一月の





祝月、
元月、
初月、
上月、
泰月、
謹月、
年端月、
太郎月、
初見月、


睦月。


―――――――― 以上、全て 『一月』 の呼称。
























十二月三十一日、午後九時の万事屋。
まず、新八が出かけた。


「あ、銀さん、それじゃ僕出かけますから」
「? どこ行くんだよ」
「あれ言ってませんでしたっけ? お通ちゃんの年越しライブのこと。 朝までぶっ通しなんで帰りは明日の昼過ぎ頃ですね」
「フーン。 このさみー中ご苦労なこった。 ま、ハメ外しすぎねー程度に行って来いや」
「銀さんはどうするんです?」
「俺は別になんもしねーで寝る。 オトナになるとなァ、大晦日だろーが元日だろーが普段の日と全く変わりなくなるんだよ(元々自由業だし)。 毎年毎年新年新年どいつもこいつもやたら騒いでっけどさァ、結局なんも変わんねーじゃん昨日とも三日前とも一週間前とも全然。 ただ年が明けただけでどっから来んのその単純さ。 あのパワーはどっから沸くの」
「・・・・。 銀さん、余計事かもしれませんけど、ホントに年取ってオッサンになる前に銀さんも何かハマれるもの探した方がいいですよ」
「なんだよその哀れみの視線はオイ。 オッサンだってイイじゃねーか」
「オッサンが悪いって言ってるんじゃなくて、無芸無趣味のままで、ハマって打ち込めるものが何にもないと、いずれボケるって言ってるんです」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」


「あ、すいません銀さんはハメられる方でしたっけ桂さんに」
〜〜〜〜〜〜 出て行け眼鏡ェェェ!!」




















同場所、それから二時間が経過した午後十一時。
お妙が迎えに来て、神楽も出かけた。


「じゃあ銀ちゃん、私も行ってくるネ」
「あー」
「初詣のあと、三人でオールしてくるんで帰りは明日の昼近くになると思いますから♪」
「? 三人?」
「これから九ちゃんも誘い合わせてから行くの。 あ、どうしましょうこんな可愛い子ばかり三人で出かけるなんて危険極まりないかもしれないわ」
「・・・・。 安心しろその三人なら最強最凶最狂トリプルマッチだから。 俺だったらたとえデスノート持ってたって手を出さねー」
「姉御、銀ちゃん殴って良いアルか」
「駄目よ神楽ちゃん、そんなことしたら折角の晴れ着がオッサンの血にまみれて汚れるわ。 どうせ殺るなら帰って脱いでからになさい」
「了解アル」
「ねえオッサンて誰オッサンて。 銀サンまだ二十代なんだけど。 つーかお前ら物好き? この極寒の中フラフラ出歩くなんざ正気の沙汰じゃねーよ」
「・・・・。 それにね昔から、『人の楽しみにケチつける奴は馬に蹴られて死んじまえ』 って言うでしょ」


「違うネ姉御、銀ちゃんの場合は 『ヅラに掘られて』 ヨ」
「神楽ァァァ!!!!」




















それからまた二時間が経過し日付が変わって翌日元日真夜中、午前一時。
神楽までがいなくなった直後から銀時がちびちび一人酒を飲み始め、程好く酔いが回ってきたその頃。
ピンポン。
玄関チャイムが鳴った。
「・・・・・・・・」
こんな時間に誰だオイ、だなんて考える必要は一ミリもない。
この時期この時間このタイミングで万事屋を自分を訪ねてくる人物なんざ、何処を探すまでもない、一人で。
「・・・・・・・・」
ピンポンポン。
返事をしないでいたら、もう一度鳴った。
万事屋内の電気は付いている。 だから外からでも中に誰かしら居ることは一目瞭然のはずだ。
普段は勝手にズカズカ入って来やがるクセに何してやがんだアイツ、と不審に思ったが、もしかしたらお妙に言われ神楽が鍵をかけて出たのかもしれず、
ピンポンピンポンピンポンポン。
同時、まるで 『正解です』 と言いながら急かすように鳴りまくる玄関チャイム。
こうなったら仕方がない。
「あー、メンドくせ・・・・」
自分が思っていたより酔いが深かったらしく、玄関に向かうためソファーから立ち上がると一瞬、ふらりと視界が揺れた。








