※前回あらすじ




・ガイルクで結婚しました。

・ナンダカンダ言いつつ結構ラブラブです

・細かいあたりはあんまり深く考えないでください





























 新婚なので、しました。




新婚だ。


誰がなんと言おうと新婚だ。


ほやほやの、新婚さんお二人だから。
























―――――――― えっちだって、そりゃあ勿論、する。
























ガイが用意したこの一軒家(屋敷というほど広くはない) に、寝室は一部屋。
ベッドも(一応キングサイズのものだ) その部屋に一つしかない。
だから自然、毎晩同じベッドに潜り込んで同じ場所で一つの布団で眠っている。
となると当然、
どちらかがその気になれば、【ソウイウコト】 に持ち込むのも容易く判りやすく簡単なわけで。
(と言っても大抵はガイの方が可愛い可愛いルークを前に鼻息も荒く我慢出来なくなる展開である)


そしてすでに今日もあと数分で終わろうとしている遅い時刻であるにも関わらず、
御多分に洩れず今宵今夜も発情したガイはルークに迫り、
否、
ルークに半ば懸命に頼み込み拝み倒し、何とか 【えっちOK】 の返事を貰って意気揚々。
汗くさいのは嫌だよなルーク、と一人やる気まんまんで先に軽くシャワーだけ浴び終え、
それからルークの居る(待つ?) 寝室へ一直線に飛び込んで。
目指す先はひよひよのピヨ赤毛頭ただひとつ。


