てほどき (後編)





「ン・・・・っ」
土方は、銀時の内腿に吸い付いて其処此処に充血の跡を残していく。
普段あまり意識することはないが、身体の下の程好く使い込まれた布団は程々に鄙びてそこそこ心地も悪くなく、
ここまで一目で情事に相応した寝具(突き詰めなくともおかしな表現だが) は他ではとんと見たことがない。
そんなことを薄ぼんやりと思いながら、また一つ、紅い跡を刻んだ。
その土方の手には、半ば勃ち上がりかけの銀時自身が収められていて、小さく扱き上げられ刺激を与えられている。
「・・・・ぅ、ッ・・」
吐息のような呻きのような、小さな声が銀時の喉から漏れたところで、
土方は内腿から脚の付け根まで素早く舌を滑らせ、そのまま離さずに手の中にあった銀時自身の先端に、ついっと舌先を掠らせた。
「、っ」
過敏な箇所への直接的な刺激に、銀時の腰が跳ねる。
と、それに口許を小さく緩ませつつ、土方は今度は掠らせるだけでなく、しっかりと先端部分に舌を這わせ、唾液を絡めてなぞっていく。
「・・・・ッ! う・・・・ッ・・」
まだ声は抑え気味だが、確実に反応をかえす銀時の様子に満足し、引き続き手を使い指先で根元を扱きながら、
添えた舌で括れた部分を舐め上げた。
土方当人ですら、自分でも意外に思えて仕方がないほどの丁寧な愛撫。
ふらりと気が向いた花街でそこそこの女を買う際でも、
たとえそれが未通娘に毛が生えた程度に経験の浅い歳若い女が相手だったときでさえ、
ここまで手間をかけ、相手も自分も互いに愉しむことなどほとんど無い。 皆無と言っていい。
なのに今は、
否、相手がこの銀時である場合のみ、なんだかやたら前戯に時間と手間をかけてしまう。
もちろん男と女でそのための準備というか(・・・・)、
勝手というか(・・・・)、
つまり挿入のための場所も(!) 手順も(・・・・!) 全てが違う(・・・・・・・)、
ということは最初の最初っから当然にして承知してはいたが、
しかしそれでもここまで毎回毎回自分が施してやることになるとは思ってはいなかった。
性欲を吐き出したい吐き出させたいのなら、基本、右手が一本あれば互いに事足りるはずなのに。
そう考えてしまえばキスだって余計なグダグダの無駄口だって、この行為自体に繋がる理由付けだって何もかも不要になってしまうのだが。
・・・・・・しかし本来、自分と銀時ならただそれでいいはずなのだ。
同性であることを盾にして、
水と油であることを逆手に取った、
他人にはほとんど疑われることのない便利で都合のいい性欲処理のみの、金さえ時間さえも大してかからない関係。
割り切ったオトナの間柄というには自分も銀時も揃ってだらりと馴れ合い過ぎ、
だからといって互いにそこまでそういう感情をベッタリなすり合っているかといえば決して決してそういうわけでもなく、
至るところつまりは先刻辿り着いた結論通り、少しばかりいびつな爛れた関係。 それしか呼びようがない。
だから心地いい。 銀時だからこそありえるグダグダなぬるま湯。 ぬるいから湯あたりはしない。 そこにいつまでもいられる。 どっぷり浸かってしまっている。
いつかは湯冷めする時が訪れるのだろうか。 またはいつかのぼせて足を滑らせ沈む溺死パターンか。   ・・・・・・それとも。
そんな考えを脳裏に横切らせる自分に戸惑いを隠せず、それは方向を変えて無意識のうち、銀時自身への執拗な愛撫となってしまう。
しつこく舐め回し、隙をみて軽く吸ってやる。
途端、
「、ッ・・・・っ」
再び跳ねた銀時の腰が浮いた。 わかりやすい、覚えのある反応。
乱れ始める姿に、土方の下肢もずくんと熱を持ち始める。 が。
態勢的に、自らに向け差し出されるような状態になった銀時自身に土方は再度舌を這わせ、絡ませ時間をかけ舐めていく。
「・・・・っ、は・・・、しつこい・・・・って・・・・!」
舌の柔らかな刺激に耐え切れなくなり、先端から溢れる体液に白いものが混ざり始めてきた。
「離、せッ・・・」
最初の絶頂が間近に迫ってきたらしい銀時が訴えてくるが、初っ端からいうことを聞いてやるつもりもない。
決して舌と口は離さず、指で根元を擦りながら絶頂を促す。
「いい。 さっさと出せ」
喋ったついでに歯がどこかを掠めたらしい。
「っ!」

