つきよのばんの、うしみつどきに・2



※ 第七十五訓ネタです。








成り行き任せ、退くに退けなくなった意地の張り合いの結果、
半端でないほど上せあがった頭と、茹り上がったせいか半ば覚束ない足取りで銀時が万事屋に帰宅すると、もうとっくに真夜中という時間帯になっていた。




仕事の依頼が無いため、(すでに日付は変わっているが)今日と明日は丸々休みとしたせいか、
屋内には新八はおろか神楽の姿もない。 そういえば二人しておまけに定春も連れて妙のところに帰省するとか何とか言っていたような気もする。




「・・・・なんだったんだ・・・・今日のアレはよォ・・・」
誰ともなし、口の中だけでぼそぼそ呟きながら寝室、のそのそ布団を敷いて横になった。
横になったまま、ぼんやり本日の出来事を反芻してみると。




1.定食屋で多串くんと出くわした。 騒ぎになった。 宇治銀時丼に文句をつけられた。
2.映画館でもかち合った。 乱闘になった。 折角のポップコーンを無駄にした。 映画は途中からサッパリわからなくなった。
3.サウナでも一緒になりやがった。 幻覚を見た。 脱水症状で余計天パが進行するかと思った。 そしてココでも最後は結局乱闘になった。




「・・・・・・・・・・」
思い返すに、タメイキとクエスチョンマークしか出ない。 何だったんだ今日は。




・・・・疲れた。
休みの日だったというのに妙に疲れた。
無駄に汗をかいたような気がする。 いや実際にかいた。
・・・・疲れた。




オイオイせっかくの休みにこんな無駄に疲れてどーするんだ、
いつもいつもトラブルと面倒ばっか持って来やがる神楽も今日は居やしねーのになんでこんなぐったりしてるんだ俺は、
やっぱこれから糖でも摂取しにコンビニまでいちご牛乳でも買いに出るか、
いやダメだ無理だそういや財布にはもう一銭も入ってねーんだった、などとつらつら考えているうちに、
「・・・・眠・・」
意味もなく暴れたせいか、それともサウナにて血の巡りが良くなった(・・・・なり過ぎた) せいか、どっと睡魔がやってきた。
どちらにしろもう遅い時間だ。 どうせ明日も休みだ。
起きていたって、やることも特にない。
このまま仕事が来なかったら明後日も明々後日もずっとずっと休みだ飢え死にすんぞコノヤロー、
そういや神楽と新八の給金も払わなきゃいけねーがどっちにしろ金ねーやこのままじゃ皆揃って飢え死にかバカヤロー、
「・・・・・・」
そこまで考えて、ところでヅラの野郎はどれだけ貯蓄がありやがるんだっけな、とぼんやり思い返してみたところで本格的な眠気に負けた。
「・・・・寝ちまうか・・・」
噛み殺しもせずふわわ、と欠伸をしつつ紐を継ぎ足して長くした電気の紐をグイと引き、暗くして枕を引き寄せる。
そのまま眠った。
















――――――そのまま眠れた。  ・・・・のは、ほんの一時間ほどだった。




「・・・・・・、」
最初に銀時が感じたのは隣室、誰かがいるような気配で。
それもつい今さっき、しかし泥棒や空き巣にしては、わざわざ玄関から入ってきたばかりのような。
おまけに悪意は微塵も感じない。 あるのは気配だけだ。
「・・・・・・?」
が、
しかし。
それまで短時間とはいえ熟睡していたが故、
もしかして俺、寝惚けた? とまだ完全には覚醒していない頭で、ふらふらしながら半身を起こす。
――――、」
探るにやはり、隣室に誰か居る。
あー良かった、どうやらアタマの中身までくるくるになっちまったワケじゃねーやと妙な安心感を覚えつつ、
手馴染みの木刀は枕元、五十センチのところに置いてある。
がさごそ動く人の気配は隣室、この部屋に続く襖に今にも手をかけようとしている。
もうこうなったら泥棒でも空き巣でも何でも来やがれ、この洞爺湖のサビにしてやるぞコラァァァ、とタイミングを測った瞬間。




「だだだだだ大丈夫か銀時ィィィィ・・・・・・・!!!!!!」




「なッ・・・・!!!?」




悲鳴のような絶叫と、
同時に 『がしィィィ!!』 と今にも締め殺されそうな勢いでタックル・・・・否、抱き締め抱き抱えられたのと、
その余りの勢いにコンマ一秒の差で洞爺湖に手が届かず、
いきなり迫ってきたそれから逃げることも逃れることも出来ず、ただじたばたもがくのとが全て同時。




「いッ・・・・いきなり何しやがるんだテメェェェ・・・・!!」
ぎゅうぎゅう抱き締める腕にますます力が込められてくるのに懸命に耐えながら、
ただでさえも全国指名手配に不法侵入&無断侵入までオマケで付いてしまいそうな相手と顔を突き付ける。
蛇足だが侵入者の正体は最初の一声で全て判明で、
「ヅラ・・・・こりゃー一体何のつもりだコラァァァ!!?」
なんとかこのロン毛のバカから一旦離れようと突き飛ばそうと隙を見つけようと、
じたばたもがいてみるものの。




