つきよのばんの、うしみつどきに



※ 第七十五訓ネタです。






成り行き任せ、意地の張り合いの結果、
半端でないほど上せあがった頭と、茹り上がったせいか半ば覚束ない足取りで土方が帰宅すると、もうとっくに日は暮れていた。




「・・・・なんだったんだ今日は」
呟きながら、今朝から敷きっぱなしの万年床にごろりと横になる。
まだそう遅い時間ではないから寝るには早いのだが、
今日はもうテレビに手を伸ばす気にもならなかった。 ましてやこれから外に飲みに出る気力などあるはずもない。
横になったまま、ただ無意識のうちにくわえて付けた煙草を浅くふかし、ぼんやり本日の出来事を反芻してみると。




1.定食屋で奴と出くわした。 騒ぎになった。 土方スペシャルをバカにされた。
2.映画館でもかち合った。 乱闘になった。 正座した。 映画の結末はよくわからなかった。
3.サウナでも一緒になりやがった。 幻が見えた。 脱水症状で死ぬかと思った。 そしてココでも最後は結局乱闘になった。




「・・・・・・・・・・」
思い返すに、タメイキしか出ない。 マジで何だったんだ今日は。




・・・・疲れた。
せっかくの休日だったというのに疲れた。
何はともあれ、とにかく疲れた。
・・・・疲れた。




オイオイ休むはずの休日に逆に疲れてどーすんだよ、やっぱこれから総悟でも誘い出して飲みに回るか、
いやダメだそういや総悟は先週から続けて遅番勤務か、などとつらつら考えているうちに、
「・・・・眠ィ」
疲れから来たものか、それともサウナで血行が良くなった(・・・・なり過ぎた) せいか、どっと睡魔がやってきた。
まだ早いが、どうせ明日も早い。
起きていたって、やることも特にない。
「・・・・・・」
そう思ってしまったところで、やっぱ一人モンはいけねーな、と改めて実感する。
早いところ総悟ときちんと話をつけて、
身受け(?)なり祝言(???)なり入籍(?????) なりしておかないと、
この先どんどん機会を逃してしまうであろうことは相手がかの沖田総悟ゆえ、想像にかたくない。
とりあえず今度またそれとなく水を向けてみるか。
「・・・・・・」
そこまで考えて、ところで区役所はヤロー同士の婚姻届なんざ受理してくれるんだっけか、とぼんやり思ったところで本格的な眠気に負けた。
「・・・・寝るか」
噛み殺しもせずふああ、と欠伸をしながら灰皿で短くなった煙草を消し電気を消して、枕を引き寄せる。
そのまま泥のように、眠った。

















――――――そのまま泥のように眠れた。  ・・・・のは、ほんの数時間だった。




「・・・・・・、」
最初に土方が感じたのは部屋の中、自分以外の誰かがいるような気配だった。
それもつい今さっき、土間から入ってきたばかりのような。
「・・・・・・?」
が、
しかし。
それまで熟睡していたが故、
寝惚けたのか俺は、とまだ完全には覚醒していない頭で、とりあえず起きてみるかと自ら気配を消しつつ半身を起こす。
物盗りもしくはどこぞの過激派の襲撃だったら職業上、ある意味好都合だ。
――――、」
探るにやはり、部屋の中に誰か居る。 さすがにどれだけ疲れていようと、本格的に寝惚けた訳ではなさそうである。
肌身離さずの刀は枕元、五十センチのところに置いてある。
この位置からなら一足飛びで間に合う・・・・か、とタイミングを測った瞬間。




「くたばれェェェい土方ァァァァ・・・・!!!!」


「うォォォいィィィ――――!!!?」




絶叫のような掛け声と、
同時に 『ぶんッ』 と頭上から振り下ろされた真剣と、
コンマ一秒の差で自らの刀に間に合わず、
振り下ろされたそれを土方が 『はっし!』 と真剣白刃取りで受け止めるのとがほぼ同時。




「いッ・・・・いきなり何しやがんだテメーは・・・・!!!?」
ぐぐぐ、と頭上からの刀を渾身の力で押し返しつつ、不法侵入&無断侵入&殺人未遂までオマケで付いてしまいそうな相手と顔を突き付ける。
蛇足だが侵入者の正体は最初の一声で全て判明で、
「総悟テメェ・・・・何のつもりだコラ・・・・」
ぐぐぐ。
引き続き押し返し続ける。


「くたばれ土方ァァァ・・・・!」
ぐぐぐ。
「〜〜〜〜〜〜!!」
ぐぐぐぐ。
「・・・・・・・・・・・!!」
ぐぐぐぐぐ。
「〜〜〜〜〜〜!!」
ぐぐぐぐぐぐ。


・・・・・・そんなことを数分間も続けていた頃だろうか。
どうやら寝込み不意打ちは失敗したと悟ったのか、それともただ単にぎりぎりと押し合っていることに疲れたのかは不明だが、
「・・・・ちッ」
小さな呟きと共に、沖田の手と刀から力が抜けた。


