[ same as kiss. ]



※主人公の名前は公式(?) の 【鳴上 悠】 でやらせていただきました 





「起きろ! 起きろって」
堂島宅、二階、鳴上悠の個室。
朝も早よから布団の上、眠りこける部屋の主を揺り起こしているのは花村陽介である。


「起きろよ鳴上、菜々子ちゃんが帰ってくる前に・・・・!」
掛け布団越し、両手を使ってぐらぐらと揺するも、
「・・・・まだ・・・早い・・・・」
当の鳴上からはまったくもって覚醒しようとする意思が感じ取れないどころか、布団にくるまったまま寝返りを打って背中を向けようとする。
それでも陽介は諦めない。
「いいから起きろー!! で、風呂入って来いって!! そしたら次、俺も入るから」
「・・・・・・。 こんなに眠いのは花村のせいだろ。 お前があんなに」
「だから風呂入れ俺も入りたいって言ってんだろーが! ついでに何気なくそーやって掘り起こしたりするの、やめろよなぁ・・・・!!」
昨夜、というか数時間前を否応無しに思い出してしまいながら、陽介は叫んで怒鳴って、
力任せに掴んだ掛け布団をこれまた力技でバサァッ、と鳴上から奪い取った。
その勢いで敷き布団から転がり負け出て、
眠い目をこすりながら 「酷いな・・・・」 とぼやく鳴上を急かしつつ、
陽介は頭の片隅で、昨夜の寒い寒い夜を、一層思い出す。



























「暇だから来ないか?」 と、鳴上から電話があったのが、土曜日の昨夜夕方18時。
「今からかよ!?」 と少しだけ驚きながらも、
「んー、明日日曜だし俺も暇だし、別にいいけど」 と呼ばれるまま頷いて、
この季節だともうとっくに外は真っ暗で、真冬の強風が荒れ狂う中、原付で飛ばし堂島宅前に到着したのは電話を切ってから十数分後。
「さっみー!! 滅茶苦茶、さみーーーー!!」
もしかしたら気温氷点下なんじゃねーの、こんな強風の中バイクで風きって来て、
今にも風邪ひくフラグがビシバシ立ちまくりじゃねーの俺、と騒ぎながらいつも通り予定通り堂島宅に上がり込めば、
これまたいつも通り(?) 予定通り(???) 家主の堂島は仕事で今夜も留守、
更にこれまたまたいつもの居間にて、まあるい頭でちょこんと可愛く座っているはずの癒しの菜々子の姿が本日は見当たらず、「あれ? 菜々子ちゃんは???」 と尋ねてみれば鳴上は飄々と。
「クラスメイトのなんとかちゃんの誕生日会を兼ねた仲良しグループでお泊り会。 明日の午前中には帰ってくる予定」
そう答えながら、「出涸らしだけど」 といつもの卓袱台の上、湯呑みを差し出してきた。
「あ・・・・。 サンキュ」
冷え切った手に熱い緑茶の入った湯呑みの温度がじわりと伝わってくる中、
(菜々子ちゃんも留守。 ・・・・・・だから呼んだのか・・・・・・)
想像するまでもない。 考えるまでもない。 陽介は即座に理解する。
理解して納得(・・・・?) した途端、ひとつ盛大なくしゃみが出た。
それに鳴上は自分も湯呑みを手を、卓袱台の対面ではなく、
何故か陽介のすぐ隣に腰を下ろして。
「大丈夫か?」
訊ねられ、
おいなんでこんな近くに座るんだよ俺まだ来たばっかりだしそもそも夜の七時にもなってねーしいくら何でもまだ早すぎんだろ、とココロの中で一人突っ込みを入れながらも。
「わかんね。 こんな風強いとは思わなくてわりと薄着で来ちまったから、ちょっとマジ冷えたかも」
あくまで平静を装って、ずずずと緑茶をすする。
対して鳴上も、同様に湯呑みを口元に持って行きながら、
「お前、疾風属性無効じゃなかったっけ」
しれっとそんなことを言ってくる。 だから、
「はは、それとコレとは」
違うだろ、風っつーより寒気ダメージだっつの、と苦笑して返事をした直後。
彼の長い腕が伸びてきた。


