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※すでにベッタベタに引っ付いてる(・・・・) 前提でお願いいたします










この世には完璧な人間など存在しなくて、
だからどんな一流のヒーローだってどこかには必ず破れ目というものがあるはずで、
きっと誰しも皆、それをひた隠しにして懸命に繕って生きているのだと思う。 けれど。














たぶん二人とも、とっくの昔に気がふれている。

































「あの」


「んー?」


「・・・・いえ。 別に」


いつも通り(!) 予定通り(!!) 週末、二人してしけ込むのは何ら変わらず、虎徹宅。
あくまで予測で予想で願望ではあるけれど、きっと今夜は事件も事故も起こらない、
平凡平坦な夜の時間。
そこそこ遅いとはいえ、まだ深夜と呼ぶには微妙に早い、そんな時刻、
オヤクソク通り(!!!)、今週ももう若くない身体に鞭打って頑張って働いたご褒美(!!!!) とばかり、三十路のおじさんに誘われ宥められお願いされ、一緒に縺れ込んだベッドの中。
確か先週も先々週も、ほとんど自然と僕はここに居たような覚えが、
とバーナビーは思い返す。
思い出すに先週は、何もせず普通に(・・・・普通???) 揃って眠って朝方帰って、
そして更に思い起こせば先々週も。






























――――――――――― 先々週のこと。


特に不自然な素振りも何もなく、二人で帰途についた虎徹宅ロフト上、
むせ返りたくなるほど互いに絡み合い重なり合い、半ば気を失うような形で眠りに付いた数時間後。
窓の外の微かな音、風の音(もしくはブラインドが僅かに揺れた音だったのかもしれない) に、
ふとバーナビーが目を覚ましたのが最初だった。
「・・・・まだ2時半、か」
隣で軽く寝息を立てて虎徹が眠りこけているのを気配で感じ取り、
暗い部屋の中、すぐ枕元にあるデジタル発光時計に目をやれば先述の通り、夜明け前で。
どうせ虎徹はこのまま朝まで爆睡、
だったら自分ももう一度眠って体力を回復させようと、再度目蓋を閉じかけたのだが。
ふと、唐突に喉に強い乾きを覚えて。
確かどこかに、と、虎徹の部屋の中の何処かで見かけたミネラルウォーターのボトルを暗闇の中、
上半身だけを起こして見回して見渡して探してみるのだけれども、
視線の届く範囲内には見当たらなかった。
仕方なくロフト下に行って探そうと、虎徹を起こさないよう静かにベッドから身体を起こし、
まさか素っ裸で歩き回る訳にも行かないので床下に無造作に投げ落とされていた、
彼のグリーンのシャツを借りて腕を通し、それから階段を一段、下りようとしたその途端。


「・・・・ッ・・・、」


バーナビーの下肢の中、身体のずっと奥まったところに違和感、というか、
とある感触と感覚とを強制的に覚えさせられ、意識させられてしまった。
「・・・・・っ、」
自分の内部に残っていた虎徹の熱の残滓。
今日は今夜は今回は、いつにも増してやけに沢山求められて、かなり多く受け止めさせられて。
その分、二人の体力も限界で、揃って最後互いに熱を放ち終え、
バーナビーなどは崩れ落ちるようにして意識を飛ばしてしまったため、
シャワーを浴びるヒマも後始末をする余裕も一切なく。
従ってそのままずっと身体の奥に残って溜まっていた生暖かなそれが、
身体を起こして立ち上がって身動きしたその拍子、
ほとんど力が抜け切ってしまった最奥から、内腿を伝って幾筋か、
露わになっている足首の近くまで滴り落ちていく。
「・・・・・・!」
自分の身体ながら、滴るその残滓を途中で止めることも抑えることも、
弛緩したその部分ではほとんど不可能で、
まさか思ってもみなかったあまりの醜態に、
しかし情けないがどうすれば良いのかどうすることも出来ず、
無様な現状に全身から血の気が一挙にひいて行きそうな面持ちで、
白い筋の伝い落ちる感触に、肩を小さく震わせたのと、同時。


