[ C t h u g h a ]


※ヤってるだけの後半でございます






「・・・・い、ッ・・つ・・・・ッ!」
ぐいぐいと遠慮なくそこを押し拡げられ、それまで懸命に噛み締めていた鳴上の口唇から、否が応にも声が漏れる。
「そこまで痛くないだろ? 裂けた訳でもあるまいし」
ぬるッとしてないから出血はしてないよ、と続ける僅かに掠れ気味の声が、背後から降り落ちた。
四つん這い、まるで動物のような態勢で後ろから貫かれ、痺れるような痛みにシーツを掴んで握り締めた指に、自然と力がこもってしまう。
「痛、ッ・・・・っ・・・」
それでも響く奥底からの痛みに、乱れた息で鳴上が訴えると、足立は心持ちその眼を細めて。
「そう?」
ただ疑問符だけで返すと共に、構わず鳴上の腰をぐいッと自らへと引き寄せた。
「ひ、ぐッ・・・・!」
眼の奥で火花の弾けるような衝撃に、シーツの上、上半身を支えていた両肘がガクリと折れ、
鳴上は枕に額ごと顔を埋めざるを得ない。
内側を深く抉られ、足立の体温を体内の粘膜で直接感じ取り、
最初に軽く撫でられただけで、後はずっと放置されていた自らの性器がヒクヒク戦慄いた。
「けど、しっかり勃ってるじゃん?」
「ァ・・・・!」
揶揄るよう、ぴん、と先端を指先で弾かれ、たまらずかぶりを振る。
それを合図にしたかのよう、
「平気平気。 痛いのスキだろ?」
足立にそう口にされたが早いか、腰を掴んで乱暴に揺さぶられ始めた。
「う・・・・あ・・・・ッッ・・・」
引き裂かれるような痛みに、鳴上は強く目蓋をつぶる。
いっそ意識を飛ばしてしまえれば良いものの、後ろから強引に貫かれているこの態勢ではそれもままならない。
「ン・・・・」
耳の後ろ、足立の落とした吐息に背筋がゾクリと震え、
「っ・・・!」
身体が勝手にきゅうっと内側の足立を締め付けてしまうと、
「・・・・ッ、・・・」
僅かに間を置いて、音もなく内部に吐精された。
体内で脈打つ足立の熱に、鳴上は触れられてもいない自らの先端から、軽く精液を漏らす。
ぴゅく、と弾けた後もぽたぽたと吐き出されていくそれは、止めようもなかった。






