「・・・・失敗しちまったぜィ」
言って突然興味がなくなったよう、ポイッとその刀を投げ捨てる。 剥き身のままで。
そうなって僅か一瞬、ほっと一息安心しかけた土方だったのだが。
暗闇に目が慣れてくるに従ってまじまじとそちらを見るに、またまた大きな声を上げることになってしまった。
「危ねェだろーが!! ・・・・って畳にブッスリ刺さってるじゃねーかコラァァァ!!!!」
確かに安物だが一応真選組の支給品だろーが大切に使え! と貧乏じみた説教を垂れつつ、
畳に刺さった沖田の刀を引っこ抜き、慎重に自分の背後に置く。
まさか、とは思うが渡した途端に袈裟懸けにバッサリ。 ではそれこそ笑いの種にもなりやしない。
そして刺さっていた箇所は畳に思い切り穴があいている。
更に投げ捨てた際についたのか、二畳分に渡って傷まで付いているのが暗い中でもわかる。 はっきりとわかる。
おまけによくよく考えてみるとこの一連の出来事、冗談抜きで危ない。 危ないと言うレベルよりむしろ命に関わる。
土方が寸でのところで気がついたから良いものの、万一気づかず熟睡したままだったなら、 ・・・・末路は考えたくもない。
遅れ馳せながらそう気づき、
「総悟ォ・・・・。 少しヤンチャが過ぎるんじゃねーか・・・・?」
暗闇の中、思いきり低く唸ったところ。
「・・・・モノ」
ぼそっ、と言葉の端だけが耳に届いた。
「何?」
全部を聞き取れなくて、まんま聞き返す。 見れば沖田は制服姿だ。 と、なると遅番上がりの帰りがけか。
「・・・・浮気者
今度は小さくだが、とりあえず聞き取れる。
「・・・・あ?」
なのにまたも聞き返してしまったのは、
その言わんとする意味がわからなかったからで、いやいや実際はわかってはいたけれど実情、心当たりもなかったからであるからして。
「総悟?」
何言ってんだお前、と本格的に尋ねようとした、その途端。




梅雨の湿気より100倍じとーーーーっ、とした目と、
真冬の乾燥よりも100倍乾いた、冷たい口調で一言。




「・・・・万事屋の旦那との休日デートは楽しかったですかィ、土方さん?」




「なッ・・・・!!」




なんで知ってんだ、
なんでバレたんだ、
誰か見てやがったのか、




・・・・言いかけて、「じゃねェよ!!!!」 と慌てて喉の奥で無理矢理堰き止める。




違う違う、そんな言い方をしたら本当に誤解を招く。 否、すでに思い切り誤解されているらしいというのに。




「・・・・バカ二人して一緒にバカみてェなメシ食ったあと映画観て、それから、」




「待て、待て総悟、待・・・・!」




「公衆の面前で堂々と、 ・・・・真っ裸の濡れ濡れでくんずほぐれつだったって聞きましたぜィ」




「ぅオイ!!」




「んでもって旦那の両脚抱え上げて、せっせと動いてたとも聞きましたぜィ・・・・!!?」




ぅオオオイ!!!!」




「土銀か! 土銀か!!? それとも銀土だったんか!! 往生際が悪いですぜ神妙に白状しろい土方ァ・・・・!!」




「やめろォォォ!! シャレにもならねーだろーが!! 土銀でも銀土でもねーよ!!!!」
「じゃあ土銀土のリバーシブルですかィ・・・・もがッ!」




たまらず叫んで飛びついて、もはや半泣き状態に近い沖田の口を塞ぐ。
飛びついた拍子に、バランスを崩して二人揃って転がった。
普段ならこの体勢まで持ち込んだなら即! 睦み事へ直行できるはずなのに、今は今にも眩暈がしそうだ。
「聞け・・・・! 言い訳する気は毛頭ねーが、とりあえずおとなしく聞け!」
言い訳なんてとてつもなく格好悪い。 沽券に関わる。 けれど言い訳せずにはいられない。
何故って自分は無実だ。 たまたま偶然に偶然が重なって一緒になっただけだ。
一体ドコで誰が見てやがったんだ、おまけにどうしてそれがまたこんなにも早く総悟の耳に入ってやがるんだチクショー、
いやどちらにしろ本当にあの天パとはたまたま一緒になっただけで偶然であっただけで、もう知るかかち合った意味なんざ空知御大に聞けコラァ!
・・・・半ば投げやりになりたくなりながらも、やはり誤解は解かねば解いておかねば解かなければ。
しかし一体こうなるとどこからどう話せばいいものか、
「仕方ねェ、・・・・最初から話すとだな、」


とりあえずは順序立てて、否、
何より解きたい誤解はアレだ最後のアレだ、(微妙に間違ってはいないものの) 『真っ裸の濡れ濡れでくんずほぐれつ』 というやつだ。
それでもって 『両脚抱えあげてせっせせっせ』 というやつもだ。


「・・・・サウナだ」
「・・・・はィ?」
「ありゃサウナで一緒になっただけだ、茹だったあのバカを引き摺ってた時のコトだ」
「はぁ?」
ここまで来ても暴れられたら困ると少し心配していたのだが、捕まえて転がったあとは沖田は一応、話を聞く気になったらしい。
そんなんじゃちっともわからねーです、と言いかけるのを遮って、
「だからそいつァ、 ・・・・・・・・」