「それじゃ、温まろう」


「な、なぬ・・・・!!?」


理解すると同時に納得もして予想も予感もしていたが、
いくら何でも、
いくらアレでも、
いくら鳴上でも、性急すぎる。


「ちょちょちょちょっと待て、早い! 早いって! だってまだ七時前だぞ!?」
慌てて時計を指差してみるが、
「だから?」
と、鳴上は動じない。
動じないどころか、気付けば長い腕に横から更にしっかり捕まえてきた。
「だって夜七時っつったら、普通晩メシとかテレビとか見る時間だろ!」
そのうち引っ付くとしたって、まだまだ早い時間帯だろ、と往生際悪くじたばたもがく陽介に、
リーダーは僅かに考える素振りのあと、真顔で。
「・・・・・・。 もしかして腹減ってたりするのか花村」
「は? いや、夕方に軽く食ったから別に減ってねーけど」
と素直に答えてしまった陽介が、
「あ、」
自らの過ちに気付いたコンマ一秒後。
「それなら問題ないな」
小さく笑った鳴上の顔が近付いて来て、ぺろりと口許を舐められた。
その感触がくすぐったくて、
でもそれは決してイヤなものではなくて、
「お前、なぁ・・・・」
呆れ果てた口調を作りながらも、ゆるりと陽介は抵抗を終える方向に持って行きながら。
「仕方ない。 花村相手になると」
余裕も何もなくなるんだ俺、と開き直る(というかそもそも始めから堂々としていたが) 鳴上に。
「わかった! わかりました。 そんじゃ、もう行くか? お前の部屋」
両手をあげて、白旗。 さすがに居間じゃマズイもんな、と陽介は鷹揚に頭を切り替える。
そうやって快く(?) オーケーの意を示せば。
「いい返事だ」
「それ・・・・俺のセリフ・・・・」
たまらず呟く。 しかも今の鳴上、浮かべている表情は総攻撃時のあのカオで。
「お前が言うと、なんか物凄くヤラシイよな・・・・」
眼鏡があるか無いか、の違いはあるが、とにかく表情も何もかもがヤバイ。 エロい。
イコール、嫌でも鼓動が早くなる。
これだけ毎度毎度引っ付いているのだから、そろそろコイツのこういうところにも、
いい加減慣れても良さそうなものなのに。 なのになかなか、平常心を保ち続けることはムズカシイ。
「じゃ、行こうぜ」
気付けばずっと手にしていた湯呑みに最後に口を付けて飲み干し、すっくと陽介の方から先に立ち上がると。
鳴上は、珍しくも普段と違うベクトルで調子に乗ったらしい。 これまた決めセリフ(?) をひとつ。
「イェイ☆ ゴーゴー♪」
「キモイ! りせまで行ったらマジでキモイから!!」
さすがにそれはりせちー専用にしてくれマジで、と頼みつつ、連れ立って階段を昇った。




寒いから、
寒かったから、
(ここまで早くなくても) 本当はわりと早いうちに引っ付きたかったことはとりあえず、コイツには内緒だ。






























行為の邪魔になる衣服を取り去り、どさりと陽介を背中から布団の上に押し倒す形になって、
その身体の上に覆いかぶさりながら鳴上は手際よく下着をも剥いでいく。
すぐに露わになる細い陽介の身体、その薄い胸元に手のひらを這わせたあと、
素肌を晒した肩口に軽く口付けながら、ふと思い出したかのように鳴上はさりげなく切り出した。
「・・・・そういえば、外は風が強いって言ってたな」
「は?  ・・・・・ああ、すっげー強風だったぜ? 今も窓のサッシとかガタガタ言ってるし」
突然の会話突入に、先が読めない陽介は答えながらも怪訝そうに片眉をあげる。
すると鳴上はほんの一、二秒、耳を澄ませ、
「確かに。 意識するとかなりうるさいな」
「?」
「むしろ騒音レベル」
「???」
何が言いたいのかさっぱりわからない陽介は、片眉をあげたままだ。
騒音ってほどまでは行かねーだろ? と口にしかけたところで、鳴上はそんな陽介に構わず肩口の唇を胸元に滑らせた。
「・・・・んっ・・・」
滑らせられた唇の感触と、続けざまに胸の飾りに丁寧に口付けられ、胸元がヒクン、と小さく反応する。
鳴上は過敏に反応するそんな様子を楽しみつつ、口唇での愛撫で少しずつ尖りはじめた乳首にゆっくりと舌を絡ませていく。
「・・・・・で、」
さっきから外の風がどうしたって? と尋ねてやりたいのだが、
丁寧に胸元に施される愛撫に意識が揺らめいて、
「・・・・っ・・・」
乳首を歯が僅かに掠めた途端、甘い吐息が漏れてしまった。
たまらか漏れ出た吐息に鳴上は気を良くしたのか、
絡ませた舌、その舌先を使い更に口中で転がし始め、
「・・・っ、う・・・・っ・・・」
「風の音がうるさいと、」
陽介は与えられる快楽刺激に息を弾ませながらも、鳴上の言葉自体はどこかで軽く聞き流していたのだが。
「お前の」
「・・・・ん・・・ッ・・・」
胸元で言葉を紡がれ、かかる吐息さえも愛撫と受け取ってしまって知らずと背を仰け反らせる陽介を眺めながら、鳴上はとてもとても楽しげに。


