[ 11月、気が付けば真ん中あたり ]


☆★☆ 呼称、こっちでやってみました。 自分でも途中で噴き出した(笑) ☆☆☆
☆☆☆ 想像力を最大に発揮して読んでいただけましたら幸いです(・・・・)。 ☆★☆






今月初頭、肉体関係にまで陥ってみたら歯止めがきかなくなった。




残された時間はそう多くはなくて、そうは言ってもお互い表立って明らかには出来ず、
けれど近付きたい重なり合いたい貪りたい独占したい占有したい逆上せ上がってしまいたい。
そんなこんなあの手この手で密会(?)、逢瀬(??)、逢引き(???) のチャンスと隙とを、事あらば狙ってみたりもしていたのだけれど、
片や前科持ちの居候、
片や全国に御尊顔が知れ渡った有名人、
仲間たちの誰かと一緒、もしくは全員揃ってパレス攻略、的な事象を省いてしまうと、
二人だけで、というのはなかなかタイミングが合うことではなくて。(※蓮にはモルガナも居るし)
だからいっそこの際、割り切ってみた。
どちらが発案したのかはよく覚えていない。
とりあえず物は試し、使えそうなものは使ってみよう、ということになった。
終わりが近いことはそれぞれ分かっていたから、
危ないことをしてみたかった。
いけないこと、もしたかった。
モラル、道義云々、そういうものはやめよう、今は。 と決めた。








と。 言う訳で。
(本日、モルガナはニヤケ顔で杏の公園散策に追従して行ったため不在である)
いつものルブラン二階、蓮の部屋からこっそり二人だけでメメントスに向かってみた11月中旬、某日。








