[ うさみみ、はいりました ]


これはメルヘンです。 メルヘンなのです。
だからどんなご都合主義展開! だとしてもメルヘンだから構わないのです(笑)







朝、バーナビーが目を覚ましたら、いつの間にか頭から、『うさみみ』 が生えていた。




だからといって当初から感覚的に違和感があった訳ではなく、
本人がそのことに気が付いたのは自室から出て、洗面所で鏡を見たときで。
「・・・・え?」
最初は、誰かにイタズラを仕掛けられたのかと思った。
(誰かに、ってその誰かとは大体にして一人しか思い浮かばなかったのだが)
うさみみのヘアバンドでも装着されたのかと思った。
だけれどよくよく思い返してみれば、昨夜は一緒に居た訳でも寝た訳でもないうえ、
シャワーを浴びて髪を洗って、ここ数日何だか微妙に身体が疲れていたから、
さっさとそのまま一人で眠ったのだ。 確かその時にはこんなものは、絶対に生えていなかった。
「・・・・・・・・・・・」
(もしかしたら寝起きで半分、寝ぼけていたのかもしれない) あまりの現実感の無さに、
自らグイ、とその白い、長い耳を無造作に引っ張ってみる。 少し痛い。
「・・・・・・・・・・・」
もう片方も、グイグイ、と引っ張ってみた。 やはり引っ張ると痛い。
痛い、ということはやはりくっ付いているのであって、自分の身体から頭から生えているという証拠で。
「・・・・・・・・・・・!!!!」
眠気も覚め、一挙に現実とうさみみという非現実が押し寄せてくる。
とりあえず、
とりあえずこのうさみみを何とかしないとどうにかしないと、
そもそも突然、どうして僕にこんなものが、
こうなってしまっているのは一体自分だけなのか、
それとも他にもこんな症状が世間では多発しているのかどうなのか、
半ば軽いパニックに陥りながらもそのあたりを解明しようと、慌ててリビングに戻り、
テーブルの上の端末に触れようとしたところで。
携帯が、鳴った。
























「〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!」
「あざといくらい、見事なうさみみだわ・・・・」


三十分後、
揃ってバーナビー宅を訪れたのは虎徹とネイサンの二人。
先程の携帯も虎徹からの着信で、
ネイサンと朝まで飲み明かし、近くまで来たついでに手土産持っていくからお前も迎え酒に付き合えよ、というオッサンの誘いを、
「それどころじゃないんです!」
一息ではねつけて、
「とにかく! 近くに居るなら二人とも今すぐ来てください!」
と、理由も説明しないまま強制的に呼び付け、
「・・・・なんだ?」 「ナニかしらねぇ?」 と揃いも揃って頭にクエスチョンマークを浮かべながら、二人が玄関のドアの前にやってきた直後、
そーーーっとドアを開け、中に二人を招き入れたバーナビーの 『それ』 を見た二人の反応が最初のあれである。
言葉になっていない方が虎徹、であるのは明白の理、
ちなみにこれは爆笑と萌えと萌えからくる悶えが等分(・・・・) であるらしく、
直後、ダッと部屋の隅に走り去り、角の壁に向かって頭を抱えながら、
「落ち着け、落ち着け俺、」 とか、
「なんだありゃ、神様からのプレゼントか・・・・?」 とか、
「にしてもベタすぎるだろ!」 とか、
何か色々ブツブツ呟いているのだけれど、バーナビー(※うさみみ付き) からしてみればそれどころの話じゃない。
そんな虎徹は放っておいて、
たぶんこんな時、虎徹の1000倍くらいは頼りになる(と思う) ネイサンに 「朝、目を覚ましたら・・・・、」 と必死でイチから説明を始める。
が、説明といったって本当に 「朝、目を覚ましたらこうなっていた」 もうそれくらいしか話すことがなく、
加えて他にわかることも一切なく、完全お手上げ状態、と深い深い溜め息を吐いたら。


さわ。
さわさわ。


「ッ!!?」


オカマに、尻を撫でられた。


「なッ・・・・何するんですか!!」
「そーだ! バニーは俺以外おさわり禁止!!」


尻を撫でられた感触にバーナビー(※うさみみ付き) が反応して声を荒げるのと、
続けて虎徹が犬も喰わない・・・・否、オカマも喰わない台詞を吐くのとを、
ネイサンは 「黙らっしゃい!」 と一言で片付けて。
「ふうん・・・・うさぎのしっぽは生えてないのね・・・・」
現れたのはうさみみだけなのよね、と事実をしっかり確認、そしてそれから。
すうっ、と息を吸って、ゆっくりと丁寧に、おもむろに。


「・・・・由々しき事態よ、コレは」
と、告げた。


「な、何がだよ・・・・」
「・・・・・・・・・・」


そんなネイサンの様子に、虎徹とうさみみバーナビー、二人がゴクリと唾を飲む。
彼女(・・・・彼?) は、二人を交互に見据え、それからバーナビーのうさみみに視線をチラリとやって、「アタシ、聞いたことがあるわ」 と前置いてから宣言するよう。


「このままだとアナタ、本物のうさぎになるわよ」


「はあ!!?」
「な・・・・っ・・・」


二の句のつげないコンビふたりに、炎の姐さんは記憶を懸命に辿りつつ。
「・・・・確か、どこかで聞いたことがあるの。 そのウィルスに感染すると、そういうモノが出現するって。 で、そのまま放っておくと、最終的にはそのまま本物のうさぎになっちゃう、て言われてたはずよ」
「ウィルス・・・・」
「本物の、って・・・・」
呆気に取られる三十路と、呆然とする若造。
そんなバカな、そんな話は有り得ない、と普通なら普段なら誰もが思うのだと思う。
特に通常のバーナビーであれば頭から否定、
1ミリたりとも信じたりはしないはずの話であるはずなのに、やはり自らに降りかかった災難、
実際に自分からうさみみが生えてしまっている、という事実と現実とが交互に襲ってくるためか、
やたらとおとなしい。
逆に仰天しているのはむしろ虎徹の方で、
「なんだそりゃ!? バニーがうさぎ!!?」
どうしたら治るんだこの病気はおい教えてくれ、
バニーがふごふご鼻先動かすうさぎになっちまったら(ソレはソレで可愛いかもしんないけど) 困るんだってマジマジで、
お前なら治しかたとか勿論知ってるハズだよなファイアーエンブレム、
と、切羽詰まってずいずい寄ってくるのを、
「落ち着いて、とりあえず落ち着きなさい大丈夫だから!」
まったくコレだから過保護のオジサンは、とやっかみ半分、呆れ半分でネイサンは押しとどめ、
もう一度、再び息を深く吸って。 これまたゆっくりと、一言一言。