下半身がぶるッと戦慄いた。
すでに寸前まで張り詰めていたその部分には、たったそれだけの刺激でも引き金になりえて。
銀時の手が、真下のシーツをぐいっと握り締める。
小刻みに震え出したその手を土方はちらりと横目で見やり、いいからとりあえず出せ、と先端部に乱暴に舌先を割り入れさせた。
「ッ! ア・・・・っっ!!」
一瞬後、何も堰き止めるもののない銀時は土方の口中で精を吐き出した。




「・・・・美味いモンじゃねェな」
口中に溢れた白濁に、軽く眉を顰めながらも素直な呟きを土方が漏らしてしまうと、
達した瞬間、軽く息を止めていたため今になって大きく荒い息をついていた銀時は、あからさまにイヤな顔をした。
「当たり前だろーが・・・・ていうか俺はきちんと離せって言ったんだけど。 オイちょっとそこんとこどーなの副長サン?」
「うるせえ。 流れだ」
こっちだってあえて意識して飲もうと思って飲んでやったわけじゃない。
あの状態で離してやって顔面に飛び散られたりするのは遠慮願いたい。 つまりいたるところ自然だ。 というか無意識だ。 ていうか不可抗力だ。
なのに。
「流れ? 流れって何? 何? ナニ??? こーゆーのにそーゆー流れってあんの? ねえ土方くん???」
吐精の余韻に浸っている感もそこそこに、一度口を開かせれば揚げ足の取りまくり、まったくもってこの天パ野郎は口が減らない。
今更問答するのも面倒で、
「うるせえ。 黙ってろ」
土方は一言のもとに言い捨ててやり、無理矢理その腰を抱え上げ、身体を使い銀時に肘を付かせて彼の最奥に口唇を持っていった。
そのまま、目的の箇所に口付ける。
銀時は銀時で、性急といえば性急な土方の行いと、自らの最奥に唇が触れてきたのを感じて小さく腰を震わせた。
「なっ・・・・!」
この後に及んでどう制止する気なのか、肘をついてしまったため他に上体の動かしようがない銀時が、少しだけ焦りを見せて抵抗してくるけれど、
しかし土方は迷わず奥まったそこを舌でこじっていく。
「・・・っ・・・ッ」
最初は当然ながらきつい。 差し入れた舌先も、侵入を拒んで固く締まる内壁を無理矢理かき分けて進めた。
届く限界まで何度も何度も内側で舌を蠢かせ、唾液をもってそこを潤わせる。
「う・・・・、ぁ、ぁ・・・っ・・・」
そんなところでそんなものが動き回るという、湿りながらも温かな感触に銀時が声をもらす。
構わず土方は、またしてもたっぷり内側に唾液を送り込みながら、其処此処を突付いて銀時の悦点を探した。
「・・・っ、く・・・ぁ・・・」
身体の内側を探られ舐められて、生理的な感覚に銀時が逃れようと身体を捩るけれど、
心当たりを見つけた土方の舌先が斜め右のあたりを強く押した瞬間、ビクンと指先まで痺れるような快感が全身を走った。
「うあッ・・・・!!」
たまらず大きく仰け反って体勢を崩した銀時に、土方は素早く一度舌を引き抜いて、「当たったな」 と小さくほくそえむ。