「大丈夫か銀時ィィィ・・・・!」
じたばた。
「ぶ、無事か銀時ィィィ・・・・!!」
じたばたじたばた。
「腰は! 腰は平気か銀時ィィィ!!」
じたばたばたばたばたばた。
「後ろは!! 後ろは汚されてはいまいな銀時ィィィィ!!!?」
じたばたじたばたじたじたばたばたばたばた。




・・・・・・そんなことをしばらく続けていただろうか。
あまりに一方的な桂の慌てようと切羽詰まりように、思わず発する言葉もなくしてただじたばたもがき続けていた銀時だったのだが、
何やらそんな彼の様子から何か安心したのか、それともただ単に息が切れたのかどうかは謎だが、
「・・・・どうやら、辛くも無事らしいな・・・・」
ほっとついた小さな安堵の溜め息と共に、桂の腕から力が抜けた。




「よ、良かった・・・・」
言って心底ホッとした、という風情の桂と、
やっとギュウギュウ抱え込まれることから解放されて、釣られてほっと一息つきかけた銀時だったのだが。
暗闇に目が慣れてくるに従ってまじまじと突然押しかけてきた眼前のロン毛を見るに、ついつい大声を上げてしまうことになった。
「なッ・・・・なんだいきなりてめーはァァァァ!!!!」
夜這いか! 夜這いなんか!! だったら夜這いなんてモンはもうちったぁ静かに仕掛けてくるモンだろーが!!
と他人が耳にしたら少々問題になりそうな科白をヤケクソ気味に吐き捨てつつ、
改めて座り直して未だに 「うう良かった、良かった」 などと意味不明の言葉を呟き続けている桂と向かい合う。
と同時、
そういやこの変態バカ、江戸から離れてたハズじゃ、と遅れ馳せながらそう気づき、
「確かてめー、江戸にはいなかったハズじゃ・・・・」
暗闇の中、ふとそう聞いてみたところ。
「・・・・きたのだ」
ぼそっ、と言葉の端だけが銀時の耳に届いた。
「は?」
全部を聞き取れなくて、まんま聞き返す。 見たところ桂は例の旅装束だ。 と、なると戻ってきたばかりなのか。
「・・・・慌てて走って戻ってきたのだ
今度は小さくだが、とりあえず聞き取れる。
「・・・・あァ?」
なのにまたも聞き返してしまったのは、
その言わんとする意味がどうにもよく理解しきれなかったからで、いやいや実際は理解できたのだけれども実情、
なぜそうなったたがさっぱり心当たりがなかったからであるからして。
「ヅラ?」
何言ってやがんだお前、と本格的に尋ねようとした、その途端。




某消費者金融のウルウル黒目のチ○ワも真っ青! なほど潤ませた目と、
今をときめく(!) 某石田彰氏ボイス(!!) で発された、吐息混じりの一言。




「いや・・・・サウナでお前がどこぞの誰かと体液ポタポタだと聞き及んだものでな・・・」




「なッ・・・・!!」




なんで知ってんだ、
なんでバレたんだ、
誰か見てやがったのか、




・・・・言いかけて、「じゃねェっての!!!!」 と慌てて喉の奥で無理矢理堰き止める。




違う違う、そんな言い方をしたら余計誤解を招く。 ただでさえも思い込みが激しいヅラだというのに。




「・・・・その前も一緒に食事をし、ついでに映画まで観る完璧なデートコースを辿っていたとも聞いた」




「・・・・!」




「加えて問題のサウナでは公衆の面前で堂々と、 ・・・・真っ裸の濡れ濡れでくんずほぐれつだったとも」




「オイ!!」




「その上お前は堂々と両脚を抱え上げられていた・・・・とか」




オオオイ!!!!」




あまりの、あんまりの事実の歪曲っぷりに、どう対処して良いのかわからない。
言い訳なんてなんだかこちらが悪いことをしているみたいでとてつもなく格好悪い。 というかどうして自分が焦らなきゃならないのだ。
何故って自分は無実だ。 多串くんとはたまたま偶然に偶然が重なって一緒になっただけだ。
一体誰がドコで見てやがったんだ、おまけにどうしてそれがまたこんなにも早くヅラの耳に入っちまってるんだチクショー、
いやどちらにしろ本当に多串くんとはたまたま休みが一緒で一緒になっただけで、ええいもう知るかかち合ったイミなんざ空知御大に聞けこの野郎ォォォ!
・・・・なんてほぼ投げやりになりながらも、やはり面倒なことになる前になんとかしなければ。
今にも眩暈がしそうになってくる。
一体こうなるとどこからどう話せばいいものか、
「・・・・・・・・」
じっと桂を見る。
「ぎ・・・・銀時?」
だがしかし、不思議なことに桂の方は銀時が危惧しているほど、それほど焦っても誤解してもいないようだ。
それがやたらと気になって、とりあえず詳細を説明してやる前に、「一つ教えろ」 と聞いてみた。
「なんか思ったよか落ち着いてっけど、妙な誤解とかしてねーの? ・・・・なんつーか、」
あんま普段の変態ヅラっぽくねーんだけど。
とストレートに言ってやると、
「ああそんなことか」
逆にやたらと力強く、さぞ当然、とばかり大きく頷かれて。
「聞いてから、お前に直に会うまでは汚されてやしないかともう心配で心配で仕方がなかったんだが・・・・実際にこうやって会って確かめたらすぐにガセだとわかった」
「あ?」
「匂いですぐにわかったぞ?」
「は?」
言いながら、桂はフンフンと銀時の頭のあたりを嗅いでくる。
「な・・・・、ちょっと待て、コッチは全然わかんねーんだけどよ」
もっとちゃんと分かり易く言え、と促したところ、やたらあっけらかんと。
「いや、匂いで確かめたところ他の男のニオイは一片たりともしないしな。 俺が不在でも自らの貞操は確固と守ってくれているようでむしろ安心したぞ銀時」
「な・・・・」
なんだニオイって。
なんだニオイ、って。
どうやったらそんなもんがわかるんだ、んなモンでどうやって確かめられるっていうんだ一体。
「・・・・・・」
思わず次の言葉に銀時は詰まるが、そんな銀時に桂はやはりやはりあっけらかん、すんなりと。