第2階層、エリア4。 入口から一番近い待合室。
モルガナ・カー不在、その上ナビもいないという状態で徒歩で潜ってみたのだが、自分たちと出現するシャドウとのレベルの差があり過ぎるということもあったのか、一切戦闘に突入することはなく、思っていたより随分と早く簡単に到着することが出来た。
ともあれ、そこに向かう時点で、最初からステータス、状態異常に罹っていることにはうっすら気が付いていた。
『物凄く発情している』
『妙に感覚が鋭敏になっている』
それは二人揃って同様で、原因はわからなかった。 確かなのは気のせいではないということだけだ。
普段の大人数で潜るより、圧倒的に頭数が少ないからだろうか。
それとも、今日は都内各地で、あちらはゲリラ豪雨だったりこちらは快晴だったりと、場所によって天候の差が激しかったせいか。
もしくはメメントス内部の、たまたまそういうタイミングにぶち当たってしまったのか、
それともそれとも、(ターゲットはいないとはいえ) 二人だけで侵入したバチがあたったのか、
あまつさえ待合室をそんなふうに使おうとした天罰なのか神罰なのか。
待合室入口、さすがにイスも硬そうだなと思いながらジョーカーがそう呟くと。
「何、言ってるの?」
その硬そうなイスにとすん、と腰をおろしたクロウに笑われた。
「ここには天も無いし、神だっていないよ」
くだる罰なんて一切無い、いいじゃないかこれはこれで、と続けながら、
「さすがにこれは邪魔だね」
彼はマスクを取る。
そうだな冗談抜きで刺さりそうだ、と返し、自分も仮面を取ろうとしたら。
腰をおろしたままのクロウの手が下からそれを遮った。
「君は取る必要ないんじゃない? むしろ、そのままの方が僕的にはそそるし」
「・・・・そういう趣向か?」
意外に思えて、思わず訊き返したら。
「趣向も何も、ここ以外じゃこんな格好で愉しむことも出来ないししないし。 開き直ってみただけだよ」
ああ確かに。
自分だってこんな真っ黒な衣装、ここやパレス以外では絶対に着る機会もなく、
それは眼下の明智もきっと同じであるはずで、
むしろ。
これはまさに本当のコスチューム・プレイというやつかもしれなくて、
・・・・・・燃える。 萌える。
それなら、いっそ出来うる限り着たままで試してみるか? と提案したら。
「はは。 君が我慢できるなら構わないけど」
すんなりご了承いただけて、完全にその気になった。
イスの上、ふたり、まず口唇から貪りあう。
ジョーカーの仮面は特にはキスの邪魔にはならなかった。 それどころか、白い手袋越し、手が頬に添えられた息継ぎの合間、
「、いいね、ジョーカー。 付けたままだと、目許も口許も強調されて凄く猥褻」
元々君は口許が卑猥だし、と褒められたのかけなされたのかよくわからない形容をされ、
そんなことを言ってくるクロウの表情の方が余程艶っぽく、
「・・・・ッ・・・!」
衝動のまま勢いに任せ、彼の後頭部に手を回し柔らかな髪を梳くよう指を絡ませ、深く、深く口付ける。
「――――ふ、・・・・っ」
どちらが漏らしたのかわからない吐息の隙間から舌を絡め上げて吸い、口唇を食む。
こんな殺風景な場所、加えて非日常にも程がある格好。
なのに(だからこそ?)、キスを重ねれば重ねるほど身体は抑えられない熱と欲求を持て余しはじめる。
「っ・・・・、ん・・・、っ・・・」
それでも離れ難く、夢中でキスを繰り返す。 呼吸をする間さえ、惜しい。
しかしずっとこのままでいる訳にもいかず、ジョーカーは最後にクロウの上顎の粘膜をそろりと舐め上げ、
ようやく口唇を離したが、互いの息は荒く、距離は大して変わらない。
しかも先述の通り、妙に身体は快感に敏感で、コートが擦れる感覚すら、快楽になっているから。
そのまま、ジョーカーはクロウの肌に触れてみることにした。
・・・・とは言え、この服。 というかクロウの王子様的衣装(?)。
乱すには、はだけさせるにはどうすればいいんだろう、と一瞬、考え込んでしまったが、案ずるより何とか。
よく見れば上半身、向かって左側の生地の裏側にホックが連続して付いていた。 なるほどこれで内側から留める仕様なのか、と妙に感心しつつ先にベルトを抜き取り、順序立ててホックを外していく。 途中で気が付いた。 自分の、この真紅の手袋が邪魔だ。 即座に外して床に落とす。