「スゲぇ・・・・眺めだな・・・・」


「な・・・・ッ!!」


背中ごし、後ろから突然すぎるほど突然投げかけられた、驚嘆混じりの声。
本当に、本当に驚いた。
「虎徹、さ・・・・」
反射的に思いきり驚いたあと、驚きは徐々に冷や汗と赤面に変わり、
それでもゆっくりと振り向いてみれば、
薄暗闇の中、ベッド上で上体を起こしてこちらを見つめている、三十路のカオ。
確かさっきまで高鼾で眠りこけていたはずじゃ、
いつから目を覚ましていたんですか、
そもそも何も僕がこんな状態でいるときにわざわざ声なんかかけてこなくたって、
見て見ぬフリを、気付かず寝たフリをしてくれたっていいじゃないですか、
と、滴り落ちる白蜜の感覚さえ頭の中から消え去って、
声にならない声でバーナビーがうろたえていたら。
彼は、おじさんは、
急ににんまりと面白そうな表情になって、あろうことか枕元のランプのスイッチをパチンと、ONにした。
「そんな格好で俺のシャツ着て、って、どんなサービスカットだよ?」
「・・・・ッ!」
ランプの明かりで充分に視界のきくようになった室内、
その中に浮かび上がる自分の脚、それを伝う白い筋が嫌でも目に入ってしまう。
加えて今更も今更だと自分でも思うものの、
虎徹の言うとおり、彼の緑のシャツ一枚だけで、他に何も身に纏っていない自らのあまりの状態に、
たまらないほどの羞恥心を覚えてしまい、声が出ない。
そんなバーナビーを差し置き、虎徹はつい先刻のバーナビーと同じようにデジタル時計に目をやり、
「まだ真夜中じゃねーか」
と小さくつぶやいた。
それから、再びこちらに視線を戻し、来い来い、と手招きをする。
「まーだ帰り支度には早すぎんだろ。 戻って来いって」
「・・・・・・・・っ・・・」
「バニー?」
「も・・・・」
「?」
「も・・・・、戻れる訳ないでしょう・・・・!?」
この、この状態でこの有様で、どうやってベッドに戻れというのだろう。
正直、どれだけ溜めてたんですか(・・・・) という量を内側に吐き出され受け止めさせられ、
それが生暖かな感覚を持って、股の間を伝い落ちる感触は限りなく嫌悪感に近いもので、
今すぐバスルームに駆け込んで、全て洗い流して落としてしまいたい気分でいっぱいだというのに。
「なんでだ? 別に今更シーツが汚れようと布団が濡れようと構わねーぜ?」
怪訝そうな顔で、そんな台詞を言ってくる。
「・・・・・・!」
これは何なんだ、
本心からそう思っているのか、
それとも茶化して言ってきているのか、
一体どう捉えればいいのか、
こんなとき、バーナビーは虎徹がよくわからなくなる。
だから本当に身の処し方がわからず、どうしたらどうすれば最善であるのか、
混乱しまくりの頭で一瞬、考えようとしたら。


「戻って来いってバニー、白うさぎちゃん♪」


「だから戻れる訳、・・・・・・て、白うさ・・・ぎ・・・・?」


同じ台詞をもう一度繰り返して、
その後、
虎徹が愉しそうに口にした単語を、意味がわからないまま復唱してしまって、


白うさぎ。


復唱してみたら、
やっと、その言葉の意味する隠喩がわかって。


「だ・・・・っ・・・、誰のせいだと・・・・!」


「ん」


「〜〜〜〜どうしてあなたって人は時々デリカシーが消滅するんですか!?」


あまりの気恥ずかしさに、思わず大声を上げてしまった勢いでまたもツツ・・・・、と新たな残滓が流れ落ち出し、
虎徹の眼前での醜態に、慌てて隠そうとするが隠せるはずがない。
「バスルーム、借りますよ!」
結局、白うさぎが赤うさぎになってしまいかねないほど耳のふちまで赤面しつつ、
咄嗟に身を翻して階段を駆け下りて、階下のバスルームに飛び込むように駆け込んで、何とかその場は終わったのだが。





ああそうだ、
だから、そんなことがあったから先週は断固として 『お預け』 を貫き通して、
残念そう不服そうな虎徹を(同じ部屋で眠りながらも) しっかり押し退けきった清い清い(???) 週末だったのだ。
しかし。
しかし一週経てばなんとやら、
気が付けばまたこんなふうに同衾してしまっているのが現況で、