「それがわかっただけでも、上越の方から夜通し走ってきた甲斐があったというものだ」




「じょ・・・・」
「ん?」
「・・・・今、上越、って言ったか、オイ」
「ああ。 それがどうかしたか?」
繰り返して、耳を疑った。
あっさり頷く桂に、目を疑った。
呆気に取られるというより、あいた口が塞がらない。 その気力体力執着情熱妄念妄執を違う方向にフルに発揮すれば、
攘夷の一つや二つ、余裕で目的達成できるのではないか。 絶対にこのバカは使う方向を間違っている。 こんなことじゃなくて。




「・・・・・・・・」




「銀時?」
桂は怪訝そうにこちらを覗きこんでくるけれど、タメイキしか出ない。
そんな阿呆なことで安眠を邪魔されたのはいい迷惑だ。
だが。
自分でも意外だと思えるほどに、出てきたのはふっと小さな笑みにも似た感情と、
何故だからわからないけれど愉快にも思えてくる馬鹿馬鹿しさで、
「仕方ねーな、 ・・・・あとで多串くんとのその顛末、最初から話してやるよ」
「・・・・なに?」
多串とはどこのどいつだ、と桂が目を丸くするのにも構わず、言い捨てて五月蝿く追求される前に、今度は銀時の方から腕を持ち上げる。
「銀・・・・、っ!?」
そのまま後頭部、指に絡む長髪をぐいっと引っ掴んで、有無を言わせず噛み付くようにこちらから口付けた。
「・・・ッ・・・・!」
突然も突然、唐突な銀時のそんな行動に、驚いて固まっている桂の舌を襲うように絡め取り、きつく吸いあげる。
貪るような動き。 仕掛けるキスも、仕掛けられるキスもこういう行為は決してそれほど嫌いじゃない。
そうこうしているうちに、最初は驚きのあまり止まっていた桂も自分を取り戻したのか、逆に銀時の口を味わうかのように唇を食んできた。
銀時は口付けの主導権をゆっくりと桂に譲ってやる。
「・・・・ふ、・・・」
久方ぶりの甘いキスを夢中で繰り返し、
息継ぎさえ勿体無く貪り合うように唇を重ねているうち、互いの息も荒くなってくる。
一通り桂の唇を味わい尽くし、
もういいだろ、と銀時の方からゆっくりと離れて上目遣いでちらりと見上げてやると、
「銀・・・時・・・・」
自分の名前を呼んでくる桂の息は乱れ、その瞳に欲情の色が映っているのは明らかで。
「どうした? こんなチャンス滅多にねーぞ」
ニヤリと笑って告げる誘いの言葉に対し、
「い、いいのか」
突拍子もない、といった風情で今更確認してくるバカ桂、変態ヅラに。
「・・・・夜中にいきなり踏み込んで来やがって、納得できたらハイ帰りますってか? 安眠妨げられた俺の責任はどう取ってくれるんだ、ヅラぁ?」
「か、・・・・帰るわけなかろう」
即答、
けれどどこか慌てて返答したような桂のその様子に、銀時は小さく笑った。


