なんかもうタイトルさえつけられないやってる文














室内、迷うことなく続けざまに響きわたる筆圧の音。
ボールペンの先と擦られる紙との摩擦音。
机上、合わせて積み上げられた書類の束は当初の状態からは幾許か減ってはいたものの、まだ数センチの厚さを成している。
「・・・・・・・・」
ふと顔を上げた拍子、目に入ったそれに視線を定めたまま、思わず土方は重いタメイキをついた。
「・・・・先が見えねェ」
事務仕事。 事務処理。 残務整理。
何と呼べばいいのか。
この山のような書類一式を片付けなければならない、所謂一般的にはデスクワークというやつなのだが、

実際に取り掛かってみるとこれほど面倒だとは思いもしなかった。
部屋の壁掛け時計は夜中の一時少し前を示している。
再び重い息をついて、仕方がねェ少し休むか、とペンを放しかけた途端、
「、」


廊下から部屋に通じる真後ろ障子がかすかに軋んで開かれる音がした。


「あ? どうした」


わざわざ振り向かなくとも、こんな夜中に声もかけず副長部屋に入ってくる人物など、この世に一人しかいない。
それでも一応確認のため首を傾けると、そこに立っているのは例外の欠片さえなし、 ――――沖田総悟だった。








日々の煩雑に追われ、何やかやで先延ばし先送りになっていた雑務一般書類の製作と提出のため、
土方が自らの部屋に閉じ篭もり状態に入ったのはそう、ちょうど一週間前のことだった。
加えて悪タイミングというものはいつもいつも忙しい時に限って絶妙な間で訪れるというどこぞの法則の通り、
閉じ篭もって早々、一時間が経過したところでふと久し振りに屯所にふらりと訪れた松平からこれまた久々に面倒な案件(・・・・ここぞとばかり上様絡みだというのが更に面倒を増長している) の残務処理を押し付けられてしまった。
だがしかしとりあえず、そちらはそれほど急ぎの仕事というわけではなかったのだが差し当たり、面倒はさっさと先に片付けたい。
と優先して取り掛かったそちらの残務、それに丸々2日半を費やす破目に陥ってしまったのが遅れの始まりであり、
そして思っていたよりも面倒で手間のかかる手書きでの書類製作、が想定外の大きな誤算だった。
類に漏れず一度生じた遅れは到底簡単に取り返せるものではなく、
最初の予定では丸三日もあれば終わるだろうと予定していたつもりが本日で丸々一週間、
しかしあと更に三日を追加して十日間閉じこもってみたところでも終わるかどうか、というところにまで来てしまった。
であるからしてここ数日は食事さえロクに取ってはいない。
濃いめのコーヒーもしくは緑茶と煙草を机の上に限界までデスクワーク、消耗してきたら軽い食事(withマヨネーズ) と睡眠を取る。
その合間の真夜中、空いているところを見計らって風呂に向かって眠気をさます。 そしてまた限界まで仕事と向かい合う。
だから自然当然、不規則不健康この上ない日々になってしまっているのだが、
幸か不幸か自分が出張らなければならないような大きな事件はこの一週間起きていないし、
近藤も(VS仕事バージョンとしても) 一旦意地になった土方の性格と性質は知り尽くしているらしく、特に何も言ってこない。
せいぜい山崎を通じて夜食を付け届けてくれる程度に済ます心遣いをありがたく感じつつ閉じ篭もりつつ。