何度も繰り返してきたタダレタ行為。 タダレタ関係。 タダレ腐れ落ちた性生活。
とは言えそこまで、互いにそこまで暇な時ばかりではないから星の数ほどこいつと寝てきたわけでもなくて、
それでもこうやって大した時間もかけずに彼の悦点を見つけることが出来るのは、『身体を知っている』 と表現するより 『わかってしまう』 と言った方がむしろ正解で、
銀時からしてみれば正に 「それってどーなの? つーかそっちの方がヤバいんじゃねーの??? いろんなイミで」 とかまたああだこうだ言われそうな気もしないではなくて、
だからますますもって何も言わず告げず、それで済む(・・・・済んでしまう?) この間柄に浸っているしかない。
互いに大人だ。 いつかどちらかが言い出すまではそれでいい。 これでいい。
そんなことを考えていたら。
何とか息を整えた銀時が、突然。
「・・・・あんまりさあ、仲良くしない方がイイと思うんだよなァ」
「・・・・あ?」
何を言い出す。
瞬間的に固まった土方に、目許を赤く上気させつつもニヤリと笑って銀時は正面から。
「だって土方くんと俺ってさ、いろいろマズくね? ヤバくね?」
汗で額に張り付いたくるくるの白髪を自分で払いつつ、銀時は苦笑する。
「今はイイかもしれねーよ今は。 けどよォ、二人揃ってオッサンになってる10年後とか15年後とかってどーすんの。 考えたくもねー」
「・・・・・・そりゃ考えたコトなかったな」
考えたって仕方がないことだ。
ここでこうして(しかもこんな状態で) 討論したって詮が無い。
銀時に倣い、土方も自ら前髪をかき上げて眼を細めた。
「・・・・・・・・10年後、揃って生きてるかどうかも怪しいもんだろ」
特にテメーの方が、
と最後の1センテンスのみ、口の中だけで呟いて声にはしていないつもりだったのだが、バレバレだったらしい。
天パは更に眼を細め、猫っ毛よろしく猫のように笑って。
「その言葉そっくりそのまま返しといてやるから」
だから生きてるうちにやりたいコトはやっとくべきだよな、とひとりごちて身を起こし、土方の口唇に吸い付いてきた。
「――、・・・ふ・・・・・・っ・・」
襲われるようなキスには、慣れている。
互いにどちらがどれだけ舌を吸ったのか、それとも口腔を舐め上げたのか、交互に息継ぎを何度したのかもわからなくなるような、
長く長く深い、喰い合うようなキス。
同時に息があがり、その度に角度を変えて何度も何度も貪りあう。 それこそ唾液が枯れるまで。
「・・・・は・・・」
どちらからともなく、口唇を離した時にはほとんどのことなどどうでも良くなっていた。
しかしこのキスで溜めた熱は下半身に重く、熱く、
もしかすると、いやもしかしなくてもただ銀時に煽られただけかもしれない。 けれどそんなことはどうでもいい。
続きがしたい。  ・・・・・・もちろんそれは無論当然、銀時も同じで。
「野暮はナシ。 お互いにさあ」
――――――― 確かにその通りだ。