そうして素手を、前だけ開いて露わになった胸元に這わせる。 あくまでもクロウに、両の袖は通させたままで。
現実世界ではあまり胸では楽しめなかったが、ココではどうだろう。 そういう状態異常もおこしていることでもあるし。
「クロウ」
耳元。 囁いてから耳朶を甘く噛む。 と、身体が僅かに揺れた。
耳朶をくわえつつ、胸元を丁寧に撫でると自然と指先が乳首に引っかかり、小さなそれはまだ柔らかい。
が、何度か指先で引っ掻くように刺激していると、大して時間もかからないうちにツンと形を現してきた。
「っ、・・・・」
堪えるような小さな息。 それをジョーカーは聞き逃さない。
形作られたとはいえ、小さくて摘まみづらくて。
だから根気よく指先で弄り続けてみた。 勿論両手を使って、両方とも。 クロウが僅かに身じろぐ。 これは。
「・・・・っ、・・・ん・・・・っ」
丁寧に押しつぶしてみたり、時には爪で弾いてみたりしているうち、クロウの息に熱が混じってくるのがわかった。 それは本人も誤魔化したり我慢したりする気は無いらしい。
現実では感じられなかった性感を享受しているかの如く、おとなしくされるがままになっている。
それなら、としつこく愛撫を続けていると、淡かった色も少しずつ濃い色に変わり、ジョーカーはたまらず。
左胸のそれに口唇を寄せ、舌先で先端を突付いてみた。
空いた右腕はクロウの背中に回し、胸元に顔を埋めるようにして乳首に吸い付く。
「あ・・・・!」
思わず零してしまったような、甘い声と同時、それまでイスに背中を預けていたクロウが前傾姿勢になり、
ジョーカーの頭を抱き込む体勢になった。 その手は軽く頭に添えられている。
舌先で嬲り、唾液で濡れた小さな粒は弾力も持ち合わせながら滑り、なかなか口唇でも捕らえきれない。
何度も何度も舌で追い、ようやく捕まえたところを歯を立て、かり、と軽く噛んでみた。
「ッ!」
ビクン、と跳ねる細い身体に嫌でも興奮が増す。
更に味わいたくて、逆側にも同じことを繰り返していると。
「・・・・もう、いい、・・・・から・・・・」
弾む吐息のもと、クロウがジョーカーの頭を押し、そう言ってきた。
「? 感じるだろ?」
怪訝に思ってそう返す。 と。
「まあ、ね、 悪くないけど」
「だったら」
「、・・・・少し物足りない。 だから、もういいかなって」
「・・・・・・・・了解した」
答えながら、ジョーカーは小さく笑ってしまった。 なるほど納得がいく。 ならばお応えしなくては。
クロウを座らせたまま、自分だけ身体を下方にずらして膝をつき、そのまま下肢に顔を寄せ、
手早く彼の前を開ける。
「何、また君から奉仕してくれるの?」
・・・・・・当然。 絞り尽くしてやりたい。
クロウも自ら腰を浮かせ、二人、最低限の仕種と動作で。
準備が整ったとみるや、ジョーカーはすぐにそこに口許を持っていく。
性急だと自分でも理解していたが、だって仕方がない。 お待ち頂いている立場である。
ここでもクロウはジョーカーの頭に手を添えてきて、それを合図と受け取って。
眼前の、少し硬くなっている性器を大きく舐め上げた。
動悸がする。 施している立場なのに、体温が一挙に上昇してくるのがわかる。
呼吸だって、自分の方が荒いくらいだ。
自覚しつつ、ジョーカーは一度隅々まで舐めあげた後、それを指先で支え、真ん中あたりまでをぱくりと口中に含み入れた。
「ッふ・・・・!」
メメントスの影響(・・・・どんな?) で、間違いなく感度が高まっているがゆえ、
口内に包まれた蕩けるような快楽にクロウの喉が小さく仰け反る。
一方でジョーカーも夢中になって肉棒を貪り始め、
「っ、うぁ、・・・・っ・・・・!!」
温かく、濡れた口腔で扱かれ、みるみるうちに肉棒は上を向いていく。
自分の愛撫で張り詰めの度合いを増すその表面を、器用に舌も使って擦りながら、今度は全体的に咥え込んでみた。
ジョーカーのその没頭ぶりと、施される性急なご奉仕にクロウは軽く眉を寄せ、荒い快感を堪えて指先に絡む黒髪を軽く掴んだ。
「ぁ、・・・・ッ、ジョ、・・・カ・・・っ、少、し早・・・・っ・・・!」