――――――――― 僕は、




――――――――― 僕達は。




































「・・・・ッあ・・・・っ・・・」
ぺろりと胸を舐め上げられ、たまらず喉の奥から甘く掠れた声が漏れた。
いつもなら、この程度の刺激にはそうそう声など上げることもなかったはずなのだけれど、
思考を先々週の出来事にまで飛ばしていたため、思わず堪えることが出来なかった。
そんなバーナビーの胸元に顔を寄せながら虎徹は、頭上で聴こえた甘やかな声に目を細め、
一度舐めなぞった突起に再度吸い付きながら口を開く。
「どした? なんか気になるか?」
「・・・・・ん・・・ッ」
問いかけられ、ようやくここでバーナビーは回想から意識を現実に引き戻す。
先述通り、今は先々週以来久々(?) のベッドインで、
まるっと二週間 『お預け』 期間であったためか、
互いに帰宅前から暗黙の了解コースだったというか最初からどちらもそのつもりだったというか、
まだ夜も更けず、日付が変わるにはあと二時間以上も必要とする時間帯であるというのに、
おじさんの方から伸ばしてきた腕に、特に逆らうこともなく大人しくしていると早速誘われたこの情事。
浅く短いキスを何度か繰り返し終えたあと、
着衣を乱され脱がされて露わになった細身の身体、
特に上半身に愛撫を施されていた真っ最中だった。
であるにも関わらず、意識を別のところに向けていたバーナビーの様子に、
普段は鈍いくせ、こういう時に限って虎徹は珍しくも聡くいち早く、気付いたらしく。
「なーんか、あんま集中してねーよなぁ?」
「・・・・・そういう訳、じゃ・・・・、ッ・・・・!」
慌てて否定しようとしたバーナビーを宥めるかのよう、言いながら空いた片手で彼のしなやかな脇腹を撫で上げ、素早く腰骨のあたりまで手のひらを滑らせた。
そうして、この時点で早くもすでに僅かながら反応を見せ始めている、
下肢のバーナビー自身を掌中に収められ、
ゆるゆる擦り上げながら、捕らえて離さずにいた胸の突起を舌先で転がされて、
「ぅ・・・・あ・・・・っ・・・」
与えられる刺激に堪えきれなくなり、熱く甘い吐息が漏れる口唇が僅かに開かれると、
そのまま噛み付かれたかと思うほど、唐突に激しく口付けられた。
「ん、・・・・んん・・・・ッ・・・・!」
貪ってくる深い深いキスに、うまく息継ぎが出来ず、酸素が足りなくなり苦しくなってバーナビーがかぶりを振る。
だが虎徹は逃さず、しっかりと捕まえた舌を絡めたまま、
思うよう何度も何度も強く強く吸い上げ、思う存分に口腔を味わった。
「・・・・っ、ふ・・・・」
貪る口唇から時折漏れる、どちらの声か一概には判別も出来ないほど、くぐもった鼻声。
それに互いに煽り煽られつつ、長い長いキスを心行くまで堪能して、
口付けたまま虎徹は、継続して擦り上げていたバーナビー自身を心持ち強めに握り込み、
上下にしっかり擦りはじめた。 途端、
「んッ・・・・っあッ、あ・・・・・!」
激しく口唇を振り払うかの如くの勢いで、ビクン! と細腰が跳ね上がる。
たまらず熱の絡んだ声を零して反応するバーナビーに愛しさを覚え、
虎徹は寄せた口唇で、金髪の散る柔らかな耳朶に甘噛みを繰り返しながら、
みるみるうち熱を溜めて質量を増していく肉棒を丁寧に擦り上げ続けた。
「ぅ・・・・あ、あっ、・・・・っく・・・・」
「・・・・イイ声」
「ッあ・・・・ッ・・・!!」
鼓膜を震わせる囁きに合わせ、充血し色付く先端を絡めた指先でくいくい弄り回すと、
大きく身を震わせたバーナビーの腰が揺らぎ、指先が触れている部分からとろりと透明な蜜が滲み出始めた。
「・・・・も・・・・っ、い・・・・っ・・・」
何処よりも過敏に刺激を感じさせられてしまう部分への重点的な愛撫による快感を受け止めきれず、バーナビーは首を横に振ってそれを止めさせようとするのだが。
「・・・・二週間もお預けくらってたんだぜ。 そう簡単にやめられるわけねえって」
宣言のように耳元で囁かれ、それだけでより腰が大きく揺らいだ。


・・・・・この男の、こんな時のこの声音はあるイミ卑怯すぎる。


自分とくらべ、特に虎徹が余裕綽々、という訳ではない。 絶対にない。
むしろ鼻息が荒く、がっついているのは彼の方である。 のだけれど。
しかし時折こうやって、
(意識しているのかしていないのかは不明だが) 耳元で囁いてくる声は普段のそれより深く低く、
どこか掠れ気味で艶めいていて、それが至近距離から鼓膜を直撃してくるのだから、
思いきり直に腰に響く。
しかも、普段外ではほぼ見せない(当然といえば当然だが) 情欲に満ち満ちた感を隠そうともしないから、余計にタチが悪い。
なのに決してそんな卑猥な響きも嫌いにはなれなくて、
バーナビーとしてはただ少しばかり気恥ずかしいだけであって、
だけど先週の 『お預け期間』 はやっぱり虎徹さんの自業自得だと思います、
だなんて、ぼんやり思っていたら。


