和毛




※ WJ01号(九十七訓) 以降のネタです。 コミックス派の方にはさっぱりわからないかと。 すみません・・・・!


























買えるだけの洋菓子と、抱えきれるだけの和菓子と、ぶら下げられるだけの紙袋に入った干菓子と、持てるだけのイチゴ牛乳。




・・・・こんな程度の手土産で、今回の一連の騒動に巻き込んだ詫びになるかと云われれば、欠片もならないけれど。
それでも、それでも顔を見る様子を窺う見舞いに行く万事屋に上がり込む逢いに行くエトセトラ、諸々の口実には表向き、なるから。




だから、堂々と(とはいえ指名手配の身、どことなくこそこそと) いつかのよう、正面から万事屋の扉を叩いた。 呼び鈴をピンポーンと鳴らした。
いつかあの日あの時と同じく、彼は留守で白い大きな犬がまた出てきて頭を齧られようと、今日は出直すつもりはなかった。
上がり込んで帰りを待とうと思った。
元々全国指名手配の身、今更不法侵入の余罪が付いたって大したことではないと心を決めていた。
なのに、
実際ピンポーンと鳴らしてみたら白いでかい犬もチャイナ娘も眼鏡小僧も出ては来ず、
数秒後ガラリと細く引き戸が開けられて、本人が出た。 いつもと変わらず相変わらず、眠そうだった。
引き戸の隙間から眠そうでだるそうに、「何しに来やがった?」 と、全く普段通り普通に訊ねられたから、
「見舞いにな」 とこちらもあっさり答えてみた。




そうしたら。




僅か二、三秒彼はじっと自分を見遣って、それからガラガラガラリと大きく戸を開き、
「・・・・。 テメーは歓迎しねーがテメーの持って来たモノは大歓迎だ。 入りやがれ」
怖い怖いおまわりさん達にまさか見られちゃいねーだろーな、そしたら犯人隠匿の罪で俺の未来は真っ暗だぞコラ、
などと呟きながら立てた右手の親指で、さっさと入れとばかりクイッと奥を示す。
「ああ」
頷きつつ云われた通り素早く荷物ごと玄関内に入った直後、背中で扉が堅く閉まって空耳かもしれないが鍵までかかる音がして、
それに気を取られているうちに気づけば彼の、銀時の背中はもう、いつもの部屋の前にあった。
「面倒くせーから茶なんか煎れねーぞ。 飲みたきゃ自分で煎れろや」
「、ああ」
「煎れるんだったらついでに俺のも頼むわ」
「・・・・ああ」
「なんかさっきから 『ああ』 しか言ってねェけど大丈夫かヅラ?」
「あ、ああ」
「・・・・ダメだこりゃ。 飛び降りたときにアタマでも打ったかオイ」
訝しげに首を傾げられる。 ついついいつものことながら見つめてしまっていた。 もう治らないクセのようなものだ。
慌てて 「いや大丈夫だ」 と否定して、急いで履物を脱ぎ銀時に続く。
「土産物は、何処に置けば良いのだ?」
「あー・・・・。 後で台所に置いとく。 だからとりあえずその廊下の端っこで」
言われた通りに甘物類一式をどっこいせと廊下に積み上げ、それから白髪の猫っ毛をすぐ眼前に追いながら部屋に入ろうとした、瞬間。




「、」




彼の白の着流しが何かの弾みで揺れた瞬間、袖口から伸びた腕、上腕部に巻かれた白い包帯が目に入った。
が、一瞬で黒のシャツに隠れて消える。




幻、
白い残像かと思ったのだけれど。
何より確かな鼻腔を擽る薬品、傷薬、薬剤の匂い。




数日前まで、絶対安静だと聞いていた。
誇張でなく大怪我だった、とも言われていた。




「銀、」
思わず名を呼びかけ、手を伸ばしそうになってしまったのだけれど。
呼び声は言葉にならず声にならず音にもならず、そして伸ばしかけたと思った自分の手は数センチも動いていなく動かせなく。
「? 何ボーッとつっ立ってんだ、ヅラ?」
「あ、ああ、すまん」
部屋の入口にただ直立している自分に気づいた銀時が不審気に声をかけてくるまで、
腕どころか足まで動かなかった。