あとは斯く斯く然然、
最初も最初、定食屋に足を踏み入れたところからきちんと話して筋道立てて、説明してやることにした。
























「・・・・・・・・って顛末だ。 わかったか総悟?」
「・・・・一応は」


結論から言って、全てをイチから語るのには合計しても10分程度しかかからなかった。
要点をきちんきちんと話せば、そう誤解される箇所などほとんどない。
とりあえずは沖田の誤解が解けたことに安堵すると同時、
彼が怒濤の勢いで乗り込んできたことが内心、とてつもなく嬉しくもある。
(勢い余っていきなり殺られかけたことはもう忘れることにした。 むしろそんなことは日常茶飯事だ)
「浮気するワケねーだろーが」
出来るワケねーしな、とこちらは胸の中だけで呟く。
「わかんねーです。 特に万事屋の旦那とはなんか仲良しっぽいですからねえ」
「オイ・・・・」
「違うんですかィ?」
先程までの怒りっぷり拗ねっぷりやさぐれっぷりはどこへやら、
転がった畳の上、ひょいっ、と大きな瞳で無邪気を装って、沖田は土方の顔を覗き込んでくる。
あれのドコが仲良しなんだ、とはあえて聞かず問わず、
今後の動向も見据えたうえで、心持ち下出に出てみることにした。 贔屓目に見ても、こんな時の沖田は文句無しに可愛い。
「違うだろーが違ってるだろーが現実に。 だからさっきみてーな夜討ちはやめろ頼むから」
告げながら、それとなく引き寄せる。
確か沖田は明日は休みだ。 たぶんイヤだとは言わないはずだ。
案の定、引き寄せても予想通り抗議の声も仕種もない。
「ほんとはバズーカでドカンと一発、脳天にぶち込んでやる予定だったんですがね」
「・・・・オイオーイ」
マジ死ぬだろそりゃ、と溜息をつく。
「残念ながら弾切れだったんで、そいつぁやめときました」
「正解だ。 死ぬ」
「だいじょぶでさぁ」
「何が」
「今こうしてしぶとく生きてやがるから」
「しぶとくねーよ! あァ? ・・・そいつァ何だかおかしくねーか?」
「まあまあ。 気にしてるとハゲますぜィ? ただでさえももう歳だし」
寝っ転がって引っ付き合ってこんな会話、どこかズレているような気もしないではないが、
少なくとも土方本人としてはかなり楽しんでいる。
「まァ確かにお前よりは年上だがな」
でもそれはきっと沖田の方もたぶん同じで、
「土方さんのジジイと違って、まだ俺はぴちぴちですぜィ。 肌もツルツルのハイティーンでさァ」
「言ってろ」
ジジイ、と言われてもあっさり流す程度の余裕くらい、オトナの余裕で持っている。
あっさり流したフリをして、むしろさりげなく言質にしたいのはつい今さっきの沖田の一言で、
「じゃー、警察としてはこんな夜中に十代の青少年を出歩かせるワケにゃ行かねーな」
「俺も警官ですが」
「知ってる。 俺の部下だ」
「・・・・上司だと思ったことなんざただの一回もねーですけどねィ」
「ぅおおィ!!?  ちッ・・・・まァ今夜は不問にしてやるがな。 というワケだ泊まってけ。 ついでにそのぴちぴちツルツルとやらの肌も見せてけ」
「わー・・・・」
「? なんだよ」
「言うコトがホントにいちいちオヤジくせェですぜ土方さん、冗談抜きで」
可愛いカオの真顔で言われてしまったが、「そりゃやべェな」 とこれまた余裕でスルーしておいて、
沖田を抱えごろりと転がって、本格的に布団に縺れ込むように、した。
これくらいの年齢差と甘えっぷりと依存っぷりが、自分たちにはたぶんきっとちょうどいい。
