「ヤれば治るわ」


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」」


ダブル 「 」 になっているのは、虎徹とバーナビー、二人同時に声を発したからである。
あらまあ能力も同じなら、こんな反応までシンクロしてるのね、と感心しながら、ワンモアタイム。


「エッチすれば、簡単に治るわよ。 これが治療法」


「そ・・・・そんな話、ある訳が・・・・!」


ある訳がない、いくら何でも信じられません! と、
うろたえながら混乱するバーナビーに、ふううと姐さんは信じろこのガキャ、と溜め息をついて。
「ウソだと思うなら、別に信じなくてもいいけど。 でも、明日の朝には今度は前歯が伸びてるわよ、間違いなく」
それはイヤでしょ? と暗に脅しをかける。
そうして更に、記憶を辿って追加説明を。
「まあ、つまりは不要物である排泄以外で、体液をたくさん排出しなさいってコトなのよね。 血とか汗とかでもイイのかもしれないけど、血液じゃ命にかかわっちゃうし、汗だってそうそう出せるものでもないし、いくらアナタが泣きまくる主人公だとしても、涙なんてホント、体液からしてみたらスズメの涙だしねえ」
ちょうどココにタイガーが居るワケだし、グッドタイミングナイスタイミングじゃない、と意味深、
しかしあっけらかんと。
「て、コトでアタシはそろそろ、おいとまするわ。 それとも、見物していってイイ?」
最後は冗談めかしてそう締めて、これまた二人揃ってぶんぶんぶんと首を横に振るのを尻目、
「それじゃ、ちゃーんと頑張ればエッチの後にはきっとそのうさみみ、消えてるハズよ♪」
と言い置き、あまりの展開(・・・・・・) に未だ追い付いて来れていないタイガー&バニーを置いて、
「じゃあね」
長身を翻し、投げキッスと共に彼(彼女) は出て行った。












一方、残された二人はしばし唖然、
わずか呆然、
事実に愕然、
しばらく無言、でいざるを得なかったのだが。












「・・・・・・・・・・・・・・虎徹さん」
「お、おう」


うさみみ付きバーナビーは、微妙に顔と視線を伏せつつ。 ついでにうさみみも心持ちへたり気味で。
一方の虎徹は、あからさまに(期待して?) まごつきつつ。


「・・・・僕は、まだうさぎになりたくありません」
「・・・・ん。 俺も困る」


「・・・・お願いしても、いいですか」
「・・・・何を今更。 いーじゃねーか、フツーにイチャイチャしてたら治った、ってコトで」




ああ、結局。 こうなる。






































「・・・・・・・・あ」
マンションの外に出て、三メートルほど歩いてからネイサンは気付き、立ち止まった。
「そのウィルス、ちょっとシャレにならない催淫効果も併発するのよ、って伝えてあげるの、すっかり忘れちゃったわ」
でもまあ、当の本人は若いんだし大した問題じゃあないわよね、
頑張りなさいよワイルドタイガー、とさらりと流し、
一応その内容を携帯から軽くメールして。
今日は何も事件も起きず仕事も入らないことを祈って願ってあげる、
万一そうなっちゃったとしても、何とかフォローしてあげとくけど、
でもこの貸しは高いわよと小さく微笑んだ。































「・・・・少し、暑くありませんか?」
「そっか? 俺ぁ適温だけどな」
「空調はきちんと稼動しているはずなんですが・・・・」
「動いてる、ぜ。 いつも通り」
「それじゃ僕の気のせいですか・・・・」




そんな会話をだだっ広い寝室、綺麗に整えられたベッドの上、
オイオイこんなキレイなシーツとかマットとか汚しちまって平気なのかよ、
そういやいつもエッチする時は決まって俺んトコでだったなと虎徹は思いつつ、
しかし背に腹は代えられないバーナビーの悲壮(?) な決意(??) は本物のようで、
程よく効いたスプリングを僅かに軋ませながら交わしたのは、
『結局。 こうなる』 から経過すること三十分後。
今朝方まで飲み明かしていたため、
アルコールを抜くためシャワーを借りて速攻で汗と汚れと酒気を流し落とし、
未だ落ち着かないバーナビーの頭をうさみみごとぽんぽんと撫でてやって、
「シャワー浴びながら気が付いたんだけどな」
「・・・・え?」
「体液、っつーならアレだ、つまり、何かオカズにして、その、アレだアレ、自慰って手もあるっちゃあったんだよなあ」
「・・・・・・・・!!」
「そういうドリンクか何かグイッと一発飲んで、頑張りゃどうにかなりそうなモンだろ」
「・・・・・・・・!!」
「って言っても、俺はもうその気まんまんだし、この期に及んでお前がそうするっつっても遅ぇけどよ」
ぽんぽん撫でていたうさみみバニーに、悪戯っぽく笑いかけながら、
耳、外側は白いけどやっぱ内側はピンクなんだな、見れば見るほどホンモノみたいだよなあ、
と感心しながら呟いてひとりごちて。
一方でうさみみバーナビーの方はといえば、引き続き普段とは少し違う気がする自分の体温に対し、
一度は空調が不具合でも起こしているのではないかとも訝ってみたのだが、それも違うようで。
そうなると、自らの気のせいだという結論を導き出さずを得なかったのだけれども、
やはり少しおかしい、と再び思い始めたのは、
うさみみを撫でる虎徹の手指をやたら熱く感じてしまっているのを切っ掛けとして、
本格的に変だ、と気付き始めたのは、それからもう2、3分してからのことだった。