「・・・・やっぱアタマ打ったんだろオマエ」
髪が短くなっちまって上手くバランス取れなくなったんだな大方、と呆れ気味、
けれどその実、そんな冗談憎まれ口で銀時は留めておいてくれたのだが。
続いた自分の、桂の口から出たのは、
「・・・・すまない」
結局お前を巻き込んだ。 と妙な倒置法を使った謝罪の言の葉。
「・・・・・・」
銀時の返事を待たず待つことが出来ず待てるわけがなくわけもなく、
「すまなかった」
もう一度繰り返す。
すると眼前の銀時は、隠そうともしない小さなタメイキを吐きながらいつものよう、頭をがしがしと掻いて。
「別にテメー一人のせいってワケでもねーだろーが」
火種は俺も持ってたワケだしな、と何かを思い出しているかのように口にする。
「確かに怪我ァしたけど結局俺もテメーもこーやってピンピン生きてるワケだし、別にイイんじゃねーの」
まるでさぞ当然、大したこっちゃないとばかりに。
けれど、桂としたらそんなもので納得できるわけがない。
怪我を、誰よりも大きな怪我を、
一番被害を被ったのは畢竟、渦中であるはずの自分ではなく他の誰でもない銀時なのだ。
「しかしそれは結果論だろう・・・・!」
「いいだろーが構わねーだろーが結果論で。 喉元過ぎればってやつ?」
なのに彼はあっけらかんと言い放つ。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
小さな沈黙。 どう答えればいいのか。
それでも桂とすれば、正直に言葉を紡ぐしかなく。
「過ぎてなどいないだろうが・・・・今後、」
言いかけた途端、




―――――― ゴッ。




「痛ッ! な、何をする・・・!」
容赦ないスピードと力でもって頭を固めた拳、グーで殴られた。
あああ! ったくヒトん家に上がり込んだ途端にやたら眉ばっか寄せてんじゃねェ!
怒鳴られた。 と言うよりキレられた。
「ぎ、」
突然殴られた頭のズキズキを気にする暇もない。
「仕方ねェっての! そう悲観的悲劇的になったってホントなんつーの、アレだアレ、・・・・仕方ねェだろうが!」
「・・・・ぎ、」
大体なァ、テメーは昔っから思い詰めすぎんだヅラ。 本気でハゲたくなかったらもっと前向きに行け前向きに」
「銀、」
「あァ?」
目を上げる。 目の前の銀時は偉そうに胸の前で両腕を組み、ふんぞり返ってこちらを睨み付けている。
なんというか、 ・・・・普段に増して女王様然、と、 して、・・・・いる・・・ような気がしなくもなく(・・・・)、
ついつい見蕩れてしまうが、慌ててそんな場合ではないと気づいて。
幸い、銀時は桂がそんなふうに思っていることには勘付かなかったらしい。
「来年の今頃は呑気に揃って酒呑んで笑ってるぜギャハハ、ぐらいに考えとけ、このヅラ」
こんなふうに自分に対して遥か高み、思いっきり上から物を言う口調。
それは昔も今もずっと変わらず、変わらない女王様然の尊大さに桂は思わず安心しかけてしまう。
根拠なんか何処にもなく、きっと銀時本人だって論拠のしようもない事柄であるはずなのに。
加えて 「前向きに、」 とかそんな科白、普段は死んだサカナのような目をしている(・・・・) 銀時にだけは言われたくない。
未来のことなどそうそう普段考えているはずもなく自堕落極まりない生活をしている(であろう) 銀時に、「来年の今頃」 とか、
そんな比喩を使われても全く持って説得力があるわけでもなし、
・・・・・・なのに。
「、それで」
「は?」
なのになのにそのはずなのに、何故だか今にも流されそうだ。
「・・・・それで良いのか」
自問自答。
銀時に問いかけるフリをしながら、すぐに答えが出るはずもないことも知りつつ、桂は自分に問いかける。
そしてやはり自分では何一つ纏められない思考でいたら。




―――――― イイんじゃねーの。 つーか最初っから俺ァそう言ってんだろーが。
―――――― いい加減にしやがれこのヅラ。 あァ?