万年床の上、縺れ合って口付ける。
ここになって初めて時計に気を留めると、夜中の二時過ぎだった。
そういえば(沖田が上がり込んだ時からずっと) 電気も付けてはいなかったのに、その割に部屋の中は薄明るい。
開いた窓の外から差し込む月明かりから推測すると、どうやら外は見事な月夜らしい。
交わし続けるキスの息継ぎの合間に、沖田は吐息の絡んだ声で 「・・・・窓」 と訴えてきた。
望み通り、閉めてやっても構わなかったが手を伸ばしても窓はここからでは届かない位置にあり、
せっかく引っ付いた身体と捕らえた唇とを離してまで、わざわざ閉めに行く気は起きなかった。
「構わねーだろ、今更」
「・・・・年寄りってやつはホントにせっかちだィ」
ぼそ、とまたも言われてしまったが、
そんな言動さえ、土方は沖田がかわいくてたまらない。 かわいくて仕方がない。
制服の上着を脱がせ、汚さないよう遠くに放ったあとスカーフを引き抜く。
それからシャツの釦を性急に外して、はだけた薄い胸元に手を這わせると温かな体温が伝わった。
撫で回したあと、
「あァ、 ・・・・確かに肌理細かくてツルツルだ」
「・・・なに、言ってやが・・・・、 ・・・ッ」
「夜討ち(とカワイイヤキモチ) の礼にたっぷり可愛がってやるよ」
理性飛ばしちまうくらいやってやる、
と笑み混じりに呟いて、片方の胸の飾りをくいっと指先で摘まみあげてやると沖田は息を詰まらせる。
強弱をつけてそれを愛撫しながら、
もう片方には落とした唇、伸ばした舌先を絡ませて。
「ん、・・・・ッ!」
途端、色素の薄い肌が土方にもわかるほどに粟立った。
当初は薄く、淡い色だったその飾りは指先で転がすたび、舌先で突付くたびに硬く尖り少しずつ濃く染まっていく。
月明かりに映える肌の白さと、紅く染まった両方の粒が妙に扇情的で。
舌先で触れている方、その飾りは捕らえて味わおうにも小さい上、唾液で濡れていてすぐにつるりとすり抜けていってしまうため、
半ば夢中になって逃げる飾りを追い回した。
「・・・ふ、っ・・・・・・、ぅ・・・・」
耳に届く押し殺したような声。
声出せ、と告げても全くもって素直じゃない沖田総悟である。 言うだけ無駄だ。
しかし沖田が我慢しようとすればするほど、土方の方も声を出させたくて聞きたくて。
じっくりと押し潰し、捏ね回すように舐め上げるたびにツンと上を向く両の乳首にしつこく拘っていたら、
とうとう我慢がきかなくなったのか、肘をついて僅かに上半身を起こした沖田にグイッと髪を掴まれた。
「・・・・ッ、そんなちゅーちゅー吸ってたって、乳なんか出やしませんぜ・・・!」
「出たら一大事だろうが」
言ってきゅっ、と心持ち強めに吸い上げると、喉を晒して仰け反った。
間を置かず、胸から浮かせた手で腕に纏わり付くだけになっていたシャツを完全に脱がせ、合わせて脇腹をなぞってやると、
感触がくすぐったいのかすぐに制止の手が伸びてきた。
「・・・・総悟、」
ここはすぐ言うことをきいてやり、布団に縫い付けるように肩を抑え、啄ばむように口付ける。
互いに浅く軽く戯れのように啄ばみを繰り返す間に、まだ手付かずだった下肢の衣類を取り去っていく。
全て暴いたあと、大人しくされるままでいる両の脚を大きく割り開くと、
そこはすでに熱を孕み始めて欲をもたげ始めていた。
細い脚。 かわいい膝頭に軽いキスを落としてやったところ、小さく膝が震えた。 そんな箇所まで敏感なのが嬉しい。
普段ならば、すぐにこのまま口腔に招き入れるところなのだけれども、
たっぷり可愛がってやると宣言した手前、まずはきっちり手と指での愛撫から。
そう考えて開かせた両脚の間、大きく身体を割り込ませる。
