
無駄な抵抗だよな、とばかり小さく息を吐かれた。
「どうした?」
一応、理由を聞いてみれば、
陽介はほんの僅か押し黙り、しかし結局は口を開いて。
「・・・・・・。 いろいろ、器用すぎるんだよお前・・・・」
と暗に 『巧すぎる』 とぼやき呟かれ、鳴上は苦笑を禁じえない。
「それは花村が相手だからに決まってるだろ」
と本心で答え、汗ばんだ陽介の滑らかな腰に腕を伸ばしごそりと簡単に身体を反転。 うつ伏せにさせる。
そのまま、双丘に手をかけ、左右に開いて露わにした最奥に唇を寄せた。
「ッん・・・・っ・・・!」
伸ばされる舌先。
ぬる・・・・、と湿った柔らかな舌が自分の最奥に触れたのを感じ、陽介は息を詰める。
少し前まで、鳴上を受け入れていたがゆえに普段より柔らかくなっているそこの襞を軽く何度か舐められ、続けて尖らせた先で突付かれて刺激された。
「・・・ぅ、あ・・・・ッ・・・・」
くすぐったいような、物足りない感覚。
鳴上の質量をまだ身体が覚えているため、奥まった敏感なところを刺激される感覚に、下肢から肌がぞくぞく粟立ってくる。
「・・・う・・・・く・・・・」
別に今更ほぐさなくても大丈夫じゃね? と考える頭と身体は同じようでいて別物で、
もう自分ではどうすることも出来ずただ鳴上の愛撫を受け入れるしかない。
「ぅあッ・・・・!?」
と、突如、後ろにだけ集中していた鳴上の手がするりと前に回り、
ほぐす愛撫に反応を見せ始めていた陽介自身に絡み付いてきた。
思ってもみなかった突然の刺激に大きく反応してしまい、
意識を前の器官に向けた途端、
「――――ッ、っ!!」
今度は後ろ、たっぷりと濡らされほぐされた最奥に前触れもなく指を突き立てられ、
前に後ろに悶えることになってしまう。
唾液によって潤された内側は、抵抗もなく熱く蕩けて鳴上の指を飲み込んだ。
「凄い。 吸い付いてくる」
「・・・・ん、な・・・・っ・・!」
言われたところで、返す言葉もない。 どう答えろと(・・・・・・)。
そもそもそんなこと、指を受け入れた自分が一番よくわかっている。
そんなカラダにしたのはどこの誰だよ、と苦し紛れの反駁をしてやりたかったのだけれど、
「ひ・・・ぁッ・・・・!」
内部の色々なところを突付いていた指に、くいっと軽く悦点を押し上げられて違う声が上がってしまう。
自分では触れることの出来ない、届かない箇所を直接弄られる快楽に一度達して萎えていた陽介自身もぴくんと息を吹き返し、
またも白蜜を浮かべはじめる。
「ここ、他と感触が違うのわかるか?」
「ぁ、あ・・・ッ! っ、・・・・ッ!!」
小さく笑いながら鳴上はしつこくその部分を攻め、定めた指先で転がすように突付いてくる。
瞬間、押し上げられた途端に鋭い射精感が下肢を貫き、内壁が受け入れていた指を強く強く締め付けた。
その吸い付いてくるきつさに、鳴上はより嬉しげに口許を上げる。
「・・・っ、ッ!・・・!」
声を上げる代わり、返事をする代わりに陽介がたまらず握り締めたシーツに爪が喰い込んだ。
そうでもしていなければ、このまま指だけでまたも達してしまいそうなほど気持ちが悦い。
途端、ふいに指が一本増えた。
合わせて、二本の指で拡げられた最奥の縁にふたたび舌が這わされる。
またも送り込まれてくる熱い唾液とぬめった感触に、最奥はひくひく収縮し更なる欲を願った。
「ぅ、あ・・・・!」
シーツを掴んだ手に力が込められ、喰い込む爪を白くさせながら陽介は強くかぶりを振る。
しつこいくらいに蕩かして、ほぐすこのやり方は、鳴上の癖のようなものだ。
いつもいつも意地悪く焦らし抜いて、陽介の腰が揺らめき出すのを待ってからの挿入。
お前自身はつらくねーの? 平気なのかよ? と不審に思うこともあるけれど、
実際に挿入してくる際は決まって彼も熱く、この上なく硬く増しているから、ああやっぱりお前も限界近くまで我慢してんだ、とも納得する。
まあどちらにしたところで、とことん鳴上が花村の身体で愉しんでいることだけは確からしく。
「、ッ・・・・ぁッ、っ・・・!」
深く差し込まれる舌。
緩く擦り上げられている陽介自身が、小さく戦慄いた。
追い上げられて、今にもまた達しそうだ。
「・・・あッ、 ・・・・ッ・・・!!」
執拗な解す愛撫に陽介が髪を乱して大きく首を振ると一緒、鳴上は指と舌とを素早く引き抜き、腰を後ろから抱え上げた。
「、」
息を飲む間もない。 大きく広げられたかと思った瞬間、激しく背後から一挙に貫かれた。
「ぅあ、あッ、――――ッッ!!」
遮るものも何もなく、充分に潤され柔らかくされた内側は、程好い弾力と狭さで彼自身を迎え、飲み込んでいく。
蕩けた肉壁は難なく鳴上を根元まで埋め、繋がった身体は僅かに身動きしただけで互いに快楽刺激を齎した。
「っ、は、・・・、ッ・・・・っ・・・!」
貫いた途端にかたかた震え出した陽介の腰で、鳴上は言われなくとも彼がすでに二度目の限界近いことを見て取り、
片手を陽介の前に回して今にも蜜を噴いてしまいそうなほど張り詰めた彼自身を戒め、きつく握り込んだ。