「?、」
まだ午前中、しかもそこそこ早い時間。
こんな時刻からどうしてこんんな状況に、とぼんやり思いながら、
背中を毎晩慣れきった自分のシーツの上に軽く押し付けられ、
そこそこ手際よく着衣を剥ぎ取られていきながら、はだけられていく首筋と鎖骨のあたりにかけ、
丁寧な口付けを受ける。
これは虎徹のクセのようなもので、Sexの際、いつもされる行為、
それなりにとうの昔に慣れたはずの愛撫。
だからこんなことはいつものこと、いつもと以前とほとんど変わらぬ同じ愛撫であるはずなのに、
何故だか今は違った。
「あ・・・・!」
繰り返し、幾度となく首筋に落とされるキス。
ただそれだけのことなのに、一度唇が触れてくるたびにその箇所が疼き出し、火照ってくる。
しかも通常の火照りという感じではなく、自分でもうまく表現するのが難しいのだけれど、
いわゆる、蓄積していく熱。 それでいて、何かどこか普通の熱じゃない。
下半身に直結する昂ぶり、といえば一番近いだろうか。
けれども、いろいろな箇所にキスを受けながら、しかしまだどこか気のせいだという思いも捨てきれず、
バーナビーは少しだけ躊躇する。
しかしそう思いきるには、身体はやはりやけに熱くて、
その上。
「・・・・ッ!」
僅かに虎徹に触れられるだけで、ぞくりぞくりとその部分が粟立つような、
まるで身体の中でも際立って過敏な箇所に触れられたのと同じくらい、それくらい感じてしまう。
普段ならこの程度なら本当に戯れ、くすぐったいです虎徹さん、というあたりであるはずなのに。
一体どうして、どうなってるんだ、
と乱されていく思考でどうにか答えを見つけ出そうとしていたその時。
「あッ・・・・!?」
虎徹の手のひらが露わになった胸元を滑り、
その指先がまだ薄い胸の肉粒を僅かに掠めた。
瞬間、声をあげてしまったバーナビー自らも信じられないほど、全身が大きく反り返って。


「バニー?」
そんな過敏すぎる反応を起こしたバーナビーに、虎徹も怪訝に思う。
訝しげに、一旦、触れていた手を離し、その顔を覗き込む。
「、・・・・っ! ・・・・?」
と、虎徹が見て取るに、当人であるバーナビーの方も現状を理解しきれていないらしい。
「どっか痛いか? それとも苦しかったりすんのか?」
虎徹の真剣な問いに、
「い・・・・いえ、そういう訳、じゃ・・・・」
即座にそう返事をしてくるものの、その様子からしてみたって、バーナビーの何か様子がどこか決定的におかしいのは明白だ。
とは思いながらも、「大丈夫、です」 と告げられ、
それ以上はあまり追求できずに胸元への愛撫を続行させるかたちになった。
つつ、ともう一度滑らせた指先で、特にバーナビーの弱い左側、心臓に近い方の肉粒の上を二度、三度と往復させ、それから軽くきゅっ、と摘まみ上げる。
と、それだけのことでもまた、大きく胸元が跳ね上がり、小さな声が漏れて。
やっぱり今日のバニーは何か違う、
けどウィルスで苦しい辛いしんどい体調が悪い、って感じじゃねーんだよな、と首を傾げつつ、
そのまま肉粒に唇を這わせ、舌を使って硬くそびえ立ち始めたそれをぺろりと一度舐め上げると、
「〜〜〜〜ッ」
反射的なのか、バーナビーは虎徹を押しとどめようと、虎徹の頭に手をやり止めようとしてくる。
が、構わずに舌先でころころ転がしてやる。
「んッ・・・・ぅ、あ・・・・っっ・・・・!」
たまらず漏れる甘い声と、
舌から逃れようとして身じろぐバーナビーの細い身体。
うさみみは、左側だけぺたんと途中から折れて垂れて、ぴんと立ったままの右側だけが気丈にも小刻みに震えている。
そんな光景を時々上目使いで眺めつつ、虎徹は執拗に胸元を攻めていく。


「ッ・・・・、っく・・・・」
その間、バーナビーは何とか声を抑えようととにかく必死だった。
まだ前戯も前戯、の段階であるのに、こんなに感じてしまうなんて有り得ない。
勿論、普段だって愛撫を受ければ声だって漏らしてしまうし、乱れてしまう。
けれど今はまだ、直接的に性感に敏感な箇所に触れられたわけでもない上、
首筋から鎖骨、そして胸に口付けられたというだけであって、
ここまで懸命に声を我慢しなければならなくなったことなんて、初めてだ。
「あ、あッ・・・・っ・・・」
虎徹の熱い舌に胸元を弄ばれ、軽く吸い上げられるたびにビクビクと堪えられない快楽が背中を伝って、下半身まで走り抜ける。
しかしそれを、そんな状態に身体がなってしまっているということを、何故だか虎徹当人には知られたくなくて、口唇を噛み締めてバーナビーは必死で喉の奥からの嬌声を抑え込んだ。
「・・・・っ、は・・・ッ・・・!」
でも、抑え切れない。
甘苦しくて、息を吐こうとするたびに余計に熱が溜まる。
与えられる胸への愛撫とあいまって、何がなんだかもうよくわからない。