「花村のイイ声が聞き取りづらくなるから嫌だなと思って」


「・・・・はぁ!?」


その言葉に、思わず陽介は目を見開く。
しかし鳴上は心の中だけで会心の笑みを浮かべるに留め、表向きはまるで気にしていないかのよう、
ただ目を細めて。
「だったら、それを上回って悦くして喘いでもらえばいいだけの事か」
さりげなく言い置き、なに言い出すんだよお前、とイヤな予感全開になった陽介の下肢、その中心部に素早く前触れもなく触れ、触れると同時に強めにきゅっと握り込んだ。
「ぅあ・・・・ッ・・・!」
一際敏感な部分への突然ともいえる刺激に、たまらず声をあげて背筋を反らしてしまった陽介だったのだが、
瞬時にはっと何かに気づいたよう、慌てて口許を抑えてそれから鳴上を見る。
その顔つきは、いくらなんでもそういつもいつも全部が全部お前の目論見通りにさせてたまるか、的な小さな抵抗に間違いなくて、鳴上は 「そう来なくちゃ」 と無意識にごくりと喉を鳴らしながらも、
やはりやはり表面上だけは余裕を見せ、笑って告げた。
「喉が嗄れるまで、頑張ろうな」
「・・・っ、なッ・・・・!・・・!」
二の句の告げない陽介とは正反対にあくまでも鳴上は笑ったまま、
唇の端を意地の悪い形に釣り上げて、手の中に収めたままの陽介自身を全体的にやんわりと揉み上げる。
無論その愛撫の間も、口中に捕らえた乳首は決して解放せず、自らの唾液で濡れてつるりと滑る小さな尖りを執拗に追って転がし、
ようやく捕らえても今にもまた逃げてしまいそうなそれに、舌を絡めてちゅくちゅくと存分に吸いあげた。
「・・・っ、・・・んッ・・・、・・・っ・・・!」
形だけはまるで無邪気な子供のように吸い付いてきて、
それでいて容赦なく的確に愛撫を送ってくる鳴上の頭を、陽介は何とか胸元から引き剥がそうと彼の後頭部に回した片腕に力を込めるのだが、
鳴上は全て見越しているかの如く、もがく抵抗など物ともせずに包み込んだ手の内の先端を、絶妙のタイミングをもって指の先でくいっと擦ってきて、
「んッ! ・・・・!」
途端にぞくっと腰に甘い疼きが走り、たまらず力が抜けてしまった。
「だめだろ、大人しくしてなきゃ」
「お、まえ、しつこ・・・・い・・・・ッ・・・・」
言いながらも口許を抑えたまま、乱れて普段より多めに髪を揺らし、
快楽に陽介は耐える。
けれど身体は正直で、触れてくる鳴上の愛撫によって刺激を与えられた自らはすでに熱を持って勃ち上がり、確実に鳴上の手の中で熱欲と質量とを増していく。
「っう・・・・、んん、・・・っ・・・ぅ・・・・ッ・・・」
熱い熱の塊と化したその部分を丹念に、優しく扱き上げられていくうち、
体温が上昇するためか、それとも羞恥のせいか、
はたまた快楽ゆえか鳴上が抱き込んだ陽介の身体全体、肌がしっとり汗ばんでくる。
けれど不快感は全くなくて、それどころか逆に鳴上はそんな陽介の身体が心地好く、
またも小さく笑って胸元から口唇を一旦離し、まじまじ陽介の顔を覗き込んだ。
「そんなに悦い?」
「・・・・っち、違・・・・っ・・・・ぅ、あ・・・・っ・・・・!」
反論したい、反抗してやりたいのだけれど、
言葉を紡ごうとすると途端にそれが甘い声になってしまいそうで、
結局陽介は全く持って鳴上に文句も言えず、ただびくびく身体を震わせる。
鳴上は引き続き愉しげに、陽介の上気した頬に軽く唇で触れたあと、
有無を言わせない強さで彼の両膝を大きく左右に開かせ、その中心部に顔を落とした。
「ん・・・・ッ・・・・」
すでに先端から透明な蜜を零し始めている彼自身に、戯れにふっと小さく息を吹きかけてやると、
張り詰めて過敏の度を増したそこは、他愛ないそれだけの愛撫にさえ小刻みに震え、
なのに往生際が悪い陽介は、広げられた両膝をなんとか閉じようとする。
けれど鳴上はそんな無駄な足掻きさえもいとおしくて仕方がなくて、
好きなコほどいじめたい、のガキ大将精神を大いに発揮、
何度も何度もまるで悪戯を仕掛けてやるように強弱をつけて息を吹きかけてやる。
と、さすがにたまらないのか、陽介の腕が伸びてきて、鳴上の髪をきつく掴んできた。
「も・・・・っ、いい加減に・・・・っ」
「何だ?」
出来ることなら続きを言わせたくて促してみるが、
「・・・・ッッ・・・・!」
無論まだ陽介も理性が残っているから、欲している言葉が聞けないのは最初から承知の上だ。
「そろそろ舐めてほしいって?」
だから、先手を取ってそう言いながら告げながら、ついつい顔を覗き込んでしまうのはたぶん、
口籠もる陽介を、どこまでも苛めたいからだと思う。
まあそうしていいのは俺だけだけどな、と本音で内心で言い切って伸ばした舌先。
「うぁッ・・・・・!」
つ、と触れるか触れないか、の強弱で陽介自身の先端に触れてやると、細い腰がびくんと大きく跳ね上がる。
鳴上はナイスタイミング、とばかりにその勢いでいた腰を腕を使って自らの方に更に寄せ、
自然な動作でもう一度口唇をその部分に落とし、僅かに震えて勃ち上がったままの先端を舌でなぞった。
「・・・っは、・・・・・ッは、っ・・・・く、ぅ・・・っ・・・」
過敏な窪みの部分を何度か往復して刺激すると、
耐えるすべを持たない身体はすぐに素直に反応し、とろりと透明なものが零れ出た。
溢れて先端から滴り落ちる透明な蜜を鳴上は愉しげに舐め取っていくが、
どちらかといえばまだ触れるだけの域を脱していない、ぬるい愛撫が陽介自身には逆につらいらしい。
本格的な激しい口淫、温かな粘膜に包まれ、吸い上げられる強い強い快楽刺激をいつの間にか鳴上によって仕込まれてしまっていた身体は、
確実にとろとろと先走りの蜜を溢れさせながらも、どこかじれったそうで。
「・・・・ん、ん・・・・ッ・・・」
与えられる愛撫が紡ぎだす刺激に、陽介はきつくシーツを握りしめ顔を背け、懸命に声を押し殺して快感に耐える。
けれども、ただでさえも弱い、濡れた柔らかな先端部だけを長くしつこく愛され、
愛撫としては過度であるのに刺激は物足りなく、もどかしく腰が動いてしまう。
「もう達きたい?」
「・・・・っ、お、前、性格悪・・・・ッ・・・・」
意地悪気な鳴上の声に、僅かに残っていた意地と羞恥心で陽介が反抗してみせたその直後、
「今更気付いたのか」
笑み混じりに告げられたかと思ったら。
「あ、あ・・・ぁ・・・・ッ・・・・!!」
銜えられた先端を、きゅっと強く強く吸い上げられ、
と同時に素早く添えられた手で後ろの双珠を揉みしだかれて、
たまらず上げてしまった一際甘く大きな喘ぎ声。
思惑通りの反応に鳴上は気を良くし、濡れた陽介自身を先端から根元まですうっと唇で味わい、
つい先刻揉みあげたばかりの、伝い落ちた蜜で濡れ落ちた双珠の片方を口中に含み入れた。
「ぅあッ・・・・!? ん、あぁ・・・・ッ・・・・!」
思ってもみなかったところに突然淫らな粘膜刺激を受け、陽介は連続した声を抑えることが出来ない。
「イイ声」
「っ、ふ・・・・、・・・・っ・・・」
鳴上に煽るよう低く囁かれ、陽介は一瞬はっと我にかえって慌てて口を塞ぐけれど、
蓄積させられた快感は口を塞いでも、どうにもならない。
「・・・っ、・・・ぅ、う・・・・っ・・・・、・・・ん・・・っ」
「・・・・・・・・」
片手で口許を覆い、必死で声を飲み込みながら耐える姿に、思わず鳴上の喉が鳴る。
開かせた脚、内股は小刻みに震え続け、一目でどれだけ陽介感じているかが見て取れた。
「・・・・く、っ・・・・ぅ、ッ・・・、鳴、上・・ッ・・ッ・・・・」
切羽詰まった声で呼ばれ、鳴上の腰にもずくん、と甘い疼きが走った。
「花村、」
「・・・・ッ」