「明けたな銀時」
「ハイハイ明けた明けた明けましたオメデトウ。  ・・・・・・で、ナニ?」
「何、はないだろう年始に訪れた客に対して。 しかもお前、すでに酔っているのではないか」
「正月に祝い酒呑んで何がワリーんだ」
もはや誰が言うまでもないが、そこに居るのはヅラである。 桂である。
そして誰に言われるまでもなく、玄関に立つ銀時の足も微妙にふらつく。 思いのほか相当酔っ払っていたようだ。
それにしても桂と会うのはクリスマス以来、 ・・・・まだ一週間足らずしか経っていない。
指名手配犯のくせしやがってよくそうそう頻繁に出歩けるモンだとヘンな所で感心しつつ、いつもの部屋に通そうとすると、
廊下を通るその間、チラリと見てやったヅラのその顔はどう見ても下心が隠れきっておらず、途端に聞かれた。
「リーダーと新八君は?」
「出かけた」
「そ、そうか」
短い返事への反応は正直すぎるというか、エロバカ一直線というか、パッと輝いたその表情は分かり易いことこの上なく。
なのにこれまた変なトコロでこの桂というロン毛の変態は迂遠で遠回し、
コタツを挟んで向かい合ったところ。
「今日から一月だな。 知っているか銀時、一月はな、祝月、初月、上月とも呼ぶのだ」
「フーン」
だから何だ。 実際は桂の言わんとしていることなどサッパリわからなかったが、銀時はとりあえず頷いておく。 というか酔いのせいで思考するのが面倒くさい。
「そして更に、泰月、謹月、年端月とも呼ぶ」
「フーン」
更に更にだな、太郎月、初見月とも呼ばれているのだ」
「フーン」

「良いか銀時、祝月、初月、上月、泰月、謹月、年端月、太郎月、初見月だ。 覚えたか?」
「・・・・・・・・」
覚えている訳がない。 何故ってそもそも最初からほとんど聞いていないのに。
だから今度は頷きもせず、ぽうっとする頭で毎度むやみとやたらと一生懸命な桂を見ると。
ヅラは改まってコホンと咳払いを一つして、おもむろに。
「という訳で目出度い一月になったのだ、これから布団の中でい合って新年の濃厚で質な時を過ごそう銀時。
そして今年こそ共に平でみ深い世の中にしてみせることを誓い合おうではないか、何と言っても年端も行かぬ頃からの俺とお前の仲だ、
それにしても太郎月とはちと惜しい、俺の手で攘夷が成功したなら日本の夜明けと共に小太郎月と命名し直しても良・・・・、
ま、まあそれはさておき何が言いたいのかというとだな、ズバリ初見、新年初めての可愛いお前を見たい」
長い台詞を一人べらべらと言い切り、こちらを伺うよう誘うよう様子を見るよう、じっと見つめてきた。
「・・・・・・・・」
けれど輪をかけて銀時が耳に入れているはずもなく、だからこそ当たり前だが理解して納得する訳があるわけもなく。
「悪ィ、けっこー酔っ払ってるみてーで、マジなんも聞いてなかったわ」
「ぎ・・・・」
髪と同じで(!) ぽわぽわ浮く頭、ふわわんと浮きかかる呂律口調。
「上がった時から懸念していたが、やはりお前、相当酔って・・・・」
「んー、まーな」
あっさり肯定してやると、桂はがくりと肩を落とす。 何故そこで落とすのかコイツは。
「ヅラ?」
確か、この前のクリスマスは自分が風邪をひいていてそれどころではなかったため、まんま 『御預け』 だった。
「うう・・・・一月は睦月、睦月は睦み合う月だというのに」
「・・・・フーン?」

