[ 11月、始まったばかり ]


この日付のあたり、ゲーム内では雨がまったく降っていないのですがお気になさらず!

☆☆☆ 白明智で読んでいただけたら幸いです ☆☆☆





夜明け前から降り出した秋の雨は、放課後までずっと土砂降りレベルで降り続き、
天気予報によると終日、止みそうもない。 そんなある日の夕方。




『教えて欲しいことがあるんだ』、と呼び出されて言われた。 あの笑顔で。




小奇麗なマンションの一室。
ここで一人暮らしだと事もなく言ってのける明智吾郎に感嘆しつつその実3割ほど呆れつつ、
雨宮 蓮は傘では防ぎきれず、雨粒で濡れ、重くなった制服の上着から袖を抜く。
「ここにかけておけば乾くと思うよ」
と、エアコン前の椅子の背を示してくる明智に従い、高層階の窓の外、薄暗い雨模様を無感動に見やりながらついでに雨飛沫の跡のついた眼鏡も外させてもらう。
こんな天気ゆえ、モルガナは朝から部屋で留守番で、突然のこの明智のこの呼び出しにはちょうど良いといえばちょうど良かったのかもしれなかった。
彼が、明智がパーティinして以来の二人の好誼はモルガナ含め、仲間内のまだ誰にも表向き以上のものは悟られておらず気付かれてはいない状態で、
・・・・・・・・だからこそ。




「何を教えてほしいって?」
言われるままやって来て、その道中いろいろ思い当たりそうなところを考えてもみたけれど、思い付くところさえ皆無だったから、ストレートにそう訊ねてみた。
(実際よくは知らないが) 当然にして学力も秀でていそうだし、
明智のような人間が、自分に何を教わろうというのか。
そうしたら。
「君の落とし方、かな」
「・・・・え?」
笑顔で告げられ、対して思わず真顔で聞き返してしまったのも無理はないと思う。
そんな蓮に対して対して、明智はどこまでもいつもの調子、柔らかで穏やかで、
「面と向かって訊かないとわからない哀れな僕に、教えて?」
でも読めない笑顔。
「、」
情けなくも語彙を失った。 そんな自分に構わず、明智は独占的に言葉を紡ぐ。
「そろそろ、君との関係を更に強固なものにしておこうと思って」
「な、・・・・」
逡巡する蓮。
「君のことが好きだよ。 だから最近はたまにするキスだけじゃ物足りなくなってきた、・・・・ってこと」
何、を。
混乱する。
情けないとは思うけれど、【ジョーカー】 ではない、今はただの 【雨宮 蓮】 は戸惑う。
一体俄然突然、何を言い出すんだこの坊っちゃんは。 誘う素振りで呼び付けて、
そう、今だって現在進行形でこちらにすいっと近付いて、気付けばキス以外することが無いというほど、近い距離で。


「おんなの子と比べたらちょっと勝てないかもしれないけど、僕、どう?」


触れそうで触れない、唇。
それより先に、互いの少し長めな前髪の方が、重なり擦れてかすかな音をたてた。


・・・・・・・・何言ってるんだその辺のおんななんかより、よっぽど可愛いカオをして。


自らの見目の良さを存分に知り尽くした、あざとい台詞回しに対する返答は、衝動的にたまらず塞いだ口唇、深い口付け、それで応えた。
こんな展開、今更ながら気づいた、というのは嘘。
本当のことを言えば、とっくにわかっていた。 ベッドはすぐそこにある。 マンションの一室、一体何部屋あるのかは知らないが、リビングを通り抜け、通されたのは最初から寝室だった。
キスの後、乱暴に引き寄せた際、
「・・・・、ッ」
こらえきれずに零してしまった蓮の性急な荒い吐息は、ゲリラ豪雨にも発展しそうな雨足の音に吸収されて互いの耳に届いたのか届かなかったのか。
「じゃあ、始めようか」
ただ隠しきれない、隠そうともしない欲情を浮かべた瞳で全てはクスリと笑った明智に筒抜けだったけれど。
「大丈夫、僕にまかせて」
・・・・・・・・両方とも、どこかで聞いた台詞、聞き覚えのある言い回しだ。
噛んで含めるよう、なのに淫蕩な響きで鼓膜に届く。
それでも、スマホに誘いが届いたときから初めから最初から、今日の筋書きの全てを明智の思惑通りにするのが何故だか少し不服で、
「焚き付けたのは、お前だ」
引き寄せたまま、無駄だとわかっていながらも蓮は虚勢を張る。
と、やはり小さく笑われた。
大丈夫、ともう一度、繰り返される。
「君が思ってるより、僕はきっと愛しやすいと思うよ」
知ってる。 知ってた。
そもそも最初から、時折の逢瀬だけでどうにかなるようなものではなかった。
だから、
「望むところだ、」
負けずに囁き返してやり、ふたり、同時にベッドに縺れた。
