・・・・・・・・気には、なってはいたのだ。
冷静に見ても端から見ても身内からみてもどう見てもこんな時、『何かを仕掛けてこないはずがない』 沖田総悟のコト、は。
















一方、振り向きざま、あからさまに疲れきった様子の土方に 『どうした?』 と訊ねられ、珍しくも沖田は一瞬戸惑った。
が。
「・・・・別に。 何でもねーです」
ただ近藤さんがコーヒー持ってけって言ったから持ってきてやっただけです感謝しろィ、と事実を告げてそれを隠す。
土方が閉じ篭もっている理由もわかってはいるし、
一応今が彼の首(というか副長の座) を狙うのにはもってこいの好機でありはするのだが、もし成功してしまって自分がその座についたとしたらそれはそれ、
きっと今現在土方がこんな状況に陥ってしまっているこの仕事一式ももれなく付属でついてきてしまうことは明白で、
そんな面倒くさいことは沖田としても絶対に御免こうむる。
だからあえて邪魔をするという気も、悪戯という名前の半嫌がらせを行う気も、このタイミングでは大して起きなかったのだけれども。
しかし、胸を張っての 『サド王子』 ですぜィ俺は、との自覚のありまくる(?) 沖田としては、
(いつもなら遊びに行けば相手になってくれる銀時はこういうときに限って不在だったし)
この一週間が、
同じ屯所内にいながらもほとんどちょっかいを出せずにいた今の状態が正直、
とてつもなく退屈だったのだ。 
つまらなかったのだ。




「まだ終わらねーんですかィ、それ」
「あァ」
「・・・・・・ふーん」
さらりと肯定されて、更につまらなくなる。
一週間も篭ってまだ終わらねェってアンタどんだけ無能なんです、とか、
あーあやっぱ明日また万事屋の旦那のところに行ってみよーかなそしたら帰ってっかな、とかetc.エトセトラ、内心思っていたら。
「総悟」
「はい?」
「寄越せ」
「・・・・は?」
「寄越しやがれ」
「・・・・は???」
「コーヒー寄越せっつってんだ。 近藤さんからだろ」
「あ」
冷めちまうだろうが、と言われて、ここになってやって気付いて乗せてきた盆ごと、差し出す。
飾り気も何もない白のマグカップ。
「持ってけって言ったのは近藤さんですが、煎れたのは俺ですぜ」
注釈を加えると、口許に運びながら口をつける一歩手前、
「・・・・・・。 毒、入ってねーだろうな」
「俺がんなつまらねェ殺り方、するとでも? 俺ァやるときゃもっと芸術的に派手に殺りまさァ」
その返答に安心したのか、土方はジェスチャーで 「ならいい、」 と返し、一口飲んだ後、
ふと、気付いたように。
「なんだ、やけにおとなしいじゃねーか」
「・・・・・・んなことねーです」
「てっきりコーヒーに見せかけたホット醤油かとも疑ってみたんだがな」
てめーが持ってくるにしちゃ、やたらとマトモすぎるブラックじゃねーかオイ、と重ねてたたみかけられる。
「だから何だっていうんですかィ」
答えながら、どう言ったらいいものか沖田は考える。 確かにこんなこと、自分にしては前例がないかもしれない。
やろうと思えば、
運んできた熱湯コーヒーを背後から転んだフリして土方にぶっかけることだって、
中に丸ごとチューブ一本分の練乳をぶちこんだ糖分爆弾を、「ベトナムコーヒーです」 と称して無理矢理飲ませることだって、
はたまた土方の言うように、毒までとはいかないもののそこそこの下剤をぶっこむことだって、
なんだって出来たはずなのに。
「・・・・総悟?」
文机の脇、立っている自分に対し、胡坐をかいたまま下方から見上げてくる土方。
こんな構図と立ち位置ははいつもとはまるで逆で、
普段なら適当に軽く煙に巻いてさらっと流してしまうところなのだけれど、
実際、ここ数日は本当につまらなかった、から。
「アンタが悪いんです」
「何がだ」
「だから、土方さんが」
「だから何がだよ」
「〜〜〜〜とにかくアンタが悪いんです」
言っているうちに、なんだかどんどん訳がわからなくなってきた。
いくらなんだとはいえ、さすがに子供すぎる理由の物言いか。
「なんか、つまんねーし」









「・・・・・・だから何とかしろィ土方」
この上なく可愛くないにも程がある、命令口調。
しかし可愛すぎる沖田に、土方は今更自戒の念を込めた意味で、苦く笑う。
悪いクセだ、とはわかっていた。
一旦仕事モード、副長モードになってしまうと、それ以外のものに対してが疎かになりつつあってしまう。
たとえ多少なりとも沖田のことは気にしていたとはいっても、行動に現わすことが出来なかったのだから、
こんなふうに彼の方から来るまでずっと放っておいてしまったのだから、結局は同じことだ。