飴と鞭。
そんな言葉がアルコールで程好く浮ついた脳裏に浮かぶ。
先ほどヅラが四の五のグダグダゴタゴタ並べ立てていた長広舌はさっぱり聞いていなかった。 (元々聞く気もなかったけれど)
『睦月は睦み合う月』、 それなら短いからよくわかる。 納得もいく(ような気がする)。
「銀時?」
小さく口の端だけで笑った銀時に、桂が首を傾げると一緒。


「そっちのが、カンタンでイイんじゃねーの?」
コタツの上、身を乗り出し素早くキスをしてやった。


「・・・・!!」
桂としてはそんな銀時の行動は、思ってもみなかったことらしい。 この上ない僥倖に驚きすぎて一瞬固まっているうち、銀時は素早く口唇を離し、
「ゴタクばっか並べやがりまくりで、当のテメーがやる気ねーならまた飲み始めちまうけど?」
鼻で笑ってやる。
何だか酔いに任せた勢いも勢い、後々後悔しそうな感も決して否めなかった(・・・・) まあいい。
戌年から亥年に変わった今となっては、『マテ』 『御預け』 コマンドももう解禁だ。
























内腿、柔らかな場所に吸い付かれ、桂によって残されていく紅い跡。
「・・・ッ・・・・」
その様は幾分かを通り越えて過分に過剰で丁寧で、今更だが銀時はこの桂という男の性格と、自分への執着を改めて実感する。
一方で桂の掌中には勃ち上がりかけの銀時自身が包まれていて、緩やかに上下に扱き上げられ、刺激を与えられていた。
「、!」
小さく腰を浮かせてしまったのは、内腿にあった舌を桂が滑らせ、真っ直ぐに手の内の銀時自身の先端に太腿と同じくちゅうっと吸い付かれたからだ。
敏感極まりないところへの刺激に、浮いた腰がそのまま跳ね上がる。
そんな反応に聡い桂は穴孔部分を執拗に舌先で辿り、滲み出る先走りの蜜を舐め取っていく。
「・・・! ぅ・・・・」
その舌先が動くたび、緩やかに銀時の首が横に振られ、快楽に耐える様子に桂は嬉しげに目を細め、
先端を舐め続けながら根元に指を持っていき、下から括れまでをつうっと指先で辿った。
「ぅ、ぁ・・・ッ!」
銀時から、喘ぎとも呻きともつかない声が漏れる。


・・・・拙い。
程好く回りきった酔いで身体の血行が良くなっているせいか、普段よりも反応してしまう。
火照った身体は、桂が施す丁寧な愛撫刺激に耐えるだけでギリギリだ。
しかしまだ行為としては序の口の範疇で、今になってほんの少し、正月気分で浮かれてヅラを甘やかしたことを悔やんだ。
与えられる快楽はそう大していつものものと変わらないはずなのに、
息をするたびに小さな吐息のような、掠れた声が出た。
(オイ・・・・コレ、ヤベーんじゃ・・・・)
相変わらずふわふわ浮いた感じの脳裏に、ぼんやり危機感。
とは言え、決して行為自体が嫌だというわけではない。
銀時だってそういう気でもあったから、誘ってやったわけでもあるし。