皺ひとつ無いシーツの上、肩に手をかけ今度はゆっくりとキスをしながら、蓮はぼんやりと考える。
今日に限ったことじゃない。 いつだって、誘いのリアクションは明智の方からだった。
たまさか奇跡的な偶然なのかそれとも偶発的な幸運が単に続いていただけなのか、
そんなときはいつだって大した用もなく、蓮も時間を自由に使えてしまうという見事なタイミングで、
・・・・・・だからと言ってそれを断らない、断れない理由がこれといってある訳ではないのだけれど。
どこか仕組まれているような錯覚も否めなかったが、今更思案したところで意味もない。
だからキスの続きに集中することにした。
何度となく浅く食んで、そのあとは思いきり深く。
「ふ・・・」
息継ぎの途中、どちらからともなく甘い息が漏れて、更に夢中になって口腔を貪った。
釦を外しはだけたシャツの袷から左手を差し入れ、直に肌に触れる。 と、
「、ちょっと待って」
そんな声と同時に明智が唇を離し、それまで伏せられていた嫌味にならない程度に長く整った(すでにこの時点で十分嫌味レベルは満たしているのだが) 睫毛を上げ、紅茶色の瞳でこちらを見上げてきた。
「『まかせて』 ってさっきは言ったけど、一応、僕も男とやるのは初めてだから」
そんなの、自分だって同じだ。
だからそう告げると、
「そうだろうね、でもそのあたりは君も踏まえておいてほしいな」
なんてよくわからないことを言う。
「・・・・・・・・おんなとは?」
「それは僕の戦略的・商品的価値として機密事項」
「何だそれ」
「いいんだよ。 だってもし僕の方が断然経験豊富だとしたら、自動的に今の立ち位置も逆になるけどそれでもいいの? まだ間に合うし、蓮の方が僕に抱かれたいっていうならこっちは構わないけど」
「・・・・・・・・・・・・」
「誘った手前、抱かせてあげるのが筋だし道理かな、って思ってたんだけど」
「・・・・・・・・・・・・」
どうする?、なんて、簡単に訊ねてくる明智に、蓮は二の句を失いながらも首を横に振った。
もうとっくにその気にさせられてしまっているのに、その気にさせたのは誰でもない当の本人なのに、
ここまで来て立場逆転は少し困る。
だから。
「・・・・・・このまま、ゴキョウジュお願いします」
言って制服インナー、ハイネックを一気に脱ぎ捨てる。 先に自分だけ上半身裸になって、
でもまだ明智のシャツは脱がせるのが勿体なくて残しておきたくて、そのまま。
袖を抜かせず今度は両手で、身体のラインを確かめるように肌を辿っていく。
見た目通り、細くて、所謂 『優等生的外見スタイル』 の期待に背かない身体で、
尚のこと、蓮は戸惑う。 明智の上半身、肌を彷徨わせている手のひらの肌触りはとても心地よくて、
胸元だけでなく、背中も、肩も何度も撫でた。 でもこの後どうしたら一番いいのかがよくわからない。
いや、するべき事はわかっている。 当然。
追々ああやって、こうして、最終的に行き付く行為は蓮だって理解しているし頭に入っているし、実行できる。 たぶん(・・・・)。
けれど今知りたいのそれじゃなくて、至るところつまりは 『流れ』 を作りたいというか、
だっていくら何だっていきなりその部位に飛びつく(・・・・) のはさすがにどうかと思うのだ。
勿論、相手がおんななのであれば何も悩まない。 程度の差と個人差はどうあれ、わかる。
しかし明智なのだ。
同性なのだ。
しかも学校が違うがゆえ普段ほとんど意識しないでいるとはいっても、ひとつ年上なのだ。
そんなことをぐるぐる思考してしたら、少し笑われた。
「いいよ。 蓮の好きなところをさわって」
「、」
囁かれ、衝動的に首筋に顔を埋める。
首というより顎に近い、向かって右のそこ頸動脈のあたり。 何故だか他より体温を高く感じるそこを軽く舐めると、明智はぴくりと一瞬反応した。
そのまま首筋を下から上に辿り、耳朶へと舌を寄せる。 と。
「ん、」
確かに聞こえた声と、僅かな身じろぎ。
もしかしてこのあたりがポイントなのか。 そう思って耳朶を銜え甘噛みを数回繰り返せば、やはりそうらしい。 意識しているのかしていないのか、首がわずかに竦められていて、そう理解した途端、俄然蓮のやる気に火が付く。
逆側、左側の耳にも同じことをしてみると、今度はあからさまに身体が震えた。
それでもまだ、蓮を見てくる明智の目と口許はどちらかというと平静で、
「勘がいいね。 て言っても、僕も今、自分がわりと耳が弱いってこと知ったんだけど」
じゃ、次は?、と先を促してくる。
まるで何かのレクチャーを受けているようで、何だか不思議な気分になったがここは真っ正直に。
胸、さわっていいか聞いてみた。 だっておんなでも無いのにさわってみてもどうなのだろうと疑問でもあったから。
すると明智は少しだけ考え、
「構わないよ。 でもあんまり期待できないかもね」
とのお言葉。
それはまあ、試してみなければ分からないので、OKを貰った蓮は即実行。
自分も体型的に細い部類なのは間違いないけれど、そんな自分より更に薄い胸。
そこにある淡く色づいた小ぶりな乳首はまだ薄い。
まずは心臓のある方、左側に手を伸ばし、指先で触れればそれはすぐに硬くなり、形をみせた。