身体を使ったため、脚を抑え込まなくてもよくなった手のひらで、緩やかに勃ちあがっている沖田自身を包み込んだ。
「ん・・・・!」
それだけで上がる声と、身じろぐ細い腰。
握り込んだまま、そっと上下に扱きあげると甘い息が漏れた。
「言う通りぴちぴちだな」
「あ、・・・・ぁ・・・・っ・・・・」
吐息に消された言葉の代わりに、何言ってやがるバカ土方、とでも言いたげな目をされてしまったが、
構わず掌中の沖田自身は擦り上げてやるたびに質量を増し、先端から透明の蜜を滲ませる。
滲んだ蜜を塗り込めるよう、先端を弄るとビクッと沖田は反応した。
「っ・・・・や、め・・・・!」
「やめたら困るのはお前だろーが」
「・・・・〜〜〜っ、ん、・・・・ふッ・・・・!」
言った土方に対し、沖田は思いきり何か文句をつけようとしたらしい。
が、言われる前に繰り返し先端を弄り続けると、唇を噛み締めて言葉と声とを抑えた。
そこまで意地を張られると、こちらとしても焦れてくる。
「声出せ」
動かす手と指を一旦止めて改めてそう促すと、
「・・・・ヤダ」
にべもない返事。 更にふいっと横を向きやがった。 どこまで素直じゃないんだコイツは。
だがそんな強情っぷりが醸しだすかわいらしさに、漏れるのは苦笑に似た笑みと、ほんの僅かの嗜虐心。
「それなら素直になるまで容赦しねーぞ」
「? ・・・・ッ、・・・・っ!」
一瞬、沖田がきょとん。 としたその隙に土方は手のひら全部を使って強めに大きく扱き始めた。
「・・・・っは、ぅあ・・・・ッ!」
突如として激しくなった手の動きに、沖田の背がしなって震えたけれど構わない。
通常、普段はどちらかといえば沖田の奔放過ぎる言動と行動に手を焼かされてばかりの土方であるけれども、
ここまで踏み込めば、この時点で立場は逆転する。
「ん・・・・んッ!」
片手は上下させつつ、もう片方の手では滴り濡れた先端を撫で回してやった。
「あ! っ・・・・あ、あ・・・・!」
「先、弱ェよな総悟」
「ヤ、だ・・・・ッ!」
指の腹でくるくると円を描くよう先端だけを刺激しつづけてやると、
零れ出る透明な蜜がとどめなく溢れ、滴り落ちていく。
それは沖田自身を伝って土方の手まで濡らしあげ、手と指を動かすたびに湿った水音が立った。
眼前に見る身体は汗でしっとり上気していて、潤んだ目許もほんのり染まっている。
ただでさえもカワイイ表情に、色気と情欲まで加わってどこまでもそそる。 煽られる。
僅かにあどけなさの残る顔立ちとは裏腹に、下肢で勃ち上がり打ち震える自身が対照的で少々アンバランスで、
しかし結局はとてもとても可愛くて、土方は更に手の動きを早めた。
「ん・・・・ッ・・・」
震える沖田の身体。
細い眉を寄せて快楽に耐えていながらも、掌中の自身は小刻みに震え出し、腰も浮き上がり始めた。
「く・・・・ぅ、 ・・・・っ・・・・!」
懸命に声を堪えてはいるものの、その表情は快感に今にも泣き出しそうだ。
「達くか?」
「・・・っん、ぅ・・・・!」
問いにも似た確認に、たまらず沖田がコクンと頷く。 そして震える両腿。
まァ一度目だしな、と土方は焦らすことはせず、すんなり沖田を絶頂まで導こうとその後ろの双珠に狙いを定め、
達せるよう激しく揉みあげる。
「ッ!! あ、あ・・・・ッ、っは・・・・、ん・・・・っ・・・・!」
双珠への刺激も手伝って、今にも弾けそうに熟れた沖田自身。
滲み出続けた蜜は、透明な色からすでに白に変わり始めている。
不規則な呼吸、上擦る吐息を絡め、沖田は限界を口にした。
「ぁ・・・・っ、・・・も、出・・・・る・・・・っ・・・・」
「いいぜ、出せ」
促すよう、一際強く沖田自身を扱き上げてやると、
―――ッ!!」
細い身体は弓なりに仰け反って、そのまま沖田は勢いよく白蜜を吐き出した。