「・・・っ・・・っ・・・、・・・!」
昂った自身を時間をかけて舐め回され、辿り上げられて背中がしなる。
内腿に落ちる桂の長髪の感覚がくすぐったくて、些か乱暴にぐいっと引っ張り除けようとすると、
「痛たたたた」 と全く痛くもないくせに芝居じみた声をあげた桂に、制止のためか再び先端を咥えられた。
「ン・・・・っ!」
瞬間、咥えられた拍子に僅かだが歯が掠った刺激に銀時は身体を仰け反らせてしまう。
「・・・ん、こういうのが悦いか?」
本当に桂は変なトコロだけ、こういう時だけやたらと聡い。
仰け反らせてしまったおかげで、桂に差し出すような体勢になってしまった銀時自身を咥え直し、
舌を絡ませると一緒に時折、歯を使って軽く柔らかく甘噛みまで施してくる。
「ァ・・・っ・・・・、っは、やめ・・・・ッ・・・」
濡れた舌と、熱い口腔に絶えず愛撫されて、止まらなくなっていた透明な蜜が白いものへと変わっていく。
絶頂が迫り、腰が小さく震えた。
「噛・・・むんじゃ、ね・・・・ッ・・・!」
どちらかと言えば舌より歯からの刺激に堪えきれず、思わず制止の声をあげてしまったが、それは逆に桂にわざわざ弱点を教えてしまったようなもので。
イコール、制止どころか目を輝かせたヅラに、より一層の愛撫を送られることは明白、自明の理。
「〜〜〜ッ!! ぅア・・・・っ・・・・!!」
括れ部分にかぷ、とくっきり歯を立てられながら根元を擦り上げらると同時、蜜を零す穴孔を舌先で愛され、絶頂を促される。
「飲ませてくれ、銀時」
「ぁ! っあ・・・・っ・・」
咥えられながら喋られた。
絶頂間近の身体には、それだけでも充分すぎるほどの刺激で。
かぷかぷと甘噛みをされ、銀時自身がびくびく戦慄く。
「ッ・・・歯、立て・・・んなッ・・・・!」
たまらず言って、髪を掴み桂を退けようとするのだが、そんな程度で離すヅラではない。
銀時の言うことをきくどころか、それまでは舌先を使い刺激していた先端に、かりっと前歯で優しく噛み付いてきた。
――――ッ!!」
思ってもみなかった強い刺激に耐え切れず、途端に銀時は桂の口内に白蜜を吐き出していく。




「・・・・バカヅラ・・・・っ・・・・」
眼前で嬉しそうに自分の吐き出したものを飲み込む桂。
銀時はいろいろな意味を込めて荒い息のもと、罵倒の呟きを発したが、聞こえていなかったのかそれとも全く気にしないのか、
「いつ味わってもとても甘いな、お前のは」
奴はけろりと真顔で告げてくる。
「・・・・・・・・」
どう反応すれば良いのかわからず、黙っていた。
変態ヅラはそう言うけれど、実際、甘い訳がない。 甘かったらそれこそヤバイ。 糖がそんなところにまで出てたら洒落にもならない。
前々から疑ってはいたが、どうやらこいつは桂はアタマと同じで、味覚もバカの筆頭らしい。
頭もおかしい、味覚も言動もおかしい尽くしで、ヅラで好いのは本当に見た目、外見だけだ。
なのに何故に自分は、そんなヤツとこんなコトを年明け早々しているのだろうと瞬間考えかけたが、