「っんぁ・・・・ッ・・・・!!」
突如、敏感この上ない先端を爪の先でくいっとこじられた。
「二週間分、きっちり可愛がりたくて仕方ねーんだって」
「な・・・・」
窪みの部分にそっと爪を挿し入れられ、
「やめ・・・・っ、うぁ、あ・・・・ッ!!」
抉るように引っ掻くように動かされて痛いほど感じてしまい、
そんな意地の悪い愛撫を仕掛けて来ながらも、自分にデレデレの空気を全く隠さずの虎徹に文句を言う暇もなく、
それ以上何も考えることも出来なくなりそうなほどの、激しい快感が全身を襲う。
小刻みにかたかた動き出した腰を宥めるように虎徹の扱いてくる動作が速まり、
じくじくと蜜の浮き出続けるバーナビー自身が、虎徹の手のひらの中で次第に粘着く音を立て始めた。
それは一度目の高みが近付いている何よりの証拠で、
「ッ、・・・・っ・・・・・・!」
噛み殺してもどうしても漏れてしまう熱い吐息の絡んだ声と、快楽に潤んだ表情。
未だ残る理性と羞恥心に、バーナビーは懸命に声を抑えようと努力はするのだけれど、
どこまでも可愛がりたい虎徹からしてみれば、そんな姿はより一層煽って乱れさせてみたくなるだけだ。
「おとなしくしててくれよな・・・・?」
まるで子供に言い聞かせるような口調で、虎徹はバーナビーの両脚を力技で左右に大きく開かせた。
真っ赤に色付いた先端は微かに震え、小さな孔からは切なげに透明なものが次から次へと浮かんでは湧いて。
「・・・・!」
自らが、直接虎徹の眼前に晒される羞恥に、嫌でも息を飲まざるを得ない。
いい加減そろそろ慣れてもいいシチュエーションなのに、いつまでたってもこの瞬間だけはバーナビーとしては苦手で仕方がなくて。
向けられる視線から、逃れるかのように首を傾ける。
けれど、もっともっとバーナビーを味わい尽くしたい虎徹が取った行動、は。
一旦、愛撫刺激を送る手の動きを止め、
先程までの愛撫でとろとろに濡れそぼり勃ちあがった彼の中心部から少し脇、
左右の大腿部の付け根部分からの地帯、いわゆる鼠蹊部と称される位置に視線を定め、
時間にして1、2秒の黙考後。
「な・・・・ッ!? ・・・・ッッ!」
「味見ってことで」
ちゅ、と初めは吸い付き、それからがじがじと軽く歯を立てていく。
直接的な性感帯ではないとはいえ、
そんな箇所に歯を立てられたバーナビーからしてみればたまらない。
先刻まで愛撫を受けていた自身が甘く疼いて仕方がないのに、
下腹部、しかもそんなところを強く弱く齧られて、
中途半端な快楽刺激と、それを大きく上回る恥ずかしさとで頭の中が真っ白になる。
「や・・・・やめ・・・・ッ!・・・・っ、ぅ・・・・ッ・・・」
「ぴちぴちだよなー」
「〜〜〜〜〜ばッ・・・・」
馬ッ鹿じゃないですかオジサン!!? と告げてやりたかった。
久々に、本気でオジサン呼ばわりをしてやりたくなったくらい、かあっと血が昇った。
けれど感覚に翻弄され、結局は最初の一文字しか音にならなくて、
しかし虎徹はバーナビーのその表情と、最初の一文字だけで彼の言いたかったことを悟ったらしい。
まあまあそう怒るなって、と小さく笑うなり、
上向くバーナビー自身をぱくりと口腔に咥え込んだ。
「―――んッ・・・・!」
待ちわびていた甘い刺激に、喉元を晒して大きく身悶える。
この時点ですでに弾けてしまいそうなほど膨れ上がり、張り詰めたそれを虎徹は丁寧に口内で包み込み、味わいながら隅々まで舌で舐め上げる。
「っ・・・・ッ、ぁ、あっ・・・・っ・・・・、」
舌の動きに合わせ、バーナビーの呼吸も荒く早くなっていく。
連なって身体全体も次第に汗ばんで、揺らぎを止められなく高みが程近い。
その証拠か、
「・・・・っん、ン・・・・!」
ほぼ無意識に伸ばされた腕、戦慄く指先が虎徹の後頭部に添えられ、その髪を掴んで絡み取り、
まるでせがむよう、ぐいぐいと引っ張ったり、押さえ付ける様子も見せたり。
彼の本意だろうと不本意だろうと、ねだられた虎徹の方はそんじゃお望み通りに、と這わせた舌先を根元から先端へ一気に舐め滑らせ、
辿り付いたそこを最後に心持ち強めに、蜜を搾り取るかのように吸い上げた。
「ぅあッ!」
バーナビーは、無論のこと吸い上げられた刺激に耐えられない。
ビクンと大きく腰を震え上がらせたあと、たまらず虎徹の口内に白蜜を放ってしまう。
「・・・・・・・ん」
それを虎徹はごく自然に口中で受け止め、そのまま嚥下して。
しかし咥えたバーナビー自身をまだ離そうとはせず、未だ口中で吐精後、
小刻みに震えているそれを丹念に舐め続けると、
「ッ、も・・・・っ・・・・」
戯れにも似た愛撫にどこまでも敏感に反応してしまうバーナビーが、
今度は確実に意志を持って虎徹の頭をそこから引き剥がそうとしてくる。
が、そんな抵抗にもならない抵抗、虎徹は最初から気に留めず、
構わずに二度、三度と全てを舐め尽くしてやって、終わりに先端をもう一度優しく吸い上げると、
声もなく仰け反ったバーナビーの身体が示したとおり、僅かに残滓が口中に吐き出された。