「総悟」
一気に飲みながらも、まだ半分ほど中身の残っているマグカップを卓上に置いて、伸ばした腕で沖田の袖口を掴む。
「・・・・なんです」
自分は座ったまま、無言でじっとその表情を眺めた。
そのまま、沖田が膝を落とし、姿勢を合わせてくるのを持つ。
「・・・・・・・・今更甘やかしモードに入ったって、誤魔化されないですぜ」
文句を言いながらも、沖田はどう対応したら良いのか決めかねていねようだ。 当然といえば当然か。
だが実際、土方もかなり疲れているのだ。 だから、相手を目の前にして自分を抑えきるだけの気力と意志はもう残ってはいない。
そしてここまで来て、何もなく済ますだけの理由も余裕もない。
疲れている。 だから余計に迂遠なやり取りなどしている余力もない。 普段ならかわす、言葉遊びのようなふざけた応酬も求めちゃいない。 欲しい。
「別に誤魔化そうと思っちゃいねェよ」




言い捨てて素早く立ち上がり、
沖田が身じろぐ間もなく唇を寄せる。
重ねた唇、
軽く触れるだけのキスから、次第に激しく。




思い起こしてみれば、一週間とは言わずそれ以上、なんやかやでご無沙汰だった。
自分がいないとつまらない。 こんなかわいい物言いをしてくれる沖田など、一年に一度あるかないかのことだ。 まず間違いなく少なくとももう今年中には、無い。
「・・・・ン、」
普段なら、負けん気に加えて息苦しさもあって逃れようとする舌が、
それとわかるほどに今日はやたらとおとなしい。
土方はそれを良いことに、柔らかさを楽しむよう、舌と舌を絡めて思い切り吸い上げた。
「っ・・・」
僅かに零れる吐息に、残っていた理性も消えていく。




息継ぎのため、名残惜しく唇を離して、沖田の肩に手をかける。
「な、・・・・」
何か言いかけるのを遮って、畳の上にそのまま縺れ込ませるように組み倒す。
「布団は」
背面を畳に押し付けられる形になった沖田が、そんなふうに聞いてきた。
「ねェ。 あったとしても敷いてる余裕はねェ」
「後で大変ですぜ」
「別に構わねーだろ。 俺の部屋だ」
だからこのままやるぞ、と耳元で告げれば、「まあいいです掃除するのは俺じゃねーから」 とあっさり返ってきた。
しかしながらも誘うよう、肩口にかけられる手。 そんな仕種がまた煽る。
土方は有無を言わせず、衣服を取り去っていく。
簡単に露わになった肌、その首筋に顔ごと唇を埋め、心持ち強めに吸い上げると、小さく沖田の身体が震えた。
長らく触れ合っていなかったことは、若い身体にとっては随分と大きなブランク(?) だったようだ。
まあそれは俺も大して変わらねーか、と思いつつ胸のあたりに手のひらを這わせると、
その通り正直に沖田は反応した。 僅かにひくっと身を捩る。