先にベッドに入ってしまったせいか、
うつらうつら少しばかりまどろみ始めていたルークの頬と耳元にまず一度ずつ、軽くキスをした。
「・・・あ、」
スプリングを小さく軋ませ、同じ場所に乗り上げてくる体温と、触れてくる唇にぼんやりルークは目を開ける。
更なるキスを求めてくるガイを相手に自分も僅かに口唇を開き、侵入してくる舌を受け入れると、
上顎から歯列を辿ってなぞられ、最後にちゅるっと溢れた唾液までを啜られた。
「ん・・・・」
響く唾液の水音と柔らかなガイの舌に、意識しなくても後頭部のあたりが甘く痺れてくる。
それだけじゃない。 口腔内を舐められ、味わわれ、探られて、
優しいけれど時間をかけた深く執拗なキスに今度は頭だけでなく、身体までも力が抜け切ってしまい、
眠気だけでなくキスの心地好さに、ますます思考に霞がかかってきた。
「ルーク・・・?」
「・・・・ん?」
とろん、とした様子のルークにガイは一度口唇を離し、顔を上げその瞳を覗き込む。
「大丈夫か? お前の気が乗らないなら・・・」
止めとくか、と持ち前の心配性を発揮して言いかけると、
「あ、違・・・」
慌てて意識を引き戻したルークは一瞬焦ったような顔をし、それからすぐに困ったような表情になった。
「そうじゃ、ねーって」
「ん?」
蒼い瞳に碧の虹彩が映って、吐息が絡むほど近い位置。
怪訝そうに訊ね返したガイに、
「その気になってなきゃ、始めっからOKしねーし・・・」
「、」
「だ、だからって、んながっついてるってワケでもねーけど・・・・!」
もごもご言った途端に慌てて訂正。
何をそんなに慌ててしまうのかといえば、やはりここまで来てもまだまだ行為に慣れきっていないのと、
いくらガイが相手だとしても、たぶんこれからもずっと慣れきらないだろう消え去らないであろう羞恥心から派生するものであり。
もちろんそれも分かっているガイは、軽く苦笑して。
「わかってるって」
じゃあ続けても問題ないな、と続け、愛撫を口付けから本格的なものに切り替えた。
感心する手際の良さでルークの衣類を取り払い、
露わになった胸のそこかしこに口唇を這わせ、時折吸い上げていく。
するとルークの身体は上気の兆候をうかがわせ、かすかに汗ばみはじめてきた。
「・・・っ、ぁ」
胸を這い回る口唇の感触、ほのかなくすぐったさに息があがる。
「ん・・ッ・・・っ!」
そして次に舌先が辿り着いた先、胸の粒をきゅっと吸われて小さく身体が跳ねた。
すかさずガイはその隙に片手を下方に滑らせ、ルークのそこを柔らかく握り込んだ。
そうして間を置かず優しく扱き上げていく。
「・・・っ・・・、ふ・・・ッ・・」
ガイの手が上下するたび、漏れる吐息とおずおず勃ち上がりを見せるそこ。
頃合を見計らい、根元の方からゆっくりと揉み出すようにして擦ってやると、
たまらず先端は透明な蜜をじわりと浮かび上がらせた。
「ルーク」
「んっ、・・・っ・・・・、ぅ・・・」
耳元で名前を囁かれながらの愛撫。
甘い性感を享受、というよりは懸命に耐えているという方が幾許か正しいような、愛されている最中、
絶えず小さく首を横に振り続けて性感を我慢するようなルークの仕種は、昔からずっと変わらない。
とはいえコトが進んで、理性が飛び去ってしまう頃になれば勿論そんなことはないのだけれど、
ガイからしてみれば、我慢してないで早くキモチ悦くなってくれよというのが本音。
だから余計に愛撫に力が入ってしまうわけなのだけれど、
当のルークはそのあたりがさっぱりわかっていないらしい。
まあそこがルークらしいか、と頭の隅で考え終え、ガイは扱く手に意識を集中する。
「っあ、あ、ぁ・・・・!」
途端に素直なルークの身体は瞬く間に呼吸を乱し、
自身から溢れさせる蜜の量もどっと増えて。
ガイが手指を動かすたびに、淫らな水音が生まれる。
「・・・っ、ん・・・ッ・・・っ」
「悦さそうだな」
重なるように響くルークの喘ぎを、ガイは目を細めて満足気に見やり、
熱く絡む吐息を零す唇を再び口唇で塞ぎ、しっかりキスをしてから腕で両脚を大きく割って開かせた。
「、 っ・・・」
高く勃ち上がり、卑猥に濡れ落ち膨らんだ自らをガイの眼前、目の当たりに晒してしまうという羞恥に、
今更ながらルークは軽く唇を噛んで息をのむ。
さすがにもう抵抗やら拒否やらなどの意はないけれど、慣れないものは慣れない。
だからそこまで全て承知しているガイは、(本当は少しくらい言葉でもからかって可愛がって遊んでみたいのだが)
無駄口は一切叩かず、開かせた中心部にそびえる先端に、すっと口を落とした。
「んッ! っ・・・、ぅ、ぁ・・・・っ・・・!」
温かな粘膜に包まれて、嫌でも腰が震えてしまう。
一度震え出せば、止まらずにかくかく浮こうとする腰をガイは前傾姿勢、体重をかけて押さえ込み、
それから口腔の更に奥までルーク自身を招き入れていき、舌と唾液を使って性急に扱いていく。
途端、みるみるルークの息は激しく乱れて。
「あ、あっ、ぅあ・・・・っ・・・、っは、ぁあ・・・・ッ・・・!」
と、咥えた先端を、ちゅぷっ、と突然優しく吸われた。
「、ぃ・・・・っ!? 、な・・・・ッ!!」
鋭くはないが、瞬間的に射精感にも似たような感覚に神経を貫かれてしまったルークが大きく身体を捩るが、
構わずガイは愛撫を施す手を緩めないまま、更に奥まった箇所へと指先を定め進める。
自身を口内に含まれたまま、辿り着いた指の腹で奥の入口をそっと撫でられた。
「・・・っ・・」
「力、ちゃんと抜いてな」
「・・っふぁ! あ、喋、んなって・・・ッ・・・!」
咥えたまま喋られて、ぶるっと腰を戦慄かせたルーク。 弱い先端を歯が掠めたのか。
悪い悪い、とガイはとりあえず一旦そこから口を離して解放し、
じゃあこっちに集中だなとばかりに入口を何度も撫で上げ、前から滴ってくる蜜の潤滑を借りてまず一本、
丁寧に指を挿し入れる。
するとそこは程好い締め付けの強さをもって窄まり、ルークの身体の悦さをガイの指に訴えた。
それほど深くない位置を時間をかけてほぐし、指を彷徨わせ続けると内部は次第に熱を蓄え、
内壁粘膜は蕩けて奥まで指を許すようになっていく。
一方でルーク自身も切なく色付き、哀切に震えて吐精を待ち望み、とくんと大量に蜜を滴らせて。
目聡くもそれに気付いたガイ。
「後ろで・・・・こっちで、一度達けるか・・・?」
「え、・・・っあ、うぁ・・・っ! ちょ、待・・・・ッ・・・!」
既知している浅い場所の弱いところを狙って突くと、慌てたルークが咄嗟に止めようとしてきた。
が、時すでに遅し。
「いいから。 一度達っておいた方がラクだろ?」
「んッ、んあ・・・・っ、あ、やめ、ぅあ、あっ・・・・!」
必死の制止も聞かずのガイに、その部分を強弱をつけて擦り上げられてしまい、
素直な身体はビクッと仰け反ったが早いか、膨れた自身を簡単に弾けさせた。
「・・・・っん、ん・・・・ッ・・・!」
数回に分けて白蜜を吐き出すたび、小さく全身を震わせながらルークは絶頂を味わっていく。