「・・・・・・?」
虎徹は、そんなバーナビーの姿にやはり、疑問を抱く。
声を殺そうとしているのはわかる。 バーナビーの場合いつだって、最初はそんな感じだ。
けれど、今この状況ではまだ胸を少し弄っただけなのに、すでに息も絶え絶えというこの状態。
現段階でこんな姿を晒すなんて、
やっぱウィルスで重症なんじゃねえか、病院行くか、と真剣に問いかけようと顔を上げたとき。
ベッドの上に放り捨てた自分のシャツ、胸ポケットから七割方はみ出していた携帯、
メール着信のランプがキラリと光ったのが見えた。
手を伸ばせば届く位置だったため、ほとんど条件反射で手に取って開いてみれば、
ネイサンからの一言メール。


『ウィルスに発情効果アリ(※ハートマーク)』


・・・・もしかすると。


・・・・もしかしたら。


その一文で、虎徹は一瞬で理解する。
今のバーナビーの様子を見るに、
どうやら、
どうやら、
そのせいでこんな状態、 ・・・・間違いない。
この事実に虎徹は僅かばかり驚きながらも納得し、それと同時、
こうなったら頑張らねぇとな俺、と苦笑する。
これはもう、ウィルスを出し切る(・・・・) まで何とかしてやらねーと、と決意を固める反面、
「・・・・心配すんなって、バニー」
不安げなうさみみバーナビーに、低い囁きを送ってみたりなんかして。
しかし、バーナビーに今の身体の状態もウィルスが原因だと伝えてやらないあたり、
おじさんは少し苛めっ子モードに入っていたのかもしれない。
そんな自覚もしっかり承知しつつ、虎徹は胸元への愛撫を繰り返していく。
まだ触れずにいた右側の肉粒まで指先で転がしながら、
ずっと捕らえて離さずにいた左側も、何度も舌先で弄ぶ。
「・・・・ッ・・・く、ふ・・・・っ・・・」
それだけで、バーナビーは大きく身体を仰け反らせ、甘い声を漏らした。
受ける虎徹の愛撫は普段と変わらないのに、とにかく熱い。
身体中に溜まった熱は上半身だけでなく、いつの間にか下半身までをも包み込み、蓄積されてまた違う欲を生んで。
「――――― んぁッ・・・!」
ちゅっ、と唐突に肉粒をきつく吸い上げられ、反射的に背中が仰け反った。
その反動で、虎徹の方に密着して差し出されるような体勢になってしまい、ますます愛撫しやすくなったその胸を、虎徹は更に丹念に味わい続ける。
唾液に濡れて赤く光る肉粒に軽く噛り付いて刺激を送り、
ともすれば滑ってつるりと逃げてしまうそれを、くすぐる動きで舐めまわしてきて。
「あ・・・・あっ、やめ・・・・ッ・・・・」
じれったい、しかし今のバーナビーにとっては強すぎる快楽刺激。
たまらず腰ががくがく震え出す。
と、何も知らずに翻弄され続ける本人よりも、
ネイサンのメールで現状をきちっと理解している虎徹の、少し意地の悪い手が全てを見越して、
胸元からするりと脇腹と腰骨のあたりを経由し降りてきて、
とうに息づき硬く屹立を見せていたバーナビー自身に触れてきた。
「―――――――― ッ!!」
途端、声にならない声を上げて跳ねあがる細腰と、
触れたと同時にとろりと透明な蜜を大量に溢れさせ、零れ落とさせた自身の先端。
そういう症状とはいえ、あまりに顕著な反応に虎徹も目をみはりながら、
「っあ・・・、あ、あぁ・・・・ッ・・・」
手のひら全体で包み込み、根元から先端までを一挙に全体的に扱き上げてやると、
まだ羞恥心が残っているらしく、手で抑えた口許から堪えきれなかった声が聞こえた。
虎徹は空いている方の手で、その手をやんわりと引き離させる。
「大丈夫だから。 任せとけって」
「・・・・っ・・」


そう妙に自身満々で言われても、無論のことバーナビーとしては素直に聞ける訳がない。
「・・・・嫌です」
と首を小さく横に振り、もう一度口許を覆うため、手を持って行こうとする。
が、寸前で虎徹は無言で制止、
まるで能力でも発動したんじゃないかと思うくらい素早く、そして強引にバーナビーの両手首をまとめ、簡単に片手でベッド上に押さえ付け、
「任せとけって言ったろ?」
自由を封じてから再び、彼自身への愛撫を開始した。
「なッ・・・・!? 嫌、だ・・・・っ・・・・!」
僅かに虎徹が手指に力を入れた瞬間、
どうにもならないほど感じてしまっている先端からとぷ・・・・、と先走りの蜜が大量に零れ出てしまったのを自ら感じ、自身を伝って落ちる生暖かいその濡れた感覚にさえも反応をしてしまって、
たまらずバーナビーは虎徹の手から逃れようと、身を捩らせる。
けれどこんな態勢と身体の状態でては最初からそれも不可能、
「・・・あ、あ・・・・ぁ・・・っ・・・!」
一撫でごとに過敏さを増す自身を擦り上げられるたび、
しゃくりあげるかの如く喉から湧き上がってきてしまうのは言葉でも何でもなく、
ただ追い上げられていくことを示すだけの声で。
「も・・・・う・・・・っ、ぁ・・・・ッッ・・・」
どうしてこんなに感じすぎてしまうのかも判らないまま、
次第にくちゅくちゅと淫猥に濡れた音が響き始めるけれど、
もうそんなことにも構ってなんていられない。
それでも頭の中では、脳裏では、襲い来る快楽から強過ぎる快感から逃れようとこらえようと、
そして何とかこれ以上、淫らな姿を虎徹にも曝したくないというのに、
彼の手から紡ぎ出されてくる甘い甘い快楽に、脳髄まで灼かれそうになる。
「あ・・・・っ、あ・・・・!!」
切なくかぶりを振っても、虎徹は捕らえたバーナビー自身を離してはくれない。
絶え間なく与えられる自身への刺激に、下半身が溶けていきそうな感覚。
それだけでももう限界を迎えようとしていたのに。
「ひ、ッ・・・・!!」
戯れ、とばかり透明な蜜を溢れさせる先端をくいっと指の先で撫でられて。
過敏すぎた先端はあっという間に追い詰められ、
バーナビーの意思も何も構わずに身体だけが反応し、
目の前が眩むような刺激が下半身を通り抜けたあと、気づけば一度目の欲を虎徹の手の内に放っていた。