ごくごくたまには、少しくらいイイ目を見させてやるのも悪くない。




















性急に衣類を剥ぎ取られ、露わになった肌に舌が這わせられた。
素肌を辿る桂の舌は銀時の胸元を掠めたあと、早急に下肢、下腹部を目指して降りてくる。
やたらと先を急ぐかのようなそんな愛撫に、逸る桂を咎め制止しようと、その頭に腕を伸ばす。
「んな、焦んじゃね・・・・!」
「嫌だ」
伸ばした手で押しとどめようとしても、聞く耳を持たない桂の性急な行為は全く止まらず、
さらりと反抗された挙句、銀時の両脚をぐいっと左右に開き、晒された中心部に突然口づけてきた。
「お前を前にして、焦らずにいられるわけがないだろう・・・・っ・・・」
「ッ・・・・!」
今になって銀時は気づく。 桂の息はすでに随分と荒い。
そういえば前回触れされてやったときから随分間があいている。 その期間、焦らしすぎたか。
荒い吐息をつく桂は、まだ反応していない銀時自身に軽い口付けを送ってきたあと、
やわらかなそれを指で包み込み、そのままぱくりと口中に含み入れる。
「ぅあ・・・っ・・・」
突然の生暖かい感触に、銀時は思わず喉を仰け反らせた。
桂は構わず銜えたものを貪り続け、それに夢中になっているかのようだ。
「・・・ッ、――あ! ぁ・・・・っ・・・!!」
一時も離さずに濡れて温かな口腔で激しく扱き上げられ、やわらかだったそれは次第に芯を持っていく。
少しずつ質量を増していく銀時自身を往復しながら、時折吸い付くように愛撫をしてくる激しい口淫に、
銀時はくっと唇を噛み締め、激しい快楽に耐えた。
「・・・・ん、く・・・ッ・・・」
が、続けられる愛撫はなかなか終わりそうにない。
「待・・・ッ、待て・・・・っ・・・・」
しつこいその触れ方を一旦止めさせたくて、何とか制止の声を投げ掛けるけれど、
聞こえているのかいないのか当の桂は全く無視、相変わらず手も口も休めず自身を攻めていて。
そんなふうに激しく愛され続ける銀時自身は時間と共に桂の口腔内で硬く屹立しはじめ、
張り詰めた先端にはとくとくと透明なものが滲んでいる。
桂はその蜜液を舌先に乗せて味わい舐め取りながら、時折抉るようにして直接的な快感を銀時に送り続けた。
「ぅあッ・・・! ッ、バカ、待て、って・・・・・ッ・・・・!!」
息をつく間もなく、強引で先を急ぎすぎる愛撫にあっという間に絶頂近くに追い上げられ、銀時はそれを懸命に止めようとするのだが、
けれど桂は何もいうことをきく気もないらしく、
それどころか早く白蜜を出させようと、喉の方まで届きそうなほど奥まで銀時自身を銜え込み、全体的にきつく吸い上げはじめた。
「ば・・・・ッ、こ・・・の・・・・ッ・・・」
吐精を促すその愛撫刺激に、嫌でも背中が震えて戦慄く。
堪えきれない疼きが腰から背筋を伝って、
「・・・ッ・・・う・・・!」
押し寄せる快楽に、銀時は無意識に桂の後頭部をぎゅっと押さえつけた。
ぴくぴく震える自身を吸われるたびに、全身が小さく震える。
「あ、あ・・・・ッ・・・・」
やってくる高みへの波。
口中の銀時自身の戦慄きと味からそれを感じ取ったのか、桂は一際強く先端の窪みをきゅっと吸い上げ、
それから小さな穴孔を更に刺激するよう、尖らせた舌先で重点的に突付き、擦った。
「・・・ぅ、あッ、あっ・・・・ッ!」
たまらず銀時の身体が大きく揺れ、背中が反り返る。
桂は少しでも早く白蜜で喉を潤したくて、添えた指までを使って裏側の筋を往復し、吐精を更に促した。
と、堪えきれなくなった高みが訪れる。
――――ッ!! ぅあ、・・・・っ・・・」
腰がぶるっと上下に震えると同時、桂の口中で銀時自身が弾けた。
甘く苦いその蜜を桂は目を細めて嚥下する。
それだけでも充分だろうと思えるのに、まだ足りないというのか、
未だ離さない銀時自身から更に残滓まで吸い取りながら、上下に扱き上げて。
「も・・・・ッ、離、しやがれ・・・・っ」
達したばかりの過敏な自身は、少しでも触れられるだけで痛いほどの快感刺激を感じてしまう。
銀時は両腕を使って桂を押し返そうと力を込めるのだけれど、
銜えられていてはろくに動けるはずもなく、それをいいことに桂は濡れて甘い甘い銀時自身を舐め続けた。
「ん、ぅ、・・・・っ・・・」
弱い弱い過敏この上ない部分を弄られる快楽刺激に、一旦は収まっていたはずの身体が知らず知らずのうちにまた、反応する。
戯れかそうでないのか、ちゅ・・・・、と心持ち長めに吸い上げられた瞬間、
反応した下半身ががくがく戦慄いてしまい、こらえきれず浮いた腰。
「ッ! あ、・・・・ふ、ぁ・・・・ッ・・・・!!」
全部出したはずなのに、少量だがまたも桂の口内に白蜜が吐き出される。
それを嬉しそうに喉の奥で味わって、全て飲み込んだが早いか桂は身を起こし、
口移しに感じる自らの味に銀時が眉を顰めるのにも構わず、そのまま深く口を塞いできた。
「・・・・ん・・・っ・・・」
舌が触れ合うたび、絡むたびに唾液と白蜜とが混ざる音、濡れた音が鼓膜に届く。
何がそんなに欲しいのか、桂は息継ぎのために唇が僅かに離れてもその都度角度を変え、何度も繰り返し口付けてくる。
「銀、時・・・・、銀時・・・・っ・・・」
その合間に、同じくらい何度も何度も銀時の名前を呼んできた。
そうしてまた、それを自らかき消すかのように貪る口付け。
「っ、・・・・ヅ、ラ・・・・?・・・」
ホントに何一人でやたら切羽詰まってやがるんだテメーは、とこんな時ひとりどこか冷静になってしまい、
ふと正面からその端整な、中身はどうあれ(・・・・) カオだけは端整なその表情を銀時はじっと注視する。
「、」
そうやって至近距離から数秒眺めていると、どうやら気づいたらしい。
「、・・・・す、すまん」
何故か桂は慌て気味、そして所在無げに謝ってきた。
「・・・・・・・・・・・・」
「ぎ・・・・ぎんとき?」
思わず無言でそのカオを見返してしまったのは、何故にそういきなり謝られるのかが理解できなかったからで、
そして微妙にわかりかけると同時、今度はまた心配そうにこちらを覗き込んでくるこのヅラがあまりに何というか、・・・・アレで。
「ったく・・・・」
全くこの変態馬鹿ヅラはいつもいつもそうで、
自分に対してはいつもいつも余裕がなくて、いつだって切羽詰まっていてさっぱり前が見えていなくて、
理屈っぽいかと思いきや全く理屈なんざ通っていなくてただ感情のみで突っ走る最大級に困ったテロリストで、
後になって謝るくらいならアレだ、 ・・・・そうだ。 そういう奴だ。 だから結局のところは所謂変態で、つまりは。
「銀時?」
変態なら変態らしくこんな時はもっと開き直りやがれこのヅラ、と言ってやりたいような気もするが、
流石にそこまで甘やかしてやるほど自分は優しくない。
飴と鞭だったらアメ2割ムチ8割、良くて3:7か。 せいぜいその程度で充分だ。 それ以上優しくしてやるなんて絶対絶対キモチワルイ。
「なんでもねーよ。 ・・・・ホントに余裕ねーのな、お前」
込み上げてくる苦笑をあえて呆れた口調と表情を作って隠して、言ってやる。
すると変態ヅラは変態ヅラで、
「お前相手に・・・・そんなものあるわけなかろう」
やたら生真面目な顔をして大きく頷いて。
「それ、威張って肯定するトコか?」
思わずツッコミを入れてしまったけれど、どうやらどこまでも本気本心のようだ。
が、なんとなく面倒になってきたから今は気にしないことにする。
「・・・・まあいーや」
今はたぶん、言葉より会話より何よりカラダが一番饒舌で、ココロより何よりカラダの方が一番素直だと思う。