少しだけ、眠っていた。
そう鳴上が気付ける程度の時間、それなりに安らげる時間はまだ残っていたようだ。
そんな時間が実際あとどれくらい残されているのかはもう分からなかったけれど。
どうせ終わりが来るなら、こうやって眠っている間に来ればいいのに、などとぼんやり思っていたら、
どうやら表情を読まれていたらしい。
「何、怖い?」
目敏く訊ねられ、思わず返答に詰まる。 すると足立は 「よいしょ、」 と言いながら、正面から鳴上の身体の上に乗り上げる。
「悠くん、いいカラダしてるよね。 まだ少し青臭いけど」
「ええ、と」
足立の本心などいつものよう、さっぱり読めないまま顔を伺う。 と。
「成長させきれないまま、終わらせちゃって少しは悪いと思ったりもして・・・・なくはない、かな」
「・・・・・・・・・・・・嘘、ですよね。 それ」
「ああ、やっぱバレてる?」
やっぱりその場で取り繕ったウソが役に立つわけないか、と彼はあっけらかん。
一ミリたりとも悪びれもしないまま、今度は質問に変えてきた。
「なんでさ、死ぬのが怖いって分かるのさ」
「?」
「実際本当に 『死』 を経験した人間なんて、この世にいないのに」
そんなに怖がることないと思うんだけど、と不思議そうに問われて。
「俺は、死ぬことはそんなに怖くはなくて」
「ええー? そんなふうには見えないよ?」
「それより、失うことの方が、凄く怖いです」
今更誤魔化しても隠しても仕方のない、本当のことを口にした。
「失うって何を? ・・・・・・ああ、もしかしなくても僕、か」
鼻先で嗤われるかと思っていたのだが、何故だか足立はすんなり納得した様子で、
それほど否定も肯定もせず、「僕の考えだとね、」 と軽く頭をかく。
「死ぬことを怖がらなくなった人間は、『生き物』 的にはもう壊れてダメになっちゃってるんだと思うワケ。 それがたとえ覚悟のうえだったとしても」
「・・・・・・・・・」
「だけど悠くん、よくよく考えてみたら最初っから盛大に壊れてたみたいだし」
僕のために全部投げ捨てちゃってさ、と軽く、頬を撫でられた。
「でも残念だけど僕はキミのために全部壊したワケじゃないからね」
「、」
言葉を紡げない鳴上に、
たぶん、もう世界のどこにも自分だけしか知らない足立の匂いが近付いてきて、
向かい合って上に乗られたまま、強引に口付けられた。
きっと、またこの後は抵抗もさせてもらえずに乱暴に苦痛を伴った快感を引き摺りだされるSexになだれ込む。
経験からそう予測して、キスの途中できつく、きつく目を瞑ると。
「・・・・・???」
予測に反し、足立の長くて骨ばった指が前髪を梳いてきた。
そんな仕種が信じられなくて、思わず気恥ずかしさに身を捩るけれど所詮、態勢からして抗うことなど出来ない。
キスでさえ普段よりずっと穏やかで息苦しさも何も無くて、
「ん・・・・っ・・・」
まるで大切に扱われているような錯角さえ起こしかねず、たまらず身体が震えた。
途端、スッ、と濡れたままの中心部を撫でられてしまって慌てて腰を引く。
「何、を・・・・」
「ナニ、って。 もう一回」
あっさりと足立は言うが、普段の彼と違って、先程までの雰囲気とも違って、鳴上は戸惑う。
「悠くんだってもう反応してるし」
鳴上自身に這わされた指が意地悪く形を辿って器用に動き、
「や・・・・め・・・」
「イヤだよ。 やめないよ」
吐息絡みの声色が上から降ってくる。
と、心持ち上半身を屈ませた足立に続けざま、胸元をぺろりと舐められた。
「――ッ、」
「こっちも尖ってんじゃん」
いつからか硬く尖った乳首を舌先で突つかれ、たまらず口許を抑えてしまった鳴上を、足立はゆっくり眺めながら。
「最後くらいは、優しくしてあげようかなって思ってみたりしたんだけどさ」
声とは別に、彼の表情はそれほどいつもと変わらず、鳴上としては足立の真意がまったく読めない。
「どう?」
読めないながらも、ただ流されるままついつい頷くと、
「それじゃ、脚開いて」
「・・・・・・え、・・・・!?」
一瞬、足立の言葉の意味がわからなかった。