どうせ出てくる結果と導き出される結論は、銀時からしてみれば腹が立ったり微妙な感慨に耽ってしまうだけのものであるがため、思考停止。
と、一時の放出の甘く痺れる余韻に浸ろうと思っていたら、
間を置かず大きく両脚を抱え上げられ、それから桂の肩の上にかけられる体勢を取らされた。
直後、最奥に口付けられる。
達した直後で、まだ熱が収まらない身体に立て続けに刺激を与えられ、少し慌てた。
「オ、・・・オイ、待て・・・・っ・・・」
「嫌だ待たん。 睦みたい」
「睦んでるでしょォォォもう充分にィィィ!!」
焦って布団に肘を付き、上半身を起こして桂に向き直ろうとしたのだが、
言うことを聞かない直情ヅラは銀時の抵抗をひょいひょいと抑え、先刻の蜜が伝い落ちてすでに濡れた入口に、再度口唇を這わせた。
「ぁ、く・・・・っ!」
周囲を数回、そろりと舐め上げてから尖らせた舌先をく・・・、と中に挿し入れられた。
一瞬ビクッと反応してから、自然に侵入を拒んで固く締まる内壁に逆らい掻き分け、内部を進んでくる舌。
「つ・・・・ぁ、ぁ・・・・っ・・・・」
唾液を送り込まれながら、そんな箇所を柔らかく、湿って熱いものが彷徨って蠢く感覚には、毎度毎回決して慣れることがない。
疼くような、それでいて淫猥に感じてしまうような、中途半端な愛撫刺激。
小さく身体を震わせる銀時に、桂は舌の届く限界まで内壁を突付いて探って悦点を求めた。
ただでさえも過敏な粘膜をあちこち味わわれ、無意識にそれから逃れようとするのだけれど、
「っ、ア・・・・っ!」
確実に探り当てられた悦いところ、不意に前立腺を押し上げられて甘く身体は反応してしまう。
大きく仰け反った銀時を見て、桂は一度舌を抜き、顔を上げてこちらを見てきた。
「銀時」
「・・・・あ?」
チラリと上目遣いで見上げてやりながら、こんな時にヒトの名前呼ぶ声のトーン下げるんじゃねェ、とぼそっと思う。
繰り返すが、カオだけは好いのだこのヅラは。
カオとカラダ以外は本当に本当にとことん壊れていて破れ目だらけのヘンタイで、
・・・・・・なのに。
「・・・・何だよ」
汗で額に張り付いたくるくるの前髪を自らぱさりとかき上げつつ、今度は真正面から見てやると、
するとヅラは、至極真面目なカオをして。
「改めて聞くのもアレだが、 キスをしても良いだろうか」
「・・・・はァ???」
ナニ言ってんだテメーは、と思い切り眉を顰めてやった。
訝しいも訝しい。 今更も今更だ。
不審に感じながらも、すりゃいーだろココまで来てガキじゃあるめーし、と目線で促すと、
オーケーしてやったが早いか、そそくさ口付けてきた。
(ったく・・・・)
啄ばむように触れ、始まる口付け。
ココロの中で嘆息しつつ、徐々に激しくなってくるキスに集中する。
舌を絡ませ、歯列を割って何度も何度も舌を吸い合って唾液を貪るディープキス。
続けていくうちに次第に足りなくなってくる酸素、従って呼吸のために口唇を離した隙間、
つうっとどちらのものとも取れない唾液が糸を引いて落ちそうになったのをすかさず桂がちゅるっと吸い取り舐め、
「おま・・・、」
その目聡さに半ば呆れ、半ば感心する。