「う・・・・あ・・・ッ!」
「二回目はまだ早すぎるだろ?」
陽介がたまらずビクン! と身を仰け反らせるけれど、構わずに背後から耳元で告げ、腰を使いはじめる。
「あっ、っ・・・・うッ・・・・、く、・・・・っ・・・あ、あ・・・・ッッ!」
律動のたび、奥を突き上げられるたびに陽介の口から声が零れる。 自身が更に膨れ上がる。 止めたくても止まらない。
陽介の首筋、背中に当たる鳴上の吐息も相応に荒く熱く激しくて、欲を煽った。
「・・・っも、イキ、た・・・・ッ・・・」
鳴上の手の内で苦しげに陽介自身が戦慄く。
音もなく零れ続ける先走りの蜜に包まれた自らが熱くて疼いて、堪えきれない。
なのに強制的に戒められて我慢させられて、身体中に渦巻く熱欲に意識が持って行かれてしまいそうで。
「早い。 もう少し我慢してくれ」
「無茶、言う・・・・な・・ッ・・・ての・・・・!」
「すれば出来る。 いつも出来てるし」
「な・・・・ッ!・・・・」
それは我慢してるんじゃない、無理矢理お前に我慢させられてるんだとばかりに首を横に振る陽介に、流石に鳴上も苦笑の表情を見せる。
「ほら、出来るだろ」
が、直後にその苦笑を不穏な笑みと不敵な科白に変え、達したくて仕方のない陽介自身を捉えた指に込めた力は決して緩めないまま、
器用にももう片方の手も前に回し、すでに戒められている陽介自身の先端部をそちらの指先でゆっくり、焦らし上げるように優しく撫で擦り始めた。
「ひッ・・・・!!」
じくじく甘い疼きがその箇所から腰を伝い、背筋を走る。
きつく射精を堰き止められたまま、なのに煽動されるように丁寧に愛撫を送られ、
達したいのに達せず、達せないのに煽られて陽介はもうどうしていいのかわからない。
「ッ、は、離・・・・っ・・・・、バっ・・・カ・・・野郎ッ・・・・!」
「そう。 馬鹿だから離してやらない」
鳴上の戯れ言にも、反論する余裕すらなく、がくがく全身が震える。
「やめ・・・・っ・・・!! も・・・・ッ・・・・!」
出したい。 今にも破裂しそうなこの快感をなんとかしてほしい。
なのに鳴上はどこまで意地悪いなのか、一層絡み付ける指に力を込め、決して絶頂を解き放ってくれず、
疼き悶え続ける陽介自身をどこまでも柔らかく、しかし淫猥にさするだけだ。
「ぅあ、あッ、・・・・っく、は・・・・ッ・・・」
先程から、一体何度絶頂を遮られ、阻まれてしまっているだろう。
すでに限界を迎え、先端は白濁混じりの液をしとどに滴らせるようになってしまったけれど、
その体液も使ってゆっくり絶妙な力加減で丁寧に擦られ、その度に全身が粟立つほど感じさせられるものの、達することは決して出来なかった。
生理的な涙と、抑えきれず飲み込むことも出来なかった唾液が口唇の端から顎にかけ、緩い弧をを描いて滴り落ちる。
一秒でも早く達きたくて、戒めの手を引き剥がそうと陽介がほとんど無意識夢中でその部位に自分の手を重ねようとしたその瞬間。
「悪い、泣かせるつもりはなかったんだ」
「―――っ・・・・!!」
落ちる涙に今になって気づいた鳴上は言うや否や、突如ずるりと自らを引き抜いた。
瞬時に身の内を埋める質量を失った陽介だったのだが、
しかし身動きさえする間も、満足に呼吸する余裕さえ与えられないまま、素早く向かい合う体勢に変えられる。
そうしてそのまままたも両脚を大きく開かされ抱え上げられ、
自身は未だ絶えず戒められたまま再び鳴上自身を今度は正面から勢いよく突き入れられた。
「ッあ、ああぁッ・・・!!」
最奥を深く激しく穿たれる衝撃に、悲鳴にも似た声があがる。
強く強く抉られた刺激。 普段なら今の挿入で、簡単に達することが出来るはずだった。
けれど戒められているせいで、陽介自身はどれだけ感じてもどれだけ前立腺を攻められても精を放つことは出来ず、
過度な快感は甘く苦しい責め苦となって、白濁混じりの先走りの液を溢れさせ、
粘液に包まれる真っ赤に色付いた先端は鳴上の手の中で、ぴくぴく痙攣している。
「・・・っは、・・・っ、ぅぁ!・・・・ッ・・・!」
ずっと戒められた状態のまま、乱暴なほど腰を揺らし上げられ、
激しい快楽に下肢が蕩けて砕け落ちてしまいそうだ。
「・・・・あ、あ・・・・ッ・・・」
絶え間なく突かれ続け、悦点を刺激されるたびに甘く苦しくて仕方のない自身が脈打って懇願するのがわかる。
「・・・花、村・・・ッ・・・」
「ッ、・・・ッ、もう・・・・ッ・・・!」
陽介自身だけでなく、身体全体が大きく痙攣をはじめる。
さすがに限界を感じたらしい鳴上が自分も荒い息のもと、絡ませていた指の力を緩め、
同時にぬるぬると滑りを借りて裏筋を際どく揉むように扱き上げた刹那。
「ぃ・・・・ッ! 、―――ぅあ、あ・・・・ッッ!!」
掠れた声を上げ、陽介は勢いよく白蜜を噴き出して絶頂に達した。
「・・・・く、・・・っ・・・!」
瞬間、内壁が鳴上の欲をも絞り取るようにきゅうきゅうと締め付け収縮し、
抗いがたい誘いに導かれ同様、彼も熟れきっていた熱を陽介の中に吐き出した。