なんやかやで仲間内、一番の常識人である(と思う) 陽介は、こうして絡み合っていても、
快楽に感じてくれていても、その実、なかなか理性までは飛ばしてくれない。
けれど何の弊害もない、誰に気兼ねすることもないこんな絶好の夜くらい、
快楽に浮かされ、とろとろに蕩けた姿が見たい。


だから鳴上は容赦せず、陽介の悦ぶところ、弱い箇所を攻めあげて意地の悪さ全開で声をあげさせようとする。
とはいえ、実行されてしまう陽介からしてみれば愉しむどころではない。
「っ、! んッ・・・・!! っふ、・・・っあ、あッ・・・・!」
今度はもう片方の双珠を含み入れられ、口中で転がされ舐め回されて、弓なりに反らした背筋を甘く響く疼きが駆け上がり、
あまりの矢継ぎ早に訪れる快楽に視界がぼやけ、泣きたくもないのに涙が浮かんだ。
もう、我慢できない。
「ぅ・・・・あ、・・・っあ、も・・・・うっ・・・・!」
がくがくと腰を震わせ、限界を伝える声音。
またも念入りに愛されて、鳴上の口内の双珠が小さく反応した。
咄嗟に陽介はそれまで口許にあった手を下肢に伸ばし、縋るように鳴上の後頭部に添え、
ぐいっときつく押しつけた。
「く・・・・っ、ん、あぁ・・・ッ・・・・」
耐えられない、というようにかぶりを振る陽介に鳴上はその目を細め、
限界を迎えて張り詰めて震える陽介自身を優しく擦りあげ扱きながら、口中の果実にそっと歯を立て数回、甘噛みを繰り返す。
鳴上の手の中、瞬間びくびく戦慄く陽介自身。
「―――――ッ・・・・、あ、あぁ・・・・っ・・・!!」 
そして腰が大きく揺らぎ、途端に勢いよく弾けて熱と欲が吐き出されていく。
弾けた白蜜は飛び散って陽介の下腹部と鳴上の手を汚し、
また僅かだが鳴上の顔と髪にもかかって、残りはシーツに落ちて染み込んだ。