「・・・・あ・・・」
欲を吐き出し終え、ルークの全身からかくんと力が抜け落ちて力無くシーツに沈み込む。
それでもまだガイの指は最奥に埋まったままで、
「っ、ぁ・・・・っ・・・」
達したばかりだというのに、即座にまた再び指を蠢かされて甘ったるい声が嫌でも漏れた。
「初めが後ろでも、ちゃんと達けたじゃないか、ルーク」
ほんの少しだけの揶揄の混じった言葉と一緒に、ガイはまたも弱いところをいじり出す。
絶頂直後であるから余計、その部分を軽く撫でられるだけの刺激に、
身体だけでなく頭の芯までもが性感に痺れ、とろけてきた。
「・・・つ・・・ぁ、ぁ・・・・ぅ、・・・っ・・」
激しいものでなく、優しい性感は緩やかに身体に熱を蓄積し、
ルークの意識する外で僅かだが、もっと欲しいと腰を揺らめかせる。
「ぅ、ッ・・・・」
それを知ったガイに、更に一本、また一本と指を増やされて中で動く三本の指。
こんなに挿入されているのに、痛みも何もない。
しいてあるとすれば圧迫感と異物感なのだが、今はどちらも快楽を紡ぎ出す感覚に摩り替わっているから。
蠢く指が、少し角度を変えるたびに大なり小なり、中の弱いところを刺激して、
先程達したルーク自身も、再び力を持って上を向いていく。
「ん、元気だな」
――――― ひゃ、あッ!?」
残滓の白と、新しく分泌を始めた透明な色の混じった糸を引く先端をくいっと指先で玩ばれ、
高い高い嬌声のような声を上げてしまった。
まったく無防備に、そんな声を出してしまってかあっと耳まで赤く染めたルークにガイは苦笑。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいだろうに・・・」
「馬、・・・ッ鹿、お前が悪・・・・っ・・・・・ぅあッ、あッ!」
真っ赤になったまま、懸命に反論しようとしたルークだったのだが、
全てを言い切る前にすかさずガイが前立腺を強めに擦り上げてきて、最後は甘く喘ぐだけになる。
「ぁ、あ・・・・ッ、・・・も・・・・、っ、ダメ、だ・・・・!」
違わず正確に前立腺ばかりを愛され続け、
眩むような快感にぎゅっと目蓋を閉じ、激しく身悶える。
我慢できない。
「早、く・・・・っ・・」
指より一層熱欲を与えてくれるものが欲しくて欲しくて。
ルークの嘆願と、とろけて解れた最奥の状態を併せて確認し、ガイは丁寧に指を引き抜き、
すでに充分猛った自らのものの先端をそこに押し付けた。
「・・・、っ」
接した感覚に、ルークの喉が小さな音を立てる。
「ルーク」
低く名前を呼ばれると一緒、
粘壁を割り入って侵入してきた肉棒。
「ん、っ・・・・ッ・・・」
「・・・・く」
本当は欲望のままに急いて逸る心と身体とを懸命に自制しているらしく、
ゆっくりと腰を進めるガイも僅かに息を漏らす。
呼吸に小さく上下する胸元、
欲情の色が濃く浮かび上がっている目許。