「そう、むくれんなって・・・・」
「・・・・・ッ・・・・!、」
吐精の余韻に、両肩で荒い息をつきながらも憤りを隠せないバーナビーの表情に虎徹は悪ィ悪ィ、と一応謝って、
それでも色々言いたいらしいが言葉にならない様子の喘ぐ口唇に、
怒られる前に塞いじまえと自らの唇を重ねて文句を封じたあと、
再び開かせた脚、その片脚を器用にひょいっと肩の上に担ぎ上げ、
奥まった箇所を蕩かす準備にかかった。
先程まで溢れていたバーナビーの先走りの蜜と自らの唾液とで指を濡らし、
未だ解き解されていない、最奥部にそっと指先を浅く挿し入れる。
「く・・・・っ、・・・」
たとえどれだけ慣れはしたと言っても、やはり最初は相応に辛いらしく、
抗いも止めもしないものの、バーナビーの身体には緊張が走る。
虎徹は少しでも早くラクにしてやりたくて、また上回る快楽を与えてやりたくて、
いつからか知り尽くした内部の悦ぶ位置、に狙いを定め、
挿し入れていた指を深いその場所まで一気に埋め込んだ。
「あ・・・・ッッ!」
深く貫かれた指によって受ける、身体への負荷が傍目にも浮かび上がって示すのは、
僅かに生理的な涙が滲んだ彼の目許。
それはどちらかといえば痛みというより、異物感から生じる圧迫感により近いもので、
どうやってもどこへも逃がすことの出来ない感覚だったのだが。
次の瞬間、虎徹の指が突いた箇所から、そんなことも何もかもを掻き消してしまうほどの痛いくらいの性感に襲われた。
「うぁ・・・・・ッッ・・・・!?」
指先が内部の弱いところを狙い定め、身体を仰け反らせるバーナビーに虎徹は遠慮なく、
周囲とは微妙に感触の違うその部分を転がしながら、押し上げていく。
「・・・・っく、・・・・ぅ、あ、あ・・・・!」
今更も今更ながらとは自覚しつつも、バーナビーは必死に快楽に支配された声を噛み殺そうとするのだが、内部から直接響いてくる快感は、とてもそれを許してくれそうにない。
まだつい先刻、一本目が埋められたばかりだというのに、
「もう一本、イケるな?」
「ひ、ッ――――――ッ!!」
逸る虎徹からぐっ、と二本目まで些か乱暴に埋め込まれてしまい、
あがる引き攣った声と、戦慄いて反り返る身体。
と、一度達したばかりのバーナビー自身が、内側からの刺激に敏感に反応し、
力を取り戻しかけていることに気付き、虎徹はコッチもな、とそれを素早くもう片方の掌中に収め、
全体的に柔らかく包んで擦り上げた。
「・・・・っっ! あ、・・・・ぅあ・・・・ッ!」
性感を覚え込まされ、どこまでも過敏になってしまっているバーナビー自身は過剰なほどに与えられる刺激を受け止めてしまう。
容赦なく追い上げてくる虎徹から与えられる、息をつく暇もない強烈な愛撫に、腰ががくがくと前後に揺れるのを止めることが出来ない。
あまりきついセックスは苦手、とするはずの自らの思考と意向とは全く逆に、
快楽を更に拾い上げようとする身体を
持て余しつつも、どうすることも出来ないまま、
「ん、う・・・・っ・・・っっ・・・」
内部に更に指がもう一本加えられて、全部で三本の指で内壁を揉むよう拡げられ弄ばれ、
その都度、虎徹の手の中で脈打つ熱がとろとろと蜜を流し零れさせて、温かい雫が落ちた。
「・・・・、っあ、・・・ぁっ・・・・!」
直接的な性感に、熱が一挙に高まる。
「もう・・・・イイ頃、だな」
手のひらに滴るバーナビーの雫をぺろりと舐めつつ、最奥で蠢かす指の動きは決して疎かにしないまま、虎徹はひとりごちた。
バーナビーの中はもう随分とやわらかくそして熱を帯び、
最初の固さは何処へやら、今ではすでに逆に虎徹の指に吸い付いて絡み付いてくるほどで。
「挿れる、ぜ」
「・・・・、っ・・」
快楽に蕩かされ、朦朧とする鼓膜にもその声が届いたのか、瞬間的に身体がヒクンと跳ねる。