「さすがに一回じゃ消えねーか・・・・」
「・・・・っ・・・、・・・・・」
直後、まだまだ健在!な 『うさみみ』 をまじまじと眺められながらそう言われても、
バーナビーは何も答えられず、荒く乱れた息のもと、ただ呆然とする。
どうして、
どうして今日に限ってこんなふうに、と未だ理解出来ていない。
しかし虎徹の方はと言えば、そんな姿すら可愛くていとおしくて、
そうなったらもっともっと感じさせてみたくなってしまって(どちらにしろそうさせなきゃならないのだ)、
まだ呼吸も収まらないみみ付きバーナビーの体勢をころりと簡単に変え、両脚を大きく抱え上げた。
「・・・・っ!?」
当然、取り乱したのはバーナビーの方だ。
つい今しがた達したばかり、
しかも半端なく鋭敏になってしまっているその箇所に口付けようとしている虎徹の行動に、
「ま、待ッ・・・・・! まだ・・・・!」
慌てて虎徹の頭を引き剥がそうとする。
が、
「出さなきゃいけねーんだろうが」
優しく、けれどきっぱりと言い切られてしまい、
「そ・・・・、んな・・・っ・・・・、――――― んぁッ・・・・!」
真っ赤に色づいた先端に容赦なく吸い付いてきた暖かな唇に、悶えて次の言葉を失う。
濡れた粘膜に包まれる感触だけで、かたかた震え出す細腰。
なのに、虎徹は更にバーナビー自身を追い詰め追い上げようと、
舌と唇で一層強く刺激を与え始めた。
「・・・っふ、あっ、ぁ、うぁ・・・・・っ・・・・」
弾力を持った熱い舌が自身を這い回り、ちろちろと弱い裏の部分をなぞっていく。
「あぁ・・・・ッ!!」
と思えば、唇全体で軽く吸い上げられ、全体を絞り上げられて腰が跳ねた。
続けられていく虎徹の口淫。
是が非でも止めたい、やめさせたいはずだったのに、
快楽を積み重ねられていくにつれて、何も言葉も出て来なく、身体に力も入らない。
もうそれどころか、揺らぎ始めた身体は更なる欲を与えて欲しいと、無意識に腰が動き出す。
「あぁ・・・・っあッ・・・! 、虎徹さ・・・・ッ・・・・」
声もなにも、抑え込むことなどとっくに不可能だった。
今はただ、溢れるほどのこの熱を早くなんとかしてほしくて。
「っ・・・・もう・・・・!」
あまりの快楽に、欲望のまま欲しがってくる。
自ら腰を揺らしてねだるバーナビーに対し、虎徹は彼自身を攻め続けながらも、欲しがるままに。
僅かに歯を立て、先端を甘噛みしてやる。
「っひ・・・・ッ!」
大きく仰け反る身体。
反動でびくりと腰を引こうとするが、虎徹は当然にしてそれを阻んで。
強く腰を抑え付け、先端より溢れて止まらない体液を吸い上げる。
「ひ、ぁ・・・・・っ・・・・」
その途端、懸命にバーナビーが手を伸ばし、虎徹のの肩口に手をかけてきた。
「いいから。 言うコト聞いてろ、バニー」
数回にわたり吸い上げたあと、今度は舌先で形を辿るように全体を舐め上げていく虎徹。
舌を滑らせていくたび、まるで瘧にかかったのように震え続けるバーナビーの身体を諌めるよう宥めるよう、太腿のあたりを片手で撫でてやれば、
いつの間にかバーナビー自身は再び限界まで膨れ上がり、
先端からは二度目の白蜜も僅かに浮かび始めている。
お、また出せるか、そしたらうさみみ消えるか? と先端に尖らせた舌先を這わせ、
透明な蜜と白い蜜の混じり出る窪みを、くいっと掬い上げるようにして絶頂を促すと。
「・・・・・ッ・・・・!!」
強い強い刺激にバーナビーは喉を鳴らし、腰が浮いた。
「っ・・・・ッあ、あ・・・・もう・・・・ッ・・・・!」
哀願にも似た声を合図に、張り詰めたバーナビー自身を虎徹は迷わず口腔に招き入れる。
間を置かず満遍なく全体を吸い上げ、
と同時に手のひらで同じく張り詰めた双珠を柔らかく揉みあげて。
最後に仕上げ、とばかり充血した裏筋を舌先でなぞってやりながら、
口に咥えた先端を強くきつく時間をかけてたっぷりと吸い上げた。
「・・・・っ、あ・・・あ、あ・・・・ッッ・・・!!」
途端、びくびくと震えながら虎徹の口内で絶頂を迎え、弾けていく彼自身。
虎徹は甘い甘いその白蜜を、一滴残さず搾り取ろうと吐蜜の最中でさえも数回に渡って吸い出し、残滓も残すことなく飲み干した。