―――― と。


(〜〜〜〜〜!!!!)


今になって気付いた。 今さっきの唾液を舐めた桂の、舌を見て今になって思い出した。 思い当たった。
つい先刻、たった数分前まであの舌は、銀時の、自分の中にあった舌ではなかったか。
さあっと背筋を悪寒が走る。


「ギャアアアうがいうがいうがいィィィーーーー!! オエエエエ気持ち悪ィィィ・・・・!!!!」


洗面所に突進する勢いでバタバタ暴れたが、
「もう遅い。 案ずるな、それはそれはキレイなものだったぞ? 毎度毎度感動モノだ銀時」
「嬉しくねェェェ!!」
顔色一つ変えずそんな発言ケロリの桂をぶん殴ってやりたくなったところで、
(腹が立つが) これまた聡く見越した桂に先手を取られ、するりと最奥に指を這わされた。
「・・・ッ」
キスの間、少し放っておかれたその箇所に再度触れられて、それから指先が埋め込まれる。
「う、ぁ・・・・」
中は桂の愛撫で随分と蕩け柔らかくなっていて、自分でもわかってしまうほど指を包み込み吸い付いていくような動きを見せた。
これも酔いのせいなのだろうか、普段は自分でそんなこと、ほとんど感じないのに。
「熱いな、いつもより」
ひとりごちた桂が、内部で指を蠢かしていくのだが、
いつも通りゆっくり丁寧な動きは、故意か偶然なのか銀時の悦点を捉えそうで外れ、
時折微かにポイントの端を掠めていくだけだ。
「つ・・・・!」
半端な快感に、ぶるっと腰が震える。
途端、内部の指の角度が変わって、弱い一点を突き上げ、背中が反った。
「、待っていろ銀時、此処だな?」
「ァ、・・・っ・・・、ッは・・・・っ・・・!」
囁かれ、執拗に指の腹でそこを何度も何度も押し上げられ擦られて、全身から汗が滲む。
一度刺激されるたび、じわっと漏れるような快感刺激が身体の芯を走り、
一度達していた銀時自身もぐんと力を取り戻す。
愛撫の間、いつの間にか指が増やされ、拡げられるしなやかで柔らかい内部。
「く・・・・!」
快楽に流されまいと噛み締めた唇から漏れる艶声に、桂も喉を鳴らした。
「ッ、 ・・・ぅあッ!?」
内壁だけでなく、膨れ上がり濡れた銀時自身をもう片方の手のひらで擦られてゾクリと甘く重い快感が背筋を走り抜けた。
器用な桂の手は、内側の指とはまた違った動きを見せ、全体を数回擦り上げた後、その下の蜜がたっぷり詰まった双珠に向かって包み込み、大きく揉んで刺激する。
ッ、―――あ、ぁうッ・・・・!」
激しい刺激に、瞬時に極みに持っていかれる身体。
腰がかたかた震え、忙しない荒い息が止まらない。 肌を伝う汗にさえ快楽を引き起こされた。
「先程より、もっと甘そうだな・・・・」
その言葉と一緒にまた先端を含み咥えられ、続けてずるっと激しく指を引き抜かれて。
「っく・・・・ッ、ぅ・・・・っ!」
強く強く粘膜を擦って出て行った刺激に、否応なしに連れて行かれる絶頂。
「・・・・ァ、ぁ・・・・っ・・・・」
ぴゅくっと吐精していく自身を繰り返し吸われ、一滴たりとも残したくない桂に最後の雫まで吸い上げられる都度、
腰だけでなく、頭の芯まで痺れるような快感に眼前、視界が霞んだ。




