[ XXX and ]



※[DDD] [XXX] の続き(?) みたいなものです






またまたしても此処が何処で、
またもやまたもや今がいつで、
またまたまたまた鳴上と足立、
何故に何故にどうしてどうして、並んで再び普通に会話をしているのか、なんて引き続き(×2)、深くも浅くも考えてはいけない。




「BLAZBLUE参戦、おめでとうございます」
「・・・・どうしてこうなっちゃうんだよ・・・・また・・・・」




やっぱり来たじゃないですか、せっかくだから記念に触れさせてください、
とこの上なく嬉しげな口調とドヤ顔したり顔で、懲りない鳴上は接近を迫る。
前回前々回同様、二人とも暗黙の了解・前提としているうえで、得意満面の鳴上とは正反対のカオで態度で半ば不貞腐れているのは足立だ。
「自分でも信じられないし。 P4Dで本当に終わりだと思ってたのに・・・・」
どうして別タイトルの格ゲーにまで呼ばれなきゃならないんだ、としゃがみ込み、頭を抱える。
「いい? 僕なんてストーリー上からすると、単なる中ボスだよ? 『途中でパーティメンバーに加入』 とか一切してないし、『最初からメンバーだったけど途中からパーティ離脱、闇堕ち』 とかよくあるパターンの踏襲でもない、おまけに最初なんてコミュすら無かった程度のキャラクターだったってこと、どいつもこいつも忘れてないかい!!?」
長台詞、最後のあたりはもう自棄になったらしい。 半ば吐き捨てるかの如く声を荒げる足立に、
「P4G、P4U2が原因ですね。 俺は嬉しいですけど」
気持ちが悪いくらいの猫なで声で鳴上は答えつつ、同様に隣に腰を下ろした。
それがまた気に食わなくて、
「時々忘れてるようだから言っとくけどね、僕、殺人犯だから。 しかもやっちゃった相手はオンナと女子高生。 最低だね。 どう客観的に見たって最悪だよサイアク。 そこんとこ、ちゃんと認識しときなよ」
真実をもって、意地悪く自分を貶めてみる。 と。
「・・・・そう、ですね。 俺は、そんな人を好きになって、共犯者になって、何もしないまま霧で世界を終わりにしたり、」
そういう終末ルートもありましたね、などと感慨深げに呟く鳴上悠。
その姿を横目で見ると、ああ駄目だ。 皮肉すら、まるで伝わっていない。
いや、伝わっているのかもしれないが全くもって気にしていない。 その証拠に、
「そんなルートもあった、俺と足立さんの仲じゃないですか」
白々しいにも程がある台詞を吐きながら、ずいっ、と身体を寄せてくる。
「仲も何も、赤の他人ってやつだろ」
と、たまらず切り捨てた一言に。
「いえ。 色違いで同じペルソナで、P4U2で一緒にラスボスを倒して、P4Dなら唯一のダンスパートナーで、ゴールデンアニメだとタッパー云々、円盤になったらAnother End Episode 『Thank you Mr.Accomplice』 まで作ってもらえておまけにP4U2のイラスト集は副島氏描き下ろしの貴方と俺だけの表紙カバーで一番最初のタイトルから数えたらもう11年以上が経っていて、ええと今パッと思い付くのはこれぐらいですけど、もっと細かく思い出せば俺と足立さんとの絡みは他にもいろいろあるはずです、そんな俺たちはある意味もう他人なんかじゃ」


「〜〜〜〜!! どこまでいっても真っ赤な他人!!!!」


先程の自分を超える、おそらく今までで一番の台詞長回しをやり始めた鳴上を無理矢理止める破目に陥り、なんだかまるでいつかのよう、足立は全てを投げ出したくなった。
多分、自分が思う以上に自分は、鳴上という男の本質を見抜いているからだろうと思う。
仕事柄身に付いた洞察力と言えば聴こえがいいかもしれないが、それとは少し違って、否応なしにそう仕向けられた何かがあって、自分は此処にいる。
「はぁ・・・・」
溜息、ひとつ。
そもそも鳴上悠、10歳も年下のこのクソガキは最初から狂っていた人間なのだ。
途中まで、あれだけ一丸となって行動を共にしていた仲間に結局何も告げずAnother End、所謂バッドエンドへ独断で導く身勝手さ。
しかもそれを周囲に対し、最後まで欠片すら匂わせない厚顔っぷりはあるイミ天晴な域に達していて、
一見、人好きのする雰囲気を漂わせながら実際そこそこ実行しながら、なのに最終的に足立以外の人間には実質無頓着の極みだったという異質っぷり特質っぷり悪質っぷり。
はっきり言う。 差別でもなんでもない。 ただの精神異常者だ。 しかも自覚アリ、の。
「・・・・ハァ」
溜息、ふたつめ。
特に意識してそう大袈裟に吐いたわけでもなかったのだが、
「そんなタメイキ、つかないで下さい」
耳聡く鳴上に感知され、「いや原因全部キミだから、」 と事実をもって口撃しようとしたところ。