一度軽く息を吐きたくて、制止の言葉を口にするも、当のジョーカーは一心不乱に口淫に取り組んでしまっていて、全くもって聞く耳持たず、ひたむきとも言える集中力を持ってクロウを攻め続けた。
甘く激しく刺激を受けるその性器は、気が付けばジョーカーの口内で膨らんで硬く完全に勃ち上がり、色づいた先端からは先走りの体液が滴りはじめて。
ジョーカーはその先走りの露を舌先で舐め取りながら、尚も口唇を使って執拗に快楽を送っていく。
「はッ・・・・、っ、ちょ・・・、落・・・ち着・・・・ッ、・・・・あ、あ・・・っ」
乱暴ではないが、強引な愛撫に直情的に高みに向かわされ、クロウは喘ぎながらも止めようとするけれど。
何も聞いちゃいないジョーカーは、ただ早く高みを迎えさせようと、改めて丁寧に性器を口で覆い、強く吸い上げ始めた。
「――――ッ!、!!」
絶頂を促すその刺激に、クロウの背中が二度、三度と戦慄いて、たまらない射精感が齎される。
押し寄せてくる快感に、掴んだ髪を強く引っ張ってしまうが、彼は意にも介さない。
上を向く性器を吸い上げられるたび、腰ががくがく震える。
「う・・・・・、あ・・・・っ!」
背筋をぞくぞくとした感覚が伝い、細い身体が僅かに汗ばんで、
今にも絶頂の波を予感し、クロウは固く目蓋を伏せる。
ジョーカーも合わせて先端部を強めにきゅっと吸い上げ、窪みの部分を舌先でちゅくちゅくと突つき上げた。
「・・・・ッ・・・・!」
クロウの背中と腰が反り返る。
早く彼のものを味わいたくて、ジョーカーは添えた手、指を使って裏筋を何度もなぞり、そちらからも吐精を促して。
「っっ、――――― く・・・・!!」
細腰が大きく動き、同時に口内で性器が弾け、先端から勢いよく白液が吐き出された。
それをジョーカーは事もなし、すぐさま喉の奥で受け止め、ごくりと簡単に飲み込んで。
しかし足りなくて、「まだ出るだろう、」 と離さずにいた口の中、再び吸いながら上下に扱いていく。
「は・・・・、っ君、・・・し、つこい・・・・」
達したばかりの過敏なそこは、痛みにも似た性感を感じ取ってしまい、
クロウはジョーカーの髪を引っ張り、そこから頭を退けようとしたのだが、そんな抵抗を抵抗とは受け取らないジョーカーは白いものが纏わりついた先端を数回、吸い上げた。
「ん、ん・・・・ッ・・・」
吐精直後に連続してそこを弄られる鋭敏な刺激に、固いイスに押し付けた背中が不規則に震える。
そうして、ちゅぷッ、と音がするほどきつく強く吸われた瞬間、
先程とはまた違う性感が下肢を走り抜け、クロウはたまらず腰を浮かせた。
「あ、あ・・・・ッッ!!」
今度は精液が、ぴゅくっと数回に分けて先端から噴く。
最初のそれは飲み干したジョーカーだったが、今回は途中、喉で受け止めるのを失敗したらしい。
軽くむせてしまい、口を離した途端に少量の白濁を顔に浴びることになったが構わず、
身を起こし、またもクロウにキスを強請る。
「・・・・・・っん、んん・・・・っ」
絡み合う舌。 混ざる唾液。 
既知だったジョーカーの味の中に、別の味を見つけてしまい、まさか自分の精液の味をこんな形で知ることになるとは思わなかったクロウは、キスの合間に思わず苦笑する。
「・・・・? なんだ?」
その笑みに気づいたジョーカーが、口唇を離して見つめてきた。
白い仮面に大した両ではないが精液が飛び散っている。 さすがにどうかと思い、
「何でもないよ。 ・・・・マスク、そろそろ外してもいいかも」
やっぱりこういう時の素顔も見ていたいし、と手を伸ばして外してやって、別段抵抗もせず、外されるがままのジョーカーの頬をついでに軽く撫でてやる。
それにどう反応したのか、彼の肩が微かに竦んだ。 黒いコートをかっちり着込んでいてもわかる、細身ながらしなやかで、扇情的な身体。
やっぱり君は素顔になってもいやらしい、と囁いてやった。 これは嘘じゃない。 こんなところで嘘をつく必要はない。
「こういう経験もできるなら、メメントスも悪くないね。 このステータス異常も逆に、頑張ってる僕たちに対する大衆からのご褒美とかじゃないかな」
「・・・・・・だったらいいな」
「、・・・・うん」
ふっ、と目許を和らげて答えたジョーカーに、一瞬見惚れたということは絶対に、絶対に内緒だ。