手の内に迸ったコレをさてどうするか、と眺めて少し考えていたら、
「・・・・馬鹿土方ァ」
力なくしどけなく脱力していたカワイイ総悟が小さく口を開いてきた。
「さっきから気になってんだが、俺の何がバカだ、オイ。 ・・・・コラ」
「そんじゃ、・・・・エロ土方」
更に小さく呟かれる。 まあ今のこの状態からみてみれば、後者のはあながち間違いでもないか。
そんなことを思いながら、フッと口許を緩める。
「総悟テメー、んな口が聞けるなんざ随分と余裕だな」
「そりゃ土方さんが相手だからだィ」
「あぁ?」
「・・・・たけのこの里」
「あァ!!?」
「たけのこの里といい勝負でさァ」
よりによって 『たけのこの里』。
たけのこの里。
せめて形状まで考慮した上でビッグサイズの 『きのこの山』 くらいは言いやがれ! と反駁すると、
「・・・・俺ァどっちかっていったらたけのこの里派なもんで。 ・・・・大きさもちょうどそんなモンだ」
あっさり答えられてしまい、こんな時でもナマイキ極まりない言い草に、
「この野郎・・・・」




本気で泣か・・・・啼かせてやりたくなった。
本気で懇願、哀願するくらい思いきり快感と快楽でいじめてやりたくなった。




有言実行、いや、不言実行。 決めた。




無言のまま、沖田の力の抜けた両脚を素早く抱え上げ、有無を言わせず再び左右に大きく開かせる。
そしてそのままもう一度、つい先刻達したばかりの沖田自身をまたも握り込んだ。
「な・・・・!」
驚いたのと同時、握られて沖田の下肢がビクッと震え、
加えてそこに近づいてきた土方の顔に、慌てて身体を捩って抵抗を始めた。
「離・・・・ッ! ま、だ早・・・・っ・・・」
「うるせェ」
一刀両断しておいて、抵抗し退こうとする腰を抑え付ける。
しっかり抑え込んだあと、土方は濡れて瑞々しいそこに顔を埋め、自らの口腔に沖田自身を咥え込んだ。
「ふ、ぁ・・・・ッ!」
途端、腰が跳ね上がる。
達した直後ということもあり、特に過敏になっているのだろう。
濡れたままの先端部分を舌で舐め上げてやると、たまらず腰が揺らめいた。
「されるのスキだろうが」
「・・・・っ、バカ土、方・・・・ッ!」
もう何とでも言えよ、言わさねーけどな。
音を立て口腔内の粘膜を使って全体的に擦る。
一旦絶頂を迎え、力を失っていた沖田自身だったが、淫猥な感触と感覚に再び熱を溜め硬度を持ち始める。
「ん、ン・・・・っ・・・・! く・・・・ぅ・・・・!」
括れの部分を丁寧に愛撫してやると、握ったこぶしでぽかりと頭を叩かれた。
叩いて止めさせようとしているのだろうが、全く持って痛くはない。 続けて駄々っ子のように叩かれたって、同じことだ。
無論やめてやるはずもなく、悦がる箇所を徹底的に攻めていく。
どれだけ抵抗されようが手を抜く気は毛頭ない。
本気で泣かせるつもりで可愛がりたかった。
「ぁ、あ・・・・っ・・・・」
裏側を幾度も幾度も繰り返し舐め上げてやりながら、逆側の手で下部のやわらかなところをくいくいと刺激する。
そうやって沖田の特に悦ぶところ、裏側や先端を思いきり味わって刺激した。
ちらりと目線をあげて見た細い喉元が震えている。
時折、腰がびくびく震えて身じろいでいるのは、腰を退こうにもどうにもならないからだろう。
土方の容赦しない愛撫に、沖田はゆるゆると首を振って耐えた。
そんな姿も、一層こちらを煽る。
「んッ・・・・ひじ、か・・・・っ、・・・・っやめ・・・・ッ・・・・!」
懸命に告げてくる声にも土方は口淫を続けたいあまり、返事もしない。
却下、と言ってやる代わりに更に激しく舌と唇とで扱き上げてやると、沖田はひッ、と喉を引き攣らせた。 つられて腰もかたかたと揺れる。
「・・・・・・ンっ・・・!」
前の器官への愛撫はそのままに、奥まった最奥の秘部にするりと指先を滑らせれば、
ヒクン、と僅かに反応をみせたそこは前から滴り落ちた先走りの蜜ですでに湿っていて、
つ、と指先を添えると途端にきゅっと窄まって。
「そんなんじゃ挿れられねーぞ・・・・?」
「・・・・ッ、知、らな・・・・っ・・・・!」
途切れ途切れの息遣いで睨まれる。
しかしそんな表情さえ土方のど真ん中のツボを突いて、
「だから力、抜け」
心持ち優しく口にしたあと、濡れた指先をそっと挿し入れた。
そして入れたあと、すぐに引き抜く。
その行為を数回繰り返して入口と、沖田が多少なりとも慣れてきたのを感じ取ったところで。
不意をついてくぷっ、と人差し指を一本、奥まで一気に挿入した。
「んぁ・・・・ッ・・・・っ・・・!」
予測外の侵入に、沖田の背中がしなやかに反り返る。
口腔内の沖田自身も同時にピクッと反応し、土方を愉しませた。