「・・・・っは、・・・・はっ・・、う・・・あ、・・・・ッ・・・・」
解放し、力を失った陽介の身体が力なく沈み込むのを横目で眺めつつ、
鳴上は自分の頬に飛び散った白蜜を手の甲で拭い、ぺろりと舐めてから一旦身を起こし、
汗で濡れた陽介の顔にキスをいくつもいくつも落としていく。
「悦かっただろ?」
「・・・・・・・・」
額に張り付いた前髪を払ってやりながら問いかけると、
一度達してまた理性が戻ってきたらしい陽介はふいっと目を逸らせ首を背け、
「仕方ねえじゃん・・・・」
ぼそりと。
これまたそんな仕種がリーダー的にも可愛くて可愛くてたまらない。
これはもうとことん悦くしてやるしかないな、と顔を背けられたのをこれ幸い、
露わになった首筋に舌を這わせると、陽介はびくっと首を竦ませた。
「や・・・・めッ・・・」
「どうして」
首筋に唇で触れたままの返事に付随してかかる息が気脈を刺激して、
「く・・・・!」
首筋から背筋、そして腰にぞくぞく響いてくる感覚にたまらず吐息が漏れる。
「冬だから構わないな」
少しくらい跡が付いても隠せるし、とひとりごち鳴上は首筋の一点を強く吸い上げて紅い跡を残し、
当の陽介の力がまだ抜けているうちに、ともう一度腰を引き寄せ、再び脚を開かせた。
「っ、なっ・・・・何だよ・・・ッ・・・」
慌てた陽介は咄嗟に身を捩って逃れようとするけれど、
「続き。 まだ足りないだろあれだけじゃ」
あっけらかんと正面突破で言われてしまい、結局大した抵抗も反論もできないまま先程と同じ体勢にさせられてしまった。
「ん・・・・っなことねーし! いい! もう、んな、そこまでしなくていい・・・・!!」
「遠慮しなくていいって」
「してねえ! 遠慮じゃねーし!!」
「・・・・・・。 残念だな」
一度達せられた直後の自身はひどく敏感で、何も触れられていない今でさえ余韻がまとわりついて離れずにいるというのに。
こんなときに、そんな箇所をまた弄ばれ刺激させられてしまったら。
だから陽介が懸命に首を横に振ったにも関わらず、
「でも俺はしたい」
「・・・・・・!」
鳴上は陽介の制止も何もまったく聞き入れず、傲岸不遜一直線。
再び白蜜で濡れた陽介自身をぱくりと口中に銜え込んだ。
「―――― ッ・・・・!!」
先刻は先端部分だけだったが、今回は全体を暖かな粘膜で包まれて、
またそれは欲をぶり返させ、熱を溜めて脈打ち力を取り戻し膨れていく。
「あッ・・・・っ、ぁ・・・あッ・・・・!」
襲い来る快感に、喉を晒して悶えるのを止めることが出来ない。
鳴上は僅かに視線だけで陽介の様子を見遣り、
銜えた彼自身の側面を舌で擦りつつ、口唇を使って扱き上げる。
「ひ・・・・ッ・・・・っっ! っ、ぁ・・・・っ・・・・」
もう、いつの間にかすっかり陽介自身は再び勃ちあがりとろとろで、口内で熱く震えるそれをたっぷり愛してやるその都度、身体全体がびくびく戦慄いて鳴上の目を愉しませた。
先端から絶えずじくじく溢れ出る蜜を吸い上げてやるたび舐め取ってやるたび、細腰が前後に揺れる。
「・・・く・・・っ、ん・・・・、っ・・・・!」
鳴上の愛撫は丁寧で、舌で舐められている部分が今にも蕩けてしまいそうだ。
淫らに心地良くて気持ち悦くて、陽介は抵抗しようにも腕どころか全身、指一本にさえも力なんて入らず、されるがままでいるしかない。
下肢から響く濡れた水音。
「はっ・・・・あ、ぁ・・・・ッ・・・・ぁ・・・っ・・・」
唾液と蜜が混じり合い、粘った液体を絡められ口腔で扱きあげられ、
どうしてもこらえられない、甘い声が喉を突いて出てしまう。
あまり出したくない、ハズカシイから聞かせたくない、と頭では思うものの、鳴上によって与えられる性感に負けてしまい行動に結びつかない。
口許を押さえ込む手も、ただその場所にあるだけですでに声を殺すことに何の役にも立っていないほどだった。
だから鳴上の指が、いつの間にか密かに最奥に狙いを定めていたことにも気づくはずもなく。
「ッ!! うぁ・・・・ッ・・・・」
奥に這わされた指先で唐突に突然に最奥の入口に触れられ、たまらず腰が退いた。
「大丈夫、力抜け」
囁きながら鳴上は慣らすように何度か触れたり離れたりを繰り返してから、そっと指を差し入れる。
奥まったその箇所は若さゆえか、それとも花村陽介という存在の賜物(???) か、
とても柔軟でしなやかで、少し慣らす行為を重ねると、
鳴上の長い指を簡単に受け入れて飲み込んだ。
「痛んだらすぐ言えよ」
「っ、・・・・ん、」
それでも気遣う言葉に、僅かに上下した顎の示す返答。
どうやら今のところ痛みはないらしい、と見て取り、奥まで埋め込まれた指先をくいっと曲げると、流石に陽介はびくっと身体を震わせた。
と同時、勃ち上がったままでいた陽介自身も大きくビクン、と反応して、
連動したその身体の素直さに、鳴上は本日何度目かもうわからないほど愉しそうに口許で笑い、
「風、少し止んだみたいだ」