「―――――――――― ・・・・・・・・えっ?」


舐めてもいいか、と言われてさすがにクロウも固まった。
「ええと・・・・、指、じゃなくて?」
「指も使う。 だけど口も使いたい」
真顔で。 ジョーカーはそんなふうに言ってくる。
メメントス待合室イスの上。 自分の上衣は乱れ、下半身も膝のあたりまでずり落ちている惨状で、
端からなんてとても見られた格好じゃない。
そんな状態なのに、面と向かって、尚且つ真剣に伺ってくる彼に、果たして一瞬自分はどんな顔をしたのだろうか。
「ああ、・・・・僕は、・・・・構わないけど。 たぶん。 君がそうしたいって言うなら」
答えながら、なんだか妙な倒置法を使ってしまった。 ポーカーフェイスでいたつもりなのだが、少しは焦っていたのだろうか。
けれど本心で答えたつもりだ。 別に拒否しようとは思わなかった。 だって今更だ。




ここまで来ると、ジョーカーも相応に切羽詰まっている。
クロウに埋めた指はすでに2本、解す動きもどこか忙しない。
「ん、・・・・く・・・・っ・・・」
指先が、内側を彷徨うたび内壁が小さく痙攣した。
2本の指の隙間に、ジョーカーの伸ばした舌先が寄せられる。 と。
「ッ!」
ほとんど反射的に腰が跳ね、指を受け入れていたそこがきつく窄まった。
構わずジョーカーは、ぐいっと舌を内部にこじ入れ、唾液を送る。
傷つけないよう慎重に同時に指も駆使していくうち、少しずつだが内側は軟らかさを増し、
合わせて粘つくような濡れた音も響き出し、
クロウは自らの腕で目許を隠して顔を背けた。
羞恥、というよりは、なんだろう。 ジョーカーのこんな行為をすんなり受け止める自分への混乱と、
だけど彼に手を出したり誘ったりしたのは僕の方からだし、という既成事実と、
それらを踏まえたという前提でも、ここまで自分に執心してくる彼に、改めて戸惑わされてどういった表情をすれば良いのか決めあぐねていたからだ。
濡れた舌。 柔らかくて、熱い。
当然にして指ほど奥までは入らないが、背信的な感情と、背徳的な感覚とを嫌というほど呼び起こされてそれが性感にすり替えられて。
「・・・・・は、・・・・っぁ、あ、・・・、ぅ、あ・・・・・っ」
荒い愛撫に、荒い吐息。 しかしジョーカーの指先は確実にクロウの悦いところを攻めてきて、
重点的に爪の先で覚えられたばかりの前立腺を何度もくいくい引っかかれ、
一度達して萎えていた性器がまた、頭をもたげ始める。
「っ・・・、あ、・・・・来な、よ・・・・」
あまり好き勝手させていると、また自分が先に達してしまいそうな錯覚を覚え、クロウはジョーカーをいざなった。
その声にジョーカーが舌を引き抜き、顔だけを上げてクロウに視線を向ける。
彼の息も相応に乱れている。 目頭も潤んで緩んで、よくまあここまで我慢したものだと褒めてやりたいほど。
「平、気だから。 、早く」
意識して作ってやった、僅かにおねだりを含んだ声色と物言い。
抗えず、ジョーカーは些か乱暴に指を引き抜き、性急に両脚を抱え上げた。
寛げた自らの中心部を、今さっきまで指を埋め込んでいたその箇所に押し当てる。
「・・・・ぁ、っ―――、」
猛った先端が内部に沈み、無意識にクロウは息を詰める。
ジョーカーはといえば、まだ先端しか入っていないのに、クロウの体内の熱を直に感じてしまった瞬間、ほぼ条件反射のように一気に腰を進め、根元まで埋め込んだ。
「ッッ!!」
声も出せず、クロウが仰け反る。
「・・・・・・悪、かった・・・・」
我慢できなかった。 衝動に任せてしまい、掠れた声でそう言ってみたが、
クロウは肩と、腰を小さく震わせるだけで何も言ってこない。
どうにも辛抱できず、ジョーカーが自らを軽く抜き差しすると、濡れた音と一緒、
「い・・・・ッ・・・」
小さな声が上がった。
「痛いのか・・・・?」
「・・・・ん、違・・・う・・・」
慌てて訊けば、クロウはうっすら目蓋を開いて首を横に動かした。
自分の中で、ジョーカーのものが大きく脈打っているのがわかる。
この状態で、無理矢理動いて揺すり立てて来ないその忍耐力と自制心が残っているのが不思議なほどだ。