埋めた指を内側で小さく動かして悦いトコロを探ろうとすると、僅かにむずがるような声と、揺らめいて引き下がろうとする腰。
そんな声をあげても、逃げようとしても無駄だ。
沖田の悦いところはすでに知ってしまっている。
「・・・・ココだよな、総悟?」
「あッ、ぁ、―――ッッ・・・・!!」
狙いを定めて、内側でも僅かに感触の違うところを少々乱暴に突き上げた。 途端、大きく身悶える身体。
けれど構わず連続して突いてやる。
「・・・っあ、あ! や・・・・ッ、や、めっ・・・・ヤ、だ・・・・っ!!」
追い詰められて切羽詰まった悲鳴にも似た嬌声。
一方でずっと口淫を続けている土方の顔のすぐ脇にある太腿がかたかたと震えて止まらない。
更に刺激を与える手を抜かず、全体をくまなく舐め回し、舌先を尖らせて蜜の溢れ出る先端の孔をくいくい愛撫。
「や・・・・っ、あ! あっ、んぁ・・・・!」
過敏極まりない箇所を次々と弄られ、沖田が必死に制止してくるけれど、もう言葉になっていない。
「は、・・・・っ、ん・・・・、ま、た・・・・!」
かぶりを振りながら、大きく身体が戦慄く。
そのままにしてやれば呆気なく達せたであろう吐精を瞬間、
絶妙のタイミングで根元をきつく抑えつけ寸前で遮ぎった。
「な・・・・ッ・・・・!」
涙の滲んだ瞳が、絶頂を阻まれて大きく見開く。
「一人で先に二回もイこうってのは甘いんじゃねェか?」
「こ・・・・の・・・・っ・・・・!」
「たっぷり可愛がってやるって最初に言っただろ」
「ん、なのそっちが勝手に・・・・ッ!!」
「そうかもな」
あっさり肯定しておいて、ふるふると今にも弾けてしまいそうな沖田自身を強く強く戒めたまま、引き続き内部を掻き回す。
先刻、しっかりと捉えて突いていた箇所をそっと撫で、今度は中指をもう一本含ませ増やして内壁をやわらかく蕩かしていけば、
二本の指で次第にほぐれてきた内側は徐々に、受け入れた指を包み込み締め付けるような動きと蠕動を見せ始めた。
弱い弱い前立腺を弄るたび、手の内の沖田自身も蜜を流し続ける。
「も・・・う、・・・・っ、っ・・・・」
「まだ何とかなるだろ」
「な、らな・・・・ッ・・・!」
絶頂の手前で吐精を封じられたまま、痛いほど感じてしまう前立腺と自身を何度も何度も弄ばれて、
激しく首を振って悶える沖田は、すでに泣き声に近くなっている。
土方の手の内、きつく戒められたままの自身は自らの溢れさせた蜜でもうぐしょぐしょで、脈打つたび苦しげに震えていて、
目の当たりにする土方としても、そろそろ我慢がきかなくなってくる。
まとめて指を引き抜き、自然と荒くなった呼吸を整えた。
けれど最後にあと少し、
言われた意趣返しをどうしても。
「・・・・欲しいか、総悟?」
「ぅ・・・・あ・・・・ッ!」
意地の悪さを多量に含んだ囁きを送りつつ、
器用に互いの体勢を変え、猛った自らを蕩けた最奥に宛がう。 そして切っ先で、まるで悪戯を仕掛けるように二度、三度と触れた。
もちろん戒めの手は外してなどいない。
緩くほぐれた最奥は、土方自身が触れてくるたびに受け入れの様相を示すけれど、
せいぜい数センチ、先端部だけを浅く挿入してはすぐに引き抜き、また同じことを繰り返してとうの昔に限界を超えている沖田を焦らし抜く。
たぶん本人は既知していないのだろうが、土方自身の先端が僅かに埋め込まれるたび、
戦慄く腰がかたかた揺れて欲しくて欲しくてたまらないのが明白だ。
「たけのこの里、なんだろ?」
言ってまたくぷ、と先端部のみを含ませては、きゅうっと締まって抜かせまいとする甘い誘いを何とか振り払い、離す。
「っ、・・・性、悪・・・・ッ・・・・!」
「お前だけには言われたくねーよ」
含み笑いを返しながらも、相当に土方の息も荒い。
先端に触れる沖田の秘部は本当に本当に蟲惑的で、すでに土方の我慢も限界近いのに。
それでも捕らえた沖田自身、身体中を逆巻く欲と熱に翻弄され、懸命に耐える姿はそうそうに見ることのできないもので、
明日にはどうせまた怖いモノ知らず、やんちゃっぷりに振り回されることになるのだから、せめて今くらいはたっぷり愉しんでおきたくて。
「んぁ、ああぁッ・・・・!!」
埋めた先端で、中を控えめに掻きまぜてみると全身がビクンと反応した。
震えの止まらない腰はもうがくがくで汗と体液まみれで、見ているだけで欲情を誘う。
さてどうするか、
もうそろそろ許してやるかと土方が思い始めたその時。
「・・・・っ、ふ・・・・、」
噛み締めた唇から漏れる声に意識を向けた瞬間、情欲に潤んだ瞳と目があった。
「ん?」
なんだ、どうした、と腰を僅かに退いた途端。


