[ Cthugha ]


※共犯者エンド後、しかもワールドエンド目前。 て前提でみていただければ幸いでございます
時間軸的に矛盾ありまくりですが気にしない  気にしない (・・・・・・)




「キミ、シアワセだった?」


残された時間を数えるとすれば、片手の指で足りてしまうほど近く迫る終末を前に、体液なのか、
それとも外に充満する濃く深く重い霧が室内にも少しずつ浸入し浸透し始めているのか、
微妙に湿り気を帯びたシーツの上、寝乱れた格好のまま足立はふと、訊いてみた。


が、すぐ横で質問をぶつけられた当人、
鳴上悠は起きているはずなのにピクリとも動かず、身じろぎもせず、何も返事をしない。
たた脱力して枕に顔を埋めるよう、伏せっているだけだ。
けれど一向に構わず、言葉を投げつける。


「シアワセだって周りに思わせるために、頑張ってただけじゃないの? 実際」


するとようやく彼はごそりと顔を上げ、


「俺だってもう、わからないです」


疲れたような表情でただ一言、そう呟いてまた伏せた。
まあまあ正直に答えたかな、と及第点をつけてやれる程度には誠実な(?) 返答に、
足立は口角を僅かに上げたあと手を伸ばし、鳴上の後頭部を髪ごとぐしゃぐしゃとかき回す手悪さをしながら。
「シアワセとか不幸とかってさ、目に見えないだろ? そういったモノを客観的に測ってくれる何かがあればよかったねえ?」
もう間に合わないけどさ、と軽口を叩いて様子をみる。
けれどやっぱり、鳴上は微動だにしない。
これは変な方向に拗ねているのか(・・・・今更すぎる)、
それとも腹を括った挙句がこの態度なのか、世代が違う自分にはもう、さっぱり理解外で。
とはいえそもそも最初から理解する気も微塵も無い足立としては特に気にしない。
ただ自分の言いたいことだけを、言えるうちに告げてやろうと思っただけだ。
「ちなみに僕、目に見えないモノは信じない派」
さらりと零すと、こんな短い言葉のどこに引っかかったのか、再び鳴上が顔を上げてきた。
そして何を言うかと思えば。
「・・・・・・それじゃ、言葉も信じないんですか」
況やそんな問いかけ。
「うんそう。 信じてないよ。 ひとっつも」
問われた足立は、考えるまでもなく即答。 ついでにここまで来たら、わりと多くを曝してみる。
「ちなみに人間の選び方は 【好きか嫌いか】 じゃなくて、【必要か不要か】 だったからね」
「、」
「僕としてはキミはもちろん 【必要】 だったよ? うまーく利用できたし。 だから訊きたいワケ。 キミ的には人生、シアワセだったのかって。 一年しかいないはずのこんな田舎で僕に利用されちゃって、結果このザマだもんなあ」
息を詰めた鳴上に、事実と戯れとほんの少しの悪意をを持ってしてのアフターフォロー。
それに傷付いた表情をするかと思われた鳴上の対応は、ふとして違うものだった。
最初こそ息を詰めていたが、ただ視線を落として抑揚のあまりない声で。
「利用されるのはそれなりの価値があるからだって」
「は?」
「これっぽっちも価値がなければ、利用さえされない」
いつか気付いていた時点から、そう思うことにしてました。
そう思うしかなかった、そうするしか出来なかった、とやはり今だから口にできる本音を吐く子供に、
おのずと足立から出てくるのは苦笑い。
「くっだらないなあ。 詭弁詭弁。 僕、キミに対してそこまで考えたことなんてなかったし。 でも、心底くだらないけど、まあ・・・・・。 つまらないよりはよっぽどマシかな」
僕的には大まかなところで大望は叶ったワケだしさ、と結果オーライのこの現状をもってして、今度は鳴上の前髪を弄ってかき上げてやると、
「・・・・でも、ギリギリまで信じてもいました」
最終的に本当にどこまでガキなのか、ここまで来て有り得ない台詞をこぼす。
「あー・・・・。 ええと、」
それに少しだけ驚いて、けれど逆にどこかすんなり腑に落ちる部分もあって、
仕方がないから足立は何一つ飾り立てもせず。
「信じてた? もうさ、それって過信とか思い込みってレベルじゃなくて、ただの現実逃避じゃないの?」
苦笑いをただの笑いに変えながら、布団の脇の一体何時間前に開けたかすでに定かではなくなっているビールの缶を引き寄せ、義務的に喉の渇きを潤して再び鳴上と向き合うと。
「どうして笑うんですか」
足立の言い草にはそれほど応えなかったらしい鳴上は、どちらかといえば作った笑みの方が気になったようだ。 それすら、何を今更。 だから。


「いいじゃん別に。 僕が笑うときはもう全部、手遅れなとき」


事実をさらりと言い切り、「悠くんあのさ、」 と足立はあえてへらりと笑う。
「キミにはね、【価値】 じゃなくて 【能力】 が必要だったんだよ」
バカ正直に前だけ向いて生きてきても、敵と災厄が前からだけ来るとは限らないしさあ、と揶揄る。
それもこれも、最早すべて何の意味も為さないのだけれども。
「どう? 正しくはないかもしれないけど、間違ったことは言ってないよ?」
窓の外は一面、乳白色の霧。
この部屋に時計がないから、今が一体何日の何時なのかさえもわからない。
なんだかずっと薄暗い時間が続いている。
朝なのか夕方なのか、それともすでに夜さえ来なくなるほど世界が歪んでしまっているのか。
「・・・・・・・・・・・・・俺は」
「悠くん」
何か言いかけた鳴上を、意志をもって遮る。
「あと少しで終わりが来るって結論がもう出てるんだから、ここから先は終わりまでの過程を楽しみなよ」
「足立さんは、」




「僕、いろいろ不感症だけどエロいことが嫌いってわけでもないからね」




鳴上の言葉を連続して遮って、
前述をふまえ、あざとく嗤ってみせたあと、




霧に閉じ込められてから、すでに何度目か数える気にもならなくなったSexになだれ込んだ。












→→→→→ 後半に続く。







P4U2にアダッチー参戦と知って、鼻息も荒く勢いだけでかきました(笑)。
ていうか自己中キャベツ刑事(プッ) に感化されたにも関わらず、普段のうちの彼と全く変わらなくなってしもうた。  後半はヤってるだけです。