「・・・・・・・・う、ぁ・・・・」
先刻、しとどに濡らし上げておいた最奥に今度は指を這わせると、銀時は僅かに息を吐いた。
土方は、キスと四の五ののやり取りにかまけて放っておいたそこに熱を再び送るかのように、数回撫で上げたあと、
ゆっくり指先を埋め込んだ。
「・・・・、っ・・」
銀時が僅かに眉を寄せる。
感覚としては、舌での愛撫もあり通常より随分ほぐされていて、内側は思いのほかすんなり土方の指を受け入れた。
「このヘンだったな」
探る動きで、土方は指を進めていく。
「っ・・・・ぁ・・・・ッ・・・」
舌とは違った動きで、内壁を蠢く長い指は、探しているにも関わらず銀時の悦点に当たらず、
時折近いところを押したりしてくるものの、あともう少しのところで外れていってしまう。
「く・・・・」
もどかしい性感に、噛み締めた唇から声が零れ落ちる。
と、
ふいに中で指がくいっと曲げられた。 途端。
「うあ、アっ・・・・!!」
ようやく探り当てた一点、銀時の弱い箇所をピンポイントで突き上げられ、背筋がしなる。
「ココか」
見つけてみれば、他とは感触の違うその一点を、見つけた達成感とほんの少しの悪戯心で、
土方は執拗に指先で押し上げ、こりこり抉ってみたり刺激を与える。
「あ、あ! ッ! ッ・・・・っっ!」
何度も擦り上げられ、銀時の身体が大きく戦慄く。
前触れもなく指が一本増やされたが、感じる圧迫感は一瞬のことで、みるみるうちに内側を埋め尽くす快感に摩り替わり、
二本の指で内壁を拡張され、擦られるたびに土方の指を甘くきつく締め付ける。
「・・・・んッ、ぅ・・・、は・・・・ぁ・・・っ・・」
快楽に耐えながらも、堪えようとしても堪えきれない吐息と艶声に翻弄される銀時の身体がら汗が伝い落ちる。
その様に、土方も喉を鳴らしながら、後ろだけでなく前にも愛撫を送ってやる。
「ッ!? あ、うぁッ・・・・!!」
空いた方の手で、不意に銀時自身を擦られて、一瞬、絶頂にも似た刺激がそこで弾けた。
先走りの蜜をとくとく零しながらの銀時自身を二度、三度撫で上げた土方の手は、そこから更に下の双珠にまで辿り着いて転がす動きで揉み上げてくる。
「うぁ、あ、も・・・・ッ・・・・!!」
直接的な刺激を三箇所に受け、身体は早急に絶頂に上り詰める。
小刻みに震え出す身体。 シーツに粘つくのは体液か、それとも汗か。
「もう一度、達っとけ」
―――っ! う、ア・・・・っ!」
寄せた唇。
充血し、今にも弾けそうな銀時自身を先に口に含まれ、その直後に乱暴に指を引き抜かれ、
前と後ろに与えられたその刺激に、たまらず銀時は蜜を噴いた。