「すみません。 もう我慢できない」


そんな言葉と共に学ランの長く、固い腕が伸びてきて、ぐいぐい抱き締められた。
「やっぱり口実も前口上もいらない。 せっかくまた逢えたんだ」
「ちょ・・・・」
腕越し、ちょうど足立の肩口にかかる鳴上の吐息はすでに荒い。 いつものことながら、なんだこの色欲。
「もう何百回目になるか自分でもわからないけど、好きです。 俺は貴方しかいらない」
「・・・・・・。 ふうん」
確かにもう何度聞いたか、聞かされたかわからない月並み過ぎる言葉。 まともに返事を返した覚えは一度も無い。 彼のエゴでしかない告白。
なのに。
ここまでくると、すでに大した不都合もない。 何も互いに初めてという訳でもないのだから。
「はあ・・・・」
みっつめの溜息に混ざるのは僅かな失笑。
そんなふうに考えてしまうほど、見事に自分の世界は狭まっている。 当たり前か。 そもそも自分はそういう立場で、そういう立ち位置なのだし。
「とりあえず力、少し緩めて。 これじゃキミも僕も身動き取れないだろ?」
告げながらそして失笑は、苦笑に変わる。
珍しくも素直に言うことをきいて、腕をほどきかけた鳴上、その不意を突いて。
「場所、ココでいいの? いまいちよくわかんないとこだけど」
耳元、唆すニュアンスで囁いてやったら。
「足立さんの部屋がいいです。 ゴールデンアニメの」
鳴上の即答で、瞬時に場所移動。 足立としてはなんだか物凄く懐かしい景色の中、
「また、なんの捻りもないトコロ選んだね悠くん。 別にフツーにホテルで良くない?」
ぽりぽり頭を掻きながら、懐かしい以外の大した感慨もなくベッドに腰をおろす。
そして鳴上はどこまでも予測内の台詞しか口にしない。 嬉しそうに狭い部屋の中を見渡しつつ、
「ここが一番、足立さんの匂いがするから」
「あ、それ絶対気のせいだね、単なる思い込み」
ありきたりの言葉をすぐさま棄却、
「僕ね、昔からどんなに汗かいてもほとんど臭わない体質だったから。 無臭。 夏場でもデオドラント一切不要。 機会があったら堂島さんにも聞いてみな」
これまた懐かしい、上司の名前を出してみる。 と。
「いいんです。 貴方の匂いは俺しかきっとわからないから」
気持ちの悪い一言の後、勢いよくベッドに押し倒されながら唇を唇で塞がれた。
ああ確かに。 唾液の味も彼しか知らないだろうし。
「何だか、すごく久しぶりな気がしますね」
長いキスの後、嬉々満面を隠そうともしないままの鳴上の台詞。
言われてみればそうだったかもしれない。 とは言っても時間なんてここでは定義できるものでもなくて、
何より、たとえ本当にそうだったとしても素直に頷いてやる足立でもなく。
全てを鳴上ペースで持って行かせてやるのが何となく癪で、空いている手を使い自らネクタイを解き、シャツをはだけさせる。 と。
「だから、今まで空白だった分と、先月スルーしたハロウィンと来月のクリスマスと年末と来年の正月とバレンタインデーの分も、まとめて抱かせてください」
「はあ・・・・?」
調子に乗る鳴上。 今更だが呆気に取られた足立の口を再びキスで塞いできて、シャツの隙間からそろりと手のひらを滑り込ませ、脇腹から腰骨のあたりを撫でてくる。
ベルトを外す所作もすでに手馴れたもので、二度目のキスが終わる頃には互いの衣類はほとんど床に落とされ、素肌の肩が触れ合ったのをきっかけに、ぱくりと耳を食まれた。
耳朶を軽く引っ張られ、それから甘く噛んでくる。
その甘さが煩わしくなり始めるほど時間をかける前戯の長さと、
あえて音を立てるように舌まで這わせてくるのがこちとら、いい加減まだるっこしくなってきているのに、
まったくどれだけ浮かれているのか、彼は言葉を紡ぐ。
「Sex以外に、Sex以上にあなたを独占できることがあるなら、試してみたくて、探してみました」
「何ソレ。 で? そんなのあった?」
「・・・・・・なかったです。 世界とか環境とか立場が違えば、似たような手段もゼロじゃなかったんですけど」
「はは。 キミと僕じゃあねえ。 そうそう無いよなあ」
「難しかったです」
「だろ。 結局さ、それくらいしか無いってコト。 キミと僕なんて、そんな程度なんだよ」
「だから、」
「ん?」
「腹上死覚悟でがんばりましょう」
「〜〜〜〜どっちが!!?」












