「・・・・っ、ッ・・・・は、ぁ・・・っ・・・・」
二度目の絶頂を迎え、
バーナビーは全身をベッドに沈ませ、荒い吐息をただただ何度も何度も繰り返す。
先程までの口淫による絶頂は、
過敏になりすぎてしまっている身体には大き過ぎる快楽刺激だったらしい。
虎徹が覗き込むと、その腰はまだ小さくかたかた震え、余韻に襲われ続けているようで。
「バニー?」
平気か、と顔を窺うと一緒、うさみみを確認してみると未だしっかり(!) うさみみは健在、
対してバーナビーの方はといえば、あまりの快感の直後で、そうそう反応できるはずもなく。
ましてや、現段階でも自らの身体の状況がわかっていないままなのだ。
とにかく吐息をつくので精一杯でいたら、
かさ、と頬に手を添えられて、ゆっくりと顔を虎徹の方に向かさせられたあと、
有無を言わせないキスに捕らえられた。
「・・・・ん、・・・」
虎徹のキスはそうそう巧い方ではない(・・・・と勝手にバーナビーは思っている) のだが、
何となし、苦味のする舌で舌を吸い上げられ、今度は違った意味で頭の中がぼんやりとしてくる。
かと思えば、もう二度も達してしまっているというのにも関わらず、
まだ身体は熱いままで、
「ん・・・・っ、ん・・・・!」
虎徹に舌を吸い上げられるたび、熱は疼きに変わって。




荒い吐息が、甘いものに変化していくのを絡めた舌で感じ取ると、
虎徹は長いキスからようやくバーナビーを解放してやる。
「耳、まだ残ってんな・・・・。 どうするか」
苦笑混じりで尋ねても、吐息を絡ませるだけのバーナビーからの返事はもちろん、ない。
想定外のこととはいえ、この催淫効果っぷりに虎徹は期待を込めながら、
「・・・・じゃ、本気モードでいくか」
寄せた唇が触れるか触れないか、の至近距離からあえて低く、情欲を伴った声で囁いた。
「・・・・っ・・」
鼓膜を震わせる台詞にさえ感じてしまったのか、
それとも首筋にかかった吐息が原因だったのか、
思わずビクッと首を竦めたバーナビーに虎徹は小さく笑い、
そのまままたもや、彼自身の蜜でびっしょり濡れた指先で彼自身に触れた。
「つ・・・・ぁッ・・・・!」
どうしようもなく、喉を晒して喘いだバーナビーが、大きく身を捩る。
だが、虎徹の長い指先は戯れにその箇所を通り過ぎ、
更なる奥の奥、最奥にまで滑り込んで構わず、その入口に遠慮なく触れてきた。
「ん・・・・ッや・・・め・・・っ」
ただ指が這わされただけでも相応に感じてしまう。
そんな状態になりながらも、未だ制止の声をあげてくるバーナビー対し、
半ば意識的に煽るような口調で。
「やめたら、困るだろ」
バニーが本物のラビットになっちまうだろ、と告げたが早いか、
再び戻ってバーナビー自身をきつめに握り込むと、
「・・・ぁう・・・・ッ、あ、ああ・・・・っっ」
面白いほど簡単に、切ない吐息混じりの嬌声が聴けた。
その間、バーナビーが前への感覚に喘ぎをあげている間に、
素早く最奥に指をまとめて二本埋め込む。
「あ・・・・ッ・・・!」
どれだけ催淫効果が際立っているとはいえ、やはり最奥が最初から柔らかくなっているはずもない。
受け入れさせられた指をきつく強く阻み、収縮してくる内壁に対し、
虎徹は丹念に二本の指で内側を広げ、隙間から寄せた舌をそっと挿し入れて中をしとどに濡らし上げていく。
「っあ・・・・っぅ・・・・ッ、ぁぁ・・・・っ・・・・」
身体の奥の奥、秘められた箇所に虎徹の舌を感じること、
有り得ない箇所を舌によって探られているという事実、
加えて指と舌から生じる痛みにも似た圧迫感。
通常のバーナビーなら烈火の如く怒って、それこそ能力発動までもしかねない勢いで拒みたい行為であるはずでもあるのに、


「――――― ・・・・ああ・・・・ッ!?」


なのに、
今日は違った。


虎徹の指が内壁を拡げ、舌がその間を擦り上げていくたびに粘膜が震えて甘く疼き、
圧迫感も痛みも通り越し、快楽だけが先行して下肢から背筋を伝わっていく。
それどころか、虎徹から送り込まれてくる唾液と、卑しくもまた勃ち上がってしまっている自身から零れ落ちてくる蜜で内側がとろとろに潤っていくにつれ、
更なる悦楽を求める内壁がひくりひくりと動いて欲しがってしまっているのが、僅かに残った思考でも自覚されてしまい、
バーナビーはそんな自分に、より一層混乱する。
そして身体の方は、いつの間にか三本の指を受け入れていることにさえ気づかないほど、
熱に浮かされていた。
「ど・・・・うして・・・・っ、こ・・・んな・・・・っ・・・」
もう訳がわからなくて、
でも今更自分ではどうすることも出来なくて、求める快楽。
身体の奥底が欲に疼いて疼いて、仕方がない。
「ッ・・・は、・・・・っ虎徹、・・・っさ・・・・!」
途切れ途切れの、声。
虎徹を欲して、がくがく腰が痙攣をし始める。
「もう・・・・ッ・・・・!!」
身体が熱い。
眩暈すら起こしそうなほど熱くて、このままでは熱くておかしくなってしまいそうだ。
身体に蓄積させられた、甘い甘い苦しみのあまり大きくかぶりを振った、その瞬間。