虎徹は自ら上体を折り曲げ、バーナビーの胸元に一度ちゅ、と唇を落としながら埋めていた指をずるりとまとめて三本引き抜き、名残惜しげにひくつく入口に、自らの猛ったものを宛がった。
その熱さと感触に、思わず退きかける細腰をしっかり抑え付け、ゆっくりと腰を進める。
「・・・・・ぅ、・・・っ・・・」
受け入れに、痛みはほぼ感じていない様子ではあるものの、やはり多少の圧迫感だけは否めないらしく、バーナビーの眉が寄せられる。
自らを埋めていく虎徹が感じる彼の内側は、指で感じたそれよりも一層熱く、狭い。
「・・・・バニー」
締め付けてくる力も強く、もちろんそれは大歓迎! なことなのだけれども、
今はまだもう少しだけ緩めていて欲しくて虎徹は、勃ち上がったままの彼自身をゆっくりと優しく擦ってやった。
「あ・・・・、ぁ・・・・っ・・・」
紡がれる甘い愛撫に、思った通り、ゆるゆるとバーナビーの身体から力から抜けていく。
と、彼が吐息を零し終えた瞬間、虎徹は腰を打ち付けて自らを残すところなく、一気に貫き進め終えた。
「あ、ッ―――あぁッ・・・・!!」
奥の奥まで貫かれ、穿たれた衝撃に指先までが戦慄く。
なかなか消えない衝撃の余韻に身体を小さく震わせ、呼吸の落ち着かないバーナビーを気遣って虎徹はそれ以上は動かず、ひくひく蠢いて熱を溜めた内壁が、自らに絡んでは退いていくその感覚を味わった。
狭く、しかし蕩けた内側の粘膜は、いつ玩味してもまるで処女のように瑞々しくて。
「なんか・・・・毎度毎度、バージン頂いちまってるよーな気がすんだよな・・・・」
「・・・っ、な・・・・ッ・・・! あ、あッ!!」
苦笑混じりで向けた言葉は、当然ながらバーナビーの気には召さなかったらしいのだが。
怒号を飛ばすことも出来ず、埋め込まれた虎徹自身を軽く抜き挿しされて、
突然の強い刺激に身体全体を弓なりに仰け反らせ、悶えてしまう。
途端に強くきつく締まってしまい、
「ッ・・・・! もう少し加減しろって!」
つられて危うく引き摺られそうになり、慌てて自ら気を引き締めるが、それは自業自得というものだ。
「・・・・ま、うさぎの耳には、男根を切る象徴ってイミもあるとか何とかっつーコトも、どっかで聞いたしなぁ。 ホントかウソか知らねーけど、結構合ってるかもなバニー?」
軽く無駄口を叩いておいて、しかし言い返される前(・・・・・) に、
虎徹は一度最奥まで貫き通した自らを先端近くまでゆっくり引き抜き、
それから勢いをつけ、激しく奥まで再び突き上げた。
「ひ、ッ・・・・!!」
激しさあまって、バーナビーの目許に溜まった涙が落ちたのを切っ掛けとして、虎徹は本格的に腰を揺らし始めた。
「ぅあッ、あ、あ・・・・・っっ・・・・」
突き上げられるたびに、中で虎徹が動くたびに抑えられない声が漏れる。
本来ならそんな喘ぎ声、いつだって出したくなんてないのだけれど、
強すぎる快楽と、激しすぎる快感に無理に抑えでもしたら、すぐに窒息してしまいそうで自分ではもうどうにもならない。
「・・・・っぁ、・・・・ん、ぅ・・・・っ・・・」
奥まで届いていたそれが、ゆっくりと焦らされながら引き抜かれる感触とじれったさに、
ぞくぞくと背筋がわなないて、寒気にも似た疼きが全身を駆け巡る。
貫いては引き抜く動きを何度か繰り返した虎徹は、次は先端だけを使い、
ごく浅い部分のみで動きを重ね、湿った淫らな音を立てながらもやわらかく収縮するそこを掻き回し続けた。
「ぁ・・・・あ! っぁ、あ・・・・!」
バーナビーの下肢が大きく揺らぎ出す。
そんな姿に虎徹は軽く目を細め、
今度は心持ち、もう少し奥まで自らを埋め込んだあたりでバーナビーの弱い箇所を捜し始めた。
「・・・・・っ・・・!」
明確に前立腺を選んで捜す動きを見せ始めた虎徹に、