たぶん。








普段に増して本当に我慢がきかなくなっている桂の、銀時の最奥をやわらかくするために埋めた指での愛撫は、
自然とどこか忙しく荒いものになる。
「・・・・ぅ・・・・!」
内壁の過敏なところを指で擦り上げられる都度、自分でもわかるほど秘肉がひくりひくり疼いて痙攣した。
そんなところに、更に濡れた舌までもが侵入する。
まだ固い内側を、少しでも早く蕩かそうと送り込まれる唾液の滑りを借りて指が動くたび、
自らの中からくちゅ・・・・と小さくくぐもった淫らな音が聞こえてきて、衣擦れの音に混じって響いた。
「・・・っ、ぁ、ぁ・・・・ッ・・・」
けれど、そんな荒い指づかいも、時間の経過と共に銀時の悦い箇所を拾い出していく。
弱い弱い前立腺を繰り返しぐいぐい押し上げられ、
直接的な性感に内側が綻びを見せはじめるより早く、再び力を取り戻した銀時自身が二度目の絶頂を求めてくる。
「も・・・・ッ、いい・・・・ッ」
このまま続けられてはまたも自分だけ追い上げられて達してしまいそうな予感を覚え、銀時は桂をぐっと押しとどめた。
その行動に、彷徨わせていた舌を桂は引き抜き、目線を上げて銀時の顔を見つめた。 息は荒い。
それでも懸命に自制しようとしているあたり、ある意味見上げたものだ。
僅かに感心しつつ、先を促してやるために。
「、しんどい、だろーが。 ・・・・テメーが」
言葉ではそれだけだったが、口調と表情でもう来い、と告げてやると、
迷わず桂は指も引き抜き、銀時の両脚を大きく担ぎ上げた。
了承を得た途端、早く早く銀時の熱と甘さを自らで感じたくて、
徐々に解されてきてはいるものの、まだ完全な準備の出来ていない最奥に、すでに熱く凶暴に猛った自身の先端を押し当てる。
「く・・・・!」
くぷ、と最奥入口に切っ先が沈むと同時、異物感にきゅうっときつく締まる銀時のそこ。
そして桂自身も、埋めた先端が銀時の内壁の熱をダイレクトに感じ取ってしまい、
直に触れたその熱さに一瞬、我を忘れた。
「銀・・・・ッ・・・」
「ぅ、あ・・・・ッッ!」
自制も自律も出来なくて、固い内壁を押し割って一気に腰を進め、銀時の中に欲を埋め込んだ。
「・・・っ、熱い、な・・・・」
内壁の熱と狭さに、たまらず桂は浮かされたかのように呟く。
と、まだ受け入れる準備が整っていなかったところを貫いてしまったせいか、
銀時はきつく唇を噛み、眉根を寄せて苦しげに息を詰めていて。
我慢しているらしいけれど、身体も時折小さく震えている。
「・・・ぃ、つ・・・・ッ・・・」
少しだけ動いたつもりが、銀時にはそうでなかったらしく、痛みを訴える声が聞こえた。
しかし、銀時は銀時で必死に声を押し殺し、苦痛を隠そうとしている。
そんな様子に、桂は急いてその顔を伺った。
「つらい・・・・か、銀時・・・?」
問われた銀時は、どっちが辛そうなカオしてんだバカ、とばかり、苦しげな中にも苦笑を浮かべて逆に桂に言ってやる。
「んな、今更遅ェっての・・・・、いいから動きやがれ、・・・早く」
内側で、欲をぶつけたい桂自身は激しく脈打っていて、今にも理性が吹っ飛んでもおかしくないほどの状態なのに、
まだ心配そうに見てくるだけで、動かない。
「ヅラ」
「・・・・。 ヅラじゃない。桂だ」
名前を呼ぶと、桂はやっと短く答え、「ヅラだろーがよてめーは」 と続ける銀時の口をそれ以上言わせず塞ぐかのよう、
やんわりと唇を重ね、甘く吸い上げながら、貫かれた痛みで心持ち質量を失くした銀時自身を手のひらで包み込み、やんわりと握り込んだ。
「っ・・・・あ!」
突然、純粋に快楽だけを与えられて銀時が声を零す。
すると前への刺激に反応した後ろがきゅうきゅう収縮し、桂自身にきつく絡み付いた。
―ッ、」