けれど直後、手早く膝を立てて両脚を広げられ、身体をずらした足立がその間に顔を落としてきたことでやっと理解した鳴上は、狼狽するしかなく。
口淫、逆にその行為を強制させられて咥えさせられたことは今までにも何度かはあったけれど、
彼からそんなことを施してもらったことは一度もなかった。
快楽を与えてもらうときも、せいぜい手の中で擦られる程度で。
一方、足立はすでに勃ち上がりを見せている鳴上自身を眼前に、躊躇なく。
「悦いんだよー? すごく」
舌先でつうっと裏筋を辿ってきた。
「ン・・・・っ・・・!!」
柔らかく濡れた感触が、根元から先端へと繰り返して行き来する。
それだけでゾクゾクと下半身が震えてしまい、爪先に力が入る。
すると、今度はぱくりと横から口唇まで使って咥えられ、挟むように舐め上げられた。
「―――― うぁ・・・・ッ!」
あまりに直接的な性感に、慌てて足立を押しのけようとするけれど、こんな状態では力も入らない。
どうすれば、と混乱しながらも足立の頭をそこから引き剥がそうと足掻いていると、
「おとなしくしなよ」
諌めるように言った足立と、瞬間視線が交わった途端。
すっぽりと熱い粘膜に先端を含まれた。
「あ、あ・・・・っ・・・」
今にも漏れ出てしまいそうな快感に、抵抗していた腕は力なく落ちる。
抵抗がなくなったのを良いことに、そのまま口唇で愛撫され、吸い上げるように喉の奥まで導かれて上下に扱かれた。
「や・・・め、離・・・・ッ・・・」
足立の口許の動きに、腰が浮きそうなほど感じてしまうことに耐えながら、乱れる息のもとで懸命にそう告げるけれど、
今まで感じたことのない、温かく湿った口腔で擦られ締め付けられて、徐々に自分でも情けなくなってくるような、甘い喘ぎ声しか上げられなくなってくる。
そうして今度は、口だけでなく指先まで使って硬い根元付近をやんわりと揉み上げられ、がくがく下半身が戦慄き出す。
「足、立さ・・・・、も・・・・っ・・・出る・・・・」
息も絶え絶えの、消え入りそうな声でそう口にして鳴上は、ほとんど無意識に伸ばした手で足立の頭を押しやろうとしたのだが。
意にも介さない足立に張り詰めた肉棒を手の中で揉みしだかれ、
「うぁ! あ、ぁっ!」
同時にきつく先端を吸い上げられて。
全く我慢も何もできないまま、鳴上は吐精してしまう。
「・・・・・っは、・・・・っ・・は・・・」
快感に、治まらない息をつきながらただ呆然と足立を見やると、
「早い早い」
でも若いから仕方ないか、と苦笑しつつ口許の精液を拭う彼と目が合った。
「悠くん」
たぶん今までに無いほど、丁寧に名前を呼ばれて腰の奥が疼く。
理由はわかっていた。
たとえ乱暴にでも粗暴にでも、酷く扱われていたとしても何度も蹂躙された身体は、その奥で快楽を紡ぎ出すということを覚えさせられてしまっていて、だから。
仰向けに押し倒され、足立が上から覗き込んで来ても動けなかった。
「まだ、終わってないよ?」
含みを持って、言われる。
「こっち、欲しいだろ?」
するりと後ろに指先が入り込み、探り当てられたその周囲を軽く撫でられた。
「ッ・・・・」
自ら放ったものでぬめる指が、遠慮なくそこを押し拡げ侵入してくる。
「く・・・・っ・・・」
その刺激には耐えられたけれど、
「ああ、凄い柔らかい。 ・・・・って、当然か」
足立の感心したような、そんな感想に頭の芯が熱くなった。
もう一本、いけるかな、と鳴上の返事さえ待たず、二本目が挿入されてきて、
「い・・・・っ・・・」
「痛いってほどじゃないはずだけど?」
面白がるような声で囁かれたかと思ったら、今度は埋め込まれた指が内部の悦いところを探し当て、程なく見つけ出す。
「!! くぅ・・・・ッ、っ・・・・・!」
そこを押し上げられてしまうと、もう何も考えられない。
ほんの少し触られただけでも、痺れるくらい感じてしまうのに、ピンポイントで弄られて、
「ア、ぁ・・・・あっ・・・・!」
その箇所から全身が蕩けていきそうになる。