思わずバーナビーは息を飲む。
現時点でもかなり追い上げられてしまっているというにも関わらず、
これ以上、ダイレクトに快感を受け取ってしまうそんなところを直接、刺激されてしまったら。
「ッ、・・・・あ、」
なんとかどうにかそれとなく逃れようと、僅かに身を退いたり、
首を捩って身じろいだりもしてみるのだが、肝心の腰を中心とした下肢はとっくに虎徹に固定され支配されてしまっていて、
結局のところ、どうしたって大した抵抗にもなりもせず。
「虎徹、さん・・・・ッ・・・」
明らかに焦りの色を隠そうともしないバーナビーに、
虎徹は 「よしよし」 と優しく言いながら頭を撫でてやって、
しかしこの上なくワガママに、宣言。 というか宣告。
「言っただろーが。 二週間ぶり、なんだぜって」
「なっ・・・・、ぅ―――ああぁッッ・・・・・!!」
最後まで口にさせて貰えず、ぐいぐいっと正面から弱いポイントを強く強く突き上げられて、
もちろんそれだけで済むわけもなく、突き上げられたままぐぐぐと強く容赦なく、先端で擦り上げられる。
「ひあ、あッ!!」
あまりの強すぎる快感、受け止めきれない性感に意識が一瞬、飛びかけた。
虎徹は本能的に逃げ、退きかける細腰を引き戻し、
更なる快楽に連れ込もうと、ずっと手の内で包み込んでいたバーナビー自身の、絶えず蜜を溢れさせているそこに指を絡ませ、音を立てて扱く。
「・・・ぃ・・・っ、あ、あッ・・・・! く・・・・はッ・・・・!!」
内側からと外側からのたまらない快感に、もう声も気にしてなんていられない。
そんなことも意識からふっ飛んでしまうくらい、今は濡れた音が打つ鼓膜の振動すら、気持ちよくて。
「ぅあ、ぁ・・・・ぁ・・・・ッ、んく・・・・ッ!!」
身体ががくがく痙攣でも起こしているかのように震え、今にもおかしくなってしまいそうな錯覚に捕らわれてバーナビーは必死で虎徹にしがみ付き、その間も弱い箇所を中と前と同時に激しく愛撫され、
限界近い身体は急激に急速に絶頂に向かう。
「・・・・・バ、ニー」
「ッ、あ・・・・・!」
締め付けに虎徹も早々に追い上げられ、と同時、バーナビーが大きくかぶりを振る。
虎徹は自らも荒く激しい呼吸の中、捕まえたバーナビーの顎を固定し唇を重ねて吸い、
その上体のまま、激しく腰を使って突き上げた。
「んッ・・・・ん! ぅ、あ、・・・・――――ッ!」
塞がれている口唇から、それでも抑えきれない声の欠片が零れ落ちる。
貪りあう呼吸は互いに忙しなく、揃って切羽詰って。
「あ! あ、あッ・・・・・も・・・・・ッ・・・・!!」
大きく首を振り、唇から逃れた勢いでしがみついていた虎徹の背中から腕が外れ、
それでも何か掴むものが欲しくてぎゅうっとシーツを握り締め爪を立て、バーナビーは絶頂を告げる。
吐精が迫り、それが下半身に力を込めさせて自然、中の虎徹自身を強く締め付けた。
「マ、ジ喰いちぎられそ・・・・」
冗談めかしながらも虎徹も、最高の締め付けに息をのみ、引き摺られそうな刺激を懸命に堪える。
そうやって耐えながら、今にも弾けそうになっているバーナビー自身の先端を、
握り込んだ手の親指の腹を使ってくるくると円を描くよう刺激してやり、最奥を激しく乱暴に突き上げた。
「―――ッ、あ、あぁぁ・・・・・ッッ!!」
と、即座にバーナビーは絶頂を迎え、熟れた自身から白蜜を噴き出していく。
それと同時、同じくらいに熟れきった内壁が全て搾り取ろうと虎徹自身に絡み付いて、
「う・・・・、ッ・・・・!」
いざなわれるまま、虎徹は吐息に続いて零れそうになった自分の声をかき消そうとするかのよう、
もう一度最後にバーナビーの口唇を唇で塞いだ直後、内部に欲を吐き出した。
