それでも小さくて、そこからの反応はあまり伺えない。
「どう?」
なので直に訊いてみた。 多少は感じたりするのか、と期待しつつ。
なのに耳と違って明智の反応は鈍くてというか淡泊で、
「いや、さわられてるのはわかるけど、それだけ。 気持ちよくはないかな」
とのこと。
言われる通り、呼吸も全然乱れていないし、ちらりと伺い見たところ下半身にも如実な反応はないし、それは言う通りなのだろう。 おんなとは違うのだ。
が、
蓮的には何故だかそれが詰まらなくて、悔し紛れ(?)、戯れにそこに吸い付いてみた。
行動自体に大した意味はなくて、ちょっとしたキスのようなつもりで。
「ちょ・・・・、蓮、」
そんな蓮を明智は口調だけで諫めてくるがそれは無視。
きゅっと強く吸ってみたり、逆側をちゅ、ちゅ、と啄ばんでみたりするけれど、やはり明智の反応は芳しくない。
わかっていながらも名残惜しくてずっと吸い続けていたら、
「もういいって。 全く何も感じない訳じゃないけど、性感は無いね」
言い切られてしまった。 本人がここまで言うのだからそうなのだろう。 きれいな胸なのに。 なんだかとても心残りだ。
そんな心情が顔に出まくったのか、苦笑いをされてしまった。
「まあ・・・・、じゃあ、これはまた後日の課題ってことで」
こういう 『匂わせる』 言い方も、どこまでも明智は明智っぽくて。
そこでようやく蓮は頭と気持ちを切り替え、
「それなら、」 とばかり、今度は手のひらを腰のあたりに移動させた。
幾許かの逡巡を抑え込みつつ、明智の制服の下肢に手をかける。 途端。 明智にその手を掴まれた。
「、」
「君も脱ぎなよ。 君が先に脱いで」
穏やかながらもどこか命令口調に聴こえたのは気のせいではないはずだ。
「ああ」
素直に蓮は頷いて、遮光カーテンできっちり覆われ、
外の様子は雨音でしかわからない薄暗い部屋の清潔なベッドの上、音を立ててベルトを外し、脱いで、裸になる。 不思議なことに気恥ずかしさは一切覚えなかった。
そんな蓮の総身を明智はさっと見竦めたがその後は無言で、
「・・・・?」
「何でもない。 じゃあ、続けて」
どうする、僕も自分で脱ごうか、と言われたがそれは止めた。 何故って、早く脱がせたかった。 自分の手で。
眼前の明智吾郎の、端正できれいな顔をしたクロウの、人目には晒さない身体の中心部と、深いところを見たくて仕方なかった。
だから本当のところ、戸惑っている暇も、考えている余裕もない。
明智が自分で脱ぐのをやめたと分かるや、すぐさまその片足首を掴んで宙に浮かせる。
忙しなくベルトを抜き、無理矢理といえるほど強引に下着ごと剥ぎ取って、身体ごとベッドに押し倒して勢い任せ、組み敷いた。
怒られるかな、というのは杞憂だった。
互いに一糸纏わぬ姿。 
薄暗い中でも、その身体はよく見えた。
自然、視線は顔から胸元、腰、を眺め下ろし、下腹部までたどり着く。
蓮がまじまじとそこを注視しても、明智は何も言わず動かず、おとなしく黙っている。
否、心持ち顔を背けているか。 やはり多少の羞恥は感じているらしい。
その中心部は先程までの児戯のような戯れより、どちらかと言えば注がれる視線によって少し頭をもたげ始めていた。
「・・・・・・・・、」
ごく、と無心で喉が鳴る。
今になって物凄く興奮してきた。 自分でわかる。 明智の身体に、こんなにも欲情している。
「―――― ン、・・・・っ」
了承も得ず、そこに触れた。
ヒクン、と明智の腰が跳ねる。 回した片腕で彼の背中を支え、曲げられた両膝の間、勃ち上がりかけのそれを手の中に収めゆっくり擦ると、明智は手の甲を口許に当て、吐息を抑える様子をみせた。
しかし手の動きに合わせ、声は零れ出す。
「・・・、ぅ・・・・っ・・・」
もっと聞きたい。 その思いで上下させる掌中で、明智自身が次第に芯を持ち始める。 その先端からほんの僅かだけ白いものを混ぜた体液がじわりと溢れ、つうっと肉棒を伝って落ちた。
「・・・・っ、ん、ん・・・・っ!」
溢れるそれを堰き止めるよう、先端をきゅっと指の腹で擦れば、明智が小さくかぶりを振って声を漏らす。
蓮が弄る先端は少しずつ充血の度合いを増し、零れる体液も量を増やして扱くたび、音も鳴り始めた。
淫靡なその様に、蓮の息も穏やかではいられない。
もっと近くでそれを見たくて、
一度背中からも中心部からも両の手を離し、明智の両膝を大きく左右に割った。
「・・・・え?」
流石に明智もそれは予測できなかったらしい。
口許に手の甲はあてがったまま、驚いたようにこちらを見てきた。 仕方なく蓮もその体勢のまま、動きを止める。
「・・・・・・・・ええと、この感じだと、やめろって言ったところでやめないよね」
「ああ」
当然だ。 すっかり勃ち上がって震える性器。 しかもそれは自分の愛撫でそうなって、視線はもうそこと明智の顔とを行ったり来たりで、それ以外向けられない。
興奮で心臓は思いきり連打、ばくばく煩い。
蓮が大量の唾を喉を鳴らして飲み込むのと、
明智が口に当てていた手を離し、
「仕方ないなあ」
そう言ってくしゃりと蓮の頭にやるのとがほぼ同時だった。
「しっかりご奉仕しなよ? 悦ければ、やり方に口は出さないから」