再び遥か遥か高いところから高圧的+居丈高+威丈高、
更にプラス傲岸不遜も混じって嘯かれ、「相変わらずとことんカタブツだよなテメーは」 と小さく笑われた。
「そ、・・・・そうか?・・・・?」
改めるまでもない、桂は銀時のそんな顔が好きだ。 銀時が好きだ。
銀時がそんなふうに笑ってくれるのなら、笑えるのなら何でもする。 何でもしてやる。 どんなことでもしたい。

だから。




「そうか。 ・・・・そうだな」




そのまま素直に頷き、
目を丸くする銀時に顔を寄せ互いに畳の上に崩れ落ちる形で膝をついて、唇に唇で触れる。
最初はやわらかく食むだけの口付けから、時間を追うにつれて次第に深く、激しく。
「いきなりサカってんじゃねェェェェ!!」 と跳ね除けられてしまうかと一瞬、危惧もしてみたのだがその気配もなく、
逆に簡単に舌をも捕まえさせてくれた。
桂の経験からして、こんなことは滅多にない。 だから存分に甘えさせてもらおうと思う。
捕らえた舌の柔らかさと甘さとを愉しむよう、絡めて強く吸い上げた。
「・・・・、ン」
小さく甘く零れる吐息に、心臓が脈打つ。
途端に抑制が効かなくなり、
唇を離すと同時、その肩に手を置き、静かに後ろへ押し倒した。
「オイ、・・・・怪我してんだぞ、コッチは」
「自粛して考慮する」
だから抱きたい、と耳元で囁いて告げる。
すると、
「どーやって考慮すんだっての」
ふっと小さく笑われた。
そんな余裕ありげな仕種と様子を見せるところさえ愛しくて、笑ってくれたのは肯定の返事と勝手に解し、
夢中になって(しかし前述の通り、最低限の自制を持ちつつ) 衣服を剥ぎ取り、取り去る。
吸い寄せられるように首筋に顔を埋めると、小さくその身体が震えた。
寒いのか、と危うく大ボケしそうになったところで、
突然今になって畳の上、何も敷いていないと気づく。
が、すでに布団などを持って来ようなどと回り道をする暇はなく、
室内、それなりに暖房は効いているし、こんな程度で風邪をひく自分でも銀時でもないだろう、 ・・・たぶん。
それに畳というのは夏は涼しく、冬は割合と温かいものでもあって、ましてやこれから二人分の体温を吸収するのであるから。
ところどころきっちり包帯の巻かれた上半身、その間に晒された素肌の胸元に手のひらをそっと這わせると、
ただそれだけでもう一度震え、反応を見せる。


一方、銀時の方からしてみれば、
桂に触れさせてやること、抱かせてやること、確かめさせてやること、甘えさせてやること。
そのこと自体、行為自体は普段と何一つ変わらず、特に何も構わないのだけれど、
ヅラの、 ・・・・桂の、この、見た目。 パッと見。
見慣れた以前の、やたら長かった長髪ロン毛がなくなってそれなりの短髪になってしまっているため、
頭ではわかってはいるものの、時折ふとした場合に一瞬だけだがまるで別人だと錯覚してしまう瞬間がある。
・・・・そんな意味では、ヅラの場合ある意味イメチェン成功(?)だ。
加えてこの怪我。
それまでは大して気にはなっていなかったが、他の衣類が無くなり、改めてこうしてところどころ巻かれた包帯の白が目に付く。
そして不思議なことに、丁寧にその上を撫で回される感覚を、
普段素肌に触れられる感覚よりも強く過敏に感じ取ってしまい、
視覚と触覚、どちらにも慣れない、けれど決して不快ではない微妙な違和感を持つことになった。