猛って今にも弾けそうな自身を締め付けられ、桂も息を乱す。
そのまま乱暴に動いてしまいたくなる下半身を無理矢理抑えつけ、丁寧に銀時の奥を突付いて。
「んッ・・・」
小さく跳ね上がる銀時の腰。 同時、手のひらの銀時自身もピクンと震える。
もう一度、確かめるためにそっと最奥を突いてみると、同様に反応を示し、内壁が更に締まった。
銀時の様子に、痛み以外の感覚も付随していると窺って桂は続けて内壁を刺激する。
器用に片手を使い銀時の腰を抑えながら、緩やかに引き抜いた自らを同じくゆっくりと埋め込んだ。
丁寧な行為に、次第に慣れ蕩けていく内側は、桂自身の侵入をより助け、取り込もうとするように蠢く。
それは快楽を生んで、桂は齎される快感を堪えつつ、銀時の最も悦がるところを狙って先端でぐいぐい押し上げた。
「ぅあッ、・・・・っ!!」
掌中の銀時自身が、前立腺を押された刺激でどくん、と硬くなる。
「動く・・・ぞ、・・・」
桂も到底堪えきれなくなり、囁くように告げると自分の快楽を追うため、律動を始めた。
「・・・っは、 ・・・ん・・・・ぁ・・・ッ・・・」
熱く敏感な内壁を擦られ、動かれるたびに銀時の背が弧を描く。
蕩けて蠢動する内側はすっかり慣れ、痛みは微塵も感じないようだ。
「っ、・・・銀時・・」
「ぅ・・・!」
折り重なって、耳のすぐ近くで吐息混じりの桂に名を呼ばれ、ぶるっと震えて銀時は首を竦める。
呼んだついでにぱくりと耳朶を食みながら、桂は最奥を突き上げつつ密着した腹部で勃ち上がりを見せている銀時自身を擦ってやる。
「んッ・・・・!」
たまらずかぶりを振って、銀時の柔らかな白髪が乱れた。
「此処、か・・・・?」
「あッ!! うあぁ・・・・ッッ・・・・!!」
予想した箇所を狙って突きあげたところ、ピンポイントで当たったのか、銀時の身体が大きく戦慄く。
重ねて桂自身を包み込む秘肉もぎゅうっと締まり、搾り上げて、桂の吐精を促した。
甘い誘いに、もう限界だ。
「一度、 ・・・・出すぞ・・・・!」
告げ、激しく腰を使って穿っていく。
「っ、・・・・ぁ! あっ、あ・・・・っ、ッ・・・・ッ!」
格段に激しさを増した律動に、銀時はがくがく揺れる身体をどうすることもできなくて、ほとんど無意識に両腕を桂の背中に回す。
至近距離、桂の荒い息遣いが鼓膜に届き、
悔しいけれど、そんな欲情に満ちたものにすら、身体は追い詰められて高みに向かわされて。
「・・・ッは・・・っ、は・・・ッ・・、銀、時・・・・っ・・・・!」
高みに向かっているのは桂も同様、
荒い息を吐きながら、銀時の身体と熱を貪って味わう。
突き上げて穿てば、より奥へ奥へと強請って絡み付き、引き抜こうとすれば逃したくないとばかり、熱く銜えて離さない秘肉、
淫蕩な誘いに自身が限界にまで膨れ上がっているのがわかる。
今にも達してしまいそうで、それなら銀時ももう一度絶頂にまで導こうと、
とろとろ蜜を垂らし続ける銀時自身をきつく水音を立てて扱き上げた。
「ッ!? やめ、 ―――ッ!!」
触れた途端、弾けそうなそれより大きく身体を震わせて銀時が、桂のその手を引き剥がそうとしてくるけれど、
桂は決して離さず、ぱくぱく戦慄く先端部分を指先で円を描くようにくるくる撫で回し刺激する。
「う・・・ぁ・・・! っも、 ・・・い・・・・ッ・・・!」
達く、と告げたかったらしい銀時の腰が跳ね上がり、背中に爪が立てられる。
喰い込む爪の痛みも感じないほど桂としてもすでに限界で、猛り狂った自身をぐっと銀時の最奥に乱暴に突き立てた。
「、・・・・ッ!!」
目も眩むような快感刺激に、こらえきれず白蜜を放って達する銀時。
――っ・・・、」
桂も息を詰め、狭い内部に熱を吐き出した。