なんだその女王様めいた言い回し。 どうしてすぐにそんな言葉が出てくるんだこの状態で。
一瞬呆気にとられてしまったけれど、それこそこっちこそ先程と同じ台詞、『望むところだ』。 それ一言で回答は済む。
つい数十分前は同じ男のものを口で、なんて考えもしなかったけれど、今となってはこうなっては、明智が相手では。
思いきりの快楽で、乱れた姿を見たい。
よし、と短く呟いて蓮は心を決める。
もう躊躇はない。 この先、明智が何か言ってきたとしても待ってなんかやらない。
もう早く舐めたくて、味わいたくて仕方がなくて、割り開いた両膝の間、そこに顔を埋める。
「・・・・ッ、ぁ、」
まずは軽く、挨拶するよう先端をそろりと舐め上げてやり、ゆっくり、限界まで口に含み入れた。
それから口内を使い、全体を締め付けるようにして粘膜で扱いてやれば、
「ん、ン・・・・っ・・・・っ・・・」
細腰が揺らめいた。
ほんの少しでも逃がしたくなくて、膝にあった手で腰を押さえつけ、口では舌を使ってぬるぬると裏筋を辿って刺激を与える。
「・・・ふ、・・・・、ぁ、ぁ・・・・ッ・・・」
明智の声のトーンが先程より上がっている。
耳でそう感じながら、蓮は明智の肉棒を口内で扱き、空いた片手もその根元に添えて、余すところなくしっかり愛撫を重ねていく。
爪の先で筋を辿った途端、明智の腰が大きく跳ね上がった。
負けじと舌の動きを速めると、頭上の明智の呼吸があっという間に乱れていく。
「・・・ッ、蓮、思ってたより巧い、ね・・・・」
「イイ?」
「ぅ、あ・・・・ッッ・・・」
お褒めの言葉を頂いて(・・・・)、思わず聞き返してしまい、口に含んだまま発音したため歯がどこかを掠めたようだ。 明智が蓮の肩に爪を立ててきた。 おそらく反射的にだろう。 痛くはない。
そんなことを気にしている間に、先端から溢れ出る先走りの量が見違えて多くなる。
零したくなくて、だけれど舐め取るのも間に合わず、零れるさきから先端を含んで吸い上げてやると、
「――― っっ・・・・!!」
細い喉が仰け反った。 例にもれず、やはり先端は弱いらしい。
今度は矛先を変え、全体をやわらかく口唇で食んでみる。 すると腰がまた揺らめいた。
それは蓮の愛撫をさらにねだっているかのようで、嬉しくなる。
そんなご命令・・・・否、おねだりに応えようと、括れの部分にたっぷりと舌を絡ませ、濡れた音を立てて先端から周りを扱く。
もちろん根元から裏側も忘れず、指の腹を使ってしっかり愛撫を施せば、
「く・・・・、っ・・・、う・・・・ッ・・・、」
明智の両膝と太腿が小刻みに震え始めた。 見れば身体も同様だ。
これは、と察して蓮は特に敏感だとつい今さっき知った括れの部分を重点的に舐め続ける。
と、口中の明智自身が大きく脈打った。
限界を感じ、蓮は手と指の動きも合わせて速める。
「――ッ、ぁ、・・・く・・・・っ・・・ッッ」
明智の息遣いと声との間隔が短くなる。 初見でもわかる。 絶頂が近い。
息継ぎも惜しいほど、夢中になってご奉仕(・・・・) していたら。 腰が大きく震えた。 それをきっかけに、蓮は先端を吸い上げ、指先で裏筋を擦り射精を促す。
「、―――――― ッッ!!」
ビクッと仰け反る身体。 同時に蓮の口腔に温かいものが吐き出されて喉まで届く。
ほとんど自然に、自動的にそれを飲み込んで飲み干して、それでもまだ足りずに先端から滲んでくる白蜜をちゅくちゅくと啜っていると、
「・・・っは・・・、蓮・・・・」
徐々に呼吸を戻しながらも、まだ荒い息の明智に名前を呼ばれ、しつこく吸われる感覚がたまらなかったのか、片肘をついて自ら身体を支えた彼に、頭をぐいっと押しのけられた。
「・・・・・・全部飲んだんだ、偉い偉い」
その瞳は快楽に僅かに潤んで、ついでに一度達したせいか、肌もしっとりうっすら汗ばんでいて、尚且つ声も先程までとは段違いに濡れている。
拙い。 これは拙い。
どくん、と自らの下半身に重い熱と欲が溜まる。
それを紛らわせようと、再び蓮からキスを仕掛けた。
混ざった唾液が顎を伝っても構わない。 明智も激しいキスに拒否は示さない。
舌と舌を絡めて吸い上げ、
「ふ・・・・っ・・・」
途中でお互い僅かに息を継いで、またすぐ絡め合う。
薄い口唇。 互いに指は長いが、骨ばった手。 そんな手が頬にあって(・・・・もしかしてこれは明智に頬を掴まれているのかもしれない)、なのに全然不快じゃない。 そんな長い長い貪り合い。
どうしてこんなに気持ちがいいのかわからないまま、
何度も何度も繰り返す。 舌が痺れるほど。
そうしてたぶんお互いにやめ時が分からなくなりかけたあたりで、名残惜しそうにしながらも、明智の方から口唇を離してきた。
気付けばいつの間にか、ふたり揃って膝立ちでキスをしていた体勢。
一度達した明智はともかく、蓮自身の情欲は否が応にも高まり、次への展開を望んでいて。
「・・・・大丈夫? まだ理性、残ってるかい?」
「少しなら。 ・・・・・・・・、少しだけ」
「じゃあ、残ってるうちに準備しようか。 さすがに、ここから先は勢いだけじゃすまないからね」
だけどローションなんて持ってないし、
君には少し我慢してもらう必要があるかも、
と、言われた。
頷くしか、なかった。




