[ zealot ]



アナザーエンドですが、細かい辻褄合ってないです。 ・・・・・・・・またかい!!
感覚的に読んでいただければ・・・・と・・・・ ← また・・・・・かい・・・・






そろそろ一月も終わりに近づこうという頃。




「・・・・・・・・人を殺めて、何か変わりましたか」




「は?」




妙に煮え切らない態度の鳴上に、
怒らないで聞いてください、と前置かれた後の奇問。
なんだかなあ、と軽く頭をかきつつ足立は目線を彼に向ける。
「そう聞かれてもねえ。 別に特に何もコレといって?」
無い無い、と普段通りいつも通りの態度で対処してみると、恒例ならまた何か一言添えてくるはずの鳴上にしては珍しく、
「そうですか」
小さく頷いて、そのまま黙った。 そして、沈黙。
微妙に間延びした、なんとも言えない空気と空間に足立は肩をすくめ、
「あー、やっぱり僕、キミのこと理解できないや」
半分本音、そして残り半分は愚弄の意を込めてそう口にする。
と。
「俺も正直な話、自分があまり他人を理解できているとは思っていません。 ・・・・・・わかるのは、好きか苦手か、ってことくらいです」
あえて 『嫌い=苦手』 と表現する鳴上の良い子っぷりを嗤ってやろうかと一瞬だけ思ったのだが、
今更それを指摘することすら、面倒くさい。
だからあえて聞き流し、
「へえ。 理解はできなくても変なところで気が合うねえ? 僕も他人に対しては二択。 どうでもいい、か無関心のどっちか」
浅くスルーしようとした足立に対し、
「・・・・・・・・俺は足立さんの何、ですか」
不憫なほど、凡愚で青臭い鳴上の問い。
そんな台詞を口にする野郎に返されるのは古今東西十中八九、絶対的な憐れみ混じりの言の葉でしかないのに。
だから足立は一言の返答すら言葉にせず、口許を歪めて声もなく嗤っただけで。
すると、
「やっぱり返答はくれないんですね。 わかっていたけど」
などと苦笑混じりに呟く。
「だってさー、仕方ないじゃん? 悠くんの僕に向ける感情、当の僕からしてみりゃ笑うしかないっての。 率直に言わせてもらえば、蔑みと嘲笑しか出てこないし」
そうだ。
精神もココロも真っ当であるなら、どうしたって絶対に生まれるはずのない方向性の感情なのだ。
恋愛感情などと。 とち狂っているにも程がある。
堂島父娘はあんなにマトモすぎるほどマトモなのに、どうしてこの男だけこんなふうになってしまったのか、
・・・・・まあ、考えたところで意味も無い上、すでに何もかもが手遅れであることは明白だったから。
初志貫徹。 足立は呆れた素振りで空欠伸をひとつ。
「わりとけっこう前から聞きたかったんだけど」
と前置いて、
「そもそもキミには何が見えてるの? 稲羽市に来て、悠くん残念なほどあからさまに狂っちゃったねえ」
扁桃体も前頭葉ももう1グラムくらいしか残ってないんじゃない?、と揶揄り、
でもそれを言ったら脳ミソなんて油と蛋白質の塊で、それを包んでる頭蓋骨もただのカルシウムだしなあ、 
何言ったって今更か、とひとりごちる。
一方で鳴上は正直に答えようとしかけて止め、
ゆっくり窓の外に目を向けた。
「雨が降ってきました。 ・・・・そのうち霧に変わりそうな霧雨です。 これじゃ積もった雪も溶けない。 洗濯物も干せませんね」
あえて無理矢理、会話にくだらない日常を差し込んだ鳴上に足立が茶々を入れずにいたのは、どういう心境からだったのかたぶん当の本人にもわからないまま。
「安心しな。 雨は一人だけに降るものじゃないから」
「俺は、不義を犯してももう何とも思わなくなりました」
「それにしても、毎日毎日雨か雪ばっかりで底冷えするよねえ。 あー、寒い」
「でも足立さんのためなら、足立さんの言葉ならなんでも欲しい」
「寒いとなんにもやる気なくなってくるし。 ゴロ寝くらいしかすることないかな」
「あなたの声帯から発せられるものは、全部俺だけのものにしたい。 たとえそれが俺を蔑んで罵る台詞でも」
互いにヒトの話なんて全然聞いていない。 ちぐはぐな会話。
どうしようもなく歪んだふたり。
丸ごと全部かなぐり捨てたはずなのに、全然違う方向しか見ていない。 なのに。
「・・・・・・・・完ッ全に発狂してるよね。 あらためて」
「それはお互いさまだと思います」




なのに剥き出しになる獣欲に火が付くのは同時。
先に誘いの手を伸ばしたのは、当然にして鳴上。




「今日は、激しくしましょう。 滅茶苦茶に壊れてもいいです。 息が止まってもSexは止めないくらい激しく」




「言いたいコト、それで全部?」




伸ばした鳴上の腕を足立が掴んだ途端、
突然、彼の気配が濃くなる。
衝動に弾かれて互いを引き倒し合ってシーツに転がり縺れる二つの身体。
蔑みの視線をくれるはずの足立の目蓋は閉じられ、
たまらなくなって鳴上は罵りの言葉を聞かせてもらえるはずの口許を自らの口で塞いだ。








このまま世界が終わってしまえばいいのに。










ていうかこの二人いったい何処にいて、何処でこんな会話してるんだろうと書き終わったあとに自分で初めて気が付きました(笑)。 ・・・・おそらくどっちかの部屋だろうと思います。
個人的には主足でも足主でもどっちでも良かったのですが、鳴上氏が気持ち悪すぎたので主足の方に置いてみた。 本当にどっちでもいい。