「ッ・・・・!・・」
その違和感に銀時が僅かに眉を顰めている間にも、桂の手のひらはゆっくりと、
だが余すところなくきちっと隅々まで銀時の胸元を撫でてくる。
包帯の上から片側の胸の飾りに指先が触れた瞬間、思わず喉を引き攣らせた吐息をあげてしまった。
一撫ででぷくりと包帯を持ち上げ、尖ったその形を顕す肉粒を桂が続けて擦るよう上から愛撫すると、
「やめ、ろコラ・・・・!」
銀時は桂のその手を止めようとじたばたもがく。
が、
「やめろと言われて俺が言う通りにしたことがあったか?」
「〜〜〜〜ッ、大体、テメーだって怪我、とか、してねーのかよッ・・・・」
「ほとんどしていない。 それに多少の怪我をしていたとしてもだな、お前を抱けば治る」
「ギャアア訳わかんねーっての!! あああバカが!! 三国一の変態バカ野郎がココにいるぅぅぅ・・・・!!」
「なんとでも」
「んッ・・・!」
騒いでもあっさりかわされ、もう片方の、こちらは空気に晒され隠されていない素肌の飾りをぺろりと一舐めされ、息が詰まる。
そのまま舌先で何度も舐め上げられ、
包帯の下の突起は繰り返し指の腹で撫で回され、
「ぅ・・・ッ、・・・っく・・・・!」
全く違う感覚と快感刺激を感じ取ってしまう同じ器官への愛撫に、身体は思うより大きな反応をした。
触れてくる桂の体温さえ、快楽になる。
と、
「・・・・ッ、あ!?」
施される上半身のみへの愛撫に神経を向けていた銀時だったため、
下肢、中途半端に勃ち上がりの様子を見せていた自らの中心に、器用にも桂の片手が伸びていたことが全くわからなかった。
やわらかく、きゅっと突然に握られ、
溜まらず身体全体がびくっと大きく跳ね上がる。
構わず桂は握ったまま優しく上下に扱き始め、
「・・・っあ、・・・・ぅ、あ、・・・・ッ・・・」
直に施される性感に、銀時の息が荒くなる。
そうやって片手で銀時自身を愛しながら、桂は決して胸への愛撫をも止めない。
唇で捕らえた硬く尖った粒を、何度も吸い上げては離し、そしてまた舐め回す。
「く・・・・っ、ぁ・・・・っ・・・」
次第に銀時自身は先端から透明な蜜を零し始めていき、
先走りの蜜の濡れた感触を指先で確かめると、そこでやっと桂はずっと落としていた銀時の胸元から顔を上げた。
そして自分だけ身を起こし、銀時の膝の裏に両手をかけ、脚を左右に大きく開かせる。
「・・・ッ、・・・」
すると銀時が小さく息をのむ気配を感じた。
「ど、どこか痛んだのか・・・・!?」
途端、一挙に桂は慌ててしまう。
最大限に気をつけてはいるつもりだったけれど、開かせ方が悪くどこかの傷に響いてしまったのかもしや、
それとも自分の気づかないところで銀時に無理な体勢を強いてしまっていたのかもしかして、
いや、それともこういうことをするにはやはり最初から無理があるほどの大怪我だったのか、
いやいやそれともそれとも。
「だ、大丈夫か銀時」
慌てふためきながら銀時を覗き込む。
と、銀時はそんな自分に少しだけ驚いたような顔をして、
それから。
「あー・・・・。 別にキズに響いたとかじゃねーから」
そう告げ、ふいっと瞳をそらす。
「・・・・、」
ここに来て、ようやく桂も銀時が息をのんだ意味を理解した。
キズに響いたのでも何でもなくて、ただ。
「いーから、続けやがれ」
「・・・・ああ」


・・・・だから桂は、ただただそんな銀時が愛おしくて愛おしくて仕方がなくて。
本当に好きで好きでどうしようもないから、
ただ触れたくてその声を聞きたくて、ところ構わず場面構わず過剰に好きだ好きだと言い募ってしまい、
出来ることなら許されることなら、四六時中それこそまさに一時も離れず離さず引っ付いていたいくっ付いていたい、
と思い煩悶してしまっていることを、眼前の当の銀時は知っているのかいないのか。