「・・・・・・さすがに未体験だよ」
「・・・・・・ああ」
まずどんな体勢で、そこを慣らす準備をすれば良いのかがわからなくて、結局また、シーツに膝をついて、膝立ちの中腰。
順を追っていけば変わるのだろうがとりあえず向かい合い、明智は蓮の肩に両手両腕をかけ、蓮は正面から明智の腰と後ろに腕と手を回す形になった。
改めてわかる。 薄い腰。 こんな薄いところに侵入して大丈夫なのか、と今更ながら心配になったが、
どちらにしろ後には引けない。
「辛かったらすぐに言ってくれ」
「そうならないことを願ってる」
自ら舐め、唾液で濡らした中指の先を一本、そこに滑らせ周辺を軽く撫でた後、その部位に宛がう。
窄まったそこは当然にして受け入れる様相はなく、何度か指先を潜り込ませようとしても、きつく閉じたままでなかなかどうにもならなくて。
「・・・・・・・・・・・・」
どうするか、と蓮が無言で困っていると、
「大丈夫、構わず、そのまま挿れて構わない」
最大限力を抜くから、と明智が言う。
でも、と言いかける蓮に、
「僕だって、そんなに壊れやすく出来てるわけじゃないよ」
駄目そうならその時ちゃんとに言うし、と後を押してくる。
それでもなかなか指先は定まらない。 だって狭い。 どうしたって物理的にきついと思ってしまう。
と。
「ほら。 ・・・・早く」
ほんの僅か掠れた声で急かされ、ダメ押しとばかりふわりと触れるだけのキスも貰い、
ただそれだけなのに明智の匂いが鼻腔を満たした錯覚。
途端、ほぼ操られるかのよう、そこに指を中ほどまで埋めていた。
「く・・・・」
やはりと言うか当然というか、たまらず明智が声を漏らす。 多少、身体も強張っているようだ。
「・・・・キツイな」
思わず蓮の方から先に呟いてしまった。 事実だった。
指だけで、しかもまだ第二関節までは入っていない。 それだけでこんなにきついのに、追々本当に入れるのだろうか。
困っていると、
「そのまま、・・・・少しずつ、進めて。 キツイけど、痛くは・・・ないよ」
「本当か?」
「、異物感はあるけどね」
「本当に、痛くないんだな?」
「大丈夫」
それなら、と出来るだけ大胆に、しかし慎重に指を進める。
少し時間はかかったが、中指をほぼ一本、中に収めることができた。 けれど内部は狭い。
一安心しながらも、さてここから先は、と蓮が深呼吸を終えたところで、
「・・・、焦らなくていい、中で、ゆっくり動かして。 ・・・・・・できたら、少しずつあちこちさわりながら」
「わかった」
言われるまま蓮は少しずつ指を蠢かし、内側をさわってみた。
確かにまだきつい。 けれど、いろいろなところに触れていくうちに、最初に比べれば随分と柔らかくなっていることに気づいたのは、指先が僅かだが他とは少し違う感触のあるところを掠めたから。
何だろう。 気になってもう一度、そこに触れてみる。
「・・・・っ・・」
と、明智が軽く片目を歪め、反応した。
もしかして痛かったか、と焦ってしまったが、特に痛いわけでも、苦しいわけでもなさそうだ。
気を取り直して神経を指先に集中させ、再びその位置に指先を定め、触れるだけでなく今度は軽く押してみた。
「うぁ・・・・・!!」
突然の明智の、抑えきれず咄嗟にあがってしまったような声。
同時に背中も仰け反らせる反応に、驚いたのは蓮の方。
どうした、と慌てて訊ねると、
「・・・・凄いね、こんなに早く見つけてくれるなんて」