「・・・・・・・、」
目が覚めたあと、やはり、やはり今週も先々週と似たような状態で、
必死に下半身に入れたくもない力を入れながらバスルームに駆け込まなくてはならなくなってしまった顛末に、バーナビーは半ばふて腐れ、ベッドの中、隣で悠々自適に濡れた髪をゴシゴシとタオルで拭いている虎徹を恨む。
そりゃ確かに、中でならシーツは汚さなくて済むし、一理のメリットはあるとは言えるのだろうけれど、
それを言うならそんなところでちょっとやそっとセーブしてみたって、
とっくにシーツ自体はそうなる前にいつだって彼のものではなく自分のいろいろなもので(・・・・)
汚して乱してしまっているうえ、結局どちらにしろ互いの体液の跡は色濃くベッド上に残ってしまっているのだ、はじめから。
・・・・・・せめてゴムでも使うとか、
と思わず小声でぼやいてしまったバーナビーに、虎徹は。
「やめとけ! 世間にカオの知れまくってるお前がそんなもん買ってたら、それこそ大スキャンダルになっちまうっての!」
「どうして僕が買うって前提なんですか・・・・」
調達してくるのは虎徹さんに決まってるでしょう、と思いきり呆れつつ、
「、そもそも」
改めて向き直る。


「・・・・そもそも、どうして僕がいつも抱かれる側に回ったのかさえ、いまだに不明であやふやなままじゃないですか。 逆だって別に・・・・」


「いや・・・・バニー、それはまた・・・・」


お前今更ナニ言い出すんだ、と三十路が目を瞠るが構わず、


「僕が上だって何等おかしくはないはずなのに、どうして最初から・・・・」


ひとり黙考モード、思索状態に入りかけたウサたんに虎徹はボソリと。


「そりゃあ、タイトルからして 『TIGER × BUNNY』 だからなあ」


「〜〜〜〜〜〜〜 『TIGER & BUNNY』 です!!」


反駁しながらも、
たぶん、この人懐っこくて明るいオジサンは、年不相応にクダラナイやりとり、
他愛無い言葉の応酬が大好きなのだろうとバーナビーは思う。
そう、ぼんやり結論づけたら。


「先にスキになった方がいろいろ頑張るのは世界の常識だろーが」


だからいろいろバニーちゃんのお気に召すよう頑張ってるつもりなんだけどなあぁ、と、
思いきり軽い口調だったけれど、なんとなく本気、
そこはかとなく真面目な響きがそれには含まれていて、
でも何だか素直に頷いてやるのも、おとなしく受け取ってしまうのも少しばかり悔しかったから、


「・・・・・・でも、本気になったのは僕の方が先です。 たぶん」


この一言は即座に封印して、伝えてなんてやらなかった。
そんなことしたら、余計、余計余計より一層、オジサンをただただ調子に乗らせてしまうだけだ。



































世間の平和と自分たちの平穏とを守るには、
少しぐらい気がふれているほうが、いろいろ割り切れて耽溺できてラクで良いのかもしれなかった。








だから僕は、
僕達は、








いつからかはじめから、とっくのとうに気がふれている。












今頃、気付いた。













市川様がリクくださったのは、「エロ」でございました。
エロはエロでも、なんかありがちまくりなネタで申し訳なく・・・・不甲斐なく・・・あががが