「・・・・ッ、・・・・い・・・い加減にしろィこのクソエロ土方ァ・・・・!!」


「ッ!? いてッ・・・・!!」
どこにそんな余力が残っていたのか、
怒声と同時、固めたこぶしで思いきり。 それこそ渾身の力を込めてゴッ! と頭を殴られた。
先程の力の入らなかった拳とはそれこそ180度違って、思わず声に出してしまったほど今度は痛い。
「ネチネチネチネチネチネチネチネチ、いい加減にしやがれこのエロ! このエロジジィ! ・・・っ・・・・!!」
呆気に取られる土方の眼前、沖田はそれこそ切羽詰まり極まりない状態であるはずなのに、ギャンギャン喚く。
喚きついでに感極まったのかおまけに大粒の涙までボロボロ零し始めた。
驚いたのは土方の方だ。
「なッ・・・・泣くなバカ! 泣くほどのコトじゃねェだろうが・・・!」
泣かせるほど可愛がりたい、と思ったことは確かに事実ではあるけれど、本当に本格的に泣かれると困る。
慌ててえぐえぐとしゃくりあげかけの唇を咄嗟に唇で塞ぎ、事態の収拾を図った。
「ん、・・・・ん・・・・っ」
半ば無理矢理のキスの途中、空いている方の手であやすように沖田の頭を撫でてやる。
そうして多少なりとも落ち着かせることに何とか成功し唇を離すと、
「・・・・総悟」
「あ、・・・・あッ!」
今度はもう欲しがるまま、与えた。
何度も焦らした最奥に自らを埋め、ゆっくり貫いて進む。
待ち焦がれていた場所に求めるものを受け入れ、沖田は眉根を寄せ、ゾクゾク背筋を走る疼きと快感とに耐えていた。
「・・・・っは、ッ、・・・・ん、ぅ・・・・っ・・・・・」
そして全てが埋められると、
深い深い場所まで猛った土方自身が届き刺激されたせいか、
沖田自身が本当に限界の限界を訴えはじめた。
握り込んだそれは、ビクビク震えて真っ赤に充血し、先端はもう欲を吐き出したくて吐き出したくて。
「・・・・待ってろ、すぐに悦くしてやる」
告げて尚、戒めの指に力を込めなおし、改めてきつく絡ませる。
そして決して離さないまま、埋めた内部を激しく突きあげた。
――ッ!! あ! あッ、あ・・・・!!」
息をつく間もなし、突然の激しい打ち付けに、沖田は声を堪えられない。
ズン、と突いたあと揺らし上げてみると、すでに声を我慢する余裕はどこかへ行ったらしく大きく喘いだ。
「やッ、や、土・・・・っ・・・・!・・・・」
「悦くしてやるって」
「ッ!? そこやだ、や・・・・ッ!!」
ポイントをぐいっと押してやると、沖田は反動の力も借りて身体を仰け反らせ、
熾烈な快感刺激から僅かでも逃れようと身を捩る。
土方はけれどもそれを逃さない。
ぐいぐいと容赦なくポイントに自身を突き立て突き上げ、
「逃げるなコラ、 ん、・・・・此処だったな」
「ひゃッ・・・・! ぁあッ、ぅあ、あーーッ・・・・!!」
与え続けられ襲い来る快感刺激と、いつまでたっても達することの出来ない甘い苦しみに、沖田の唇からは切ない声が零れ落ちた。
だが腰の動きは決して止めず、一層強く切っ先で抉る。
そうしてそれから全体的にぐりっと内部を捏ね回してやると、全身がひくひく痙攣をし始めた。
「も・・・・っ、ぁあ! もう、・・・・・っ・・・・」
喘ぎに重なる甘く苦しげな吐息。
沖田は抵抗の意さえ、もう起こす余裕もないらしい。
「じゃあ最後だ」
「っひ・・・・ッ!! ぃ・・・・っ、あ、ヤだ、・・・・やーっ!」
戒めた沖田自身、その先端を親指と人差し指で挟み込み、きちゅきちゅ摘まみあげられ上がる悲鳴にも似た声。
と同時、土方を包み込む内壁が連動してぎゅっと締め付け、快楽を返す。
「ぁ・・・・ぁ・・・・! っふ、ぁぁッ・・・・!」
鼓膜に届く可愛らしい声。
そろそろ土方にも限界が迫っていて、
ずっと沖田自身を抑え付けていた手、指をゆっくりと離し、解いていく。
そして自由になった両手で細い腰をしっかり支えて抱えあげ、自分の快楽を導き追うように激しく腰を使い打ち突けた。
「・・・・っ・・・!」
「んッ・・・・、く・・・・、・・・・ああぁッ!!」
最後の最後、
仕上げにグイッと一番強く抉ったと同時、
堰き止めるものもなくなった沖田は白蜜を吐き出し達する。
続けて土方も蠢く内壁に搾り取られるよう、沖田の中に白濁を散らした。








「・・・・おい、・・・総悟?」
汗まみれの前髪を無意識に払いながら、くったり伏してしまった沖田を覗き込むけれど返事も何もない。
どうやら達した直後、かくんと意識を沈めてしまったようだ。 
枕元の煙草に真っ直ぐ手を伸ばしつつ、
抜き出した一本に火を付けつつ咥えつつ。




「明日からマジで殺りに来るかもしれねーな・・・・」




そんな危惧を自ら抱いてしまう。








――――――――――――――やりすぎたか。




















早朝、まだ余韻のためかぼんやりとしている沖田にふと、
そういや一体何処であのバカとの騒動を知ったんだお前、と確認してみたところ。
「なんだか山崎の野郎が一部始終みてたらしいですぜ。 ・・・・昨日拡声器持って真選組中に触れ回ってやがりました」
だからもう今日は江戸の街にも、んでもって明日には江戸中に広がるでしょーねフフンざまーみやがれってんだ、
などと嘯かれ小憎たらしくも思えてくるが、結局はカワイイから許す。 全部許す。
「山崎・・・・あのヤロウ・・・・」
本日これから出勤したら、言わずもがな凹ること決定である。
万が一にも江戸中にそんな流言蜚語が飛び交ってしまったら、あのバカとは互いに損をするだけだ。












それから 「俺が帰るまで寝てても構わねーぞ」 と言い残してバタバタ慌しく土方が出勤して行ったあと、
ぼそっと沖田は予見にも似た概ね間違いのない一言を独り言、誰ともなしに。




「・・・・江戸中に噂が広まってほんとに大変な目に遭っちまうのは、どー見ても万事屋の旦那の方だと思いますがね・・・・」




相手があの桂じゃあ、旦那も弁解と弁護と誤解と説得にさぞかしさぞかし苦労するだろーな。
としみじみ思う沖田総悟だった。












そしてその予見は後日、沖田の知らないところで見事めでたく的中してしまうのだが、
それはまた別の話、銀時サイドの話である。












いつもいつもスタンス的に、『土→沖』 って感じのものが多かったので今回は、『土←沖』 っぽくしてみたら、
なんだか思いっきり 『土←沖』 になっちゃいました・・・・。
七十五訓は・・・・あのほんと、土銀とか銀土派の方にはほんと、ほんと垂涎だったよね・・・・あああ!!(悶え)
くそうあんなオイシイ話になんで沖田が出て来ないんだあああと煩悶した挙句、無理矢理こじつけてみました。
けどやっぱ別にえろにしなくてもいい(・・・・) と自分でも思いますよ・・・・はは・・・・。