苦笑にも似た笑みを浮かべられながらも、これは褒められたと思っていいのだろうか。 よくわからない。
わからないで動きを止めたままの蓮に、
「前立腺。 聡い君なら、それで大体わかるだろ?」
「・・・・・・・・・・・・」
わかった。
瞬時に理解した。
以前どこかで仕入れた知識とかけ合わせると、この先、どうすれば良いのかはそれで概ね、想像もつく。
少しだけ余裕が生まれ、ふっ、と口許を緩め、蓮は三たび、そこに指先を当てる。 理解したがゆえ、思いきって突き上げてみた。
「あ、ぁ・・・・ッ!」
噛み殺せない声。 それはやたら甘く蓮を煽る。
今の刺激の賜物か、ふと目線を落とせば互いの身体の間にある明智自身も、もう一度勃ち上がりの様相を見せていて、
片方の手でそこをそっと撫でてやる。 連続して後ろも、前立腺を集中して弄っていくと、
「・・・ん・・・・ッ、・・・・く、ふ・・・・ッッ!!」
明智は素直に声を上げ、それまで蓮の肩にかけていた両腕を、首に回してきた。 その方が身じろぐのに楽らしい。 おかげでより密着し、蓮としても後ろが探りやすくなる。
「は・・・・ッ、ん・・・ッ・・・・イっ・・・、ッッ・・・」
熱に浮かされたかのような、甘い声。 腰も揺らめきだした。 そんなに悦いのか。
その証拠に、ずっときつかった内部も柔軟さを見せ始め、
この様子なら。
人差し指も埋めてみた。
「〜〜〜っ、・・・・く・・・・」
些か尚早だったか。 明智は軽く眉をしかめた程度だったが、反して内部は抵抗し、埋めてみたはいいものの二本とも動かせなくなってしまった。
一旦抜こうか、と逡巡した蓮だけれど、このまま抜いたら何だか明智に怒られる。 そんな予感がした。
だから逆に、そのまま悦点を狭い中で、強引に抑えて擦り上げる。
「―― う、ッ・・・・ん・・・っ!」
狭いながらも、内壁は何とか二本の指を受け入れて、明智の腰が上下するに合わせ時折巻き込むように指に吸い付き始めた。
柔らかくて、弾力があって、しかも温かい。 早く指じゃなく、自らを埋めたい。
そんな誘惑に駆られ、情欲をもってポイントをくいくい押し上げると、
明智が全身を震わせ反応した。
本人は気付いていないようだが、性器からはまた白いものが滲み出ている。
「・・・・ッあ、・・・い、い・・・・っ・・・・」
むずがるような声。
自分でそんな声でそんなことを口にしているなんて、今の明智は分かっているのか。 それとも承知の上で、自分を煽っているのか。 まあどちらでもいい。 蓮も明智が性感を認めたその言葉に、ゾクリと背筋に快楽が走るのを感じ、鼓動と呼吸が追い付かない。
はっ、はッ・・・・、と吐息を荒げつつ、中指と人差し指で掻き回すよう、内壁を捏ね、拡げていく。
そうしてこれならもう一本、と思えた頃。
「っ・・・ふ、ッ・・・・・・、蓮、」
定まらない息のもと、首にかけていた腕をほどき、明智が何かを伝えてきた。
「・・・・・・?」
何処か、なにか、不都合なことでもあったのだろうか。 思わず息を止めたら。
「いいよ、もう」
そんな言葉と一緒に手が伸びてきて、汗で額に貼り付いた前髪を払われる。
「大丈夫。 ・・・・君だって、もう限界だろうし」
「平気、か?」
聞きながらちゅ、とキスをする。 何度目のキスだろう。 数える気もなくした。 なのに繰り返されるから、もう手の施しようがない。
「うん。 ―――――― おいで」
お許しを、頂いた。


