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※ 【DDD】 の続き・・・・、というか、相変わらず作文にもなってないですスミマセン
P4U2舞台化、で、中の人が御本人、という 『それを世間ではホンモノというのではないのかね?』
って、舞い上がって書いたモノのはずなのに
すみません










「限りなくゼロに近いけど、もしも 『次』 があるようだったら、考えてあげてもいいかな」








いつか、確かに彼はそう言ったのだ。
そうしたら、まさかの僥倖。 嘘のような棚ぼた。
中の御人御本人が当人を舞台で演じるという例のアレ。




―――――――――――― もしも 『次』 があるようだったら。




あった。
言質を取ったも同然だと思った。
だからいつも通りいつもの如くいつも以上に鳴上は脇目もふらず、堂々と図々しく迫ることに決めた。
だって本当に、『この次』 こそは絶対的に無いだろうから。
















またしても此処が何処で、
またもや今がいつで、
またまた鳴上と足立、
どうして並んで座って再び普通に会話をしているのか、なんて引き続き考えてはいけない。




前回同様、二人とも暗黙の了解で前提としているうえで、懲りない鳴上は接近を迫る。
「はぁ。 余計なコト言うんじゃなかったよ・・・・」
諦念を隠そうともせず、これ以上どうしたって吐けないであろう盛大な溜め息と共にそうぼやく足立に、
「黙っていてください」
などと告げながら口唇を寄せた途端、
「ちょ・・・・待っ・・・・・、ハクション!」
思いきり盛大なくしゃみを見舞われてしまった。
とは言え今更彼の唾液を少々かぶったところで鳴上には何のダメージにもならず(※むしろ嬉しいかも)、
それでも一応、とりあえず表向き、零してみせる形だけのぼやき。
「・・・・・・もう少し、雰囲気とか色気を出して欲しかったです」
せっかくの逢瀬なのに、と呟けば、
「やめなってそういうの。 気持ち悪いから」
心底嫌そうな顔でいつも通り、そう言われる破目になる。
しかしそれさえも予定調和の一つ。
おそらく今までの経験から看破しているであろう足立はもう一度、今度は小さく息をついて宙を仰いだ。
「あーあ。 結局こういう展開になるんだよなあ。 僕はさあ、フツウに生きていけたらそれでよかった筈だったんだけど」
隣にいる鳴上には、足立のその発言の意図と意味が即座にはわからず、
一瞬まじまじと彼の横顔を見て、それから出てきた言葉、というか質問は。
「普通、って何だったんですか。 足立さんの中で」
刑事だった時点で、あまり普通とは言わないんじゃないかと思いつつ、自分の叔父の堂島も同職であって、傍目からはどうあれ当の本人たちからしてみれば普通、なのかもしれなくて首を傾げると、
「全てにおいて比較的安全な生活。 それが僕の 『普通』 」
驚くほどさらりと、それでいて的確に足立は答えてみせた。
「、」
思わず感心して目を瞠る鳴上に、足立は軽いけれど自嘲的に後を続ける。
「僕的にはさ、モブでよかったんだよ。 ゲームに登場したところで、すれ違っても誰も気付かないただの群集のひとりで。 もしくは村人F、主人公に話しかけられたところで、ずーっと同じことを何回も繰り返し続けるアレでさ」
なのにいつの間にか、いろいろ出張るようになっちゃって、誰より当の僕が一番驚いてるかもしれない、と今度は苦笑い。
「それじゃ、つまらなくないですか」
たまらず訊いてしまうと、
「そう。 つまんなかったよ。 ずーっとね。 だから事件の犯人だったワケ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
彼は飄々と肯定。 黙りこくらずを得なくなった鳴上。 見事に地雷を踏んでしまった。
すると足立はクククと口許で哂って、助け舟のつもりなのか、
「あー、そうは言っても、今日はそこそこ高い肉が食べたいとか、給料日の夜くらいは鮨がイイとか、俗物的な欲望はけっこうあったかな」
ちっとも懐かしがっていないくせに、懐かしいあの頃を思い返すフリをする。