「・・・・う、ぁ・・・・っ・・・」
二度、三度に分けて注ぎ込まれる欲が内部の敏感なところを濡らし上げ、ひくひく痙攣する内壁。
熱いそれがかかる瞬間は、銀時としてはそれほど嫌いじゃない。
けれど頭の隅で、だけどこれって後始末が面倒なんだよな、と僅かに考えたりしながらも、
収まらない呼吸を繰り返しながら吐精の余韻にぼーっと浸っていたのだ、が。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・?・・・・・・」
抜かれず、埋め込まれたままでいた桂自身が自分の中で微かに反応したことに気づき、
思わず身を起こしかけ、身体の上の桂をぎょっと見遣る。
が、乱れた長髪が邪魔になってその表情は見えない。 しかし、何かがやばい。 何かが拙いと告げている。
それを確信させるかの如く、内部の桂自身は一旦欲を吐き出したはずなのに、
再び銀時の中で芯を持ち、熱を蓄えていって。
「なッ・・・・、」
「・・・・もう一度、させてくれ」
言葉にならない銀時に、桂は勝手に再度、緩やかに腰を使い始めた。
達したばかりで、どこもかしこも敏感すぎるほど敏感になってしまっている銀時は、
ゆるゆると動かれ、ぞくりぞくりと腰から背筋からが蕩けていくような疼きと快感を感じ取ってしまい、たまらず。
「バ・・・・っ、バカ、待て・・・・ッ・・・・!」
制止するものの、桂が聞き分けるはずもない。
「嫌だ。 待たん」
「・・・待・・・・っ・・・・、あぅッ!・・・・」
器用に狙って腰を使われ、喘ぎ以外の言葉を封じられてしまう。
―――― 悦くて。
「ぁ・・・・! ぁっ、う・・・・ぁ・・・・っ・・・・」
最初は緩やかだった桂の動きが少しずつ激しくなってくる。
銀時自身も快感を求めてふるふると力を集め、自己主張するかのようにピクンと息を吹き返してきた。
桂は快楽を追って貪ろうと、激しく水音を立てて出し入れを繰り返し、動く。
そうしながらもしつこく銀時の中心部に手を伸ばし、行き着いた先は下の双珠で。
「やめっ・・・・! くぅ、・・・ッ・・・・!!」
優しく揉み上げられ、漏れるような快感に襲われる。
先程までは、桂も切羽詰まっていたおかげで真っ直ぐ絶頂に追い上げられるような愛撫、行為だった。
それが今度は一度達して僅かながらも余裕が出来たせいか、
愛撫に落ち着きがある。 というより、いつものねちっこさ(・・・・) が戻ってきた。
その証拠に、貪る内部も銀時の悦点を微妙に避け、
双珠を揉んでくる指も手も、ゆっくりだ。
「・・・・・ぅ、うぁ・・・・あっ・・・・」
指は根元に辿り着き、そこを擦られて重い射精感がずくんと腰から押し寄せた。
それによって腰がかたかた震えだすと、感覚を逸らすように指の動きが鈍くなり、止まる。
そしてまた今度少し落ち着いてくると、止まっていた指は銀時自身を辿り、弱い括れの部分にまでやってきた。
「ッ!? さ、わんな・・・・ッ!!」
「さわる」
一言の元に却下され、括れを偏執的に揉み込まれるあまりの快楽。
「ん・・・・っ・・・、あ、あぁ、ぁ・・・・ッ・・・・!」
銀時自身の先端から溢れ落ちる透明と白の混ざった蜜が、はっきりとわかるほど量を増していく。
自身を弄られるたびに内部も収縮を繰り返し、
桂にも同程度の快楽を齎した。
添えた指で自身の先端を刺激してやると、真っ赤に色付いたそこはぴくぴく震え、粘液に包まれて。
――ッあ、うく・・・・ッ・・・!」
びくッと銀時の腰が跳ね、先端が僅かに蜜を噴いた。
けれどそれだけでは到底欲を失わず、未だ痛いほど膨れたままだ。
「・・・・っは、は・・・・っ・・・・ぁ、・・・・っ・・・」
せわしなく喘ぐ銀時に、桂はもっと欲しくて何度も何度も唇を塞いだ。
舌と舌を絡めて吸い上げ、時折下唇を優しく噛んで。
離れたかと思えば、また吸い付いて繰り返す甘いキス。 まるで子供のような。
「ん・・・・ッ、ん、・・・・・・っ・・・!!」
そんなキスの真っ最中、舌を吸い上げられていたところに、突然内壁の最も性感を感じ取ってしまう前立腺を突き上げられ、
目を見開いて銀時はくぐもった声を喉で漏らした。
承知しながらも桂は唇を捕らえたまま、狙ったその箇所を強く強く、攻め始めた。
「んっ、んん・・・・っ、く・・・・ッ・・・」
苦しげに、かぶりを振ってキスから強引銀時が逃げる。
「・・・・っ、ふ・・・! あ! あ・・・・っ・・・」
唇を解放してやった途端、喉をついて零れて聞こえる甘い声。
それに煽られ、桂がぐいぐい突いてくる箇所から響くあまりの悦楽と快楽、過ぎる快感に銀時の腰が堪えきれず逃げようとした。
「ダメだ、銀時」
言って桂は銀時自身を刺激する手とは別の手を使い、そちらで今にも逃げかねない銀時の腰をしっかり抑え付ける。
すでにがくがくに砕けてしまっているその腰は、実際抑えるというほどでもなくて、
桂はすぐにでもまた弾けそうな銀時自身を絶えず搾り出すよう愛撫を送りながら、
内側でははっきりわかる感触の違う前立腺に、自らの切っ先をぐりぐりと擦り付けた。
「ッひぁッ・・・・!! うぁ、あ・・・・ッッ・・・・!!」
「・・・・ッ・・・!」
銀時の内壁が痛いほど締め付けてきて、思わず桂もあがりそうになった声を噛み殺す。
激しい秘肉の収縮に、もう自制も自律も何もきかなくなり、激しく腰を打って穿った。
「あッ・・・・あ、っ・・・・・!」
激しさは高みを連れてきて、一直線に昇りつめる感覚に銀時の身体を汗がいくつも伝った。
「・・・っ、そろそろ、いいか、銀時・・・・」
「ッく、ぅ、・・・・ぅあ・・・・っ・・・・!」
問いに、銀時が眉を寄せ小さく首を縦に振る。
桂は内壁の絡みつく蠢動を振り切って一度先端近くまで抜きながら、今にも吐蜜寸前の銀時自身を扱き上げ、
同時に奥の奥を一際強く、鋭く一気に貫き突き上げた。
「あ! あ・・・・ッ、―――ッ・・・・!!
直後、間を置かず限界を迎えて弾ける銀時自身、
桂もまた二度目の高みを迎え、内側にまたも再び白蜜を注ぎ込んだ。