「ん・・・ぅ・・・!」
すうっと根元から裏側を通り滑らせた指先で、辿り着いた先端を軽く擦ると濡れた声があがった。
先端からとろとろと溢れ出る先走りの蜜を全体に塗っていくように大きく扱き上げると、内股が震える。
「ッは、・・・、ぅ、ヅラ・・・・ッ・・・」
びくびく戦慄く内股がやたらと扇情的だ。
名前を呼ばれたけれど、その響きだけでは銀時が何を言いたいのか良くわからない。
「・・・達くか?」
問いかけ、激しく上下にきつく扱き絶頂を促すと、
「ッ、く・・・・あ! あっ、・・・――ッッ!!」
ぶるっと全身を大きく震わせ銀時が仰け反った次の瞬間、
桂の手の中に白蜜が吐き出された。








「・・・っ、・・・は、・・・」
吐精感に肩で息をつく銀時の傍ら、
掌中の白蜜を零さないよう留意しつつ口元に運び、桂はそれを全て飲み干し、舐め取っていく。
「・・・・そーゆーコト、すんじゃねェっての・・・・」
一連の動作を横目で見ていた銀時は、思い切り、心底嫌そうに言ってやった。
そういうことをこの男は平気でするから、
「何故だ? お前のものを残して良いはずがないだろうが」
そしてまた真顔でこんなふうに言ってくるから、




だから、
また。




「テメーが全部、悪ィ・・・・」
改めて小さく、
先程とは全く正反対の科白を呟いた銀時に、桂は同じくらい小さく笑う。
「そうだな、俺が全部悪い」
「・・・・・・・・」
言われるまま認めると、今度は銀時は無言で返した。
無言だが無表情ではないその顔に、また笑う。
「それでも俺は、お前と一緒にいたい」




触れたい。
いつ近づいたのか、耳元でそう言われると同時、声と吐息が離れていった。
?、と思った次の瞬間、制止する間もなく達したばかりの濡れた銀時自身に熱い息を感じて。
「なッ・・・! 待ちやが・・・・ッ!」
「舐めたい」
「んな・・・すんなッ、 ・・・・ぅあッ!!」
銀時の懸命の制止を桂は、変態ヅラは一ミリたりとも聞かず全く無視、
過敏極まりない自身をぱくりと口腔に含まれてしまう。
「ぅあ・・・・あ、あ、ッ・・・・」
柔らかで熱い舌で根元から先端へ、丁寧に味わうように舐め上げられ、
じくじく感じる性感に腰ががくがく動く。
同時に、すっぽりと口内の粘膜を使われて茎を全体的に締め付け扱かれ、
「や・・・め・・・ッ・・・!」
銀時はたまらず桂の後頭部、髪を掴み引っ張って、直接的すぎる愛撫刺激から逃れようとするのだが、
長髪だった以前とは違い、勝手が違うその長さに髪が上手く指に絡んでくれず、
結局大した抵抗にはならなかった。
そして桂は銀時の些細な抵抗など物ともせず、愛しげに舌を這わせ続けていく。
「離・・・っ、あ、ぁう・・・・ッ・・・」
首を振って悶える銀時。
桂はそんな銀時を見遣り、与える愛撫を激しくする。
唾液で淫猥な水音を立て銜えた茎を扱くと一緒、
後ろにある双珠、欲がたっぷり貯えられた箇所を蜜を出させるよう、手を使って擦りあげた。
「う・・・・あ! ッ、も・・・・っ・・・・!」
達く、と告げたいらしい。
身体も痙攣しはじめ、一目で銀時の二度目の限界が近いことがわかる。
「ヅ・・・ラ・・・・っ!」
力の入らない手が、それでも桂を引き剥がそうと伸ばされてくるけれど、
無駄な抵抗とばかり、先端の窪みに尖らせた舌先をねじ込む。
「あぅッ・・・!!」
穴孔を舌先で抉られるのに加え、
一際大きく後ろの双珠を揉み上げられた刺激に耐え切れず、銀時は二度目の蜜を桂の口内に吐精した。