「ぁ・・・・?  、っ・・・・んぅッ・・・・!!」
鼓膜に届いたその言葉に、一瞬陽介は引き戻され、疑問符を浮かべてしまったのだが、
それならそれでお前の声がもっとよく聞けるし、とと勝手に自己完結した鳴上に、
ぴくぴくと張り詰めた先端部分に口付けられ優しく搾られて翻弄され、何も言えずじまいで。
陽介自身は、もう二度目の絶頂が近い。
小刻みに震えて自己主張するそれの根元を手で扱いてやりながら、
口唇は括れの部分を丁寧に丁寧に愛し、時折舌を使って絡ませ鳴上は急速に追い上げる。
「・・・っ、い・・・・っ・・・・ぁ・・・ッ・・・・!」
「イイ顔・・・・」
舌で触れたまま思わず漏らすと、その感想に対してなのか、はたまた発された言葉と吐息による刺激に対してなのか、本人もきっとわかっていないままふるふると髪を乱して陽介はかぶりを振った。
戦慄く快感にきつく目蓋を閉じて甘苦しげに眉根を寄せ、
高みに向かう途中の強すぎる快楽刺激に必死に耐える。
「んぁ・・・・っ・・・」
頃合を計った鳴上の指がもう一本増やされても快感が先行し、
まったく抵抗なく蕩けた内部はそれを受け入れていく。
柔らかな肉壁の感触を楽しみながら、鳴上は外側でも絶えず陽介自身を攻め続け、
かと思えば埋めた指で探し当てた前立腺を際どく刺激する。
「っふッ・・・・ぁ、う・・・・っあぁ・・・・ッ・・・」
するとみるみるうちに陽介の呼吸が断続的に荒いものになり、苦しげな声が漏れてきて、
埋め込んだ二本の指を一層強くぐいぐいと締め付けてくる肉壁。
絡み付いてくるその強さに鳴上は彼の限界を見て取り、ああそろそろだな、と自らの口内の濡れた粘膜でたっぷりと陽介自身を味わい尽くしたあと、
締め付ける肉壁、いつからか知ったその弱い箇所をぐいっと突き上げた。
途端、
「ッ!! ―――― ッ・・・・!」
与えられた大きすぎる激しい快感に声すら出せず、陽介は喉を鳴らして呆気ないほど簡単に、
鳴上の口内で二度目の白蜜を吐き出した。
「ん・・・・」
自分の口中で弾けたそれを、鳴上は当然のように少しも残さず飲み干し嚥下する。
一旦止まったあとも、一滴たりとも陽介のそれを無駄にしたくはなくて、
名残惜しくちゅうちゅうと吸い付いて残滓を搾り取って。
「ぁ・・・・あッ・・・・!」
そんな行為にも過敏この上ない身体は素直すぎるほど素直で、鳴上が吸い上げるたびに細い下半身が小さく痙攣する。
全て吸い尽くしたあと、やっと鳴上はずるりと指を引き抜き、ごそごそと体勢を変え快感で半ば放心している陽介の顔を覗き込み笑って一言。
「満足したか?」
「・・・・・・・・・・・」
咄嗟に陽介が答えない答えられないでいると、
「沢山出したし」
言われながら顔に落ちてくるいくつものキス。
そんなキスにさえ、連続して二度も達せられた身体は例外なく敏感で、
キスの合間に軽く胸元を撫で上げられただけでも反応してしまう。
繊細な場所に触れられれば否応なく反応せざるを得ないのが男、であるとは自分でもわかってはいるものの、鳴上によって昂ぶらされてしまうと、やはりどうしても羞恥心は消えてはくれないし、
また極限まで昂ぶった身体、そんな状態で更なる愛撫を送られたとき、
いつもいつも何も考えられないほど、鳴上の好きなように乱されてしまう自分がいて、
それがたまらなくハズカシイ。
しかもそれだけならまだしも、自分はそんな状態なのに、
鳴上はといえばいつだって行為の最中だって余裕綽々で、
一方的に自分だけが乱れる図を思いきり楽しまれているような感も消え去らなくて、
なのに不思議なことにそれもそこまで決して絶対に嫌だ!! という訳ではないから、
だからそんな気分に捕らわれる自分が情けないやら分からないやら、どうにもこうにもなってくれない。
「・・・・・・・・」
ちっくしょーなんでオレだけ、なんでこんな、とかそういったことを悶々と考えていると、
なんだか目の前で自分を組み敷いている鳴上をに、一度くらい仕返ししてやりたくなった。
・・・・・だけど万が一そんなことをしてしまったら、三十倍くらいになって返ってきそうだったから実行には決して移さないだろうけれど。
「花村?」
「・・・・なんでも・・・ねー」
荒い吐息混じりで自分を見ていながらも、視線を合わせると急にふいっと顔を逸らしてしまう陽介に怪訝そうな表情で、鳴上はキスを繰り返す。
「何でもないって顔じゃなかったけどな」
「なんでそんな疑い深いんだよ、ホント何でもねーって」
と、陽介が強調したところで。
鳴上はただ笑った。
「・・・・?」
その笑みの理由が分からなくて、今度は陽介が訝しげな表情になる。 と。
「中はあんなに熱いのに、どうして疾風属性なのかが不思議で」
「・・・・・・・・・・・・知らねーよ!! ・・・・・・・」
反射的にそう喚いて考えることも頷くことも否定することも拒否! したのだが、
身体を起こすまでの気力も体力も残っておらず、くたりと重力に身を任せたままの陽介に、
鳴上は寄せた口唇で一言。