ぐちゅぐちゅと淫猥に出し入れされる指さえ、いつものようにただ押し付けられる強引な快感ではなくて、
少しずつ、熱を蓄積していくような。
今まで、こんなふうにされたことはなかった。
指だけでここまで悦くされて、今にも堪えきれなくなりそうだ。
そんな状態で、奥まで貫かれてしまったら。
「ひ、・・・・っ!」
思わず想像し、身体は正直に反応してしまった。
「キツイキツイ。 今からそんなに締めなくったって」
苦笑と共に指が引き抜かれ、間を置かず、足立のそれが宛がわれる。
「、」
どうしても伴う、何度も経験した痛みを先取りして、身体が強張ったけれどそれも短い間だった。
指を失い、物足りなさげにひくひく収縮するそこに、ゆっくりと足立自身が埋め込まれる。
「ん、っ――、・・・・!」
覚えていた痛みはほとんど無く、挿入に付随するのは擦られる快感だけで、
それに絡む吐息のもと、訳もなく名前を呼ぼうとして、こんな状態ながら、はたりと鳴上は気付く。
この、正面からの体勢に。
「ッ!!?」
何故って、今まではずっと後ろからだった。 それが。
突然身体を固くした鳴上の挙動に、足立、曰く。
「いいって。 キミのやらしい顔、見たいし」
「な・・・・っ・・・」
率直に返答され、かあっと頭に血が昇る。
目を見開く鳴上を余所に、足立は下肢で勃ち上がっている肉棒を、しっかりと手の内に包み、
張り詰めるそれを扱き出す。
「〜〜ッ、く、・・・・ぁっ・・・!!」
それを刺激としたのか、淫らにヒクつくそこが更に奥まで足立を飲み込んだ。
「――― っ・・・!!」
今までにないほど奥深く侵入してきたそれが、前立腺を思い切り先端でえぐってくる。
「あ・・・っ・・・足立、さ・・・・無・・・理ッ――― ・・・・!!」
あまりに深い挿入と、襲い来る悦楽に戦き、逃げようと揺らめく鳴上の腰骨は、すでにしっかりと押さえ込まれていて、逃れられない。
ただでさえ最奥に届いていた切っ先が、より深くまで突き上げてくる。
「ぁ、あ、・・・・っ、やめっ・・・・」
本当に、挿れられたばかりなのに、動き出した足立の腹で擦られている鳴上自身はもう今にも持ちそうもない。
足立はそれを知っているはずなのに、堰き止めもせず、突き上げと共に腰を揺さぶり出す。
「ア・・・ぁっ、く、・・・・うっ・・・・」
あまりに悦すぎて、一度抜き挿しされた途端に勢いよく弾けさせてしまった。
「ッッ・・・・!」
けれど足立は動きを止めようとはせず、
達しているあいだも、この上なく感じてしまうところを抉られ続ける。
「――――― あ! あ、う・・・あぁぁ・・・・ッッ!!」
同時に指でも強く強く扱かれて、最後の一滴まで搾り出される感覚。
がくがくと自分のものではないほど震える身体の中、追って吐き出される足立の熱を感じ、
鳴上はただ気を失うように、目を閉じた。


























隣でまた眠っている子供を見おろして眺めながら、
いくら何でも、ちょっと優しくしすぎたかな、と足立は思う。
でも最後だし、不憫なこの子自体には何もそこまでの罪はない訳だし、と考えながらも、


だけど本当の真・エンドは血塗れでっていうのも捨て難く。


「・・・・どうしようかな」


もう一回くらいはイケるかな、とひとりごちる。


それにあたって、やっぱり終わりは赤黒くイくのもいいか、と方向性を定め、
手錠、確かどこかに放り投げてあったよなあと視線の隅で探しながら。


「起きなよ、悠くん」


声だけで鳴上を起こす。


「・・・・・・足立さん・・・・・?」






「この上なく浅ましく乱れちゃうところとか。 最期に見せてよ」







と此処に至って、さらりと零した。


















→→→→→ 本番(・・・・) に続く。










まさかの 【本番】 に続きます。 だってヌルイじゃん!!(笑)
本番こそはウン年ぶりに本気出して
痛いのとか  あっちょっと(いやかなり) 血とか出ちゃったとか  器具とか
やってみたいなーーー  て思っております