※ご注意



なにやら物凄い捏造設定になっとります



・ED後
・世界は平和ですよ
・ルークもアッシュも揃って戻ってきましたよ
・ロン毛だと同じ顔が二つで紛らわしいので、ルークはまた赤ピヨ頭ですよ
・ガイルクですよ
・同時にジェイピオですよ
・アホばっかりですよ



ある意味パラレルみたいなものだと思います。 深く追求されると困る感じ。
そんなんでも宜しければ、どうぞお付き合いください(短編の続き物になると思います)。
























 結婚しました。



アッシュと二人、揃って戻ってきてから何やかや (公用だの用務だの所用だの)、
まとめて用向き・・・・、いわゆる細々とした面倒事を一通り片付け終え、
ルークがほっと一段落したばかりのある日。


それまで意外にも珍しくも意想外にも、 ・・・・兎に角思いのほか、
大人しくグランコクマに篭って大した音沙汰もなかったガイから突然、呼び出された。


『大事な話がある。 落ち着いたら是非来てくれ』


ただそれだけの短い手紙である。
受け取った当のルークとしても大事な話とやらの内容もさっぱり見当が付かず、
とりあえずどうするかと少し迷っていたのだが、横からひょいとそれを覗き込んできたナタリア曰く。


「まあ、ちょいどいいタイミングですわ。 息抜きも兼ねて遊びに行って来たらどうですのルーク。 このままあまり放っておいても、ガイの精神上とても良くありませんし」


・・・・それってどういう意味だ、と不審に思わなくもないながらも、


「え、でも、俺だけ遊びに行くのも・・・」


まだいくつか雑務とか終わってないし、と戸惑って顔を上げれば、ナタリアの隣のアッシュ曰く。


「・・・・・・行ってこい」


同じ顔にこれまた意外なほどすんなり頷かれ、




「じゃ、じゃあちょっと行ってくるよ、俺」




































と言う訳でその日のうちにバチカルから出立、翌日、待ち合わせの場所であるグランコクマの酒場、
目立たない片隅の席で久し振りの逢瀬 (とはガイの言い分だ)。
そのまず一言目、挨拶より何より先にガイが何を言うかと思えば。




「結婚しよう、ルーク」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」




薮から棒にも程がありまくる。
もしかして 『久し振りだな、ルーク』 とでも言ったのを聞き間違えたのかとも一瞬思いかけたのだけれど、
どうやらそんなことはないらしい。
あまりの唐突さに、ぽかんとテーブルの前に立ち尽くす(そう、まだ椅子に座ってもいなかった) ルークに向け、
ガイは重ねて。


「世界は平和そのものだし、(俺の)ルークはこうやって戻ってきたし、万々歳だろ? と、なったら後は俺とルークの平和な日々を願うのが常ってものさ」


そんなふうにさらりと爽やかに(・・・・) 言われても。


「でもほら、家とか」


色々あるし、とか何とかかんとか続けようとしかけたところ、途端に遮られて反駁される。



「そんなんアッシュにくれてやれ! うちに、俺のところに来いって、結婚しようルーク」


「ちょ、ちょっと待て、俺もガイも男同士だろ、無理だって・・・・!」


慌ててそう言いながらもアレ、
・・・・今更と言えば今更、なあたりが微妙、である。
あの頃からにゃんにゃんにゃんにゃんイチャイチャイチャイチャするだけしておいて、
今になって野郎同士であることを問題にするのもどうかと思わないでもないけれど、

けれどそれとこれとはやはり別問題で、やっぱりベッドの中でシドケナイアレコレをするのと、堂々と婚姻を結ぶのとは違う。 違いすぎる。


しかしガイは何だそんなことか、と軽く笑って。


「何とかなるだろ。 ジェイドの旦那に頼んでもよし、陛下に直訴してもよし。 それでも無理ならいざとなったら同棲、つまり一生同居し続ければ同じことだしな」


さらりと一言でいなしながらも、ガイは本気、だ。
しかしてジェイドに何をどう頼むつもり、ピオニー陛下にどう直訴するつもりなんだろうというルークの疑問はこの際、大したことじゃない。
問題はガイが本気も本気であるということ、その点で。


「・・・・・・け、けど俺、持参金とか一銭もねーし、」


慌てるのを通り越し、ルークはあわあわ狼狽し始める。
持参金とか口走ってしまったのは勿論その狼狽の証拠で、それほどイミがあるものではなかったのだけれど。
にっこり笑ったガイ、曰く。


「心配するなよ。 それは俺が貯めておいてあるさ」


「え? だってそれってお前の貯金だろ?」


だったら全部お前のじゃん、と怪訝な顔をしてみせた途端、間髪入れず返ってきた答え。


「いや、ルーク名義で。 8〜9年前から毎月こっそり続けてたから、もうかなりの金額になってるぞ」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」


8〜9年前から、って。
それって旅に出るどころか、一緒に屋敷に居た頃からじゃないのか。
ナタリアはともかく、まだティアともアニスともジェイドともピオニー陛下ともミュウとも知り合う前どころか、
アッシュとすり替えられてまだ一年足らず、なあたりじゃないのか。
・・・・・・それ、って。


ピシッと固まるルークに、ガイは続けて。


「頼む!! 結婚してくれルーク・・・・!!」


向かい合ったテーブルの上、大袈裟に目の前で両手を合わせ、平身低頭。 拝み倒し。


「え、ええと」


「ガイラルディア・ガラン・ガルディオス、一生に一度の頼みだルーク、一緒に暮らそう、 ・・・・な?」


キムラスカはナタリアとアッシュに任せてさ、と御家問題も簡単に片付けられてしまう。


「そ、そんなこと急に言われたって、やっぱりナタリアとアッシュにも聞いてみないとダメだろ・・・・!?」


そりゃナタリアからしてみたら相手はアッシュしかいなくなって、
アッシュだってナタリア命! なんだから問題はなさそうだけど、一応聞いておくってタテマエも必要だろ、
と全身で頑張って常識ぶって唱えてみれば、