「・・・・は、・・・っ・・・・」
達した快楽の余韻に陽介が荒い吐息をつく傍ら、鳴上は自らを引き抜き、
それから汗で張り付いた前髪を手でかき上げながら上体を深く折り曲げ、額にキスを落としてくる。
「・・・・・・・・」
こうやって優しい、気遣うようなキスもしてくるくせ、エッチの最中の性格悪すぎだろお前、
なんてぼんやりした頭で思考しつつ、まるで甘えてくるように触れてくる温かな口唇が心地イイ。
それはそうと、
少しずつ息が整ってくるにつれ、先程から陽介が気になっていたことが、ひとつ。
「・・・・・・。 汚れちまってるけど。 布団」
そう大々的にではないものの、シーツだけじゃなく毛布にもところどころ飛び散って見える体液の跡。
どうするんだよコレ、と呟きながら片肘をつき、少しでも身体を起こそうとしたのだが。
「うわッ!!?」
思いのほか身体は弛緩しきっていたらしい。
肘を付こうとした途端にカクン、と力が抜けてしまい、危うくそのまま崩れ落ちてしまいそうになった。
「、」
それでも寸でのところでなんとか留まれたのは、咄嗟、瞬間的に鳴上が支えてくれたからで。
「あ・・・・ありがとな・・・・。 危ねぇ・・・・」
「気をつけろよ。 花村ひとりの身体じゃないし」
「・・・・へ?」
だから十年後、ジュネスは俺のモノなんだって。 としつこくもさらりと口にしたあと、
何を鳴上は言ってくるかと思ったら。
「次はもう、焦らさないから安心してくれ」
真顔で 「さっきは悪かった」 と謝られ、ついつい 「・・・・ま、まあ別にイイけど」 と陽介は無条件に許してしまいなりながらも。
「ちょっと待て。 ・・・・・・・・三回目???」
これから? 今から? また???
「ダメ、か?」
発した疑問(?) に打てば響く、とばかり即座に更なる疑問符で返されて、
「、そ、そりゃ・・・・」
ダメってことは無い。 無い。 けれど。 だけど。 でも。
だからと言ってこのまますぐに素直にOKしてやっていいものやら、
それともさっき苛められた仕返しでここは一旦渋っておくべきか、イマイチどう答えれば最善なのかがわからない。
「・・・・・・・・」
わからないながらも結局のところ、相手がコイツじゃ鳴上悠じゃ、答えも返事も最初から決まってはいるのだが、一応考え込むフリもしつつ、
チラリと上目遣いで陽介は鳴上を盗み見る。
とりあえず。 一言。
「・・・・・・・・」
言いたいことが、
「・・・・・・・・」
聞きたいことが、ある。
「ん?」
黙ったまま視線をあげて鳴上を見ていると、当然だが気づかれて先を促され、口を割る。
「・・・・あのさ、」
「何だ?」