「ッ、・・・・・・いて・・・」
喉を濡らし甘い白蜜を桂が嚥下すると、
達した余韻に浸り脱力しながらも、片手で包帯の上を押さえる銀時が視界に映った。
今度こそ、怪我に響いたらしい。
「銀、」
名を呼ぼうとして、途端に胸が痛んだ。
「・・・・。 大したコトねーよ」
察知した銀時は、そう言うけれど。
「すま、」
すまん、と謝罪しようとしたのだが。
言い終わる前に、


―――――― ゴッ。


本日二度目、また殴られた。

達したばかりだというのに、これまた素晴らしいスピードと力でもって。


「な・・・・!」
「すまんすまんすまんスマンって、最初っから最後まで同じコトしか言えねーテメーはゲームの中の村の名も無き村人か、あぁ?」
睨まれる。
本気で腹を立てている。
「・・・・・・」
「平気だっつってんだろーが。 ジャンプの主人公のケガはあっという間に治っちまうんだよ。 特権だ」
「・・・・そうか」
本当にすまない、と言いたかったが懸命に飲み込んで、
代わりに唇を塞いで、深く深く口付けた。




「あ・・・・、・・・く、ぁ・・・ッ・・・」
最奥、内側をまるで生き物のように蠢くやわらかな舌がいろいろな箇所を刺激しながら動き回り、彷徨う。
唾液をたっぷりと乗せ、濡らし潤しながら蠢くその舌は、
堅い内壁を少しずつ蕩かし綻ばせ、受け入れる準備を整えていった。
「ッ!」
く、と一本、指を入れ前立腺を軽く押し上げると、銀時は喉を晒して仰け反る。
「んあ・・・・ッ・・・」
また、前の器官に突然触れてきた手と指に、思わずビクリと大きく身体を戦慄かせた。
「いいか、銀時・・・?」
訊ねかけながら、桂は中の指でもう一度前立腺をくいくいと押す。
「ぅあッ、ああッ!」
堪えきれなく大きく身悶える銀時が、この上なく愛おしくて。
「挿れる、ぞ・・・・」
指を引き抜き、両脚を抱え上げる。
我慢の限界など、とっくに過ぎていた。
繋がりたくて繋がりたくて、どうしようもなかった。
蕩けた最奥の入口、
もう熱く猛って仕方がない自身の先端を宛がう。
「ン、・・・!」
熱を感じた銀時のそこがヒクリと収縮を見せたが構わず、ズッと一気に己れを埋め込んだ。
「い・・・・ッ・・・!」
貫かれた激しい刺激に、銀時の身体が震える。
慣れさせるため、また慣らすために軽く小さく腰から揺さぶると、珍しくも銀時の方から腕を伸ばし、桂の首に両腕を回してきた。
銀時は何も言わないけれどこの態勢の方がラク、らしい。
「・・・・。 銀時。そのまま掴っていてくれ」
告げ、湿った音を立て桂は動き出す。
「あ、あ・・・・ッ、ぅ、・・・・ッ・・・・!」
悦ぶ箇所を掠め、内壁を突きながら最奥を抉ると銀時は身体を仰け反らせ喘ぐ。
自らの快楽を追いたくて、桂がぐいぐいと自身を埋め、引き抜くたびに両方の身体を強い強い快感が駆け抜ける。
桂の動きに合わせ、次第に揺らめいてくる銀時の腰。
「、ッ!!?」
気づいた桂が、完全に勃ち上がり自分の下腹部に当たっていた銀時自身をおもむろに握り込むと、
すでにそこはびしょびしょなほど濡れ落ちていて。
そのまま、滑らせた指を絡めきちゅきちゅ激しく扱く。
「うぁッ!、ッ・・・・!! や、めろッ、ぅ、あ、あ・・・・ッ!!」
「銀時」
「・・・ッ、ッ! ・・・ッ!!」
前と後ろ、加えて前立腺までも同時に直接に攻め込まれ、痛いほどの快感に襲われた銀時が、たまらず腰を退こうとする。
「・・・っ、動くな、怪我に響くぞ」
「違ッ、〜〜〜〜ヅラ、てめ・・・・ッ!・・・!」
含み笑いが銀時にバレてしまったが、反撃を受ける前にこちらから仕掛けてやる。
「あぐ・・・・ッ!!」
悦点をズン、と思い切り強く突き上げてやると、目論み通りに大きく身体が跳ねた。
「・・・あ、あ、あぁッ、・・・・!」
弱い箇所、感じるところを突かれるたびに桂の手の中の銀時自身もびくびく戦慄いて反応をかえす。
先端から零れ、溢れる蜜にはもう白い色も見え始めて。
「好きだ、銀時」
たぶん、今まで何度告げたか何回口にしたかわからないほど多く音にした言葉。
「好きだ」
バカの一つ覚えでも、もう何でもいい。 好きだ。
囁きながら、悦点をただただ攻めていく。 ぐいぐい先端を擦り付ける。