「あ、心配いらないぞ。 それならもう二人には了解取ってあるんだ」


「は!!?」


あっさり衝撃の事実を口にされ、軽く眩暈さえしてきた。


「りょ、了解って・・・・」


ヨロヨロ呟きながら、手元にあったグラスから水をがぶがぶ飲み干すルークをじっと見つめ、
ガイは(見た目だけは) どこまでも爽やかに。


「魚心あれば水心ってやつさ。 アッシュはナタリアとキムラスカを治めていく。 ルークはこっちで俺と楽しく暮らす。 ほら完璧じゃないか、どこにも文句は発生しないだろ?」


「・・・・俺の意思は・・・・?」


「だから、ルーク次第なんだって。 そのためにこうやってプロポーズしてるんじゃないか」


一見ガイは真っ当ぽくそう言うけれど、


「でも、もうナタリアとアッシュとは話が付いてるんだろ?」


「まあ、な」


またもあっさり。 ケロリと。


「じゃ、俺の選択の余地・・・・ねーじゃん・・・・」


「ん、そういうことにも、なるかな」


これまたあっさり。 そしてニッコリ。
そんなガイの、そんな言葉にとりあえずルークは途方に暮れる。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


途方に暮れつつ、考える。


考えて、しばしの黙考のあと。


「・・・・・・・・なんかお前、少し変わった? 強引になったっーか、性格悪くなったっていうか」


するとガイは否定するかと思いきや、


「そりゃ、2年も待たされれば・・・・な。 多少は強引にもなるさ。 それに本当に欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れようとするくらいの気迫が必要なんだってことも、あの頃にヴァンから色々学んだんでね」


もう開き直ったでもいうのか、あからさまに笑顔で堂々と。


「―――――― はぁ・・・・」


頷いたんじゃない。
そんなガイを前に、ルークの口から出たのはタメイキだ。 それも思いっきり大きな。


「拝み倒しの次は開き直りかよ・・・」


呆れ返った口調と顔をしてやってみても、一切ガイには堪えていないらしく。


「なんなら、次は泣き落としにかかってもいいけどな」


「・・・・いーよ!」


ルークの返事に、彼は苦笑する。


「あ、やっぱり泣き落としは効果薄いか」


「違うって!」


違う。 そうじゃない。 そういう意味で言ったんじゃない。


「ん?」


しかしガイは分からないようだ。
ルークの言葉の意味が飲み込めていない。


「そうじゃなくて、いーよっつってんだよ・・・・」


自分で言いながらも、どんどん小さくなる言葉尻。
あんまり何度も言わせないでほしい。
なのにこういう時だけやたらと疎いガイは、未だにちっとも理解していなくて、


「??? ルーク・・・・?」


訝しげに首を傾げられ、そこでプチッとルークの我慢の緒が切れた。




「いいよ、って! 結婚してやるって言ったんだ!!!!」




大声。
勢いに任せ、とにかく大声を張り上げOKの意を伝えたルークをガイは一瞬、
信じられないといったように目を見開いて眺めたあと。


「ル・・・・ル――――――ク――――――!!!!」


「お・・・・おわッ!!?」


視認出来ないくらい素早い動きを見せたガイにルークはガバッと抱き締められ、
チュウチュウチュウチュウブチュブチュブチュブチュ、音がするほど思いきり唇だけでなく、顔面いっぱい至るところにキスの雨が降り注がれる。


「バッ・・・・!!」


慌てふためき、引っ付いたまま離れようとしないガイを無理矢理引き剥がし、反射的にルークは周囲を見回した。
良かった。 幸いなことに周囲には誰もいなかった。 ホッと胸を撫で下ろす。
(自分はあれだけ大声で叫んでおいて、という自らの所業はさておき)


「ルーク」


一方、ガイはと言えば何処からか取り出したリングをどさくさ紛れ、
そそくさとルークの指に嵌め出した。
唖然とし、左手を取られたままのルーク。
そしてそれは一寸の、正に一分の狂いもなく薬指にピッタリで。
しかし、呆気に取られていながらも気付く。 気付いてしまう。 気付いてしまった。




「ちょ・・・ちょっと待て、なあ、ガイ、俺の指のサイズ、なんで知ってんだよ・・・?」




そんなところのサイズなんて、自分だって知らないくらいなのに、
ちゃんと測ったことだって一度もないのに、
当然にしてガイにだって測らせたことだってなかったはずなのに、どうしてこうもピッタリなのか。




「どうしても何も、前々から知ってたから知ってるんだ。 お前のことなら薬指に限らず色々と他にも・・・おっと、細かいあたりは気にしないでくれ」




はははと軽く笑っていなされそうになるが、笑って済まされてしまって良いものなのか。
『色々と他にも』、何なんだろう。 自分の何をどこまで知ってるんだろう。 突き詰めて考えるとコワイ。
遅まきながらルークは思い出す。 思い知る。 そういやガイってこんな奴だった。
でも。




コワイ、ながらも。




「・・・・ったく・・・」




諦め半分、残りは前向きに前向きに素直に素直に正直に。












「・・・・ま、いーか」























と、いう訳で。






















――――――――― 結婚、しました。























【 →→→ [大佐と陛下が遊びに来ました。] に続く】