そんな顔で熱い吐息を絡ませながらの口元で、
「、ルーク」
もう一度名前を呼ばれて。
「・・・・あ」
今更にも程がある事象なのだけれど、こんな時に限って気が付いた。
ガイは、日常非日常場面情事の有無に関わらず、ルークの名前を多く呼ぶ。
普段はちっとも意にも留めていなかったのだが。
「・・・・、・・・・」
しかしてこんな状態にときに気が付いてしまっても、どうにもならないどうしようもないどうともなるわけもなく、
ただガイの顔を見上げてぼんやり見つめていると、
「ん・・・? どうかしたか?」
訝しげに聞き返されてしまった。
「え、あ、な・・・何でもねー、って・・・」
慌てて首を横に振れば、
「? それならいいけどな」
「ぁ、うッ!」
奥まで届いた先端で、ぐいッと抉られて。
「っ・・・! あ、ぁ! んな、ちょ・・・・っ、ま、待て、って・・・・!」
「悪い、俺もけっこう辛いんだ」
「・・・・ひぃあ、あッ!!」
ぐ、ぐ、と何度も抉り込まれたまま、器用にも片手を使って片脚を肩の上に担ぎ上げられ、
より密着した体勢と態勢を持って柔らかな箇所を強く強く擦られる。
「いッ・・・・っ・・・!」
ただでさえ高まっていた中、躊躇なくポイントを愛される衝撃に身体はあっけなく白蜜を噴いてしまい、
同時に内壁をきゅうっと収縮させた。
「・・・・ッ!」
絶妙の強さと柔らかさをもって、内側のガイ自らを締め付けてくる誘惑。
瞬間、唇を噛んで一旦は堪えようとしたガイだったのだが、
結局ルークの甘い誘いに抵抗出来ず、そのまま中でどくんと吐精する。
「・・ん、・・・・っ・・・、く・・・ふ・・・ッ!」
自分の深いところで大きく脈打った直後、熱いものが撒き散らされていく熱。
奥の奥までかかったそれは熱くて熱くて、
達したばかりの性感と相まって下半身が痺れ蕩けるような錯覚を起こした。
「、っ・・・、悪かった、堪えきれなかった」
ルークが荒い息と渦巻く熱とに翻弄されていると、繋がったままガイが謝ってくる。
「・・・?」
どうしてお前が謝るんだ、と快楽で霞のかかった頭でルークはぼんやり思う。
別に痛くされたわけでも、乱暴にされたわけでもない。
少し不思議で、そしてそれはどうやら僅かながら表情に出たらしい。
「ルーク?」
また名前を呼ばれ、白濁で濡れ落ちる内壁粘膜がガイのその声にヒクリと蠢めいた。
「続けていいか?」
「・・・・・・・ん・・・」
頷いてみせた途端、
「っ、あ! あッ・・・・ッ!!」
互いの身体の間で白蜜にまみれたルーク自身を手の内に収められ、
滑らせるように愛撫されゾクリと肌が粟立って戦慄く。
「んぁ・・・・っ!」
残滓を浮かべたままの先端までも忘れずに擦ってくる指先に、腰が大きく仰け反った。
ただでさえ敏感になっている身体は、反動で内側のガイをきつく締め付ける。
「ッ、加減してくれって・・・・」
そうは言っても無理か、とあまりの締め付けの強さにガイは苦笑。
「う、あッ!!」
一度は吐精したものの、まだまだ硬度を保ったままの自身で、グッと強く奥を突き上げるが早いか、
本格的に腰を使い出す。
「あっ、あ、っ・・・っは、ぁ・・・・っ・・・・!」
大きく穿たれ、激しく突かれてベッドが軋む。
ガイ自身が何度も何度も出入りするたび、先程内側で放たれた大量の白液が淫らな音を立て、
内部での潤滑を助ける効果でいつもより更に奥の奥までの侵入を許してしまう。
おまけにガイの手の中で自身はひたすら愛されつづけ、そのあまりの性感ゆえの刺激に視界が滲んできた。
「・・・・っ、ん、ッ・・・っ・・」
与えられる快感に連動して、ガイを受け入れているところも悦びを返す。
ぐちっと大きくうねって一際激しく収縮し、銜え込んだ彼を離そうとしない。
と、
「ッ!! ひ、ッ!」
奥まで、根元まで限界までガイを埋め込まれたまま、かたかた震える腰を抱えられて揺らされた。
それも、激しく。
「あ、あッ・・・、ぅあ、ああ・・・・ッ・・・!
灼け落ちそうな熾烈すぎる快感に、
またもやガイの手淫によって張り詰めさせられていたルーク自身も一挙に限界まで追いやられ、絶頂が迫る。
「一緒に、な・・・・」
低く囁いたガイに、仕上げとばかり痛いほど強く穿たれて。
「っう、ッ―――っっ!! 、ぁぁあ・・・・ッ!!」
妨げるものもなく、勢いよく飛び散るルークの白蜜。
それから一拍置き、「ッ、」 と息を詰めたガイも追って再び内部に熱を放ち、
自分の中を白濁が満たしていくのを感じながら、ブラックアウト。 ルークは意識を手離した。
































「眠ィ・・・・」
先程から欠伸が止まらない。
変わらぬ寝室内、ベッドから簡易な衝立を隔てたこちら側、
ミニテーブルの前のソファーに沈み込みながらルークは欠伸を連発した。