「ダンジョン。 テレビん中。 行かなくていいのかよ」




もう一週間も行ってないし、そろそろ天気もヤバイんじゃね? と続けて言いながらも、
何故だか地雷を踏んだ感が否めない気分と気配。
「・・・・・そのうちマジで、里中あたりにぶっ飛ばされそうな予感がするんだけど」
リーダー的にはどうよ、と促す。
すると鳴上は言葉に詰まるかと思いきや、僅かに宙を見て考えてそれから。




「それじゃ明後日、行こう」


「? 明日じゃなくて?」


「多分明日はお前の腰が立たないと思うから。 だから明後日から本気だしてダンジョン攻略」


「・・・・・・・・。 改めて言わせてくれ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何、このエロリーダー。 やっぱ字の如くHERO、って 『H』 で 『ERO』 なんだな」


きっぱり言い切った主人公、鳴上悠に思わず本心、本音をこぼしてしまうと、
何故だか彼は更にきっぱり、はっきり。 「違う違う」 と首を横に振った。


「HとEROだとただの変態だけど」


「・・・・・・・・・・」


「ふたつを足せば、HEROになれる。 どうせならこっちの方がよくないか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや・・・・・・・結局、同じだし・・・・・」




呆れ返って二の句がつげなくなった陽介の口を、
ヒーローの口が塞いだ。


















スペル云々の綴りネタ、間違いなく一万回は既出、
至るところで五万回くらいは(笑) 使われてるネタだとわかっちゃいます。
わかっちゃいたけど、それがこんなに似合う主人公もなかなかいなかろう(プッ) て思ったのでつい。

あとはただヤりたかっただけです(・・・・)。