激しい快感が全身を通り過ぎ、銀時はくったり身体を弛緩させる。
「・・・・・・・・・・は・・・・・・・。 ・・・・ン?」
下手をすればこのままウトウトしかけてしまいそうな虚脱感に、シーツにぼんやり沈みかけていたのだが。
土方としては今度はもう自分の方が限界で、脱力していた銀時の脚を構わず、抱え上げた。
そうして、怒張した自らを入口に押し付ける。
「ちょ・・・・っ、少し、休ませ・・・・っ・・・」
「うるせえ」
身勝手な要求を唇で塞いで却下、迷わず腰を埋め込んでいく。
「ン! ん・・・・ッ!!」
内壁を、粘膜を擦りながら土方が侵入してくる圧迫感と、ゾクゾクした感覚に息がつまる。
「く・・・・」
押し進められた土方自身が、奥まで届くと同時。
それまでひっそり静まって、されるがままで土方を受け入れていた銀時の粘膜が、頃合を見計らったかの如くきゅうきゅうと土方自身を締め付けてきた。
本性を顕した身体の淫らな歓迎に、土方も耐える。
「ッ・・・、力、抜け」
そう告げたって無駄なことくらい、土方だって嫌というほどわかってはいる。 けれどそうでも告げていないと、今にも持って行かれてしまいそうで。
仕方なく、唇を噛み締めたまま、内部を軽く味わうよう腰を動かす。
と、互いに密着し、近距離にあった腹部の上で三たび勃ちあがりかけの銀時自身がこすられ、
「・・・・んッ・・・」
明確に悦楽を返す。
「キツくは・・・ねーな?」
「ぁっ・・・・あ、ああ・・・・ッ・・・」
返事になっているのかいないのかの銀時の表情を伺いつつ、まあ平気だろそのカオなら、と土方は律動を繰り返す。
内側を蹂躙するたび、結合部からは濡れたリアルな艶音が聞こえ、
それと一緒に、より一層濡れて卑猥極まりない銀時自身からも、大量の蜜が溢れ出る。
いくらSexには慣れているとはいえ、挿入の直後には少しだけ強張っていた銀時の身体から緊張が解けるのをその濡れ具合で見計らい、
土方は上体を起こし、今度はしっかり銀時の腰と脚を抱え上げて激しく動き出した。
「うあッ! あッ! ああっ・・・・!!」
深いところにあったのを思いきり引き抜き、再び激しくぐいっと奥まで突き込むたびに銀時からあがる甘い、しかし切羽詰まった声。
いつでも余裕綽々、いつでも決まって奥まで見通せないこの天パの白髪の阿呆を、もっと追い詰めてやりたくて、
土方のサド心がほんの少し、芽を吹いた。
「・・・・ココだったな」
頬を伝った汗を手の甲で無造作に拭い、銀時の一番弱いポイント、前立腺のその位置目掛けて乱暴に自身を突き込み、突き上げた。
「ひ、ぐッ・・・・!!?」
瞬間、痛みにも似た強すぎる性感に、銀時は目を見開き、身体ごと背中を仰け反らせる。
けれどそれが悦びと裏表になっていることくらい、土方だってわかりきっているため、
そのまま遠慮はせず、容赦なくそのポイントを集中して攻め込んだ。
「あッ! あッ! キツ・・・・っ・・・・・!」
そりゃキツイだろう。 でもイイはずだ。
とばかり、
「嘘つけ」
頭から一蹴され、退きかけた腰を力ずくで戻されて有無を言わさず穿たれる。
「あう・・・・ッ!」
抉られる衝撃に加え、切っ先でぐりぐり擦られて銀時の目の前が一瞬、真っ白くなった。
「・・・く、はッ、は・・・・っ・・・ァ・・・!」
土方が動くたび、どうしようもなく甘い掠れた声が漏れる。
すでにそんな嬌声も抑えようという気は銀時としても今更さらさら無い。 というか抑えられない。 快楽を貪るのがこの行為の醍醐味だと考えているし、そもそも我慢するSexなんて最初からたぶん無意味だし。
「う、あッ!」
その持論(?) 通り、ふいに銀時自身に土方の指が絡み付き、
痛いほど強く上下に扱かれ続け、内側から外側から与え続けられる快感に、眩暈さえ起こしそうで、
攻められ続ける身体はとことん素直に快楽を訴える。
「ぁ・・・・ア、い・・・・、っ・・イイ・・・・っ・・・」
全身で高みを迎えようとする銀時に対し、やはり土方も限界がかなり近い。
相応に荒い息のもと、奥まで容赦なく突き上げた。
「ッッ!!」
土方の手の中、銀時自身はもう今にもはちきれそうに膨れ上がりビクビク震え、溢れさせ続ける体液は手を伝い結合部まで滴り落ちていく。
真っ赤に染まった銀時自身に加え、中も弱いところを絶えず穿たれて下半身が大きく小さく、連続して痙攣を始めた。
「・・・・っ、あ、も・・・・ッ・・・、イ、ク・・・・っっ・・・!!」
遮るものなく、絶頂を迎える身体。
爪先から指先まで、全身に力が込められ、内側の土方自身もきつくきつく締め付ける。
「・・・・ン、」
締め付けられる快感に土方も息を吐き、思いきり激しく、ズクッと深く乱暴に突き入れた。
「ッ―――――あ! うァ、あッッ!!」
「は・・・・ッ・・・」
身体の中と手の中、白濁を放ったのは同時だった。



