「ッ・・・・う、ぁ・・・ッ、あ、・・・・あ! っ、イく・・・・ッ!」
今にも意識が飛びそうな快感に襲われ、
高みの近さに、銀時の身体が不規則に痙攣する。
ほとんど無意識に、きつく強く桂にしがみついた。
と同時、短くはなったがそれ以外何も変わらない桂の、その匂いを一瞬感じ取ったと一緒、
ぎゅうぎゅうと内壁が自らの内側にある桂自身を締め付け、彼にも絶頂を持ってきて。
「銀・・・・ッ、」
搾り取ろうとする内壁から与えられる快楽に桂も懸命に耐えつつ、
手の内の膨れ上がった銀時自身の先端をくるくると数回撫で擦り、絶頂をいざなう。


・・・・ッ! あ、ぁ、・・・・――――ッッ!!」
「う、・・・ッ・・・・!」


弾けたのはほぼ同時。
収まらない吐息の中、桂は貪るよう、銀時の唇を捕らえてしばらく離さなかった。




















ふわりとはねる白髪の猫っ毛。 くるくるの和毛。
「ん? どの道これから風呂に入るのだからこの作業は不要なのではなかろうか」 と首を捻りながらも桂は銀時に言われるまま向かい合い、
所々緩んでしまった彼の包帯を巻き、整え直していく。
こんな時、大概大抵ほぼ十割の割合で銀時は無言だ。
だからいつもいつも自分から言葉を紡ぐ。


「銀時」
「・・・・何だヅラ」


「お前のおかげで俺はいつも救われている」
「・・・・・・・・」


無言で返されると思った。 自分でも少しばかりハズカシイ科白だと思った。
けれど。


「違げーよ。 バカとハサミは救いようがねェってよく言うだろーが。 アレ? なんか違うか?」
「・・・・。 正しくは 『バカとハサミは使いよう』 だ。 というかそれではこの場合と根本的に意味が違うだろうが」
「あれそうだっけ? ・・・・まァ、なんでも構わねーし」
この歳になって国語テスト受けるコトももうねェだろ、と銀時は適当に流し、
「人生というものは、困難だな」
軽く溜め息混じりに漏らした桂の、その言葉尻を奪う形、同音異義語で。




「こんなんだから、楽しいんじゃねーの?」




そうして伸ばしてきた手で、前と何も変わらない仕種で桂の後ろ髪をグイ、と強く引っ張った。




引っ張りながら僅かに笑う目が誘うから、
「ああそうだな」 ともう一度、キスをした。













ちょっと真面目っぽいのをやってみたかった(でもシリアスではない)ので、チャレンジしてみたらやっぱり撃沈(・・・・)でございました。
だからえろもちょいとあっさり味にしてみましたよ。 そうしたら自分でも消化不良起こしかけましたゲフバフン。
自分、ヅラ銀はあの九十七訓、あの空飛ぶ船の上で結婚式を挙げたと確信しております。 あれはお子様には見せたらアカン。 アカン。
それにしても、いやぁぁぁ全国誌であんな、あんな・・・・なんてハレンチな・・・・!!(悶絶)
蛇足までに、「和毛」 は 「にこげ」 と読みますです。 いくつか意味はあるんですが、「やわらかな毛」 って意味で取ってもらえると良いかと。