「ひ・・・・ッッ・・・!!」


唐突に虎徹の指先が、埋められた内側の弱い箇所をぐいぐいっ、と荒々しく押し上げた。
「っああ・・・・ッ!!」
まるで身体が拒否反応でも起こしているんじゃないかと思うくらい、
一際大きくバーナビーの身体が跳ね上がる。
「こらえろよ・・・・?」
「・・・っあ、ぅ・・・・あッ! っや、や、め・・・・ッ・・・・!」
あまりの反応に、さすがに少しばかり心配になった虎徹にそう言われながらも、
その部分を続けて転がされて、
濡れて屹立するバーナビー自身からとくとくと蜜が溢れ出る。
過敏になりすぎた身体に受ける、強すぎる性感。
「ッッうぁ、あ、も・・・・もぅッ・・・・・」
内部だけでなく、外側から緩く扱かれはじめ、訪れる三度めの高み。
「・・・・ああ、わかってるぜ」
バーナビーの状態を察して虎徹は、
それまで内壁を刺激していた指を三本まとめてずるりと引き抜き、
続けざまにきゅうきゅう収縮を始めて止まらないその部分に、
充分に猛った自らを思い切り埋め込んだ。
「!ッあぁぁ・・・・っっ!!」
求めていた熱の塊に、正面から強く強く突き上げられ、耐えられるはずもなくバーナビーはたまらずに白濁した蜜を放ち、達してしまう。
と同時、虎徹を受け入れた内壁がきつく締まり、柔らかな肉が虎徹自身を刺激してくる。
そのあまりの悦さに軽い吐息をつきながら、
虎徹は達したバーナビーを絶頂の余韻にひたらせることはせず、
連続して埋め込んだ腰を強く打ちつけ始めた。
「っ・・・・あ、ああぁ・・・・!」
もはや声が言葉にならないバーナビーから身を捩じらせるけれど、
構わず逃げうつ下肢を力ずくで抑え付け、大きく揺らしあげてやる。
連続した虎徹の攻めに、見開いた翠色の瞳から生理的な涙が伝い、シーツに吸い込まれていく。
普段でも高みを迎えた直後の身体はより敏感になってしまっているのに、
今日は催淫という理由もあいまって、
快楽もここまで来てしまったら、理性も何ももうどこかへ行ってしまって。
「・・・っん、あぅ、・・・・っう、・・・・ッ・・・・!」
虎徹が奥を穿ち、内壁をかき回すたびにバーナビー自身の先端から、とめどなく白蜜が零れ落ちる。
「もっと出せって・・・・・もっと、」
「――――っ・・・・あ、ああ・・・・ッ!!」
もしかしたら、先程からずっと達し続けてしまっているのかもしれない。 それくらいの量を溢れさせ続ける先端。
「バニー、」
遠慮すんなって、ココには俺しかいねぇよ、と囁けば、
それに触発されたのか、またぴゅくっ、と蜜が弾けて互いの腹を汚した。
一体どれだけ吐精すればうさみみが消えるのか、もう虎徹としても定かではないくらい、
バーナビーは白蜜を吐き出している。
こりゃマジで三日くらいは腰が立たねーんじゃ、と心配にはなりつつ、
それでも明日には前歯が伸びているよりマシだ。 うさぎに変化されるより全然マシだ。
そう思いながら熱く濡れ落ちるバーナビー自身を掌中に握り込み、
手のひら全体を使って丁寧に扱いてやると、襲い来る快楽の波に全身が戦慄く。
堪えきれない過ぎる快感から逃れようとしているのか、
それとも更なる欲を欲しているのか、
その姿はどちらかといえば後者、より深い悦びを求めているようにも見えて、
虎徹はバーナビー自身を扱き上げる手はそのまま、
内側で一番バーナビーが感じてしまう、弱いポイントに狙いを定め、
自身の先端でぐいぐいと容赦なく押し上げた。
「あぅッ・・・・ッ・・・・!!」
途端、バーナビーの背が反り返ると同時、内部が一際強くきつく虎徹を包み込む。
「・・・・く、っ・・・・」
互いに与え合う悦楽刺激に、思わず虎徹の口からも零れる吐息。
「ん・・・っぅ、あぁ・・・・!!」
限界さえも超えさせようとバーナビーの吐蜜を誘うため、
もう完全に溶けきり、熟れきっている内壁を余すところなく突き上げると、
感じさせられすぎて止まらない涙がまたもや両方の瞳から零れ落ち、
バーナビーが気づいているはずもないが、それがまた虎徹の熱までも、煽った。




「・・・うあッ・・・ッ・・・!!?」




最早何度目かすらわからないほどの、
絶頂の寸前まで張り詰めて膨れ上がったバーナビー自身の根元に虎徹の指が絡みつき、
ぎゅっ、と締め付けられる。
それにビクビクと反応させられた直後、内側から激しく連続して突き上げて来られ、
「あッ・・・・っあ、離・・し・・・・ッうあ、ぁ・・・・っ・・・!!」
視界の霞むような快楽と、締め付けられたがゆえに達することの出来ない甘い苦しみを同時に身体に受け、
せり上がる身悶えする感覚に邪魔をされて、もう何も考えられない。
その指を離してほしい、という哀願も声になってくれないまま、
ただ虎徹に縋りつくことしか出来なくて。
「・・・溜めて、まとめてたくさん出せや」
「・・・・っ!ん・・・っ、」
耳朶を震わせる虎徹の低い声。
合わせて乱暴なまでに攻め込まれ、揺さぶられて虎徹の手の中のバーナビー自身が、戒められているにも関わらず大きく脈打つ。
「―――― ぅあぁッ・・・・!!」
もう、もうとっくに身体は限界の限界を越えさせられてしまっているのに、
止まらない。 止まってくれない。
それでも内壁は別の生き物であるかのよう、バーナビーの意思とは関係ないほどの動きと強さで虎徹を締め上げ、
反動で身体がびくびく震える。
「・・・っ、・・・バニー・・・・、」
そうされてしまっては、虎徹もそうそうこらえきれない。
打ち付ける腰の動きも次第に早まり、バーナビーの中に自らの快楽を追って。
中でもその最奥の最奥、最弱たる箇所を乱暴に押し上げたその瞬間、
「ひッ・・・・・いッ・・・・!!」
喉を引きつらせたバーナビーの、悲鳴にも似た嬌声。
ずっと堰き止めていた指の力を僅かに緩め、しかし絡み付けたまま上下に扱き上げてやる。
「――――っ・・・・!ッあ、ああ・・・・っ・・・・!!」
「・・・・ッ」
がくがくと全身を戦慄かせたバーナビーを組み敷きつつ、
虎徹も相応に荒い吐息の元、極限まで埋め込んだ熱の塊で思いきり奥を突き上げると同時。