・・・・・・沖田当人としては、
すること自体は、行為自体は別に構わないというか、むしろ望んでいたことなのだけれども。(だから来たのだし)
でもこの一週間という時間の退屈は、きっと互いが思っている以上に身体にとって正直で、
すでにいつにも増して過敏に感覚をとらえ始めていて、
ヤバい、かも。 とか、
「・・・・ッ・・」
そんなことをぼんやり思っている間にも、土方の手は薄い胸元を隅から隅まで撫で回してくる。
最後に辿り着いた指先が、胸の突起に直に触れてきたその瞬間、思わず息をついてしまった。
「ん・・・っ・・・!」
土方がそのぷくりとした突起を、爪の先で転がすように弄ってやると、
沖田はむずがって押し留めようと、手を伸ばす。
「ん・・・・な、回りッくどいコト、しなくったって・・・・」
「くどくねェよ」
簡単に土方が一言で返すと、今度はその手で手首を掴んで止めようとしてきた。
しつこいですぜこのエロ土方、と重ねて沖田は留めようするが、
そんなふうに言われても、土方としては全身で愉しみたいし、ここまできたらエロ呼ばわりも何も無い。 何を今更。
「くどいってのはこういうのを言うんだよ」
「? ・・・・ぅあッ!!」
ほんの目許だけで土方が小さく笑った直後、それを訝しいと思う寸前、
突然ぺろりと突起を舐めあげられて、そこから下肢まで一気に伝ってきた性感に息が詰まった。
そのまま繰り返し、何度も何度も舐められると同時、
反対側は指先できっちり摘まみ上げられいじられて、弱いところを的確に攻めてくる愛撫に、身体は正確に反応をみせた。
「相変わらず、細ぇな総悟」
「〜〜〜っ・・・・」
唾液で濡れた突起に吹きかかる土方の吐息ですら、快感として感じてしまう。
過度に感じる胸への刺激に、沖田がそうやって神経を集中させていたら。
土方は片側の手を、するりと下肢へ伸び滑らせた。
「っあ・・・・ッ・・・!!」
勃ち上がりかけのそれを、迷わずきゅっと強めに握り込まれ、全身がビクンと跳ね上がった。
土方は握り込んだまま、丹念に扱きあげる。
「・・・・、はっ・・・・ッ・・・」
熱い手の内。
直接的な性感に、沖田の肢体から汗がうっすら滲み出る。
熱を孕んだ沖田自身、その充血した肉棒を擦り上げながらも、土方は胸の突起への愛撫を止めることはしない。
肉棒と同じくらいに紅く、尖った肉粒を何度も何度も舐めては吸い上げる。
「あ・・・・ッ、くっ・・・・」
そうこうしているうちに、先端からこぼれる透明な雫が止まらなくなり始める沖田自身。
滴って濡れたその感触が、指先で糸を引くのを確かめて、
ようやく土方は沖田の胸から唇を離し、顔を上げる。
そして自らの位置を僅かに変え、自分と比べると細い沖田の膝の裏に両手をかけ、ぐいっと脚を大きく開かせた。
「、っ」
畳の上、あからさまな体勢をとらされて沖田がわずかに息を飲む。
が、今更だろ、と土方が口の中だけで呟きつつ、とろりと濡れ落ちた沖田の肉棒を、添えた指先ですうっと下から上に辿ってなぞりあげると、
堪えきれないのか、くう、と白い喉が鳴った。
「細ぇ上、いつ見ても白いな」
腹の中が黒すぎる反動かオイ、と呟きつつ改めてまじまじと眺めてしまうほど、彼の肌は白く、肌理細やかで。
普段、陽にあたることのない内腿などは本当に透けて見えてきそうなほどだ。 それでいて健康的。 非の打ち所がない。




・・・・沖田からしてみれば、そんなん俺の知ったこっちゃないですぜ、とか、
マヨまみれでこの先メタボまっしぐらなアンタと一緒にすんなバカ土方、とか、
まあそうやってアンタが感心するのも当然なくらい、俺が頭のてっぺんからツメの先まで全部全部可愛いのは生まれつきなんで仕方ねーですけど、とか。
いろいろ告げてやりたいところであるのだけれど、何だか今はそれすら面倒くさい。
いつ見ても白い。 その通りそう言うとおり、前回アンタがそこにつけた紅い跡はとっくに消えちまいましたあんまり間が空くから、と心の中で愚痴ってやって、
とりあえず、聞こえなかったフリをする。




「ぅあ・・・・っ・・・・あ、・・・・ッ!」
土方の指が、く・・・・、と先端を擦った途端、濡れた声があがった。
たまらず一気に溢れ出る透明な蜜を、全体に塗りこめるように大きく扱くと、沖田の内股がびくびく震えだす。
構わず扱き続けてやると、その手の上に、沖田は自らの手を置いてきた。
が、
その手にはまったく力も何も入ってはおらず、土方の行動を止めさせたいのか促したいのか、
引き剥がしたいのか押さえ付けたいのかも分からない。
けれど与えられる刺激に、沖田自身はもう限界で、
「出しとけ」
「んッ・・・・、・・・・っ! ―――ッ!」
土方が扱き上げる手に一層力を入れてやった瞬間、
身を仰け反らせ、そこは白蜜を弾けさせた。