「・・・・ッ、・・・・!・・・」
絶頂の余韻と、やっと中から桂が引き抜かれた感覚に、銀時は小さく身体を震わせる。
思い切り体力を酷使したせいか、どっと眠気がやってきた。 そういえばこのバカに寝てるところをいきなり起こされたんだった。
・・・・このまま眠っちまうか、なんて思っていたら。
「好きだ、 ・・・・銀時」
そんな声が聞こえた。
一瞬、聞こえてないフリ、寝たフリ意識を飛ばしたフリをしておこうかとも思ったけれど。
「そんなんとっくに知ってっぞコラ」 の返事の代わり、無言で掴んだ髪をぐいっと引っ張ってやったら、
「好きだ銀時」
もう一度同じ言葉で告げられて、ギュウッと抱き締められた。 苦しい。 無駄に力が込められていてきつい。
おまけに二度、言わなくても別に分かるのに。




でもまあ、 ――――いい。




















「というわけでだ、銀時。 俺は一旦また戻ろうと思うのだが相談がある」
―――?」




ぼんやりと明るくなってきた窓の外を眺めつつ、あーもー夜明けじゃねーか結局ちっとも寝てねーぞ眠ィ、
などと思っていたら、それまで布団の後方にてもそもそと帰り支度をしていた桂が改めて向き直ってきた。




「なんだよ」
多串くんとの顛末はさっききちんと話した。 今更改めて語ることなど(・・・・情事の後でもあるし) 特に別に何もない、と思うのだが。
桂はじっとこちらを見つめてくる。
そして何を言うかと思ったら。




「またあちらまで戻るに手持ちの路銀が足りん。 金を貸してくれ」




「ねェ。 歩いて帰れ」




頼まれたが即答、考えるまでもない。 きっぱり即断。 金はない。




「な・・・・」
「心底ねェ。 一銭もねェ。 むしろテメーに借りようかと思ってたくらいだ」
「そ、それでは路に迷ってしまうではないか」
がっくり肩を落とされ項垂れられても、大してココロは痛まない。 大体、最初から自分に金を借りようというあたりからして間違っている。
来るとき来られたんだから帰りだって来た道そのまま辿って帰れコラ、そう言いたいのを抑えて別方向に持っていく。
とりあえず今のところ、現状以上の面倒くさい会話はしたくない。 眠い。
「あーあーそのまま一生迷ってやがれ」
小さく欠伸を噛み殺しつつ言い捨てると同時、はたり。 自然と目が合った。
「何を言うか銀時」
「何だよ」
「お前と二人なら、路に迷ってもきっと楽しいぞ?」




「・・・・・・・・・・・・」




「銀時?」
繰り返すが、眠い。 この期に及んで面倒くさい会話はしたくない。
普段なら怒声混じりに一切合切全て否定してやるところだが、それさえやる気にならない。 だって眠い。
だからまたも込み上げてきた欠伸を今度は隠さず噛み殺さず、思い切り大きな欠伸をひとつ、堂々として。




「・・・・もうとっくにヒトとして道に迷いまくってんだろーが」




テメーも俺も。




そう返答してやったら、何故だか桂はとても楽しげに笑った。












別 に 手 抜 き を し た わ け で は あ り ま せ ん よ ・ ・ ・ ・ ? ( し か し 決 し て 目 を 合 わ せ ず )
あえて土沖とお揃いにしてみたんだよ!(笑)
甘くしすぎたような気もしないでもないですが(・・・・)、久し振りすぎてヅラ銀の書き方を半ば忘れかけてたというのが正直なところですトホホのホ! ←もう投げやり
そのおかげで全然桂さんが変態じゃなくって(は?)、自分でもちょっとばかし消化不良。
いつか、【真面目に痛々しい桂銀】 とかやってみたいんですが、そんな日は来るのか・・・・。