「大丈夫、・・・・って、言っただろ? 痛み、じゃ・・・なくて、・・・・悦、くて」
おそらくメメントスステータス異常効果なのだろう。 痛みなんて欠片もない。 ただただ情欲が高まっているだけだ。 事実、先程 『早く』 と急かしたのもそのためだ。
「、それなら」
安心してジョーカーは手を伸ばし、クロウの性器にもそっと触れてみた。
「ン・・・・っっ・・・・!」
直接、純粋な性感を与えられたそちら側に連動するかのよう、内壁がうごめいてジョーカーのものに絡みつく。
「ッ、・・・・く、――、ッ!」
実際、限界に近いほど今にも弾けそうな自らを強く締め付けられ、堪えきれずジョーカーが声を漏らし、唇を噛む。
いっそ全てかなぐり捨てて、思うがまま乱暴に腰を動かしたくなる熱量を無理矢理抑え付け、
出来る限り丁寧に、クロウの最奥を突いた。
「ぅあ・・・・っ・・・・っっ」
腰が跳ね上がる。 手の中の性器も熱く熟れはじめ、もう一度ゆっくりと、壁を擦りながら腰を引き、また途中から埋め込んで奥を小刻みに突付いてみれば、内部はますます強く締まった。
繰り返す。 ゆっくり腰を引く。 そうして跳ねる腰を空いている方の手で押さえ固定し、先端近くまで引き抜いた自らを再度奥まで。
そうしているうち、念入りに拡げられ、次第に内壁は蕩け始めてジョーカー自身を搾り取ろうとするような動きに変わり、その快楽に逆らうことは出来ず。
内部の角度を変え、ジョーカーはクロウの最も悦いところを先端で、ぐいぐい押し上げた。
「ひ・・・・ぁ・・・・ッ!」
手の内のクロウ自身が、この刺激でぐっと質量を持つ。
内部はもうとろとろで、なのに弾力もあって熱くて狭くて。
「・・・・く・・・・っ・・・・」
もう抑えることも、堪えることもできない。
ジョーカーも、自らの快楽を追って意のままに腰を使い始めた。
「っ・・・・は、あ、・・・・あ、あ・・・・ッ・・・・っ」
中で動くたび、クロウが背中を反らせる。
きれいな薄い胸元は上気して全体的に淡く熱く染まり、上着の隙間からちらりと見えるその肌が、ジョーカーの熱をより高めていく。
「・・・・、クロウ・・・・」
「ん、あッ!!」
耳元、突然掠れた低音が響き、クロウがビクッと反応する。
体勢を変え、ジョーカーはクロウの奥を突き上げながら、寄せた上半身、勃ち上がった彼の性器を腹部で擦ってやった。
「うぁ、・・・・ッ・・・ッ・・・」
ひくひくと身体が戦慄き、やわらかな髪が振り乱される。
彼の悦ぶポイントに狙いをつけて強く突くと、一際内壁が伸縮し、すでに高みも相当近いジョーカーを甘く搾り上げた。
「俺、も・・・・」
達きそうだ、と言外に告げ、ぐいぐい激しく動き、内部を穿っていく。
「・・・・ッ、あっ、あ、・・・っく、ふ・・・・ッッ」
激しい律動に身体が追い付かないクロウが揺さぶられ、咄嗟にジョーカーの背中に腕を回し、しがみついた。
すぐ近くではジョーカーの、獣のような息遣いが鼓膜に届いてきて、耳からも身体が高みへ引きずられていく。
一方でジョーカーも、ひたすらクロウの熱を追い求めた。
突き上げれば蠢き、擦ろうとすれば絡みついて逃がしてくれない内部の粘膜に、膨れ上がって痛いほど怒張している自ら。
もう、ほとんど持ちこたえられなさそうで、ならば同時にクロウも絶頂に導こうと、
掌中のクロウの肉棒を激しく音を立てて扱き上げた。
「〜〜〜〜ッッ、あ・・・・ッ!、あぁ・・・・ッッ!」
指が絡んだ直後、背中に回されたクロウの爪がコート越し、強く喰い込む。
しかしその感覚すら快感で、ジョーカーは今にも弾けそうなその先端を親指の腹で、くりくりと擦って愛撫を送った。
「も・・・・ッ・・・、イ・・・・く・・・・っ!」
がくがくと腰が揺れ、絶頂を告げる声は濡れ落ちていて。
肩越し、ジョーカーももう追い詰められ、思いきり勢いよく自身をクロウの最奥に貫き立てた。
「いッ・・・・!! 、―――――― あ、ァ・・・っ・・・・!!」
脊髄まで響いてくる快感に、クロウは互いの身体の間、また精を噴いて絶頂に達する。
つられてジョーカーも、奥歯をきつく噛み締め、引き摺られる快楽にそのまま、欲望を吐き出そうとしたところで。
「ッ!!」