「・・・っ・・・・、っ、は・・・・」
達した余韻に、肩で息をする額に落ちて汗で張り付いた長めの前髪を払ってやりながら、
ほんの少しの意地悪な響きを込めて、土方は部下の耳元で囁きかける。
「早ェな。 そこまで構って欲しかったのか?」
「・・・・・・・・」
図星だったらしい。
一方、無言でふいっと顔を背けた沖田は、どう返答すればいいものやら困った。
構って欲しかったのは本当で、否定のしようがない。
しかしそう素直に肯定してやるのも癪で、
だって下手に認めてしまえばアホ土方を図に乗せることになるだけであって、
だから。
「・・・・・・フン。 欲求不満だっただけでさぁ」
そりゃアンタだって同じでしょうが、とぼそっと言い捨てると、珍しくも土方はあっさり頷いた。
「まあな。 そりゃ否定しねェ。 目クソ鼻クソってやつだ」
「うわァ汚ねー表現。 教養の度が知れますぜ」
「なんだコラ」
「俺だったら乳毛がヘソ毛を笑う、って言いますけどね」
「・・・・・・・・・・五十歩百歩だろ」
「あ。 けど俺、乳毛もヘソ毛も生えてねーから笑えないや。 両方とも生えてる土方さんと違って」
「生えてねェェェ!!」
見りゃわかんだろ、見てわかるだろうがテメーは、
と、そんな嘆息まじりのぼやきと同時、
ゆるゆると頭の位置を変えていく土方の行動に沖田が気付いたときには、
達したばかり、濡れる沖田自身に温かな吐息を感じてしまった。
「ちょっ・・・・! 待・・・・っ」
「欲求不満なんだろうがよ」
「けど・・・・ッ・・・、ぅあッ!?」
制止も最初から無視、
土方は震える沖田自身を口に含み入れる。
「あ・・・・あっ・・・、あ・・・・っ・・・・!」
口腔内でまず味わったあと、舌で根元から先端へなぞって舐め上げると、
抵抗されないよう(つまりは蹴り飛ばされないよう)、畳にしっかり抑え付けた沖田の細腰が、小さく震えた。
柔らかな口内の粘膜と唇とで締め付けながら、少しずつ力を取り戻していくそれを上下にゆっくりと扱く。
「ん、んん・・・・ッ、・・・っう・・・・!」
ここまで来たら沖田も表立って抗いはしないものの、
土方の髪に指を絡め、強い快楽刺激から逃れようと気を紛らわせようと、ぐいぐい引っ張ってくる。
けれど気にせず土方は口中の肉棒に、集中して愛しげに舌を這わせ続けた。
「あッ、あ・・・・っ、う・・・・あ・・・・っ・・・・」
絶え間なく与えられる快感に、沖田はかぶりを振って悶え始める。
そんな様子を見て、与える愛撫を激しくした。
濡れ落ちる蜜と唾液とで水音を立てながら肉棒を扱き、
一緒にたっぷりと詰まった蜜を搾り出させるように、その下の双珠を擦りあげてやる。
途端、双珠を刺激されたのが切っ掛けか、
「ぅ・・・・あッ、あ・・・・! く、ぅ・・・・ッ・・・」
目に見えて腰ががくがく戦慄き出し、二度目の限界が近いことが見てとれるようになった。
「・・・・っ、も・・・・!」
合わせて震えて止まらない手で、沖田が土方の顔をそこから引き剥がそうと試みてもお構いなし、とばかり。
むしろそれを合図にしたよう、先端の窪みに強く強く舌をねじ込まれ、
「ひ・・・・ッ! あ、あ・・・・っ!!」
尿道を乱暴に舌先で突付かれるのに加え、
柔らかな双珠を大きく揉み上げられた刺激で、
耐え切れず、そのまま沖田は土方の口内に二度目の欲を吐精した。