「まあ、俺はお前なら何でも構わないけど」


耳元で低く、甘く。


「・・・・っ・・・」
その囁き声はいつもより僅かに掠れ気味で深く響き、
陽介はぞくっと首筋を震わせる。
「・・・・最初に話しかけてくれてきたのが、お前でよかった」
鼓膜に直接吹きかけられてくる鳴上の息も気が付けば相応に乱れ熱を持っていて、
「お前のシャドウを見たのが、俺(※とクマ) だけでよかった」
吐息だけでダイレクトに伝わってくる欲情。
思わず、一体どんな表情でそんな科白、と陽介が僅かに首を傾けると、真っ直ぐこちらを見つめてくる視線とぶつかった。
と同時、鳴上は脱力したままの陽介の身体を片手で引き寄せ一旦抱き抱えて態勢を整え、
それから大事な最奥を一度やわらかく撫で上げてから、猛って硬い自身の先端をそっと宛がった。
「・・・・ん・・・っ・・・」
昂ぶる鳴上自身の熱と、齎される感覚に反応して小さく戦慄く陽介の腰を固定して、
ゆっくり己れを埋め込んでいくと、柔軟で熱く狭い内部は侵入を拒みながらも蠢いて、挿入されていく鳴上自身を受け入れていく。
「・・・は・・・ッ・・・」
腰を進めるにつれ、心地良く締め付けられる感覚に鳴上の唇からも吐息が漏れる。
全てを埋め込み終えたところで、下半身の動きだけで軽く揺らしてやると、
くぅ、と喉だけで喘いだあと、陽介は眉を寄せて甘く耐える顔をした。
「・・・・ッ、ま、だ、早っ・・・・」
「そうか?」
言って上体を折り曲げ、接近した顔で耳を甘噛みする。
噛まれた感覚に、ヒクンと陽介が身体を震わせたのを合図にして、鳴上は本格的に腰を使い始めた。
「あ・・・・あッ!」
欲望を溜めた鳴上自身が柔らかく濡れた内壁を何度も何度も突き上げ、蹂躙していく。
出し入れの都度、括れの部分が弱いポイントを掠めて引っかいて、
たまらず陽介はびくびく身体を震わせた。
鳴上は目の前の甘い吐息をつく唇に軽くキスをして、外からも愛してやりたくなって互いの身体の間の彼自身を手に取る。
繰り返された愛撫と蜜とで、すでにびしょびしょに濡れ落ちたそこは、扱き上げるたびに湿った粘着質な音を立てた。
「ぅあッ・・・・! あ、・・・・ッ!!」
ただでさえも内側の弱いところを攻められていたというのに、同時に直接的に外からも刺激を与えられてしまい陽介は、
重なる性感がきつすぎて咄嗟に手を伸ばし、自らを捕らえて離さない鳴上の手を掴んでしまう。
だが勿論のこと、そんな程度で鳴上の行為を止めることなどできるはずもなく、
「ぁッ・・・・ッあ、そこ・・・・っ・・・・」
実際は違うのだが決してそうではないのだが、鳴上からしてみれば逆におねだりをしているようで。
「足りない・・・・か?」
「ひぁ、あッ・・・・ッ・・・・!!」
真っ赤に色付いた先端をきちゅっと摘まみ上げた途端、陽介は大きく喘いでビクンと仰け反って、
肉壁も鳴上自身をきゅうきゅうと強く強く締め付けた。
「・・・・・・・ッ、」
締め付けに、気を抜くとこちらの方が引き摺られてしまいそうなほどの快楽を齎され、鳴上も耐える。
「1 MORE?」
「・・・・馬ッ・・・・鹿っ・・・やろ・・・・!」
鳴上を締め付けすぎて辛くなったのは、陽介も同じらしい。
どうやら快楽刺激は両方の身体を駆け抜けたようで、
かたかたと腰を震わせつつ、それでも内部の弾力を失わない陽介が本当にいとおしくて。
ニヤリ、と口許を歪めて鳴上は笑い、
「『いくぜ相棒、』 って言ってくれたら嬉しいけど」
「な・・・・っ・・・、言うワケ、な・・・いだろ・・・・!? ―――― うあ、あぁッ・・・・!!」
間髪入れず、陽介の一番弱い箇所に思いきり強く自らを突き立てた。
たまらずあがった悲鳴のような悦楽の声。
「イイ声」
「・・・っ、ぅ・・・・ッ・・・おま・・・、え、ホントに・・・・っ・・・・」
時々性悪すぎだマジでホントに!! と今にも告げたい台詞と嬌声とを陽介は懸命に堪えるけれど、
鳴上は先程突き立てた部分を更に更にぐいぐい押し上げていく。
容赦のないその攻めに陽介は唇を噛み締め、シーツを握りしめて耐える、けれど。
「ッ・・・・、ぅ、く・・・・っ・・・・っっ・・・」
蓄積される快感はどこへもやれなくて、
快楽神経の塊のような前立腺を直接突き上げられて、とにかく性感に翻弄され、快楽に視界までもが霞んできたところで。
「んッ・・・・!!」
突然、胸の飾りを弄られて意識を無理矢理そちらに向けられた。
「こっちも」
鳴上は悪戯っぽく言いながら、また飾りを指先でころころ転がし始める。
「・・・・っ、や、やめ・・・・!」
中と外、それに胸まで同時に愛されて、たまらずに陽介は上体を仰け反らせ逃げようとするが、鳴上は器用にも片手でそれを阻止。
小さな粒に愛撫を送り続ける。
見ればもう片方の手の内の陽介自身は蜜を滴らせ膨れ上がりとろとろで、
同じくらいとろとろに蕩けた内壁が限界を誘うよう蠢きはじめ、鳴上自身もそろそろきつくなってきた。
「・・・・花村、」
荒くなる吐息混じりで名前を呼ぶ。
「・・・・っ、んぁ・・・・あッ・・・・!」
手の中の彼自身を、下から上の方に何度も扱き上げてやると、
快楽に蕩けきった声が聞けた。
片脚を抱え上げ、角度を変えて内部を穿てば、
「ぅ・・・・あっ!! ・・・・っあ、・・・・、ん、ん・・・・っ・・・・」
蕩けて掠れた声が、もう忙しない。
鳴上は自らも息を詰め、膨れ上がった陽介自身の吐精を一気に促すよう腰も使い奥を穿ちながら、
一際強く手の中を搾り上げた。
「ん・・・・んッ、も・・・・っ・・・・・!」
がくがくと腰が揺らぎだし、高みが訪れた身体に力が込められる。
連動して内部の鳴上自身も今までにないほど刺激され、
「俺、も・・・・!」
最後に乱暴なほど激しく最奥を突き上げた瞬間。
「あっ、あ、ッッ――――・・・・!!」
一瞬の間を置いて陽介自身が弾け、
続いて鳴上自身も熱い内側に、より熱い熱い欲望を吐き出した。


