シーツに背を付けた明智の脚を抱えなおし、蓮はもう一度、指先でそこを確かめてみて、
しっかり柔らかいことを確認してから、息を詰めてそこに猛った自らを当てる。
先端部を飲み込ませたところで、明智の爪先に力が込められた。
どれだけ解れたとはいっても、指とはやはり質量と圧迫感が違うのだろう。
快楽の表情は消え、どちらかと言えば耐えるような表情をしていた。
「、つらい?」
「・・・・・・・・、」
問いかけには答えず、明智は首を一度横に振っただけで済ませようとしたが、虚勢を張っているのは見え見えで、だからこそ蓮もこれ以上は何も訊かず何も言わず、ゆっくりと丁寧に腰を進めた。
細心の注意を払い何とか根元まで埋め込み、息を整えて少しでも身体が馴染むのを待つ。
すると時間の経過と共に、動けないほどだった締め付けが徐々に弱まり、自然と明智も多少は落ち着いてきたらしく、蓮を見上げ、苦笑い。
「律儀だね、君」
大きな責め苦を抱えた声ではない。 端々が掠れているのは仕方がないが。 それもまた、扇情的で良かった。
「そこまで我慢しなくてもいいのにさ。 誘ったのは僕なんだし、好きにしてくれていいのに」
「そんなことしたら、明日の朝にはロビンフッドで射殺されてそうだ」
「・・・・はは。 そんなことしないよ」
笑みをこぼす明智に安心する。 こうやっていても、痛みを我慢している様子はなかったから、蓮は明智の腰を押さえ、軽く自らを抜き差ししてみた。
流石にその刺激に、明智は小さく身じろいで息をのむ。
「動くぞ」
「・・・・・・・わかってる」
頷き、明智がシーツを強く握るのを目視しながら、蓮は律動を開始する。 始めゆっくり引き抜いて、
角度は変えずにそのまま奥をズクンと重めに突くと、深いところに届いた刺激に明智は大きく背中を仰け反らせた。
駄目だ。
もう。
つい三秒前まではどこまでも丁重に取り扱うつもりだったのだが、それももう限界だった。
何故って指を埋めていたときから明智の中の柔らかさと熱はわかっていたつもりだったけれど、自らで感じてみるとまたそれを上回る感触で吸い付いてきて、蓮から精を搾り取ろうとしてくるから。 我慢できない。
「あ、あ・・・・ッ!」
内側からの蓮自身を締め付けられる快感と、鼓膜を震わす艶っぽい声に負け、蓮は振り切ったよう激しく腰を使った。
明智の腰がその強い性感から本能的に逃れようとするのを力ずくで引き戻し、覚えたばかりの前立腺目がけて何度も突き上げる。
「ひ・・・・ッ、、ぁ、ぁ・・・・っっ!」
弱いところを蓮の先端が突くたび、堰き止めたいが如くに内壁の粘膜が自身をきつく締め付け、
絞り取ろうとするようなうねりと動きがたまらず、振り切って抜き差しを重ねた。
そのうち、中で質量を増した蓮自身が擦り上げる箇所が増えるにつれ、
やわらかな髪を振り乱して悶える明智。
「ん・・・っ、っ、そこ・・・・、やめ・・・・・・っ・・・」
「・・・・ココ?」
「や、め・・・・ッッ!!」
ポイントを切っ先でぐいぐい押し上げてやれば、明智自身がピッと僅かながら白蜜を噴く。
気付いてそこを握り込めば、二度目の絶頂も近そうだ。 熱く脈打っている。
どうせなら同時に、と指で全体を軽く揉む。 と、たまらず明智の手がそれを止めようと伸ばされてきた。
しかも左手、利き手の方で。 それだけ咄嗟の反応だったのだろう。
しかしそんなもので止められるはずもなく、
指先が蜜を溢れさせる先端をくいくい刺激し、内部では蓮自身を根元まで全部埋めた状態で、奥の奥を小刻みに突いてやると、肉壁がこの上ない強さで反応を返し包み込んできて、たまらず蓮も声を噛み殺した。
「・・・・・・く・・・!」
「ぅあ・・・・、あ・・・・ッ・・・っ」
自分の絶頂もすぐそこで、蓮は明智の両手首を掴んでシーツに押し付け、器用に身体を倒して捻り、耳元で囁きかける。
「悦い・・・・?」
「はっ・・・・、あ、あ、ぁ、う・・・・ッ・・・っ・・・・」
「聞きたい。 返事は・・・・?」
ねだりながら、今度は突き上げる動きではなく、捏ねるように腰を使う。
ぐち、ぐちとくぐもった音が下肢から響き、
またしても指の腹で明智自身を弄くってやる。
「ん・・・・ッ、ん、・・・・悦・・・い、・・・い、い・・・・っ・・・、蓮・・・・っ・・・!」
性感に蕩けた声。
腰も揺らめきはじめ、与えられる性感に溺れきっている姿に、堪えきれず。
噛みつくように口唇を塞ぎ、キスをしたまま下肢を使って突き上げると、切なく苦し気な吐息が喉の奥で次々と消えていった。
「ッッ・・・・、」
蓮も漏れそうになる声を飲み込んで、耐えた。
上も下も塞がれながらの刺激に、内部が一層激しくうねり出す。
それは蓮の絶頂も促し、
「く・・・・ッ!」
「あ、・・・・ッうぁ、あ、あっ・・・・、もう・・・・ッ!」
明智が白い喉を晒して仰け反る。 蓮にゆすり上げられている身体が、小さく痙攣しはじめた。 限界だ。
蓮も同時、絶頂を求めて激しく腰を穿つ。
シーツの上、重ねられた手の、指先が痛いほど絡み合う。
負けじと内部が急激に収縮をはじめ、迫る絶頂巻に目が眩みながらも。
「っ、!!」
あと少し。
自らと内壁との摩擦のもたらす性感を堪え、最後の最後。
思いきり深く、強く抉った。
「っ、―――――― ・・・・・ッッ!!」
次の瞬間、明智は全身を強張らせ、達した。
彼の放った温かなものが腹部にかかったの感じ、蓮自身もどくんと大きく脈打って、そのまま明智の中に熱を吐き出し、注いだ。



