「目、覚ましてるか、オイ」
吐精の余韻に浸って、目蓋を閉じたままくったりと四肢を投げ出し、荒い吐息をつく沖田の顔を覗き込みながら土方が問いかけると、
「・・・・乳毛とヘソ毛・・・・万が一にも生やしやがったら毟り取ってやらァ」
どこか不貞腐れたかのような響きで、戯言が返ってきた。
「生えてねェだろうが」
「・・・・・・だから、これからも生えねーように点検させろィ」
そんな可愛い呟きに、
「なら毎日でも点検しに来いや」 と告げておいて、
欲求不満なのは俺も同じなんだがな総悟、との続きの言葉をあえて飲み込んでその代わり、
開けば本心はどこへやら、タワゴトとザレゴトしか出てこない互いの唇を唇で、塞いだ。




「く・・・、・・・・ぅ、・・・・」
最奥、身体の中を、やわらかく熱い舌があちこちを刺激しながら這い回る。
狭いそこを、たっぷりと濡らしながら蠢く土方の舌は、固い内部を少しずつ、確実に綻ばせていく。
「あッ・・・・!!?」
蕩けはじめたそこに、手始めに一本、指を入れて前立腺に触ってやると、
沖田ははっきりとわかるほど声をあげて仰け反った。
「もう、・・・・イイな?」
確かめるため、もう一度前立腺をくりくりと転がしてやる。
「あッ、あ・・・・!」
途端に激しくかぶりを振って、髪を振り乱す沖田がたまらなく可愛くて。




指を引き抜いて、この状態、うつ伏せにさせたまま、後ろから腰を抱え上げる。
しなやかなラインを描く背中、背筋をつうっと指先で辿って確かめたあと、
息を飲む沖田の、露わにさせた蕩ける蕾に熱い自らの先端を宛がい、一気に腰を進めて埋めた。
「あ・・・・ぅ、あ・・・・ああッ・・・・!」
内部から響く、強烈な刺激と質量と熱に、
たまらず沖田は全身を震わせる。
慣らすため軽く腰ごと揺さぶられて、掴もうとし失敗して爪を立てた畳と、たまたまそこにあって顔を埋めていた隊服のシャツを握る手に力が入った。
ゆっくりと、背後から土方が動き出す。
「ッ、あ・・・・っ、あ!!」
弱いポイントを掠めて、土方自身の先端が内壁を擦りながら最奥を突き上げると、
沖田は背中を仰け反らせて喘いだ。
切っ先がぐっと埋め込まれるたび、粘着質で淫らな水音が結合部から響き渡る。
「んあッ、あ、・・・・っは・・・・」
身体全体を包み込む、強い強い性感。
合わせて次第に沖田も、土方の動きに合わせて腰を揺らめかせていく。
と、
身の内の熱から完全に三たび勃ち上がっていた沖田自身に、後ろから器用に手を回してやった土方が、
その肉棒を握り込むと、くちゅりと濡れた音がした。
そのまま、指を絡めて濡れそぼるそれをきちゅきちゅ扱く。
「な・・・・ッ、あ、ああ・・・・っ!」
「、総悟」
「んッ、・・・・っぅ、う・・・・、あ・・・・!」
背後で名を呼ばれつつ、内側からは前立腺に直接攻め込まれ、
びりっ、と痛いくらいの快感に襲われてしまい、沖田が思わず腰を退きかけるが、
寸でのところでそれを許さない。
知り尽くした身体。
狙ったそこを、目掛けてズクっと思いきり突き上げる。
「ん―――ッ!、っ、あ、あ、――ッ・・・・!」
途端、瑞々しく跳ね、沖田は身体を悶えさせた。
その部分を突き上げられるたび、土方の手の中の肉棒もぴくぴくと激しく反応する。
手を濡らす滴り溢れる蜜には、もう白いものも混ざり始めていて。
土方は沖田の弱い弱いよがるポイントに、自身の先端をしつこく擦りつけていく。
「んッ、ん・・・・! も・・・・、もう・・・・ッ・・・・」
頭の中が真っ白に塗り潰されそうなほどの快感に襲われて、
自分が限界を告げる声さえもほとんど分からなくなっていて、
「い・・・・い・・・・ッ・・・、もっと・・・・!・・・」
つい、本当のところが口をついて言葉になってしまった。
そんな媚態に土方も煽られ、内側の自身が脈打ってぐんと質量を増した。
「いっ、・・・・くは・・・・っっ・・・・ッ!」
自分の内側で、どくん、と膨れ上がった熱と欲の齎す絶頂の近さに、細い身体は戦慄いて痙攣する。
無意識に握った隊服のシャツはもうくしゃくしゃで、手の中でも何の役にも立っていない。
「うあッ、あ・・・・あッ・・・・!」
一際強く打ち込まれ、
それと同時に土方自身をきゅうっと内壁がきつく強く締め付け、彼の絶頂をも促して。
「・・・・総、ッ・・・ッ・・・!」
柔らかだが伸縮性も弾力も兼ねそろえている沖田の秘肉から与えられる快楽に土方も唇を噛みながら、
包み込んだ沖田自身の先端、ちゅくちゅくと透明な蜜を零し続ける箇所を添えた親指の腹で数回、
くるくる円を描くように擦ってやり、解放を導いた。