――――――――――――― ルブラン、風呂が、無い。
――――――――――――― 中、は、拙い。


瞬間、そんなことが、頭をよぎってしまった。
ほとんど刹那の判断で自らを引き抜き、途端のその刺激もきっかけとなって、
ジョーカーは自らの白濁を互いの腹部の間で弾けさせた。








「・・・・っ、はぁ、っは・・・・」
ほとんど同時に達し、ふたり、しばらく荒い呼吸を落ち着かせようとしつつも、
吐精の余韻に浸っていたのだが。


「・・・・結構な惨状、だね」
「そう、だな」
ようやく息の収まったクロウの言う通り、
自らの黒い衣装に飛び散る大量の白色。 実際クロウも似たようなものなのだが、そこはスーツの色からしてほとんど目立たない。
乱れたところを整え、きちんと袖を通し直すクロウを眺めながら、ジョーカーも身支度を整える。
普段は気付かなかったのだが、無駄に撥水がきいているレザー調のこの服は改めてどこまでも黒く、
見事に、それはまた見事に濡れた白色が目立って。
「入口まで、君、その状態・・・・?」
「そうなる」
「僕も君も、事後の、帰りのことまで考えてなかったな・・・・」
そんなこんな、どう考えこんだところでこのまま帰還するしかないのだが。
とりあえず来るときはシャドウは皆、姿を見た途端に逃げ出していたので帰路も同じだろう。
その点は心配ないとして、
「現実世界に戻ったとき、どうなってるのかな」
「・・・・・・。 戻ってみないとわからないな」
そうは言っても、まさか私服に影響はないだろう。 パレス攻略時でも、総じてそうだったし。
少し休んでから帰ろうということになり、イスに並んで腰をおろすついで、ジョーカーは情事の途中、クロウが取って落とした自分の仮面を床から拾い上げた。
これにも少しだけ、体液の飛沫が飛んでいる。
構わず付けようか、ほんの半瞬、逡巡して、
結果、黙ってポケットに入れた。 今日はこのまま、素顔で帰ろう。
一部始終を眺めていたクロウは、「良かった。 そんな汚れたマスクを付けようとしたら、僕がとめたよ」 と笑った。
汚れたも何も、付いてるのはお前の飛沫だろうとツッコミを入れる代わり、もう一度だけ。
最後にキスをした。
























予想はしていたがやはり幸いなことに、メメントスから自室、屋根裏部屋に帰還してみたら私服は向かったときと同じ状態で、何も変わらず汚れず、キレイなままだった。
よかった、と一安心して時計をみれば、まだ22時前だ。
念のため蓮が一度一階を覗いてみると、とっくにルブランは営業を終え、明かりも落ちていて暗かった。 惣治郎が閉店作業までを終えて帰って行ったのだろう。
気が付けばモルガナもまだ帰ってきておらず、誰かのものを借りて送ってきたのか、スマホに 『アン殿とハルとマコトと、フタバのところでの女子会にワガハイも参加してくるぜ! ニャフフフ』 とのメッセージがつい10分前、届いていた。 杏の公園散策からパーティ女子全員集合、まで、一体どういう流れで発展したのかは謎だ。
この様子ならおそらく泊まりだろう。 よくよく考えてみれば明日は日曜日なのだし。
『わかった、途中で追い出されないようにな』 と返事をし、
「コーヒーでも淹れようか」
と、明智を振り返れば。
「いや、まだそう遅くもないし、このまま普通に帰ろうかなって」
さらりとつれない返事で。
「朝になってから、ゆっくり帰れば?」
蓮自身、どうして引き留めているのかよくわからないまま言葉を紡げば、
「それだと、朝帰りになっちゃうし」
生真面目(?) な返答がかえってくる。
「だけど今帰れば、ただの夜遊びで終わるだろ?」
「・・・・・・・・・・、」
あの、
ええと。
蓮は少しだけ、少し、だけ考え込んで。
「・・・・・・・・・・何が違うんだ?」
「・・・・・・・・・・さあ?」
くすくす、クスクス。
ふたり、同時に笑いだす。
「僕にもよくわからないから、お言葉に甘えて、朝までゆっくりさせてもらおうかな」
「ご自由にどうぞ」
その言葉が欲しかった。


――――――― いっそ朝が来なければいいのに。 と願ったのは果たしてどちらだったのか、もう分からない。












蓮の淹れた何杯目かのコーヒーに口を付けながら、
日付がようやく変わる頃。
眠気を感じてきて、そろそろ寝ようか、と思い始めたそのあたり。
「君のことが好きだよ、って何度も言っただろう? でも、僕はすごく面倒くさい性格だから、一般的にいう 『好き』 とは少し違うんだよね」
「・・・・・・。 なんとなくは気付いてた」
言葉に、目線を反らすかとおもえば相手は意外にも、自分をじっと見つめてきた。
特にはそれでも構わない。 真意は、自分だけがわかっていればいい。
「そう? でも、最後までどんな 『好き』 だったのかは教えてあげないよ。 知ったら君は、きっと持て余すと思うから」
「・・・・・・・・。 わかった」
夜は長い。
今夜も、きっと明日も、夜は長いのに時が進むのは驚くほど速くて。












本当に言いたいことは、まだ。 まだ言わない。



















【 1月某日の彼等 】 に、続きます






コスプレえっちみたいな感じでやりたかったのです。
中身は全然えろくならなかったので、読んでくださる方の想像力でえろくしてやってください(・・・・)。
あれ? どっちの? て、あえて両方で取れる書き方もしてみたのですが、微妙にわからないな・・・・。
自己満足。 次も同じく同線上の日付での、三学期へ続きますー