「・・・・しつこいにも程がある・・・・」
ぐんにゃり。
幸いにもどちらも腹上死はまぬがれた。
けれど、何だかいろいろ(お互い、に) 吸い尽くされて吐き出させられて絞り取られてへろへろだ。
腰が立たないどころか、首を持ち上げることすら面倒くさい。 顔面を枕に埋めたまま、足立は呻いた。
そのすぐ横で、鳴上が上半身だけを起こす気配。
「だって」
衣擦れの音に、ワントーン落ちた声が重なる。
「これが本当に最後かもしれないから」
P5Rも出たし、P5Sも予定されている。 その後に続くタイトルだってきっと200%、冠はP5だ。
「俺が他タイトルに出稼ぎに行くことも、そろそろお役御免になりそうですから」
そうしたらいつかきっと俺も忘れられます。 それは構わない。
でも足立さんを忘れることなんて出来ない。
と鳴上はつぶやく。
「・・・・あのさあ」
どうしてこの子供は。 つい先刻までは浮かれの有頂天だったくせ、どうして突然こう豹変するのだ。
よく言えば殊勝、悪く言えば情緒不安定。 どちらなのだろう。 もしかしたら両方か。
足立は 「はァ、」 とタメイキをついた。 
それは枕に吸い込まれて、鳴上にはただの吐息としてしか聴こえなかったかもしれないけれど。
もう一度息を吐き、
「よいしょ」
足立は顔を上げる。 鳴上と目が合った。
「ふうん。 悠くんにしちゃ、珍しいね」
「俺にだって、弱気になるときくらいあります」
はは、と鳴上は声だけで笑う。 それはあまりにも下手くそで、それを得意としていた足立からすると下手すぎて逆に感心するレベルで、心底 『適度にバレない上手な上辺だけの笑い方』 を教えてやろうかとも一瞬、思ったけれど。
無駄だよなあ今更何の役にも立たないし、と考え直して。
「弱気でもなんでもイイけど」
一旦区切る。
『適度にバレない上手な上辺だけの欠伸』 をひとつ。 それから。


「・・・・・・・・僕に手を出しといて、そうカンタンに終わりだなんて思うなよ?」


最後だけほんの少し、凄んでやったら。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、それが、終わりのフラグなんです」
でなかったら足立さんがこんなに優しい訳が無いんだ、とぼそり。
続けてこちらが構える間もなく、枕を奪われた。
そのまま鳴上は、つい今さっきまでの足立同様、枕に顔を落とす。


さあ。 どう答えてやろうか。
この、図体ばかりでかくていじけた子供に。


「悠くん、」


「はい」


とりあえず直後、無言で 【マガツイザナギ召喚 → マガツマンダラぶちかまし】 を決めてやった。(※裸で)


どうやら残HP一ケタで耐えた鳴上悠。 虫の息ながらも、「何するんですか!!」 と反撃された。(※全裸で)


思いのほか激しい攻撃だったから、頭にきて 【亡者の嘆き → 血祭り】 コンボででトドメをさしてやろうとした寸前、鳴上は何か悟ったか、何某かを吹っ切ったらしい。


「わかりました、足立さんの加齢臭を嗅ぐまで、俺は絶対に離れませんからね!!」


最高に気持ちの悪い台詞を(※素っ裸で) 叫ばれ、【幾万の真言】 が降ってきた(※真っ裸で)。


結果、
おそらく相打ち。(※揃って赤裸で倒れ伏す)













大丈夫。 いつでも時間は、あの時とまったままだ。














あからさまに途中でぶん投げたのがバレバレです・・・・ヤろうかと思ってましたが、
このふたりヤってばっかりなので、今回は別にいいかな、と。
鳴上氏の情緒不安定っぷりに自分でもびっくりです。