何とか先程風呂には入り終えたものの、眠いし身体は微妙に気だるいしで動く気には到底なれず。
その向こうでガイはと言えば、こまめに甲斐甲斐しくあちこち動いている。
乱れたベッドを直し、シーツを綺麗なものと取り替え、汚れた方は洗濯機に放り込んで、
次に脱ぎ散らかされた床の上に散乱する二人分の衣類を拾ってこれも同じく洗濯へ回し、
他にも色々と事後の後片付け後始末エトセトラ、エトセトラ。
それでも一応、ルークだって最初は 「俺も手伝う」 と言ったのだ。
なのに当のガイ曰く。
「いいって。 どうしたってお前の方が体力を消耗してるんだ。 いいから休んでてくれよ」
とあっさり言いくるめられ、従ってその通り休んでいるというわけであり。


「・・・・もう3時過ぎてんじゃん・・・・」
欠伸混じり、ちらりと見上げた掛時計は3:15を指している。 道理で眠いわけだ。
またも連続して欠伸をしたルークの肩越し、
「よし完了! これで大丈夫だ。 もうベッドに入れるぞ、ルーク」
ガイの声が降ってきた。
「なら、寝る・・・・」
うつらうつら。 半睡状態で立ち上がり、真っ直ぐにルークは整えられたばかりのベッドへ。
ごろりと半回転、半分空けたスペースにガイも部屋の明かりを消し、隣に潜り込んでくる。
「おやすみ、ルーク」
「・・・・ん」


【おやすみ】 の一言の後、やはり呼ばれた名前。


気付いて少しだけ、目が覚めた。
「・・・・なあ、ガイ」
「ん?」
「お前さ、俺の名前、よく呼ぶよな。 ・・・今みたいに」
いつも。 いつでも。 いつだって。
記憶を辿ればずっと昔からそうだったような気もする。 そしてこうやって一緒に暮らし始めたら、余計。
「そうか?」
首を傾げる気配。 暗いし、ベッドの中ではよく見えなかったが動きでわかった。
「そうだって。 呼ぶ回数とか、ぜってー多いって」
力強く力説。 呼ばれる本人が言うのだから間違いない。 多い。
すると、
「・・・・そうか、そうだな。 ああ、そうかもしれないな」
なんだか納得したかの如くの響き。 ガイだけで自己完結したかのような。
「? 何だよ」
今度はこっちが首を傾げる番だ。 ルークとしたらさっぱりわからない。
訊ねるとガイは少しだけ考えあぐね、それから。


「お前の名前をさ、呼べるだけで幸せなんだ」


「え?」
ガイの表情を読み取ろうとしたのだが、暗くてよくわからない。 ただとても声は穏やかだ。
「忌憚なく呼べるようになるまで、まあ・・・・色々ひっくるめて7年か。 それからまたすぐ2年待ったよ。 だからこうやって、何の気なしに呼びかけられる距離にお前がいるってことが幸福なんだ」
「・・・・・・ごめん・・・」
「おいおい、どうしてそこでそんな言葉が出てくるんだって」
驚かれ、それから苦く小さく笑われた。
だから、とガイは続ける。
「だからもう仕方ないと思ってくれ。 それにお前がいないところでも、俺が一番多く口にしてるのはお前の名前だろうな。 はは、これはもう治らない病気みたいなものかもな」
「・・・・・・・・・・・・重病すぎるだろ、それ・・・・」
照れくさいやら気恥ずかしいやらよくよく考えてみれば末恐ろしい(・・・・)やら、どう対応していいのかわからない。
だからとりあえず、呆れ口調を作ってやった。
でも嫌じゃない。
多くたくさん呼ばれて、ちっとも嫌なんかじゃない。
そんなあたり、ルークも似たような病気に罹患してしまっているようだ。
おまけにきっとこの疾病はずっと治ることなく、
それどころか日に日にますます重くひどくなっていくような、そんなような。
「・・・・ま、それでもいいか」
深く考えるのはやめた。 だって眠い。 やっぱり眠い。
眠くて眠くて、
「・・・・・・・・・・・・」
でも訂正。 眠いけれど。
【それでも】 ではなくて、


「・・・・それなら、いーや」


ルークにしかわからない微妙な言い回し。 言い直し。
ガイに届いたかどうかも確かめないまま、
直後、聞こえてきたルークの寝息に誘われて、ガイもゆっくり眠りについた。




















夢の中でも、たぶん誰よりその名前を呼んでいる。




















【 →→→ [ルークが家出しました。] に続く】