「・・・・、っ、・・・・・っ・・・・ぁ・・・」
二度目の激しい快楽が身体を通り過ぎ、急速に疲れと眠気がやってくる。
力なくぐったり布団に沈む銀時だったが、ずっと堪えていた桂の欲もそろそろ限界だ。
「銀時、」
挿れたくて入れたくて仕方のないそこを晒され、脚を高く抱え上げられて、それから熱と蜜と唾液とで熟れた最奥に桂自身の切っ先を押し当てられる。
「な・・・ッ・・、てめ、なんでそんなやる気充填してんだよッ・・・・!?」
この時点でわかってしまうほど、桂は普段に増して比例増、やる気に満ちている。
「何を言う銀時、VSお前なら俺はいつでも気合充填エンジンブルブル絶好調だ」
「〜〜〜ワケわかんねェェェ!!」
「まあまあまあまあ」
騒ぎ始めた口をキスで塞がれ、続けて腰が進められゆっくりとだが確実に桂自身が埋め込まれていく。
「ん・・・! ん! っふ、ン、・・・・ッ!」
口唇を塞がれながら、二度達した直後の過敏この上ない身体内、
内壁をぐいぐい擦りながら質量を増した桂が侵入してくる感覚に、腰から爪先、背筋を通って脳天まで痺れて疼いた。
更に、痛みはないのだが深くまで貫かれる圧迫感。
だが何より快楽が一番大きい。
「ぁ・・・!」
「銀、・・・ッ・・・」
猛った桂の切っ先が最奥に届いた途端、内壁が濡れながらも弾力をもって絡み付き、余すところなく桂自身を締め付け始める。
「っく、ぅ・・・・ッッ・・・・!」
構わず動き出した桂に腰を使われ、三度勃ち上がっていた銀時自身が互いの腹の間で擦られてたまらず押し殺した声が漏れた。
「堪えずとも良かろう?」
桂は銀時の表情を探りつつ、定期的で緩やかに腰の律動を繰り返す。
中で桂が動くたび、自分の下肢から小さな水音が響いた。
と、銀時自身の先端からとぷっと大量の蜜が零れ出たと同時、桂が身体を起こしてきて腰をしっかり固定され、徐々に激しく動き出した。
「ッ、ぁ! あ! うぁッ、・・・っく・・・!」
引き抜かれ、奥を突かれるたびに少しずつ水音が激しくなってくる。
桂の息も荒く、汗ばんでいて頬にかかった髪を無造作にかき上げ、銀時の一番悦ぶ一点を目掛けぐっと乱暴に自身を突き入れた。
「ッあ!!」
あまりの性感に、目を見開いて銀時が仰け反る。
一度知られた快感の集中するその箇所を、桂は容赦なく狙ってグイグイ突き上げ、
「や、め・・・ッ! あ! ぅあ、ッ・・・・ッ!!」
「・・・・ああ」
微笑まれ頷かれながらも、バカヅラの行動は正反対で、逃げ打つ腰を引き寄せられより深く、激しく穿たれる。
「・・・・・・ッッ!!」
やめるどころか底意地悪くも切っ先でぐりぐり擦り突かれて、一瞬意識が飛びかけた。
「ァ、・・・・っうぁ・・・・!」
蹂躙されるたび、甘く掠れた声が出る。
それはもう止めようにも止められず、襲い来る快楽に流されるまましかない。
「悦いか、銀時・・・?」
「っ・・・・ざけ、ん・・な・・・・ッ!」
それでも懸命に睨み付けてやると、可愛くない言葉に対する報復か、突然、それまで放っておかれた銀時自身を、ぬるりと指先でなぞられた。
桂のその指は、真っ赤に膨れあがり滴って濡れた先端の括れ部分をくるくる回って彷徨ったかと思えば、
それから裏側の筋を辿ってくぱくぱ熱く喘ぐ穴孔に軽く爪を捩じ込んで。
「うあ、ぁ・・・・! っッ・・・・ッ!!」
痛いほどの性感に襲われ、
更に間髪入れず全体を手のひらでぎゅっと強く握られて息が詰まる。
「・・・・っは、ぁ、あ・・・・ッ・・・も・・・・ッ、ヅ、ラ・・・・ッ!」
どこもかしこも性感帯になってしまったよう、頭の中と目の前が白濁してきて、もう何がなんだか分からない。
切羽詰まった響きで名を呼ばれた桂は心底嬉しげに小さく笑い、
仕上げとばかり一際激しく銀時を揺らし上げた。
「ッ、っあ、・・・・っ・・・・ぅ、う・・・・ッ」
絶えず扱かれ続ける自身から止まらない蜜が溢れ落ち、結合部分にまで滴り濡らしていく。
外側では今にも弾けそうで小刻みに痙攣する銀時自身を執拗に愛され、
内部では前立腺を容赦なく攻められて、細い身体が戦慄き続け始めた。
「・・・・、く・・・・ッ!」
追い詰められ、一挙に高みに持って行かれる全身。
一瞬だがきつく噛み締められた口唇、直後に内壁粘膜は桂自身を思い切り締め上げ、誘って互いの絶頂を促して。
「っ・・・、凄・・・いな、お前は・・・・」
最上、最高の締め付けが連れて来る快楽に桂は驚きながらも嬉しげ、それでいて困ったように眉を寄せ、
ズッ・・・! と音がするほど強く強く最奥目掛け突き入れ、直後白濁を注ぎ込む。
「・・・ッ、ぅ、ァ・・・・っ・・・・」
すでに、大きく喘ぐ余裕もなかった銀時。
小さく掠れた呻きを上げて、桂の手の中、熟れた熱を音もなく弾けさせた。
























「サイアクだ・・・・」


後から悔やんで、『後悔』 と読む、正に読んで字の如し。
つい先刻夜が明け日の出も過ぎて、目出度いはずの元旦早々カラダはだるいわ頭はガンガンするわ腰に響くわ、
何よりやたらスッキリした顔で桂は今日もまた遅くまで居座るつもりでちゃっかりコタツに納まっているわ、
正月からまるで今年一年の雲行きを暗示しているような元日だ。
「ぜってーぜってー今年もロクな年にならねー・・・」
ほぼ真意でぼやいたら、
「お前となら俺はどんな未来も怖くはないぞ」
聞こえていたらしいぼやきに、これまたやたらキッパリと、しかし何故か銀時としてはやたら腹の立つヅラの返答。
けれどもういちいちコイツの言動を否定するのにもいい加減疲れていたから、
ただそのまま黙っていた。




たぶん今年も来年もその次も、きっとずっとこんな感じだ。
















・・・・すいませんでした。 正月からこんなんで。