いつもの如く紫煙を立ち昇らせている土方の斜め後ろで、どこから持ってきたのか銀時はイチゴ牛乳をパックのままずずずとストローで啜っている。
寝乱れてぐしゃぐしゃになっている頭と(元々か?) 上着を羽織っただけで半身を起こし布団の上に居る、そんな姿はやはり如何せん、エロい。
そうして、早々に最後まで飲みきってしまったらしいパックをひょいと放り出して奴は何を言うかと思えば。
「イチゴ買って来て」
「売ってねェよこんな時期に」
どう考えたって今は苺の旬じゃない。 まあ店に行けば普通に売っているだろうがきっと高い。
「けど食べたい。 あーイチゴプリーズ」
「・・・・カボチャにしとけ」
オレンジ色のはここに来るまで、店先だのなんだのでやたらと見かけた。 実際食えるかどうかは不明だが。
「ヤダ。 イチゴ食いたい」
「ガキみてーな我儘ぬかしてんじゃねーよ」
いい歳した野郎が何がイチゴだ、とそこで打ち切ろうとしたのだが、銀時はしつこい。
「ヤダ。 だってヤらしてやったじゃん。 場所も提供してやったじゃん。 その見返りはきちっと貰うよ銀サンは」
「てめェが引きずり倒したんだろうがァァァ!!」
思わずムキになって訂正。 しかしフフンと鼻先で笑われた。 ピクピク青筋が浮かぶ。 けれど。
「まァそれはそれで後ででいいとして、せっかくのハロウィンだし世間の風潮に乗って一発、コスプレでもやっとく?」 
「・・・・・・・はァ?」
どういう風の吹き回しだ。 というよりどういう思考で嗜好だ突然。
「いーじゃんカンタンだっつのコスプレなんてさァ。 いつかどっかの最初の頃の扉絵みたく、オレの服と土方くんの隊服取っ替えりゃ済む話で」
なんだそりゃ。 それのどこがコスプレだ。
割と似合ってたと思うんだよなアレ、と一人で銀時は悦に入っている。
「そーいや、あん時だけじゃなくちょっと前も本編で一回着たよな真選組の服。 やっべ、あん時は似合い過ぎて周りの俺を見てくる目が違ってたからね。 視姦されてるかとも思ったからね」
「・・・・・・・・・・」
二の句が告げない。 確かにそんなこともあった。 が、対してどう返事をしろと。
呆れているうちに、煙草の灰が今にも落ちそうになっていた。 急いで灰皿に押し付ける。
そんな土方を尻目に、銀時は一人進行形。
「と言うワケで一回フロ入ってちょっと休んで回復したら服交換しよーぜコウカン。 やっぱね、いつもマンネリじゃダメだと思うワケよ銀サンは。 そーゆーちょっとした普段との違いが重要だと思うワケよ」
「交換してどーすんだオイ」
当たり前だが扉絵(・・・・) ネタではなく、だからといって前回のようなシリアス緊急時(・・・・) でもなく、単なる趣向としてのであるこんな場合、一体どういう。
まさかそんな格好で外には出歩けない。 いろんなイミで。
すると銀時は、目許口許両方を使って思いきりニヤつきながら。
「は?決まってんだろ。 さっきも言ったじゃん 『インドアの極意』 って」
「???」








「そのままコスプレエッチで2ラウンド目突入」








・・・・・・・・極意というか極致というか。
銀時の提案に土方は勿論、二つ返事で了承した。








・・・・・・・が、本日は隊服ではなく私服だったということに土方が気付くまでにはもう少し時間がかかるのだが、
結局のところ 「脱いじまえば一緒だろ」 という結論に至るまでには更にあともう少し、
でもって 「じゃあコスプレ着衣エロはまた次ん時に」 などというアレな密約めいたものを銀時から取り決めて来るのは、
更に更にその後のことになる。








次というのが実際のところ、いつになるのかは多分、互いに知らなくて判らない。








どうせするなら早い方がいい。








さめない (冷めない) (覚めない) (醒めない) うちの方が、いい。















UPするのに3年間、期間が空いた後編でございました。 あーりーえーなーいーーーーーーー
前半が2006年、後半が2009年って・・・・!!
でも楽しかったです。
土銀も大好きなんだよーーー