「っ、・・・く・・・・」
今にも弾けそうな自身を往復してきゅっと搾りあげた。
「―――― ッッ・・・・!!」
もう掠れてあげる声もなく、勢いよく放たれる欲と白い蜜。




「・・・ん、」
瞬間、締め付けを激しくした内壁に包まれた虎徹もそのまま達し、
バーナビーの内側で熱を吐き出した。
「・・・・ぅ、あ・・・っ、ぁ・・・・」
そしてバーナビーは、虎徹より吐き出された熱が敏感な内部にかかるたび、
達した余韻に加えて何度も何度も身体を震わせる。
そんな様子に、
「あ、」
ふと、虎徹が気付けば。
うさみみがかき消されるかのようにふっ・・・・、と目の前で消え去り、
バニー本人はそのことに気が付いたのか付かなかったのか、
ただ荒い吐息をつくだけだ。
けれど、うさみみが消えるのに連動して、身体の熱も収まりはじめているらしいことは、
バーナビーの状態から見て取れたから。


「最重要任務完了! ってな。 ・・・・ヒーローポイントのボーナスとか出ねぇかな」
まだ繋がったまま、冗談めかしてそう呟いて、
虎徹は絶頂の余韻に小刻みに震えているバーナビーの、
汗で額に貼り付いている前髪をかき上げてやって、
うさみみの消えた頭を撫で撫で、してやった。



































「ん・・・・・・・・」


ふと目が覚めたら、
ロールスクリーンの向こうの明るさは、太陽がまだ中天近くにあることを示していた。
「僕、は・・・・」
ぼんやりとする頭をゆるゆると振りながら、ゆっくり半身を起こしてぐるりと周囲を見渡すと、
自分のすぐ真横、うつ伏せになって眠りこけている虎徹の横顔が視界に飛び込んできた。
「虎徹・・・・さん」
意味もなく名前を読んでみるけれど、彼は爆睡状態なのか、目を覚まさない。
そういえば朝方まで飲んでいたと言っていた。 爆睡しているのも頷ける。
「・・・・・・・・・・」
その俯き加減の横顔を眺めながら、バーナビーは今になって、
何だか妙に身体がだるく、全身が弛緩している感覚に気付く。
「・・・・・・・・・・」
そういえば、
そういえば、
つい今朝方(?) は何だかいろいろそりゃあ大変、
・・・・・・・・だったような記憶があって、




うさみみ。




「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」




脳裏によみがえる、数時間前までの記憶。
慌てて自分の頭、うさみみの有無を確かめる。 無い。 それは確かに、消えている。




けれど。
一気に記憶がよみがえり、一挙に全部思い出してそれらが押し寄せて、
かああああ、と頭に血が昇る。
どうして、
どうして僕はあんなに、あんなに、あそこまで乱れ・・・・・!!
と、怒涛の勢いで混乱が押し寄せる。
だるい腰、
力の入らない両腕、
そして何より身体中に残っている甘い熱の残り。
「ど・・・・うして・・・・」
自分でも理由が見つからなくて、思わず口許に手をあててしばし黙考してみるけれど、
結局何一つわからない。
思い出すのはただ、先刻までの自分が普段にも増して、
信じられないほど乱れてしまったこと、
有り得ないくらい吐精に吐精を重ねてしまっていたこと、
最後は半ば記憶がふっ飛んでしまっているということだけで。
今更だとヘンな覚悟と自覚はあるにしろ、
まじまじと自分で思い返してしまうとやはり、やはり思いっきり抵抗がありまくる。
そしてこれも今更気が付けば、どうやら自分は全裸のままで、
とにかく、
とにかく虎徹が起き出す前に何とか最低限の衣類だけでも身につけようと、
もしくはバスルームに飛び込もうと、だるい身体を無理矢理動かし、
よくよく見れば情事の色濃い自分のベッドから抜け出ようとした瞬間。




「まーだ・・・・一緒に寝てようぜバニー」
「うわッ!!?」




寝ぼけ半分、寝ぼけまなこの虎徹の腕がぐいッと腰に絡み、引き戻してきて。
「こ・・・・虎徹さん・・・・」
羞恥と、いたたまれなさに狼狽しまくるバーナビーに、
「あー、やっぱ耳、消えたままだな。 良かった良かった!」
半ば寝ぼけながらも、虎徹はしっかり喜んで。


そんなふうに喜ばれてしまったから、


「・・・・・・あの、 ・・・・・・・・・・ありがとう・・・ございました」


何故だか(?) 気が付いたらお礼を言っていた。


そしてやっぱりその後、
しばらくマトモに(恥ずかしくて) 正面から彼の顔を見ることが出来なかったから、
枕に顔を伏せまくって、夕方まで、寝た。 ・・・・・・一緒に。

































後日、というか翌日、
やはり気になって二人で端末からそのウィルスについて調べてみた結果。




【ウィルス名:U1SA1型】
【性質:連続変異型→徐々にうさぎへと変質・変形】
【罹患条件:主にヒロイン体質である人間にごくごく稀に感染する】




「〜〜〜〜〜〜僕はヒロインじゃない、ヒーローです!!」




「どう見たって・・・・ヒロインだったろ・・・・」




喚くバーナビーにそう虎徹はボソッと呟いて、
治し方もわかってるし、いっそのこと来月あたり、もっかいくらい感染してくれねぇかな、
とココロの中だけでこっそり願ってみた。




あそこまでタガの外れたバニーなんてそうそう見られるわけじゃない。




かなり本気でそう思っていたということは、ここだけの話である。
















マルまる様からのリク、『ベタすぎる話』 でした。

ベタにも程があんだろ!(笑) ってくらいベッタベタ、オリジナリティの欠片もないものをやってみました。 どうだ! ここまでマニュアル通りだと逆に清々しい! むしろ開き直ってます(・・・・)。
最初に書いたとおり、これはメルヘンなので何でもアリなのです。 ・・・・すみません