中。


なか。


中、で。 出してしまった。
事後になって今になってずーーーーん、と蓮は落ち込む。
いや、だって仕方なかった。
言い訳をさせてもらうならば、あの状態、あんな状態じゃどうすることもできなかった。
しかもはじめて、そんな相手がよりによって明智。
お初でタイミングを見計らって上手に、そして最後は巧く、なんて実行できる訳がない。
むしろ大した失敗もなくいろいろ無事に終わらせられただけでも拍手! というところだ。
なのにやたら頭を抱えたくなるのは何故なんだろう。
そんな蓮に対し明智はと言えば、
「気にしないでいいよ。 構わないから。 繰り返すけど誘ったのは僕の方なんだし」
とか何とか口にしながらも、
「処理してくる。 ・・・・出てくるのが遅くても、絶っっっっっ対に覗いたり、心配したりしなくていいからね」
などと念を押しつつ言い残しバスルームに長いこと閉じこもり、
戻ってきたのは一時間近くあとのことだった。
その後、蓮もシャワーだけ借りた。












そんなこんな、なんだかんだで結局そこそこ遅い時間になってしまい、電車が動くうちに、と急いで帰ろうとしたのだけれど。
「明日、日曜だし。 そう無理して帰らないでこのまま泊まっていけば?」
「え?」
「連絡さえしておけば平気じゃない?」
そんな明智の申し出に迷ったのはごくごく一瞬。
外は引き続き激しい雨のままで、こんな中また外に出て、せっかく乾いた上着を再びずぶ濡れにするのは嫌だったし、
事後の余韻を残したまま帰って、うまく隠せずときどき妙に鋭いモルガナに看破される可能性もゼロではなく(・・・・)、
「そうする」
急いで惣治郎(とモルガナ) に連絡を入れ、
惣治郎からは 「居場所がわかってんなら構わないが、危ない遊びはするんじゃねえぞ?」 とごくごく真っ当なお言葉、続けて 「ま、一緒にいるのが探偵の坊っちゃんならその心配もねえか」 と呑気に流され、
まさか 『ごめんなさいその探偵の坊っちゃんだから危ないんです実際もう危ない遊びどころの問題じゃなくて全部手遅れだと思い思われすみませんゴメンナサイ』 だなんてとてもとても恐ろし過ぎて言えなくて、
「・・・・はい」
それだけ答えて通話を切れば、
明智が面白そうな表情でこちらを覗き込んでくるのに気付く。
水の入ったグラスコップを渡され、ちょうど喉も乾いていたため一気に半分ほど呷り、
「何だ?」
それから問いかけると。
「君、たぶん今いろいろ困ってるだろ? 心配いらない。 平気だから」
穏やか、それでいて自信に満ちた言動で明智は言ってくる。
「どうしてわかる?」
重ねて訊いてしまったのは、単にわからなかったからだ。 どうしてこうなったのか。 これからどうなるのか。 どうすればいいのか。 本当に何一つ、わからなかったから。
そんな蓮の心情とは別口、明智は明智で。
「誰も気付かないよ。 もし気付かれたところで僕と君なら誰も心配なんかしない。 悲しむ人物もいない。 周りからは、少しだけ 『困ったなあこの二人』 って思われるだけだから。 大丈夫だよ」
さらりと口にするも、その内容は不穏といえば不穏なもので、
「・・・・それって、」
蓮が次の言葉を紡ぐ前に。
じゃあそろそろ寝るよ、と彼はすたすたベッドに向かってしまい、
リビングに一人取り残され、手に残った水を飲み干し、ただ無心になること100秒。
きっかり数えて、それから明智の後を追った。
行為のときよりも一段と暗い寝室、
「目覚ましは6時にかけた。 早い?」
「いや。 いつもと同じだ」
声だけが蓮を迎える。
こんな時もサードアイが使えれば便利なのに、と思いつつ慎重に辿り着く。 と。
ベッドを半分、空けておいてくれている。


「おやすみ」
「・・・・おやすみ」


短くそれだけ交わして、直ぐ。
くるりと自分に背を向け、ひとりで眠りはじめるあたりが彼らしいなと蓮は思った。
















【 11月、気が付けば真ん中あたり 】 に 続く。






これ・・・・ギャグほも文なのかなあって途中から自分で思いながら打ち込んでました。
えろしかやってないのに  ぜんぜんえろくない

同線上の日付で進む方向で、あと4本出すつもりですー