だから鳴上も、気付かないフリをした。
「肉とか鮨って、子供みたいですね」
何にも気付かないフリで、ただ微笑んでみせると、
「んー。 確かにそうなんだけど、だけど子供のキミに言われたくないなあ」
足立の返事は詰まらない、本当に詰まらないありふれた定型文のような台詞。
「仕方ないです。 俺の時間はまだ一年半くらいしか経っていませんから」
「あー、羨ましいねえ。 永遠の高校生ヒーローってコト?」
揶揄混じりに言われてしまうけれど、そうじゃない。
どこかの誰かと同じで、立場と立ち位置は違えど同様、
自分と彼との世界は昨日のままで、
大人になれなかっただけなのに。
でもそれでいい。
それでなければ駄目で、
なのにそれはとてもとても小さな罪過に見せかけた、まごこうことなき罪科でもあって。
「・・・・・・・・俺は」
つい先ほどまでのやる気と勢いは知らない間に消え去り、
せっかく隣に足立が居るにも関わらず、自然と意気消沈しかけた鳴上相手、
どういうつもりかは一概にわからなかったが、
「あのさ悠くん、昔、罪って呼ばれてたモノは今は病気って呼ばれてるって知ってたかい?」
足立は突然そんな言葉を口にする。
「え?」
思わず見つめ返してみても、いつも同様、足立の本心は読めない。
「だから僕もキミも、もう治らないねえ?」
相変わらず読めない表情のまま、失笑でも苦笑でもなく、ただ彼は 「あはは」 と笑った。
その途端、空気が動いて、彼の匂いがした。
それだけなのに。
ただそれだけのことだったのに。
この匂いが好きで、この声が聞きたくて、こんな顔が見たくて。
ずっとそう願っていたのに、そんなことに今、気付いた。
気付かなかったのに、どうしてこんな、取り返しのつかないほど、こんなに、ここまで。
動悸に言葉が紡げない鳴上に、足立は追い討ちをかけてくる。
「キミみたいに、何かとか誰かを好きだキライだって夢中になるのはさ、すんごい簡単で、一番手軽な自己肯定のひとつ。 でも揮発性」
よくある話でどこにでもあるケースだよね限りなく、と諳んじる。
「だからキミの興味も好奇心も僕への執着も、近いうちウソみたいに消えてなくなるから安心しな」
と不穏な台詞で先手を打たれてしまい、たまらず鳴上は異を唱えようとしたのだが。
それより早く、
「さて、と。 それを踏まえて」
「?」
ぱん、と軽く足立は両手を叩いた。 仕切りなおしの合図とでもいうのか。
「期間限定、オママゴトでいいなら自分の言ったことに責任取るけど? 悠くんのスキそうな、戯言みたいな愛情? っぽい? モノの行為もしてあげるし、させてあげるけど」
でも果たしてそれでキミは嬉しいのかなあ、と最後に小さなトゲひとつ。
見事に刺さってチクリと痛みを感じたが、これしきの痛み、痛いうちに入らない。 だから。
「望むところです」
鳴上は無理矢理笑って、ほぼ即答。
抱き込んで、そのまま引き倒して押し倒した。
「声が嗄れるまで、身体が干乾びるまで離したくない」
「キミのそういうストレートに気持ち悪いところ、変わってないなあ。 ホント」
自分の下で呆れたよう、そう呟く細い身体に、くらりと眩暈がする。
触れるたびに息があがって、心拍数だって大変なことになっている。
暴走しかねないのは下半身、どころじゃない。
全身でこんなに欲しいのに。 全部全部欲しいのに。
こんなに求めているのに、いつかこの執着が無くなるなんて嘘だ。 今の鳴上には想像さえ出来ない。
なのに当の足立は、僅かに息を乱しながらも一律、どこか醒めてどこか遠くで自分を見ているようで。




――――――――――― ああ、と突然鳴上は理解した。




先刻と同じく、繰り返す。
それでもいい。
それでも、今だけ。
今だけで充分すぎるほど充分だから。
消えない傷跡を舐めあって、








この感情が磨耗する前に、それを自覚してしまう前に、
貴方の体温を感じながら、いっそ全て終わらせてしまいたい。











リクエストいただいたので、【DDD】 で書いた内容に責任をとってみた(?) んですが、何コレ。
【DDD】 が足立視点だったからこっちは鳴上視点にしてみたら、何なのコレ・・・・。

すみません・・・・でした・・・・