瞬間、
それが引きがねになり、一挙に極みが訪れる。
「ひ・・・・ッ、 ――――ッッ・・・・!!」
「ぅ・・・・ッ・・・・!」
弾けたのは同時、
土方は迸らせた欲を沖田の内側に注ぎ、沖田は土方の手の内に限界までを、放った。

























「・・・・ン?」
それまで静かだった空気が動き、察知した土方が顔をあげると。
つい先程までくったり伏していたはずの沖田が、ごそごそ身を起こしていた。
「・・・・戻りまさァ・・・・。  あ、これ俺のシャツじゃねーや」
言いながら散らばった互いの服に手を伸ばし、どちらがどちらのかを選り分けている。
「戻って、風呂入って寝ます。 ・・・・もう3時だし」
どことなくぼんやりとしているのは、やはり情事の後だからで。
「そうか。 明日、ってももう今日か。 とりあえず遅刻すんじゃねーぞ」
「ちゃんと出勤はしますぜ。 途中で一休みするかもしれねーけど」
「サボんなコラ」
「・・・・・・・・・」
返事しろオイ、と促す土方を尻目、
沖田はのろのろ衣類を身に付け、一応の身支度を整えたあと。


「あ、そーだ」


今になって思い出した、との素振りで。


さりげなく何気なく移動、
入ってきたあと、閉め切っていた障子の向こう側に手を伸ばし、「それ」 を掴んで抱えて持ってきて。


「これも追加でお願いしまさあ」


ずいっ、とその書類の束を土方に差し出してきた。
その厚さ、優に三センチ。


「な・・・・!!?」


なんだこりゃ、
何持ってきやがったテメー、と土方が目を剥く前に。


「この一週間で俺がやらかした可愛いハプニングとか器物損壊とかその他諸々いろいろの始末書ですんでヨロシク」


沖田はニヒヒ、と悪戯っぽく笑って無理矢理それを押し付け、
最後の最後、くるりと身を翻す前の捨て台詞。




「だから、俺は最初っから 『(俺から目を離した)アンタが悪い』 って言ってたでしょうが」




あっけらかんと始末書の理由の責任転嫁、物言いに。




「そんなんあったら一番最初に出せェェェェ!!!!」




真夜中にも関わらず叫んで詰め寄った土方の鼻先、沖田の背中を素早く向こう側に飲み込んだ障子は、
パタンと音を立てて閉まった。
















―――――――― 土方が閉じ篭もり状態から解放されるのは、その日から数えて更に一週間後のことである。

















(ずっと書いてなかったので) リハビリがてらにえろを書いたら、総悟たんがやたら甘えったれになってしまいました。 脱兎