そしてその後になっても、まだまだ夜というには時刻は浅く、たっぷり睦める時間は有り余っていて。
結局、それから続けて二回ほど。
別に全然イヤではなかったから鳴上の要望にも二つ返事でOKしてやって、、
途中まではそこそこ自分からも求めていたような記憶もあるにはあるが、
正直なんだかもう最後の方は陽介もあんまり覚えていない。
ただただ為すがままされるがままの状態で、声が嗄れる前に腰がもうガクガクで膝も立たなくて。
日付が変わる頃、ようやく解放されたときなどはぐったり枕に顔を埋める形で、もう顔を上げる気力も体力も残っておらず。
「なんか・・・・ぐちゃぐちゃなんだけど・・・・」
だるい腰、濡れ落ちた下肢を持て余してうつ伏せのまま、そう零す。
「まあ、仕方ない」
あれだけ達けばそうもなるだろ、何回達った? と指折り数えようとする鳴上を、
「だああー!!」 と慌てて止めて。
「なんでそんなに元気なんだよ、お前・・・・」
自分はほぼHPゼロなのに、まだ余力を残しているかのような鳴上が信じられない。
「・・・・・・・・。 思春期真っ只中だから、かな」
するとあっさり返され、
「〜〜〜〜〜〜発情期の間違いだっつの!!」
思わず、反射的にそう反駁してから。
「・・・・・・・やっぱ、なんか・・・・こんだけやる時は、コンドームとか、付けたほうがいいんじゃね・・・・?」
わりと大変なことになってしまっている布団の惨状(・・・・) に、ついつい呟いてみたところ。


「そんなの付けたSexなんて、ガラス越しのキスと同じだ」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鳴上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


即座に却下、一言で棄却され、これは呆れ返っていいものなのか、
それとも納得すべき返答なのかと思わず頭を悩ませそうになり。


「そうだろ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・頷いちまっていいのか、コレ・・・・・・」


笑顔で畳み掛けられ、けれどもしこんなところで肯定してしまったりしたら、
なんだか次から言質を取られまくって大変なことになりそうだったから。


「ちょっと、保留」


ここは一旦預けて棚上げしておいて、寄せられてきた口唇に逆らわず、
真夜中の戯れるキスに集中することにした。






















そんなセリフを平然と言ってのけられる鳴上を陽介は少しだけ羨ましく思うと同時、
やっぱお前どっかおかしいっつの、
見た目と違って中身は根本的に思いっきりMAD属性だ間違いねーだろと思う。 だけど。 でも。












でもそんなコイツが、滅茶苦茶好きだ。












ラブラブなのをやりたかっただけです。 えろで(笑)
ちょっと待って菜々子ちゃんて冬の間どれだけおうちにいたっけ? てのはスルーしてください
書き終わったあとに気がついた。 ゲフゥ